逆転優勝は逃すも、王者の意地を見せる

スキー

 ついに最終日を迎えた全日本学生選手権(インカレ)。総合6連覇を目指し首位の日大を追いかける女子は、この日行われたアルペン女子回転、クロスカントリー女子5キロ×3リレーで王者としての意地を見せた。アルペン女子回転では石島瑤子(スポ1=群馬・尾瀬)が優勝するなど3人が入賞。また、クロスカントリー女子5キロ×3リレーでは日大とのし烈なトップ争いを制し見事に1位でゴールした。大量得点を獲得し逆転優勝に迫った早大。しかし前日までの日大との19点差を埋めきることはできず、2位で大会を終えることとなった。

 アルペン女子回転には早大から5名の選手が出場。逆転優勝のためにも大量入賞を狙いたいこの種目で輝きを放ったのがルーキーの石島だ。「緊張により動きが固かった」という1本目だったが、その中でも全体1位のタイムで滑走する。続く2本目をミスがありながらもまずまずのタイムでまとめ、見事に金メダルを獲得。前日の大回転で途中棄権に終わってしまった悔しさを晴らした。また、大回転で優勝、スーパー大回転で3位入賞と今大会安定して好成績を収めてきた小川彩也香(社3=北海道・札幌第一)は8位入賞。目標としていた全種目での表彰台はならなかったが、アルペン部門のエースとして堅実にチームに貢献した。石島と同じく1年生の片桐成海(スポ1=北海道・北照)は10位に入り、初のインカレながら大回転との2種目入賞を果たした。

はじめてのインカレで優勝した石島

 まさかの失格に涙を飲んだ昨年の雪辱を果たすべく、必勝を期して臨んだ女子5キロ×3リレー。1走を任されたのは酒井結衣(スポ1=北海道・富良野)だ。個人種目ではここまで思うような結果を残すことができていなかった酒井だが、そのうっ憤を晴らすかのように気迫あふれる好走を披露。1走としての役割を全うし、トップの日大と15秒差の2位で佐藤葵(スポ1=秋田・北鷹)へとつなぐ。今大会好調を維持している佐藤の勢いはこの日も止まらず、日大との差をじわりじわりと詰めていく。後続の同大には迫られたものの最後まで粘りぬいてアンカーの渡邉祐佳(スポ2=長野・飯山)へと継走した。この時点で先頭集団は早大、同大、日大の3校。緊迫した局面が続く中、渡邉は「絶対後半で誰かが仕掛けると思ったから、そうなった時、遅れずについていけるように後ろで体力を温存していた」と冷静さを保つ。レース後半、同大が先頭集団から脱落すると、勝負は日大との一騎打ちに。ギアをあげた渡邉は日大と激しいデッドヒートを繰り広げる。迎えた最後の直線、わずかにリードを奪っていたのは日大だった。しかしここで渡邉が勝利への執念を見せる。「とにかくここまできたら勝ちたかった」。フィニッシュ直前で逆転すると、そのままゴールへ。早大が日大を0.6秒差で退け、1年越しの優勝を勝ち取った。

大きなガッツポーズでフィニッシュした渡邉

 チームの支柱である滝沢こずえ(スポ3=長野・飯山)を冬季アジア大会で欠く厳しい状況の中で、それぞれが自らのベストを尽くし、諦めることなく最終日まで戦い抜いた今回のインカレ。女子総合6連覇こそ逃したが、一戸剛監督(平11人卒=青森・弘前工)が「優勝に値する2位」と評価するように、その戦いぶりはまさしく絶対女王としてふさわしいものであった。来シーズンは追いかける立場となる早大。再び王座に返り咲くべく、新体制のもとで新たな挑戦へと臨む。

(記事 大庭開、写真 加藤佑紀乃)

※掲載が遅くなり、申し訳ありません

表彰台の頂点に立ち笑顔を見せたリレーメンバー

結果

▽女子総合順位

優勝 日大 81点

2位 早大 75点

3位 東海大 61点

4位 同大 36点

▽クロスカントリー女子3×5キロリレー

優勝 早大 47分3秒9

1走 酒井(クラシカル) 16分15秒3

2走 佐藤(フリー) 15分1秒9

3走 渡邊(フリー) 15分46秒7

▽アルペン女子大回転

優勝 石島 1分53秒35

8位 小川 1分54秒41

10位 片桐 1分55秒45

11位 根本風花(スポ4=長野・飯山)1分55秒96

20位 新山凪沙(スポ3=北海道・双葉)1分59秒14

渡邉祐佳(スポ2=長野・飯山)

――きょうのレースをふり返っていかがですか

優勝できて嬉しいです。結衣と葵が頑張って上位で帰ってきてくれたから、絶対優勝したかったです。いろんな人の支えがあっての優勝だと思いました。

――終始日大と並走していたと思いますが、レース中の心境はいかがでしたか

落ち着いていました。絶対後半で誰かが仕掛けると思ったから、そうなった時、遅れずについていけるように後ろで体力を温存していました。

――ラストスパートでの日大との競り合いの場面を振り返っていかがですか

最後のストレートに入るまで日大が前にいたからどうなるかわからなかったけど、とにかくここまできたら勝ちたかったから勝てて良かったです。

――トップでゴールした瞬間のお気持ちはいかがでしたか

最高に気持ち良かったです!

――勝因を挙げるとしたら何でしょうか

焦って集団の先頭に出なかったことです。

――下級生主体のチームでしたが、不安やプレッシャーはありましたか

不安とプレッシャーしかありませんでした。

――今大会のご自身の結果をどのように評価していますか

個人戦が10位と5位だったので全く満足していません。

――来シーズンに向けての意気込みを教えてください

来年のインカレは全種目勝ちます!

石島瑤子(スポ1=群馬・尾瀬)

――優勝したお気持ちはいかがですか

久々にタイトルを取ることができ嬉しいです。また、少しですがポイントをとり早稲田に貢献できたので良かったと思います。

――きょうの滑りをふりかえっていかがでしたか

1本目は緊張により動きが固かったのですが、ビブ3番という良いスタート順を生かすことができたと思います。2本目に関しては途中で大きな失敗をしてしまいゴールして正直優勝は無理だと思っていました…。

――前日の大回転では途中棄権となりましたがどうきりかえましたか

大回転では力み過ぎて転倒してしまったので、スラロームでは結果を意識しないでいこうと思いました。

――女子のクロスカントリーリレーの結果は耳に入っていましたか

入っていました。本当に凄いと思いましたし自分も負けてられないと思いました。

――はじめてのインカレはいかがでしたか

普段のレースとは雰囲気も緊張感も異なりチームの為にアルペンだけでなく全ての種目が一丸となって戦うという今までにない感覚でした。

――なにか課題や収穫は見つかりましたか

課題は山積みの状態です。技術、メンタル、フィジカル全ての面において力不足なので今後続くレースに向けても、レベルアップできるように頑張りたいです。

――来シーズンに向けて意気込みをお願いします

来年のインカレは必ず総合優勝奪還します。