佐藤友が優勝するも、男子は総合優勝の夢消える

スキー

 毎日、熱戦が繰り広げられている全日本学生選手権(インカレ)。澄みわたる青空のもと、大会5日目のこの日はアルペン競技、クロスカントリー競技、ノルディック複合競技の3種目が行われた。クロスカントリー男子10キロフリーでは、佐藤友樹主将(スポ4=新潟・十日町)が混戦を制し、頂点に輝く。ノルディック複合では、ルーキーの山元一馬(スポ1=富山・雄山)が前半のジャンプで作ったリードを生かし、3位に入り表彰台に。きょうを終えて、男子の総合優勝の可能性が消滅し、またも悲願達成とはならなかった。最終日のリレー競技に全力を注ぐことになる。

★小川、4位入賞も不完全燃焼

恐怖心に打ち勝ち、果敢な滑りを見せた小川

 アルペン女子は最終種目である回転が行われ、早大からは小川彩也香(社2=北海道・札幌第一)が4位入賞を決めた。スーパー大回転に続き、今季インカレでは2種目で入賞した小川だが、本人の表情には悔しさが強く表れていた。実は先日の大回転で転倒した際に、口を負傷してしまっていたのだ。そのため「顔面にポールが当たるのを考えたら怖い」という恐怖心を抱きながら本番を迎えることになってしまう。さらに前日に行われた男子回転では早大からの出場者全員が途中棄権したことを受け、「絶対にゴールしなければという気持ちも強かった」と語る。さまざまな不安やプレッシャーを抱え、自身の思う滑りができずに終わった。今季インカレまで調子を上げてきていた小川にとっては無念の結果となってしまった。

(記事 加藤佑紀乃、写真 井口裕太)

★佐藤友が優勝、宇田と田中がそれぞれ6位と7位に

10キロフリーを制した佐藤友

 クロスカントリー男子10キロフリーで、佐藤友が本人も驚きの優勝を手にした。「表彰台に立てればいい」と控えめに目標を設定。序盤はペース配分を抑え、15秒遅れでスタートした石川潤(東海大)の動きに合わせてレースを展開していった。勝負を仕掛けたのは2周目。最後まで勢いが落ちることなく、全体トップのタイムでゴールをした。「2周目にしっかり勝負できたというのが良かった」ときょうの勝因を分析。30キロクラシカルで10位だった雪辱を晴らし、笑顔を見せていた。他にも、宇田彬人(スポ2=福井・勝山)が6位、田中聖土(スポ2=秋田・花輪)が7位に入り、計3名が入賞を果たした。

(記事 井口裕太、写真 松富リサ)

★山元一が粘りの3位

後半クロスカントリーで全力を出し切った山元一

 多くの入賞が期待されたノルディック複合部門。しかし思うように結果は振るわず、山元一が3位、傳田翁玖(スポ4=長野・飯山北)が5位と、2人の入賞にとどまった。前半のジャンプで見せたのはルーキー、山元一。「守りに入ったジャンプをしてしまった」と振り返るもののトップに立ち、2位と14秒差をつける。傳田も安定したジャンプで7位と好位置に。後半のクロスカントリーでは、山元一が先頭集団でレースを進める。「いっぱいいっぱいだった」(山元一)。最終ラップの途中までなんとか前の2人に食らいついたが、ラストスパートでの勝負まで持ち込めずに3位でフィニッシュ。傳田は5位まで追い上げたが、「まったく走れず、満足のいく滑りができなかった」と悔い残る最後のインカレとなった。

(記事 杉野利恵、写真 加藤佑紀乃)

