1月に開幕した全日本学生選手権(インカレ)。舞台を52年ぶりの開催地となる長野県野沢温泉村に移し、新章が幕を開けた。この日行なわれたのはアルペン男子大回転。各校の選手たちが大学を背負い雪上で熱戦を繰り広げる中、松本達希(スポ1=北海道・札幌一)がルーキーながら2位に輝き、安藤佑太朗(スポ3=北海道・北照)も3位に。ワセダ出場選手6名中、5位の清野嵩悠(社3=山形中央)も含め3人が入賞し、優勝に向け大きく前進した。
優勝にあと一歩まで迫った松本
先月行われたスーパー大回転を終えて総合1位と順調な滑り出しを見せたワセダはさらなるポイント奪取に向け、野沢温泉での初戦を迎えた。アルペンの男子大回転で選手たちが挑んだのはウェーブも多い難易度トップクラスと称されるコース。しかし、「この時期のこの会場の割には結構良いバーンだった」と清野が語るように、好条件でレースが始まる。「硬い雪が得意だったのできょうの雪を見て自信が持てた」という松本は攻めの滑りで1本目に53秒35の記録を出し2位。安藤も24番スタートながら「リラックスして滑ることができた」と53秒51の好タイムで3位につけた。勝敗を分ける2本目。昨年同種目で24位だった清野は52秒61を記録し、合計タイムで5位に躍り出る。安藤も安定した滑りで3位をキープ。粘り強い滑りを見せた松本は、トップとわずか0.08秒差の2位に輝き、初めてのインカレで好成績を残した。3名入賞により大きくポイントを稼いだワセダ。この結果に選手同士はハイタッチを交わし、喜びの表情を見せた。
笑顔を見せる入賞者ら
個人種目の多いスキー競技。しかし、インカレではチーム一丸となって勝利を目指す。「一人一人の結果の積み重ねが重要」と松本が語ったように、個人の活躍がワセダの優勝には欠かせない。今回の複数入賞はチームにとって大きな弾みとなっただろう。だが、エンジの戦士たちの快進撃はまだ始まったばかりだ。男女アベック総合優勝に輝くまで、この歩みは止めない――。
(記事 松本理沙、写真 副島美沙子、松本理沙)
結果
▽男子暫定総合順位
1位 早大 30.75点
2位 東海大 22.5点
3位 中大 11.5点
4位 関学大 5.5点
5位 東洋大 3.5点
▽アルペン男子大回転
2位 松本 1分45秒69
3位 安藤 1分45秒87
5位 清野 1分46秒86
20位 長沢祐(スポ4=北海道・滝川) 1分48秒8
21位 成田伊織(スポ2=北海道・札幌一) 1分48秒14
DNF 荒井章吾(スポ3=北海道・富良野)
※タイムは2本合計
コメント
安藤祐太朗(スポ3=北海道・北照)
――3位という結果に関していかがですか
この時期の野沢はもう暖かくなってきていて雪も悪いことが予想されて、なおかつ24番スタートだということが分かっていたので、正直最低限入賞はしたいなと思っていました。ですが、思っていた以上に雪が良かったので1本目は24番スタートでも思い切っていけて、攻めることができたのが良かったのかなと思います。
――昨年はこの種目6位でしたが、今回の目標は
最低限、全種目表彰台に上がるという目標でした。
――きょうの調子はいかがでしたか
調子は良かったです。緊張していなかったので、思いっ切りいけてインカレ(全日本学生選手権)楽しいなという感じでした。スタート前は少し緊張したのですが、スタート近くになると、この雰囲気が楽しいなと思えて、リラックスして滑ることができました。
――1本目は思い切り滑ることができたようですが、2本目はいかがでしたか
2本目は全然ダメでした。28番スタートだったのでコースが荒れていて。緊張していないつもりだったのですが、やはり体は緊張していて、滑りが受け身になっていたので硬かったかなと思います。
――次の回転への意気込みは
きょうの種目で2位、3位、5位を獲得して良い流れをつくれたので、また表彰台に立ちたいです。そして、ワセダの中ではトップになってアルペンチームを成績で引っ張っていきたいと思います。
