【連載】『Go for the win』第3回 佐藤友樹副将

スキー

 強化指定選手にも選出され、今季多くの経験を積んできた佐藤友樹副将(スポ3=新潟・十日町)。前回の全日本学生選手権(インカレ)では10キロフリーや30キロクラシカルで入賞を果たし、チームに大きく貢献した。次のインカレで男女ともに頂点を取ること、そして世界で戦うことを志し日々練習に励む。そんな佐藤友副将に、インカレへの意気込みや普段の練習についてお話を伺った。

※この取材は6月17日に行われたものです。

「自分にもチャンスはあるんじゃないかなという風に感じました」

冷静にチームを分析する佐藤友副将

――昨シーズンの振り返りをお願いします

出場する国内大会全部で10番以内に入るという目標があったのですが、その目標を半ばクリアできたので、そこは良かったと思います。

――前回のインカレを振り返っていかがですか

30キロ(30キロクラシカル)は自分の中でも優勝は無理だろうなと思っていたので、10キロ(10キロフリー)で頑張りたいなと思っていたので、少し残念でした。30キロは、チーム全体で見ても弱かったというか記録が悪かったです。長い距離になっても最後まで粘り切る体力と、最後まで良い動きをする技術をつけなくてはいけないのかなと思い、ことしからは練習時間を延ばして、長い時間良い動きをし続ける練習をしています。 

――男子は総合準優勝でしたが、結果についてはどのように受け止めていますか

優勝したかったですし、全員が実力を出せれば優勝できたと思うのですごく悔しい思いが強いです。

――普段はどのような練習をされていますか

普段はランニングとローラースキーだとか、あとはウエイトですね。男女はいまのところは完全に別々に練習しています。

――練習のメニューはどのように組んでいますか

僕が考えています。ランニングやローラースキーのバランスをどちらかに偏ってしまっても駄目なので、そこをうまく両立させていかなければ記録も伸びていかないと思っています。あとは長時間の練習を週に1、2回は必ず入れて後半になってもバテにくい身体を作れたらと思っています。

――早大スキー部の環境はいかがですか

ほかの関東の大学に比べると、ローラースキーも所沢キャンパス内でできますし、寮も近いので寮からローラースキーを履いて行けるのが良いと思います。狭山湖の周りとかで、平地だけでなくちょっとしたアップダウンもある中で走れたりできるのがかなり環境としては良いのではないかと思います。

――長い距離と短い距離、どちらの方が得意ですか

僕は長い方が得意です。スプリントよりも、10キロ、15キロの方が良いですね。かといって、長ければ長いほど良いというわけでもなくて、50キロとかは弱いですね。

――相性の良いコースはありますか

札幌に白旗山というコースがあって、そこはわりと良い結果が出ているので相性が良いと思います。上り下りがはっきりしているコースの方が僕は頑張れます。

――副将に選ばれた時の心境を教えてください

まったく思ってもみなくて、先輩からも何も聞いていなかったので、かなり驚きました。

――副将に選ばれたことで気持ちの変化などはありましたか

本当はないといけないと思うんですけど、主将の補佐という部分はありますが、具体的な仕事はまだ僕もわからないので、実感はあまりないです。どちらかというと僕は成績で引っ張って行ってほしいという意味で選んでもらったのかなというのがあるので、チームを運営する方々もいますし、生活面ももちろん大切なのですが、それよりも競技面の方で引っ張っていけるような副将になれたらと思っています。

――尾形峻主将(スポ4=群馬・嬬恋)にはどのような印象を持っていらっしゃいますか

部員のことをすごく考えてくれているのではないかなと思います。

――今季のチームはいかがですか

全体的に見て、学年と強さが比例しているわけではないのかなと思います。1年生の方が強かったりもしますし、きょねんの4年生のようなエースがいなくなってしまったので、引っ張っていく人がいなくなってしまったのかなと思うところもあります。でも、それは全員で頑張っていけるという意味では良いところなのかなと思っているので、誰かの後ろに付いていけばいいというのではなく、一人一人が考えて行動していかなければいけないという状況にいまあると思うので、チーム力が上がれば良いなと思います。

――ソチ五輪での当時4年生だった宮沢大志(平26スポ卒=現JR東日本スポーツスキー部)選手の活躍を見ていかがでしたか

不思議でしたね。五輪というところに、普段一緒に生活している人たちが行くっていうのと、知っている人が行くっていうのが不思議でした。すごく遠いものだと思っていたところがちょっと近くなったかなというのは、まだまだ遠いのですが感じました。自分にもチャンスはあるんじゃないかなという風に感じました。そういう大会での経験を聞くのは楽しいですね。聞いていると、自分も直に経験したいなと思いますし、味わってみたいなという気持ちも強くなりました。

