ことしも早大スキー部に新たな戦力が加わった。高校時代から世界を相手に戦ってきたアルペン競技の傳田佳代(スポ1=長野・飯山)と松本達希(スポ1=群馬・札幌第一)。今後が楽しみなルーキー2人に学生としての一面や競技のことなどお話を伺った。
※この取材は10月4日に行われたものです。
早大スキー部での生活
笑顔を見せながら取材に答える傳田
――大学の授業には慣れましたか
松本 はい(笑)
傳田 大変ですが、自分が一番やりやすい曜日を設定したりと工夫しています。
――どのような授業を取っているのですか
松本 トレーニングの方法や身体の使い方などが分かるような授業をなるべく取って、競技に活用できるようにしています。
――お2人は一緒に授業を取ったりされていますか
松本・傳田 あんまり(笑)。
傳田 別々ですね。
――お二人は入学前から知り合いでしたか
傳田 話したことはなかったけれど…。
松本 多少は(笑)。
傳田 はい(笑)。
――入学後の第一印象は
松本 天然というか、ちょっと変わった子だなと思いました(笑)。
傳田 第一印象は普通だなって感じでした。
松本 特になし(笑)。
――監督と主将の印象は
松本 厳しさと優しさを兼ね備えた印象です。
傳田 主将と監督はずっとワセダにいらっしゃった先輩なので、頼れる存在です。
――スキーを始めたきっかけは
松本 両親が両方スキーをやっていて、お父さんが地元のスキーチームのコーチで、気づいたらやっていました。
傳田 競技は違うのですが、私もお父さんがスキーをやっていて、地元もスキー場が近くてスキーをする環境が整っていたので自然とスキーはしていました。
――進学先にワセダを選んだ理由は
松本 勉強と運動どちらもしっかりやりたいと思ったのと、スポーツのことを学びたいという思いがあったからです。あとは憧れですね(笑)。
傳田 スキーだけをやろうかなとも考えたのですが、将来やりたい事とかもなくて、それを考えたらやはり勉強もしないといけないし、兄(傳田翁玖、スポ3=長野・飯山北)もワセダに通っていたのでその影響もあり進学先として決めました。
――大学と高校で練習や日常生活に違いを感じることはありますか
松本 大学になり自由な時間が増えたので時間の使い方を工夫しないと、時間はあるけどグダグダと生活してしまうので、そういうところを気遣わないといけないところが大変です。
傳田 高校も寮で、授業の空き時間などが今までなかったので、達希くんが言ってくれたように時間の使い方が難しいというか、どういうふうに動いたら良いか分からなかったりはします。
――目標にしている先輩はいますか
松本 スキー界にはいるんですけど、身近には特にいないです(笑)。
傳田 先輩というより兄のことは尊敬します。勉強もスポーツも頑張っていて、昔からすごいなというふうには思っています。
――寮生活でのメリットは何ですか
松本 自分の競技以外にもとてもレベルの高い選手たちがたくさんいるので、色々な刺激をもらえて高いモチベーションで勉強も練習もできることだと思います。
傳田 ひとりで過ごすよりみんなで居ることで練習なども引っ張ってもらえて、食事も疲れて取れないということがなく、しっかり食事できる環境があることです。
――逆にデメリットはありますか
傳田 自分の時間が少なくなる部分があったりとか、集団で暮らしているので色々と問題があったりすることです。
――普段はどのような練習を行っていますか
松本 走ったりウエイトなど、あと身体の使い方など、冬にスキー場でやる動きを陸上で動作の確認などをしています。
傳田 あとは特に…。
松本 サッカーなど球技をします(笑)。
――練習で意識している部分はありますか
松本 冬にスキー場で立った時の感覚を陸上でも同じように、スキーを滑っている時に出てしまう癖などがあるので、そういう癖が陸上でも出ないように注意して練習しています。
目指すは五輪
強化指定選手に選ばれるなど、今後の活躍が期待される松本
――ご自身の強みは
傳田 突っ込んで行けるところです(笑)。
松本 冷静に状況を判断して、対応できるところかなと思います。
――逆に今後強化したい部分は
傳田 細かい技術や、プレッシャーに弱いというか一本目良くて二本目だめとか、一本目が良くて二本目が良いとかあるので、両方揃えられるようなメンタルの強さを持ちたいのと、リカバリーなどそういうのもあまり上手くないので、失敗した時にすぐに戻せるような細かい技術とかをこれから強化していきたいと思います。
松本 気持ち的な面で、特に高校の時ならインターハイとか大きい大会になるとミスが増えたりしてしまうので、そういう大きい大会でも自分の気持ちをしっかり持って滑れるようにメンタル面を鍛えていきたいです。
――お二人は海外のレースも経験させていますが、国内と違う部分は
傳田 コースが日本と違って難しかったり雪も硬かったりするので、その辺りにいつも苦戦します。
――松本選手はアルペンのタレント発掘合宿に参加されたそうですが、いかがでしたか
松本 日本の同年代の中ではトップレベルというか速い選手たちが集まっているので、ライバル意識を持ってとても高いレベルの練習ができました。
――日本の練習と異なる点は
松本 海外のスキー場はこの時期練習するとなると、大抵は標高が高い場所で行うのですごく疲労は溜まりますが、環境が非常に良いので効率の良い練習ができます。
――ソチ五輪は拝見されましたか
松本・傳田 はい。
――ご覧になっていかがでしたか
松本 コンバインドや渡部暁斗(OB、平23スポ卒=現北野建設)などが活躍しているのはすごいなと思ったんですけれどその反面、僕たちがやっているアルペンスキーではあまり結果が残せていなかったので、あまり注目されなかった部分は寂しいというか、悔しいというか複雑な気持ちでした。
傳田 女子のアルペンはソチ五輪に出場できなくて選手が権利を取れなかったというか、そのような部分では世界の滑りが見られてすごいなとは思ったんですけれど、日本人が出られてないということに、何で出られないんだろうなという感じで、世界との差を感じるというか、日本人はかつては戦っていた部分はあったんですけれど、いつからそうなったのかなと思いながら見ていました。
――では最後に、今後どのような選手になっていきたいですか
傳田 3年後の平昌五輪に出場できるように、五輪に出場できる選手になっていきたいと思います。
松本 最終的には五輪でメダルを取れるような選手になりたいんですけど、まずはW杯に出場できるレベルになって、3年後の五輪に出て、世界での経験を積んでいって最終的に五輪でメダルの取れる選手になりたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 菅真衣子)
座右の銘を書いていただきました
◆傳田佳代(でんだ・かよ)(※写真右)
1995(平7)年7月30日生まれ。アルペン競技。長野・飯田高出身。スポーツ科学部1年。質問に対し1つ1つ丁寧に答えてくださった傳田選手。寝る体勢がうつ伏せという仰天エピソードも披露し、場を和ませてくださいました。
◆松本達希(まつもと・たつき)(※写真左)
1996(平8)年1月12日生まれ。アルペン競技。群馬・札幌第一高出身。スポーツ科学部1年。全日本ナショナルチームランクJr―B。色紙にアルファベットで言葉を記してくださった松本選手でしたが、綴りを間違えてしまい他の部員の方からいじられていました(笑)。