首位・東海大と1点差!悲願の逆転優勝なるか

スキー

 5年越しの悲願達成に手が届くというところまできた。全日本学生選手権(インカレ)大会5日目はアルペンスキー男子回転が行われ、大回転競技で5位入賞した廣島聖也(スポ4=北海道・双葉)が1本目、2本目と好タイムを出し最後のインカレで初優勝。ルーキー中平賢郷(スポ1=青森・東奥義塾)も4位に食い込んだ。この日の結果により、総合得点は首位・東海大まであと1点となった。

 廣島は1本目で、51.78という好タイムたたき出し首位に躍り出た。そして2本目もミスなく滑り切りタイムを見て、思わずガッツポーズ。「久々に興奮しました」(廣島)。最後のインカレで首から金メダルを下げ、満面の笑みで表彰台の頂点に立った。廣島は2、3年のインカレでは入賞できず悔しい思いをしてきた。その悔しさを晴らすかのように、ことしはスーパー大回転で5位、回転で優勝。大学卒業を機に競技人生を終える廣島にとってまさに締めくくりにふさわしいレースとなった。それを誰よりもよろこんでいたのは同期の成田伊織(スポ4=北海道・札幌第一)だ。「最高にうれしいです。もう泣くかと思ったくらい」。4年間共に走り続け、苦しんだ時期もそばで見ていた成田にとって、廣島の優勝は胸に来るものがあったのだろう。

得意種目で見事優勝した廣島

 気を吐いたのは廣島だけではない。ルーキー中平も大舞台で存在感を示した。1本目で51秒台を出し3位につける。しかし2本目ではタイムを伸ばせず最終順位は4位となった。中平にとって初めてのインカレは「いまいち攻め切れなかった」と悔しい思いを抱えると同時に、大学でも戦えるという自信を得た大会となった。

はじめてのインカレで4位に入賞した中平

 ここ5年間、早大は東海大に阻まれ総合優勝の夢から遠ざかっていた。フルメンバーでない中迎えたことしのインカレ。一時は優勝が厳しくなるが、スローガンの『総活躍』が表す通り全員がポイントを取るという姿勢でついに首位・東海大に1点差まで迫った。男子の最終種目は4×10キロリレー。「あとはクロスカントリーでやってくれる」(廣島)。5年分の思いを背負い、あす運命の日を迎える。

(記事 加藤佑紀乃、写真 松富リサ、加藤佑紀乃)

ポイント獲得に貢献したアルペンチームのメンバー

結果

▽男子暫定順位

1位 東海大 97点

2位 早大  96点

3位 日大  50点

4位 明大  46.5点

▽アルペン男子回転

優勝  廣島 1分37秒36

4位  中平 1分38秒18

20位 吉田圭汰(スポ2=北海道・北海学園札幌) 1分40秒78

43位 押切凌(スポ1=北海道・札幌第一) 1分44秒87

DNF 成田

廣島聖也(スポ4=北海道・双葉 )

――優勝おめでとうございます。今のお気持ちはいかがですか

今は割と実感がないです。僕は練習があまりできていなかったのでよく勝てたなと思います。

――1本目と2本目共に好タイムを出しましたが、うまくいったという実感はありましたか

感覚的にはミスもなくただ降りてきていただけでした。こんなに速いんだと思いました。

――2本目を終えた後ガッツポーズをされていましたが、タイムを知ってガッツポーズをされたのでしょうか

そうですね。タイムが出て、勝ったと。久々に興奮してガッツポーズをしてしまいました。

――前回の取材の際に回転は得意種目と話されていましたが、きょうの試合に点数をつけるとしたら何点になりますか

100点満点はつけますね。自分の中では、周りの大学の人よりも練習量は圧倒的に少なかったので、その中で勝てたというのは運もそうですし最後は仕事してやるぞという気持ちがあったからだったと思います。

――きょう2人入賞し、首位とは1点差まで詰め寄りました。今のチームの状況はどのように考えていますか

男子は前のコンバインドから勢いはかなりついてきていると思います。あとはクロスカントリーでやってくれると思います。

――ご自身最後のインカレとなったと思いますが、このインカレに懸ける思いは強かったですか

僕は1年生の頃に何点か取っただけで、2、3年生の時にポイントは取れていませんでした。スキー部員として仕事ができたな、これまでインカレに参加してきてやっと活躍できたなと思いました。

――卒業後は競技は続けられないとのことですが、きょうの優勝は締めくくりにふさわしいレースとなりましたか

そうですね、はい。

中平賢郷(スポ1=青森・東奥義塾)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうはとりあえず入賞して大学のポイントに貢献できたので良かったかなと思います。