清野嵩悠(社3=山形中央)
――本日のレースを振り返って感想をお願いします
個人の順位としては悔しいのですが、インカレはチーム戦なので上位2、3位と僕も5位に入れたのでそれに関しては良かったです。
――タイムに関してはいかがですか
1本目はもっと攻められたと思うのですが、途中棄権しちゃいけないと思って攻めきれない部分があったので、そこをもっと詰めていったらもっと良い順位になれたかなと思います。
――今季の調子はいかがですか
今季は12月、1月はあまり良くなかったのですが2月に入って調子が上がってきて、普通に滑れば入賞できるかなという感じだったので、入賞できて良かったです。
――コースのコンディションはいかがでしたか
1本目は後ろのゼッケンでも全然荒れていない良いバーンで、2本目も多少溝がついて掘れていたりしたのですが、この時期のこの会場の割には結構良いバーンで思い切り滑れました。
――1本目と2本目を比べて、滑りとしてはいかがでしたか
2本目はセットが結構高速セットで気持ちが引けていて、一気に順位が落ちるなあと思っていたので思いっきり、多少ミスしても気にしないで滑ろうと思いました。
――今後に向けて意気込みをお願いします
インカレの男子の総合優勝に向けて良いスタートをきれたと思うのでその流れで今度スラロームにも出るので、しっかりポイントを取って優勝に貢献できればと思います。
――回転にはどのような目標で臨まれますか
1月のスーパー大回転で5位、きょうも5位だったので、5位以上には入りたいです。
松本達希(スポ1=北海道・札幌一)
――今回の結果を振り返っていかがでしたか
始まる前は表彰台に上れればいいかなと思っていました。納得はしていますが、結果を見てトップと100分の8秒差だったので、それを見るとちょっと悔しいです。
――今季の調子は
調子は良かったです。でも、ここ最近大回転の結果が出ていなくて正直ちょっと不安でした。
――今大会の大回転での目標は
表彰台を目標にしていました。
――どのようなことを意識して大会に挑みましたか
きょうの雪が硬くて、僕は結構硬い雪が得意だったのできょうの雪を見て自信が持てたので、攻めることだけを考えて滑りました。
――難易度の高いコースだとうかがっていたのですが、滑ってみていかがでしたか
確かに途中にウェーブなどがあって少しミスをすればすぐにタイムロスにつながるコースでした。なので、ミスをしないように滑ろうと思っていたのですが、結果攻めて滑ることができたので、多少のミスはあったのですが、すぐにリカバリーできましたし、難しいコースの割に流れ的には良い滑りができたと思います。
――1本目を終えた時点で2位でしたが、2本目はどのようなお気持ちで挑みましたか
僕の後ろの4位まで結構タイム差があったので、落ち着いて自分の滑りができればいいかなと思っていました。
――2本目の滑りはいかがでしたか
1本目に比べて雪が緩んでコース状況も悪かったので、完璧な滑りはできなかったですが、粘り強く滑ることができたので良かったです。
――結果としてはトップと0.08秒差でしたね
1位の成田さん(秀将、東海大)は僕よりとてもレベルが高くて、今までも全く敵わない相手だったので、きょう勝つチャンスだったのですが…。0.08秒でもこれが実力の差なのかなと強く感じました。
――今回は初めての全日本学生選手権(インカレ)ですが、他大会との違いはありますか
学校の対抗戦なので、スキーの個人競技だと自分で途中棄権しても自分の責任でダメだったなという感じで終わるのですが、インカレは一人一人の結果の積み重ねが重要だと分かっていたので、プレッシャーもありましたが、その分準備などもいつも以上にできて集中して滑ることができました。
――次に出場される回転への意気込みは
僕はどちらかというと回転の方が得意というか結果が出ているので、回転も自信を持ってプレーしたいです。大回転で入賞したことで気持ち的にも余裕ができたので回転も思い切り攻めた滑りができれば良いと思います。