【連載】『Go for the win』第4回 大平麻生×重田結歌×滝沢こずえ

スキー

 雪の季節となったいま、大きな期待を背負い必死にトレーニングをする選手たちがいる。それが早大スキー部だ。全日本学生選手権(インカレ)で女子総合4連覇を目標に掲げる。その中心役を担うクロスカントリー部門の大平麻生(スポ2=新潟・十日町)、重田結歌(スポ2=群馬・長野原)、滝沢こずえ(スポ1=長野・飯山)に普段の生活から試合への意気込みを語っていただいた。

※この取材は10月4日に行われたものです。

合宿の思い出

女子クロスカントリー部門の中核を担う3人

――雪のない季節ですが、普段の練習は何をしていますか

大平 学校周辺だとランニングしたり、ローラースキーという道具を使ったスキーの動きに近いトレーニングをしています。あとは合宿で登山したり、ウエイトトレーニングしたりなど幅広く基礎体力をつける練習をしています。

――夏の合宿はどちらに行かれましたか

重田 夏休みに入ってすぐに女子は秋田に一週間くらい行きました。そこから各自、実家に帰ったり個人で合宿したりしました。他には長野の志賀高原、菅平、そして最後に全体合宿で野沢温泉に行きました。

――合宿先ではどのような練習をしていましたか

大平 スキー場のゲレンデを使ったポールトレーニングとか、こっちではできない練習をしました。

――滝沢選手は初めての合宿だったと思うのですが、驚いたことなどはありますか

滝沢 今までの合宿はコーチがいての合宿だったのですが、大学に入って選手だけの合宿ということで新鮮ではありました。

――合宿できつかったことはなんですか

大平 ゲレンデの急な坂を20本ダッシュするという練習です。ほかにもつらい練習はあったのですが、印象的過ぎて。みんな口をそろえて言うと思います。

――合宿先での観光はしましたか

重田 クマ見たりサル見たりしました。野沢はやっぱり温泉です。

新しい環境で

質問に真摯に答える重田

――高校から大学へ、また新しい学年になって変わったことはなんですか

重田 あまりないです。

大平 後輩が刺激になりました。こずえ(滝沢)は高校の時から強かったですし、今も全日本ジュニアチームに入っている選手なので、選手としてうまかったり、芯があったりなど学べるところがたくさんあり勉強になっています。競い合いなどができて、きょねんよりも充実した練習ができていると思います。

滝沢 やっている部分は変わらないことが多いかもしれないですが、指導者がいない部分がすごく大きく、不安なこともあったのですが、自分で考える機会を与えてもらえていると思います。そういう環境で、先輩たちと相談したりなど学べることが多いと思います。私のなかでは刺激です。

――滝沢選手は寮の生活に慣れましたか

滝沢 最初は慣れない部分があったのですが、もう慣れました。長野とかは練習環境はこっちに比べると充実していたので、そこの部分に関する不便は感じてしまうのですが、できる範囲でやるようになりました。

――寮生活では一年生の仕事がたくさんあるとお聞きしましたが

滝沢 やれる範囲のことなので苦ではないです。

――2年生になって変わったところはありますか

重田 毎日朝掃除というものがあって、1年生は6時から掃除をするのですが、それがなくなったのが大きいです。そのほかの仕事も少なくなってその分、時間をほかの事につかえているのかなと思います。

――スキーを始めたきっかけは何ですか

大平 もともとスキーはやっていたのですが、3つ上にスキーをしている姉がいて、それに憧れて選手になろうと思いました。

重田 父がジャンプをやっていて、昔からアルペンスキーとジャンプをやっていました。小学校の時、姉のクロスカントリースキーに影響されて私も始めました。

滝沢 小学校1年生の時の担任の先生がクロスカントリースキー部の顧問でした。マラソン大会があって、そこで3位以内に入ったらトロフィーがもらえるというものだったのですが、なかなか勝てなくて何度も出場しているうちに、担任の先生からクロスカントリースキー部に勧誘されて入りました。

――クロスカントリースキーの魅力はなんですか

重田 ありきたりな部分では達成感もありますし、きついスポーツだからこそやった分の反動は返ってきます。

――ほかの種目やってみたいなと思ったことはありますか

重田 小さい頃から色々やって、スキーに行き着いたので。

大平 私は中学の時、卓球部だったのでスキーとどっちもやっていたのですが。室内で狭いところでやるというよりは室外で、というのはあるので。結局、スキーにたどり着きました。