結果

▽男子暫定総合順位

1位 東海大 83.75点

2位 早大 58.75点

3位 日大 38点

4位 明大 36点

5位 東洋大 28点


▽クロスカントリー男子10キロフリー

優勝 佐藤友 22分48秒1

6位 宇田 23分36秒5

7位 田中 23分42秒1

19位 山口敦史(スポ1=石川・鶴来) 24分23秒8

30位 湯本啓太(スポ2=長野・中野立志舘) 24分57秒3

36位 佐藤太一(スポ3=秋田北鷹) 25分6秒6


▽ノルディック複合ノーマルヒル10キロフリー

3位 山元一 前半ジャンプ1位 104.0点 後半クロスカントリー8位 24分10秒1

5位 傳田 前半ジャンプ7位 95.0点 後半クロスカントリー7位 24分7秒2

12位 山元豪(スポ3=富山・雄山) 前半ジャンプ13位 86.5点 後半クロスカントリー13位 24分35秒5

13位 神島実孟(スポ3=青森・五所川原農林) 前半ジャンプ10位 90.0点 後半クロスカントリー14位 24分57秒1

14位 近田隼人(スポ2=北海道・下川商) 前半ジャンプ22位 76.5点 後半クロスカントリー10位 24分18秒9

26位 清水航太(教1=北海道・札幌日大) 前半ジャンプ24位 69.5点 後半クロスカントリー26位 27分44秒


▽女子暫定総合順位

1位 早大 52点

2位 法大 49.5点

3位 日大 45点

4位 日体大 32点

5位 東海大 14.5点


▽アルペン女子回転

4位 小川 1分41秒34

11位 石栗優(スポ4=北海道・双葉) 1分44秒42

15位 中澤真緒(商2=長野・佐久長聖) 1分45秒14

DSQ 太田好美(スポ4=北海道・網走桂陽)、新山凪沙(スポ2=北海道・双葉)

タイムは2本合計

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コメント



◇男子クロスカントリー競技

佐藤友樹主将(スポ4=新潟・十日町)

――優勝を達成した気持ちを聞かせてください

初日の30キロが10番で、あまりいい成績ではなかったということもあって、さらにまさかきょう勝てるとも思っていなかったので、素直にうれしいです。

――予想外の優勝だったのですか

自分の中では今シーズンあまりフリーのスケーティングが良くなかったのと、周りの選手にも調子がいい人が多かったので、厳しいだろうとは思っていました。表彰台に立てればいいかなと思っていました。

――きょうのレースの勝因は

レース序盤は抑えめにいって、2周目にしっかり勝負できたというのが良かったかなと思います。

――きょうはインターバルスタートでしたが、誰かをターゲットにしていましたか

僕の15秒後ろにスタートしたのが、東海大の石川潤選手で、U23の世界大会にも出ています。きのう帰国したばかりで、彼が今シーズンすごく調子が良くて、おそらく優勝するだろうと思っていたので、彼にすぐ越されて一緒に滑ればいいところにいけるかなというくらいの気持ちで、自分でどうしようというよりかは、越されて付いていこうというプランでした。

――きょうは10キロと短い距離でしたが、長い距離と比べた難しさはありますか

スタートの方法も一人で距離も短いので、とにかく気も休めなくてずっといい動きを続けていかないとちょっとのタイムロスが順位に響いてくるので、そういう部分で10キロは常に気を張っていないといけないので、それが難しいところですね。

――きょうで総合優勝の可能性はなくなりましたが、その結果についてはどのように感じていますか

勝負は時の運というのもあって、目標にしていたことが達成できなかったのは残念ではありますが、一人一人自分のベストを尽くした結果なので受け入れるしかないのかなと思います。きのう終わった時点でかなり厳しいと分かっていたので、クロカンの中ではチームうんぬんではなくて、自分のベストを尽くすことが結果としてチームのためになるということは話をしました。それできょうのレースに臨みました。結果として3人入賞することができたので、ポイントでは負けてしまってはいますけど、気持ちを切り替えられたので良かったと思います。

――あさってのリレーに向けた抱負をお願いします

総合優勝がなくなってしまいましたが、最後はしっかり有終の美というか、気持ちよく終われるように、優勝目指して頑張っていきたいです。全員の実力を発揮すれば、狙えないところではないので、ベストを尽くして頑張りたいと思います。

宇田彬人(スポ2=福井・勝山)

