【連載】インカレ直前特集『The早魂』第1回 アルペン競技 小川彩也香×石島瑤子

スキー

 ことしこそ創部初のアベック優勝を。誰もがこの目標を胸に挑むインカレはもう目の前だ。連載第1回に登場していただくのは、さくねんのインカレでチームに大きく貢献した、アルペン女子の小川彩也香(スポ4=北海道・札幌第一)と石島瑤子(スポ2=群馬・尾瀬)だ。昨年、悔しくも連覇を逃した女子チーム。今、何を語るのか。

※この取材は9月28日に行われたものです。

お二人のルーツ

緊張し気味に話す二人

――さくねんのインカレでは準優勝という結果でしたが、その後反響などはありますか

小川 特にはなかったんですけど(笑)。私が入賞した大回転はまだ1種目目で、2種目目が残っていたので、周りはまだそんな雰囲気じゃなかったですね。チームの中ではおめでとうって言ってもらえました。優勝は狙っていたので、安心したというか、嬉しかったです。個人の結果には満足です。

石島私はインカレみたいなタイトルレースは中学以来優勝から遠ざかっていて、周囲からもタイトル取れるのは大きいよと言われていたので、たくさん祝福してもらいました。

――個人の活躍は多く見られましたが、チームとしてはどのような雰囲気でしたか

石島個人の活躍があったからといって、総合優勝は逃しているので決して明るい雰囲気ではなかったです。連覇を途切らせてしまったので。…ですよね?

小川そうだね。全体としてはやっぱりダメでした。

――スキーを始められたのはいつ頃ですか

小川兄がやっていて、最初はそれについていくという感じでした。初めて滑ったのは3歳の時で、そこから正式にチームに入ったのは小学校1年生くらいです。

石島私も、初めてスキーを履いたのは3歳の時です。競技を始めたのは結構遅めで小学校3年生とかです。私は群馬の中でも都市部に住んでいて、スキー場なかったんですけど山間部の方には結構あって、群馬でも滑りに行けました。

――お国自慢はありますか

小川瑤子もよく北海道に大会で来てるから知ってると思うけど、やっぱり食べ物が美味しいです。多分(笑)。何がって聞かれると難しいですけど。

石島北海道といったら海鮮じゃないですか?

小川北海道に住んでると、どこかにわざわざ海鮮食べに行くことは少なくて、家でさばいて食べることが多い。私は留萌出身なんですけど、駅前で買ったり、漁師の知り合いに貰ったりしますね。

石島めちゃめちゃ羨ましいですね。群馬なんて海なし県なのに(笑)。

小川もう少しで鮭が取れる時期だからいくら食べたり。

石島え、自分の家で漬けるんですか?

小川そう(笑)。

一同いいな〜。

小川今度ここに送ってもらおう(笑)。

石島それ言われたら群馬いうこと何もないなぁ(笑)。強いて言うなら、群馬は、住みたい県ランキング下のほうの割にテレビ出てる(笑)。最近やたらテレビ出てる。あ、あと草津温泉とかがあります。草津とか伊香保とかは有名ですね。こないだ家族で草津温泉いきました。どうしても旅行行きたくなって、近場で行けるのが草津だけでした(笑)。

――北海道は温泉の数が全国で一番多いらしいですが

小川そうなんですか。知らなかった(笑)。

石島うわー、そこも負けたか(笑)。でも確かに多そうですね。

一同群馬…。

石島あ、キャラクター可愛いです、群馬ちゃん。以外と群馬県民群馬愛強いかもしれないです。

人見知り

徐々に打ち解ける

――小川さんは人見知りを克服したいとお聞きしましたが

小川そうなんです。すごく人見知りでスキー部でも多分絡みにくい感じです(笑)。

石島あ、私もです(笑)。

――個人競技だと人見知りの傾向があるのですか

石島そういうわけじゃないと思うんですけど(笑)。多分、私たちはスキー部の中でも特に人見知りですね。

――お互いのことも人見知りだと思われますか

小川私的に、瑤子はそんなに人見知りじゃないかも。

石島え、ほんとですか?自分ではかなり人見知りだと思ってたんですけど…。慣れてくれば全然大丈夫です。半分くらいの人には人見知りって言われます。彩也香さんのことは入学する前から知っていて、何度か話したこともあって平気でした。