――これまでスキーをやってきて辛かったことは何ですか

大平 なかなか結果が出ないときは辛いです。目立ったこれというものは特にないです。

――1番嬉しかったことは何ですか

重田 競技をやっていて嬉しいことは、目標を達成できたときです。

大平 リレーで優勝するときは大きいかなと思います。きょねんのインカレの全日本のリレーで、そしてインターハイと2回優勝したのですが、チームで勝ちにいくのは一体感を感じるので、とても大きいです。

――ワセダを選んだ理由はなんですか

重田 姉がワセダのスキー部で話を聞いていたので、高校に入ったときから決めていました。ユースレベルの選手もたくさんいるので、一緒に練習したいと思いました。

大平 高校でスキーを辞めるつもりだったのですが、監督から入試をしてみないかという話をもらって。女子クロカンは大学では数少ないなか、ワセダに強い人が集まっているので。他大学に比べて、あまり縛りがないという話を聞いていたので、自分で考えながらやりたいと思いワセダにきました。

滝沢 ワセダの女子は(インカレで)3連覇していて、ただワセダが強いという理由で決めました。

――大学に入って勉強との両立はできていますか

大平 とりあえず前期で取れるだけとって、あとは後期、足らない部分を先生にお願いして。レポートとか出席足りなかったりとか。でも、自分たちで勉強するのはもちろんですが。

――この教科が競技につながっているというのはありますか

大平 バイオメカニクスとトレーナーコンディショニング系の授業は、自分のケガの時や、大会へのピークの持っていき方などにつながっていると思います。今までは自分の感覚だけでやっていたことを、科学的な証明のもとやれるのはとても自信にもなりますし、今までが正しかったとわかりました。また、知らなかったことはやってみようという風になりました。

――クロスカントリーのリレーはどのような練習をしていますか

大平 バトンがなくタッチなので、個人の強さです。リレーのための練習は特にないです。

――寮で流行っていることはなんですか

大平 西野カナがきてます。それくらいです。

――滝沢選手はもうすぐ全日本ジュニア合宿に行かれますがどのようなことをやるのですか

滝沢 体力測定です。メディカルチェックから始まってフィールド測定もするんですけど、メインは最大酸素摂取量の測定です。トレットミルの上でローラースキーをやって限界まで追い込むんですけど、シャドーと速度が3分ごとに上がって、それごとに入酸素値を測ったりして色んな数値を出します。

――その数値は今後の選考に関係してきますか

滝沢 そうではないです。一人ひとりの体力を見るものです。春測定したときと秋測定したときではどのくらい変わったかなどを調べるものです。

――今後の流れを教えてください

大平 11月中旬頃から北海道で雪上合宿が始まって、12月中旬くらいから学生チャンの初戦が始まって、全日本大会が北海道であって、年明け札幌でやって、戻ってくるという感じです。

――遠征続きですが大変なことはなんですか

重田 山だから、何もないから。無性に買い物とかしたくなります。

――シーズンが始まるまでに自分が克服したいこと、強化したいこと

滝沢 シーズンが目の前だからというわけではありませんが、常に体力と技術は向上させていきたいと思いました。

大平 長い距離は良いのですが、単距離は苦手なのでスプリント系でも戦っていけるようにしたいです。

重田 ケガで春から皆と同じ練習ができていなくて、やっと9月の中旬くらいからできるようになってきたので、強化というよりも取り戻すということを考えてやりたいです。

「個人ではベストなパフォーマンスを」(大平)

インカレでは多くの種目で優勝を飾った大平

――今シーズン頑張りたいところはどこですか

重田 全部頑張ります。

――今季、ピーキングをもっていきたい大会はなんですか

重田 やはりインカレと、地元で国体があるので頑張らなくてはと思います。

大平 今年はメインの大会が3月まで持ち越されていて遅いので、ピークというよりは長いシーズンを戦えるような体力とメンタルを持っていたいと思います。

滝沢 ピークは12月の全日本にしっかり合わせて、そこで世界ジュニアの権利をとって、世界ジュニアに合わせて、最後にインカレに合わせていきたいです。

――ユニバーシアードの目標を教えてください

重田 ユニバーシアードは正式に発表されてなくて出られるかどうかはわからないですが、きょねん経験して世界のレベルの高さも感じましたし、日本代表で出るからには成績も出さなくてはならないと感じました。出るからには自分のパフォーマンスをしっかりして、いきなりメダルとは言えませんがそれに近いところを目指していきたいと思っています。