――6位入賞という結果についてはどのように感じていますか

前半の通過タイムが、2番と言われていたので、もう少しいけたのかなと感じています。

――後半にペースが落ちてしまったのですか

そうですね。ばててしまいましたね。

――きょうのレースの目標は

とりあえず入賞できればいいかなと思っていましたけど、出るからには優勝を狙っていました。

――満足のいくレースになりましたか

前半の通過が良かっただけに、もう少しいきたかったですね。

――チームの総合優勝が懸かってくるきょうのレースになりましたがプレッシャーはありましたか

アルペンでけっこう大差がついてしまったので、自分のレースに集中していました。

――あさってのリレーに向けて抱負をお願いします

優勝目指して頑張ります。

田中聖土(スポ2=秋田・花輪)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

うれしいような、悔しいような。満足はしていないです。

――どういった点でうれしかったり、悔しかったり思いましたか

入賞して得点を入れられたっていうのはうれしく思いますけど、レース内容に関してはやり切ったという感覚がないので、結果には満足してますけど、内容には満足していないです。

――本日のレースプランは元々どのようにお考えでしたか

スタートからとばすことです。

――それはご自身としては上手くいきましたか

そうですね。他のいままでのレースと比べたらスタートからスピード上げて入れたかなと思いますけど、結果を見るとやはり1周目はそんなにいい順位で行けなくて、後半粘ってという形になっていました。自分の課題としてはもっと後半粘れるなら、もっと前半突っ込んでもいいかなという目標だったので、自分が思っている以上にスピードが上がっていないなというのが感想です。

――フリーとクラシカルですとどちらが得意ですか

どっちですかね…。分からないです。

――インカレでは立て続けに試合があると思いますが、先日の30キロクラシカルからどのような調整をされたのですか

インカレの前にも国体があって、連戦で体に刺激を入れてどんどん調子を上げていくというよりは、疲労回復に努めて次のレースに備えるというのが一番多かったと思います。

――次のリレーに向けての意気込みをお願いします

個人戦とリレーは自分の中で違う感じがして、チームのためにとか、大学のためにとか、チームとしてのモチベーションがあるので、どちらかというといままでを振り返ってもリレーのときの気持ちのほうがいい滑りができています。あさっては自分も納得する滑りをしつつ、チームとして優勝できたらいいなと思います。



◇ノルディック複合競技

傳田翁玖(スポ4=長野・飯山北)

――きょうの目標と意気込みは

きょうの試合は4年生ということもあって優勝、最低でも表彰台には立ちたいなと思っていました。ベストなジャンプを跳んで、後半のクロスカントリーで追い上げるというイメージをしていました

――5位という結果についてはいかがですか

一言で言えば悔しいです。3番に山元一馬(スポ1=富山・雄山)が入ってくれたことはうれしいです。後半のクロスカントリーは得意な方で走れていたのですが、ことしに入ってから夏場から上手く自分の滑り方がイメージしている滑り方が曖昧で練習の質を求めて行けなかったというか、自己満足で終わってしまったところがあり、不安要素が多くあったのですが、インカレでもまったく走れなかったというか満足いく滑りができなくて、そこが心残りです。前半のジャンプは良くなってきて、今までむらのあったものが無くなってきて、平均的にすべての試合で上位でスタートすることができるようになってきて安定してきたのですが、後半走れないのが悔しいです。

――コンバインドチーム全体の結果を振り返っていただいていかがですか

きょう12番だった山元豪(スポ3=富山・雄山)、13番だった神島(実孟、スポ3=青森・五所川原農林)はきょねん2人とも入賞していて、きょねん山元豪は優勝、神島は8位だったのですが、僕と山元一、山元豪、神島の5人が確実にポイントを取れるのではないかという話をしていて、そういうつもりでいたのですが、結果として2人の入賞に終わってしまい、コンバインドの中でライバルだった明大にも負けてしまいました。ポイントとしては少しは取れましたが、目標としていた25点前後には届かずに、個人の結果よりもそっちの方が4年生としては悔しいです。

――最後のインカレはどうでしたか

パッとしなかったですね。このメンバーで出れるインカレは最初で最後ですし、そんなになかでことしは1年の山元一がスペシャルジャンプの方でもコンバインドの方でも入賞してくれてこれからも期待できますし、山元豪は全日本代表として海外を回っていますし、神島もだいぶ伸びてきて、近田(隼人、スポ2=北海道・下川商)もきょうの走りは良かったですと言っていましたし、清水(航太、教1=北海道・札幌日大)はちょっとダメでしたと言っていたのですが、これからに期待してというような感じなので、僕の力不足でこんな風になってしまったのかなという悔しさで一杯ですが、もっといいのではチームにしてもらって30点ぐらいもぎ取って欲しいなと思います。