――滑りの内容はどうでしたか

滑りの内容はあまり良くなかったですね。いまいち攻め切れなかったという感じでした。

――4位という結果については満足していますか

もちろん勝ちたかったですし勝てるレースだと思っていたんですけど、自分が攻めることができなくて負けたのでこれが今の実力なんだなと思っています。

――総合得点で1位の東海大を僅差で追いかけているという状況の中での出場でしたが、プレッシャーはありましたか

プレッシャーはありましたね(笑)。やっぱり総合優勝がかかっていますし東海大もアルペンが強いので、絶対に途中棄権できないなと思いながらスタートしました。

――スーパー大回転、大回転から大きく順位を上げましたが、要因は何でしょうか

僕はもともと回転競技が得意で、大回転とスーパー大回転では大学のポイントに貢献できなかったので、回転では貢献したいなと思ってきょうは滑りました

――修正した点は何かありますか

修正したのは気持ちの部分ですね。きょうもいまいち攻め切れなかったですけど、スーパー大回転や大回転よりは攻める気持ちをもって滑れたかなと思います。

――初めてのインカレでしたが振り返っていかがでしたか

楽しかったです(笑)。スタートの時にみんなで肩を組んで紺碧の空を歌ったり本当に明るい雰囲気で、高校の時とかはそういう経験がなかったのでとても楽しかったです。

――今大会のご自身のパフォーマンスを総括していかがですか

総括すると50点ですね。僕は青森出身で今回のコースも滑り慣れているので3種目でポイントをとって貢献したかったんですけど、(ポイントをとれたのは)回転競技だけになってしまいました。それでもきょうのレースで大学のステージでも戦えるという確信を得ることができたので、来年以降は3種目全てでチームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。

――今大会で見つかった収穫や課題を教えてください

収穫はさっき言ったように大学で戦かえるという自信を得たことですね。課題は、僕はやっぱり1本目のパフォーマンスが良くなくて、きょうは滑走が1番目でとても優位なスタート順だったんですけど結果が3番とあまり良くいな順位だったので、この部分が課題かなと思います。

――最後に来シーズンに向けての意気込みをお願いします

来シーズンは、インカレで全ての種目で表彰台に上がれるように頑張りたいと思います。

成田伊織(スポ4=北海道・札幌第一)

――歯はどうして折れてしまったのですか

歯は一本目にスラローム(回転)のポールが顔面に当たっちゃって、普段チンガードっていうあごを守るものを着けているんですけど、それが下がっちゃってそのまま直撃して折っちゃいました(笑)。こんなん初めてです。歯無しの状態で話をしましょうか!(笑)。

――お願いします(笑)。今日のレースをふりかえっていかがですか

僕自身としては1本目にアクシデントがあったんですけど、ちょっとその影響で落ち着きがない滑りになってしまって、普段の実力が出せないっていう形になってしまいました。でもトップとタイム差が離れているわけでもなかったし、2本目はまだ入賞狙える状態だったので狙いにいって、2本目は気持ちも楽にいい状態でスタートは切れたんですけど、スラロームって何があるか分からないっていうのもあって、片反っていう反則で片足がポールまたいでしまって序盤で失格になってしまって。きょねんはスーパーG(スーパー大回転)2番で、GS(大回転)7番で、でもことしはスーパーGもGSもダメで、その中のスラロームっていう形だったので、なんとしても得点を取りたかったんですけど、それができなくて悔しかったです。

――きのうまでの他の2種目の感想は

スーパーGが一番得意な種目だったんですけど、雪質に対応できなくて、自分自身も気持ちが浮いちゃってたっていうか、うまく処理できていなかったので、それがすごい反省点です。

――チームメイトで同期の廣島選手が優勝したことについてはどうですか

最高に嬉しいです。もう泣くかと思ったくらい。正直ちょっと泣いたんですけど(笑)。あいつはきょねんすごい苦しい思いをしていて、得点も取れなかったっていう状況も知っているので、ことしはGSも5位に入ったしスラロームも優勝したし、僕自身はあまり良い成績を出せなかったんですけど、それよりも同期が優勝したっていうのが嬉しくて、さっき悔しいって言いましたけど、嬉しいの方が気持ちは上回ってます。

――アルペンチームの活躍で東海大と1点差になりましたが今のチームの状況についてはいかがですか

ことしはほんとにクロカンチームが頑張っているし、コンバインドチームもみんな入賞して大量得点とってくれていて。アルペンチームは普段は6人出れるんですけど、今回はケガと松本達希(スポ3=北海道・札幌第一)はアジア大会に出ているので、5人っていう状態で、ほんとに最初は厳しい中での戦いになると思っていたんですけど、結果としては、スーパーGは全員ダメだったんですけど、GSで廣島が入賞して、スラロームでまた廣島が優勝して1年の中平が4位に入って。そうゆう形でアルペンチームとしては最後の最後にちゃんと得点を重ねることができたので、こうやって1点差で最後のリレー勝負に持ち込めたことはすごく嬉しいです。

――リレーのメンバーに何か声をかけたりなどはしましたか

宇田彰人(スポ3=福井・勝井)と田中聖土(スポ3=秋田・花輪)は今間違いなく抜群に速いので、あとはたぶん3人目に僕の同期の佐藤太一(スポ4=秋田北鷹)が出るんですけど、あすで最後のレースになるので、前日まであすのレースに出れることもわかってなかったし、こうやって最後リレーに出れることになって引退が伸びたのですごく嬉しいですし、全力で明日応援するので頑張ってほしいです。

――きょうでインカレ最後のレースとなりましたが感想をお願いします

一応引退は3月末までレースに出るんですけど、インカレは最後っていうことで、終わってみれば4年間すごいあっという間だったなと思います。最初はやっぱ先輩達の背中を追っていて、気づいたら今4年生になっていて。ことしに関して言えば、ポイントはもちろん取りたかったんですけど取れなくて悔しかったですが、普段一緒にいるメンバーが優勝や入賞を重ねていって、今こうやって1点差っていう状況になれたことが嬉しいしです。4年間すごく楽しかったです!