――石島さんは何か克服したいことはありますか

石島克服したいこと…。私も人見知りは克服したいですね。友達とか作れないタイプです。授業とかもだいたい1人かスキー部といます。あの子見たことあるけど覚えてるかなって時は話しかけれないです。

――小川さんは野球が得意とお聞きしたのですが

小川そんなことどこで聞いたんですか(笑)。小学校6年間野球やっていて。得意かどうかと聞かれたら好きってだけなんですけど。スキー部は野球好きが多いです。男子は特に野球経験者が多いですね。スキーやってる人って、小学生の頃とか冬はスキーでそれ以外の時期は、サッカーとか野球とかやってるんでその影響だと思います。

――石島さんは何か他のスポーツもされていましたか

石島何かやっていたというわけではないのですが、ゴルフとかは練習でやってました。

――球技の練習は大切ですか

石島そうですね。スキー部では球技の練習メニューがあるんですけど、それで反射神経とか対応能力を鍛えます。スキーは、考えてから動くのじゃ間に合わないので、想定外のことに対処できるようにします。同じ条件で滑れるってことは絶対になくて、常に天気も変わるし雪の状態も変わるし、セットも違うし、常に変化していくものなので、臨機応変に対応しなくてはいけないです。

小川スキーは、陸上とか水泳みたく、タイムが有効なスポーツではないので、いかにその条件で速く滑るかっていうところで戦っています。

――他にはどのような練習をされているのですか

石島走ったり、ウエイトしたり、色んなことをしています。実際に雪の上で滑って練習できる時間は短いので、シーズンインする時期によって雪の上で練習できる期間は変わります。

小川本当にトップの人だと夏とかも海外にいるよね。人それぞれなんですけど、日本である試合は12月に開幕して、3月末くらいまでなので、10月後半くらいからシーズンインして、海外だったり、北海道の寒いところだったりに行って練習する人が多いです。

――どこで練習されることが多いですか

石島特定のどこかで練習するというよりは、各地でレースがあるので、その度にその会場に行って調整するという感じですね。

小川移動ばっかりです(笑)。移動の方が長いくらいです。

石島日本は滑れる期間が本当に短いのでどうしても海外行かないといけないですね。

――大会で行ってみたい国はありますか

石島行ってみたいというよりは、行くことが決まっていて、私は、10月の頭からヨーロッパへ行って、11月の終わりにレースに出ます。ヨーロッパのレースに出るのがほとんど初めてで、緊張ももちろんあるんですけど、楽しみです。

小川瑤子はヨーロッパ行き飽きてるでしょ(笑)。

石島いや、全然そんなことはないです(笑)。行くのはだいたい、スイスかオーストリアなので。

小川行きたいところはあんまりないんですけど、思い出の国で、スイスのサースフェーって所があります。日本人がよく練習しに行くところで、中1で初めて海外遠征に行きました。そこは特に激しいんですけど、朝ゴンドラで上に行く時、乗り場の取り合い戦争があって…。

石島日本じゃ考えられないレベルですよね(笑)。

小川そうそう(笑)。ドアが開いてゴンドラ乗り場まで大きいリュックと板を持ってみんなダッシュするんですけど、押し合いがすごくて。

石島曲がり角とか本当に進まないですよね(笑)。立ってれば進む(笑)。

小川ヨーロッパは激しいです。みんな早く上に上がりたいから。アルペンのリュックはスキーグッツとか道具とか全部入れてて、特に大きいんですよ。

石島体育座りしたら入りますね、多分(笑)。

小川入りそう(笑)。とりあえずサースフェーは日本と海外の違いを感じた思い出の場所です。海外の人はそういう環境でやってるんだなと思いまいた。どっちかっていったら、もう行きたくないかも…。

石島えー、行きたくないんですか(笑)。私これから行くんですけど(笑)。

――同じ種目の選手としてライバル意識はありますか

小川・石島インカレではそんなに…。

小川もちろん大学としては、インカレが一番大きい大会で、大学で動く大会はこれしかないので特別な感じはあるよね。

石島そうですね。他の大会に比べて、レースの数が本当に多いので、誰がどのレースに出るかとか、自分のでたいレースとか、バラバラなので特殊な感じはありますね。

「全員入賞で、3種目全部で優勝。」(小川)

スキーへの熱い想いを語る小川選手

――ことしの目標をお願いします

小川インカレは、止めてしまった連覇のかわりに、まず女子で総合優勝して、男女ともに総合優勝したいです。個人的目標としては、スキーは個人種目なので、一番自分が得意としている大回転で二連覇したいです。