山元一馬(スポ1=富山・雄山)

――きょうの目標と意気込みは

前半のジャンプでは1位になって後ろに早大の山元豪選手(スポ3=富山・雄山)を含めた全日本の強化指定選手3人にジャンプで差をつけて、後半逃げ切れるようにするのが前半の目標でした。後半のクロスカントリーでは3人が必ず上がってくるのでその人たちについていけるところまで頑張って食らいついてくのが目標でした。

――3位という結果についてはどう思われますか

結果については満足しているのですが、内容が内容でジャンプは守りに入ったジャンプをしてしまいミスをしてしまいました。クロスカントリーも点数にすると50点ぐらいのできで内容には満足できていないのですが、結果は結果なので良かったかなとは思っています。

――ジャンプとクロスカントリーのどちらの方が得意ですか

クロスカントリーの方が本当は得意です。高校まではそうだったのですが大学になると高校で速いというレベルで走っても大学では全然速くなくて。クロスカントリーもフォームを改善している最中でまだ噛み合っておらず、納得はいっていません。ジャンプの方はフォームを少し変えて、それが噛み合ってきて調子が上がってきたので良かったです。

――ジャンプでは後ろと14秒差をつけていましたが、振り返っていかがですか

全然足りないですね。走力が足りなく、国体(国民体育大会)でも同じ2人に負けていたので。ジャンプでもう少し差をつけたかったなというのはありますね

――クロスカントリーを振り返っていただいて、いかがですか

日大の堀米翔大選手がスキーをすごく滑れるのですが、その人が前を引っ張ってなくて明大の選手が引っ張っていたのでペース自体は2人にとってはそんなに速くないペースでした。僕にとってはいっぱいいっぱいだったのですがなんとかついていけたので。頑張ってついていって、最後の直線までいけたら勝負になるかと思いましたが、4周目で一気に疲れがきて登りで離されたので、まだまだ力不足だなと思いました。

――初めてインカレはどうでしたか

周りからインカレは独特な雰囲気があって他の試合とは全然違うと聞いていました。スペシャルジャンプの時はそういうのをあまり感じなくて緊張などもなく終えられました。しかし、きょうのコンバインドのジャンプで少し力んでしまいました。1番感じたのはクロスカントリーを走っているときの応援がすごく大きかったり、インカレってすごいんだなと終わってみて思いました。



◇女子アルペン競技

小川彩也香(社2=北海道・札幌第一)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合も目標は3番以内にしていて、1本目は3番だったのですが、順位を落としてしまって、本当に悔しい気持ちでいっぱいです。

――1本目は自分の思うような滑りができましたか

思うような滑りはできていなくて、女子の大回転が行われた時に転んで、口を負傷して縫いました。きょうの回転の競技は、顔面にポールが当たることが多いのですが、それを考えたら怖くて、そのような恐怖心もありました。また、きのうの男子の回転がみんな途中棄権で終わったというのもあり、絶対にゴールしなければという気持ちも強くて、攻めきれなかったという悔しさがあります。

――ケガの影響はありますか

練習とかでも顔面にポールが当たるほうなので、しないようにしようと思って怖かったです。

――全治どのくらいなどは言われていますか

病院の先生からは次の日から滑っていいと言われていて、全治とかはないんです。しかしやはり傷口があるので、いまは腫れたのが引いてきたのですが、まだ腫れている状態で全然治ってはいないです。

――国体から試合が続いていますが、疲れなどはありませんでしたか

疲れは特にそんなにないんですけど、スラロームの練習をもう10日くらいできていなくて、スキーもその板を履いていなくて、いろいろ不安な面も多いまま、きょうは臨みました。

――今季のインカレを振り返ってみていかがですか

今シーズンは徐々に調子も上がって、インカレ前もいい状態でインカレに臨めていたので、もっとチームに貢献したかったです。メダルも取れなくて、得意の大回転も転んでしまって本当にチームには申し訳ない気持ちでいっぱいです。

――今後に向けてお願いします

このインカレ、大学で戦う大会は、女子はランナーのチームが本当にみんないい選手で結果を確実に残してくれてすごい安心できますが、アルペンでもしっかりチームに貢献できるようにまた頑張りたいです。