――優勝を狙うには、どのようなところがポイントになると思いますか

個人が優勝するというのも大事なのですが、入賞を数多くしないといけないので、部門ごとにひとりひとりが実力をしっかりと出すのが大切だと思います。そういうところの勝負強さをつけていかないといけないのかなと思っています。ただ、たしかに強い人たちはいるんですけど、実力はほかの人たちとそんなに変わらないのかなと思います。インカレの場は何があるかわからないので、そうなったときに大切なのは勝負強さだったり気持ちの部分だと思います。

――インカレでの男女アベック総合優勝に向けた雰囲気はありますか

まだオフシーズンなので、雰囲気はいまのところはそんなにある感じはないのですが、ひとりひとりはしっかりと目標を持って頑張っている姿勢は見られるので、良い人たちが集まらないと良いチームは作れないと思うので、いまの段階では良いのではないかなと思います。

――寮生活の良いところと悪いところはどのような部分ですか

僕はひとりだとあまり練習ができない方なので、練習にいきたくないなと思うこともあるのですが、そういうときに周りに人がいると良い意味でその人たちを巻き込んで練習できますし、一人でやるよりも誰かと一緒にやる方が見られているという意識があるというか、頑張れますね。練習を一緒にしている人のことも意識しつつ、自分のことも意識してやるので、常に集中して練習できるというところはかなり寮で良いところだと思います。悪いところは、駅が遠いところですかね(笑)。あとは、風邪とかをひいちゃうと一気に広がってしまうので、そういうところは気を付けないといけないところですね。

――早稲田キャンパスに通っている選手は練習時間なども少なくなってしまうかと思いますが、何かそういう選手たちについて気を付けていることはありますか

特にはありませんが、そういう人たちは自分で時間を見つけて練習をしていますね。

――早大スキー部に入って良かったところはどのような部分ですか

練習環境が僕のやっているクロスカントリーではかなり整っているというのが良いところだと思います。あとは、先ほど話にも出た大志さん(宮沢)だったり、善斗さん(渡部、平26スポ卒=現北野建設)、恭介さん(河野、平26スポ卒=現野沢温泉SC)。ほかにも陽さん(レンテンング、平25スポ卒=現TEAM AKIRA)や理子さん(柏原、平25スポ卒=現中日本エンジ名古屋)とか、そういう世界を経験して人たちと一緒に練習できたことはすごく良い経験になりました。そういう中で、考え方や行動を見ることができたのが勉強になりましたね。

――スキーを始めたきっかけは何ですか

小学校の頃なのですが、半ば強制というか授業でクロスカントリーがあったので、それで始めました。小学校6年生の時に大きめの大会で入賞したのがきっかけで、中学でも続けようかなという感じで続けていきました。中学でもぼちぼち滑れて、そこそこ成績が残ったので、高校も続けようと思いました。

――早大スキー部を選んだ理由はどのようなものですか

歴代の先輩方で強い選手がいたというのが一番大きかったです。新潟県の高校の先生にも早稲田の卒業生がいますし、大志さんも僕の直属の先輩であったりとか。高校のときにあったバンクーバー五輪に出た理子さんとか、引退されてしまったのですが、成瀬野生さん(平19スポ卒=現全日本スキー連盟コーチ)が早稲田大学出身で。早稲田大学って聞いたらすごい人たちばかりなので、僕も行きたいなと思いました。でも、思い始めた頃は全然成績がなかったので、早稲田にいけるなんて思っていませんでした。本当に入れてラッキーでした。

――進学を考え始めたのはいつごろですか

高校2年生のインターハイでたまたま成績が出て監督(倉田秀道、昭59社卒=東京・早実)に声を掛けてもらって、行けるのなら…と考え始めました。それまでは全然成績も良くなかったので、声も掛けてもらえないだろうなと思っていました。競技を続けるかも微妙でしたね。せめてインターハイとかで3番ぐらいに入れるようでないと、大学で続けてもなあと思っていました。

――スキーをやっていて良かったことは何ですか

東北とか北海道限定なんですけど、山奥ばっかりですけどいろいろなところに行けるところですね。これも場所は固まっちゃいますけど、いろんなところに友達ができたのが、やっていて良かったことです。