石島やっぱり総合優勝は絶対とらなくてはいけないと思っていて、個人としては、きょねん、スラロームでしか結果を出せていないので、GSも優勝したいなと思います。

――さくねんから何か変化や成長はありますか

小川そんなに変わってはいないですけど、きょねんのインカレは今までと違って、ランナーのリレーの後に女子のスラロームの結果が出て、ランナーのリレー優勝聞いた後に2本目だったので、自分のベストをもっと出せてたら、日大に勝つチャンスが残ってたかもしれないという悔しさがありました。だから本当に、ベストを出せるように悔いが残らないように、メンタル面で変わりたいです。シーズン入らないと分からないですけど変えられたらいいなと思います。

石島今までも目標設定をしてプランは立ててきたんですけど、きょねんのシーズン終わって、もっと具体的に目標を決めないといけないと思っています。大学卒業したあと、スキーを続けるかやめるかってところで、私自身は続けたいと思っていて。ただ、そのためには大学での成績がないと、続けていけないので、もっとすぐに結果を求めなくてはいけないし、だからと言ってまだそれだけの技術もフィジカル面もメンタルも備わっていないから、具体的にどうしていくのか考えて、ことしはトレーニング内容とか変えてきました。

――具体的とは、どのように変えられたのですか

石島陸上のトレーニングは今まで、トレーナーさんがいて、メニューをもらっていたんですけど、貰ったメニューをこなすだけじゃなく、直接トレーナーさんのところに行って、一つ一つの質を上げていこうと思いました。ことしは2年生になってようやく自分の時間も取れるようになったので、そういうところで時間を活用しました。

――インカレの意気込みをお願いします

小川アルペン女子自体は14人いて、他の大学に比べて人数多くて、層が厚いと思っていて、その中でも選ばれた5人が入賞する実力を持っていると思うので、全員入賞できたらいいなと思います。全員入賞で、3種目全部で優勝。

石島獲りたいですね。同感です。

小川アルペンにとって、他のレースとインカレって意気込みが全然違って、インカレはチームで戦って、普通の試合は自分の目標に向かって戦っている。気持ちも違うし、プレッシャーも大きいです。他の大会と雰囲気も違います。

石島確かにそれはそうですね。私は前回、1年生で初めてインカレに出て、初めてチームのために戦いました。やっぱり、周りのサポートや応援もすごい。普通のレースだったら、失敗しても自分の失敗だけで終わるけどインカレは自分の失敗がチームの負担になると思うとプレッシャーもすごい。みんなで頑張るけど誰かに頼るとかじゃなくて、一人一人が全力を出して頑張るという感じです。個人スポーツだけどスキーがチームスポーツになる瞬間です。

小川私、次4年生なんですけど、1年の時は何も知らずにインカレの空気に飲まれちゃって。2年の時は逆にプレッシャーを感じてスタートしても自分の滑りができなかったです。コースアウトして、本当になんか、訳がわからないままポールに突っ込んで怪我して、6、7針縫って。プレッシャーすごい、本当に。

石島私も前回、緊張しすぎて途中でパタンと転びました。

小川プレッシャーはすごいけど、でも1、2年生にはそんなの気にしないで滑ってほしいな。

石島インカレのこと全然わかってないから1年生のプレッシャーは4年生に比べたら全然たいしたことないかもしれないですね。

小川アルペンは、絶対ミスをするスポーツなので、ゴールできるかできないかの壁もある。

石島攻めなきゃいけないけど攻めてアウトしてもいけないですもんね。

小川総合優勝するために、みんなで少しでも順位を上げていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材、編集 藤田さくら)

最後は和気あいあいと

◆小川 彩也香(おがわ・さやか)(※写真左)

1995(平7)年12月22日生まれ。161センチ。北海道・札幌第一高出身。社会科学部学部4年。自他ともに認める人見知りである小川選手。優しい話し方と控えめな態度とは裏腹に、スキーを語るときは凛々しく思いを込めて話してくださいました。

◆石島 瑤子(いしじま・ようこ)(※写真右)

1997(平9)年8月15日生まれ。163センチ。群馬・尾瀬出身。スポーツ科学部2年。自称人見知りという石島選手ですが、明るく沢山笑っていらっしゃいました。親しみやすさがうかがえました。