滝沢 ユニバーシアードに関してはまだ出たことがないので明確な目標というものはないですし、イメージがついていないのですがベストパフォーマンスができるようにしていきたいです。また、そうなれば結果もついてくるので。世界ジュニアに関しては出られるチャンスが最後なので狙っている種目としては5キロフリーとクラシカルの方が得意なので、クラシカル種目にはスプリントになってしまうので、そうなってくるとスプリントに関しては苦手なので、クラシカルもフリーも両方やるパシュート、スキーアスロンでメダルとれるようにすることです。

――インカレに向けた目標は何ですか

大平 きょねんはインカレで3冠できたのですが、ことしは後輩が強くて苦手なスプリントもことしは種目に入っているので、きょねんのようにはいかないと思っています。その中でも守らなくてはいけないのは女子の総合優勝とリレーの連覇だと思います。個人の結果が良ければリレーも行けると思いますし、この3人が個人で成績を出せれば雰囲気も良くなっていくと思います。きょねん優勝しているということを考えすぎないで、とにかく個人ではベストパフォーマンスを出して、リレーでもチームに貢献できるようにしていきたいです。

重田 きょねんのインカレは個人では不満な成績で終わってしまったので、ことしは表彰台狙ってやっていきたいと思います。

滝沢 初めてのインカレですけど大学生の国内大会だったら最大だと思っていますので優勝は目指していきたいですけど、優勝しなくてはいけないと重く考えずにやっていきたいです。あとは総合優勝にかかわる結果は出していけたらと思っています。

 

――きょねんのインカレで印象的だったことはありますか

大平 ランナーの試合ではあまり応援はないのですが、OBとかがしてくださったりとか。一番びっくりしたのは、アルペン競技の別のセクションの人が応援に来てくれたことです。すごい勢いで叫んでいて、これがインカレなのかと思いました。

――普段は部門が違えば大会や泊まる場所も違うと思うのですが皆一緒というのは楽しかったですか

大平 楽しくはなかったです。皆自分の競技に集中してしまって、宿で皆と一緒にいたという記憶がないです。会場に来てくれたという印象はあったのですが。

――全日本選手権のリレーに関してはことし3連覇がかかってくると思いますが

滝沢 出ることができないという可能性もあります。

大平 まだいつなのかもわからないです。海外大会とかぶってしまっていて、どういうメンバーで出られるかもわかっていないです。でも、誰がでても連覇できるようにしたいです。相手は高校生になってしまうので。そこまでチーム数が多いわけではないので。誰が出ても勝ちたいです。

――最後に、ことしの目標と今後の目標を教えてください

大平 世界の色々な大会に出られるのであれば、そこで自分がきょねんよりもレベルが上がったと思えるように優勝とか狙っていきたいです。国内では、大学という枠ではなくて全日本という中で表彰台を目指して頑張ります。

重田 どの大会も上位入賞というのを目標にやっていこうと思うのですが、先ほど言ったようにケガの影響でどこまでいけるかわかりませんが、ケガの時に支えてくれた人たちのためにも頑張りたいと思います。今までよりも強くなっているので、めげずに行けるとこまで自分にプレッシャーかけず頑張ります。

滝沢 今シーズンは、海外レースでポイントをとってワールドカップに出れたらなと思っています。それが一番の目標です。あと、高校生のとき国内でなかなか結果を出せていなかったので、引っかかっている部分です。ですのでインターハイや国体、全日本で表彰台に上がれるように頑張りたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 辻玲乃、難波亮誠)

一人ずつ目標を書いていただきました

◆大平麻生(おおだいら・まき)(※中央)

1994(平6)年11月23日生まれ。クロスカントリー競技。新潟・十日町高出身。スポーツ科学部2年。明るい性格で、対談を盛り上げてくれました。

◆重田結歌(しげた・ゆか)(※写真左)

1995(平7)年1月5日生まれ。クロスカントリー競技。群馬・長野原高出身。スポーツ科学部2年。色紙に描いてくださった「ぐんまちゃん」など絵が上手でした!

◆滝沢こずえ(たきざわ・こずえ)(※写真右)

1995(平7)年12月5日生まれ。クロスカントリー競技。長野・飯山高出身。スポーツ科学部1年。全日本ナショナルチームランクJr―A。先輩のいる前での対談でしたが、自分の気持ちを率直に答えてくれました。