――大学に入ってから印象に残っているレースはありますか

一年生の時に出た世界ジュニアが、成績は僕はボロボロだったんですけど、それが全然本当に駄目で。自分の甘さを痛感した大会だったので、印象に残っています。妥協じゃないですけど、このときの自分はおそらく、どこか自分は大丈夫だ、これだけできていればいいだろう、っていうので勝手に満足していた部分があったから負けたんだろうなと思います。危機感がなかったというか。単純におごっていただけだと思うんですけど。それも含めて1年のシーズンは全然駄目だったので、このままじゃ駄目だと思う良いきっかけになりました。

――その挫折を経て変えた部分はどのようなところですか

とにかく自分の中で変えなきゃいけないと思ったので、練習面ももちろんですけど、それまでの自分となるべく逆の行動を取るというか、一人で練習していたところを、とにかく先輩に「一緒に練習させてください」って声を掛けたりだとか。しないだろうなっていうことをしてみたり。全然練習に関係ないところでもとにかく自分がいままでやらなかっただろうなっていうことをやってみたりして、自分を変えていこうかなと思って、2年生から行動し始めました。何が良かったかは正直わからないといえばわからないのですが、やっぱり練習に対して真面目になったというか貪欲さが出たんだと思います。1年生のときは満足していたんですけど、こんなんじゃ駄目だ、こんなんじゃ駄目だって。もっとやれる、もっとやれるっていうのでとにかくまだまだできるだろうという風に思うようになりました。

「一年一年しっかりと練習していきたい」

世界で活躍することを目指し、競技に取り組む

――ナショナルチームに選出されましたが、心境を教えてください

2年生のときに良い成績がたまたまずっと出ていたので選んでいただいたんだと思うんですけど、自分の中ではまだまだ全然選ばれるような実力じゃないと思っていたので、選ばれたらラッキーだなというぐらいの感じでいたので、うれしかったですね。

――ナショナルチームではどのような練習をしたいですか

実力では足りていない部分がたくさんあるのですが、選んでもらってチャンスをもらえたと思うので、そのチャンスを生かすためにも、練習だったり生活面の準備をしっかりしたいというのと、日本のトップの人たちと練習ができるというのはすごく刺激になるので、学ぶこともたくさんあると思うので、たくさん吸収していきたいなと思います。

――学んでいきたい部分はどのようなところですか

やっぱり技術面ですかね。僕はまだまだ未熟なので、技術面を強化していかないと世界で戦えないですし、それ以前に世界の舞台にも立てるかもわからないので。強い理由が何かしら必ずあると思うので、そういう部分は人から聞いた話ではなく、本人から話を聞いたり実際に生活して見る中で気が付くことがたくさんあるのかなと思います。

――今シーズンの目標を教えてください

FISレースでの調子を見て、もしかしたらその上の大会にも出すかもしれないと言われているので、そこでしっかりと良い滑りをしてW杯に出られたらいいですね。どうなるかわかりませんが、ナショナルチームということで日本でもふがいない走りは絶対にできないので、国内のレースでもしっかり走って表彰台にも上りたいです。きょねんはメダルを全然取れなかったので、ことしはメダルを取れればいいなと思います。

――日本と海外のレースで違う部分はありますか

周りが全然違いますね。レベルもそうですけど、レースが始まるまでの段階も違いますし、食べるものやお風呂などの生活様式の違いが一番大きいです。雪質も日本とは全然違うので、僕は海外の雪には慣れていないので、経験を積ませてもらって慣れていきたいです。

――2018年には平昌五輪もあるかと思いますが、いかがですか

これからずっとナショナルチームから降ろされないようにしっかり走っていくことと、あとは五輪は一つの目標として絶対に出たいと思っているので、そこまでの試合で選んでもらえるように一年一年しっかりと練習していきたいです。

――インカレでの目標を教えてください

長い距離のレースで優勝を狙っていきたいですね。リレーもひとりひとりが自分の実力を出せれば良い勝負か、勝てるというところにいけると思うので、リレーでも優勝を狙えるようにチームで頑張っていきたいです。チームとしては男女アベック優勝が目標ですね。優勝するためにも、僕はクロスカントリー部門のチーフとして、ほかの部門にも良い影響を与えられるように、部門を良い方向に引っ張っていきたいです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 副島美沙子、戸田郁美)

色紙には「進化」と書いていただきました

◆佐藤友樹(さとう・ともき)

1993年(平5)9月30日生まれ。クロスカントリー競技。新潟・十日町高出身。スポーツ科学部3年。全日本ナショナルチームランクC。いままでで試合で行って印象的だった場所として北海道の札幌を挙げた佐藤友副将。街に近いコースだと、夜でも外に出かけることができて楽しいそうです。