多くのスポーツがオフシーズンとなる冬こそ、早大スキー部の晴れ舞台である。大学スキー最高の大会である、全日本学生選手権(インカレ)がついに幕を開けた。白銀に覆われた決戦の地は、岩手・雫石。大会初日となるきょうは、アルペン競技の男子大回転が先陣を切った。しかし、選手たちは強い風に晒され、2本目のレースがキャンセルとなる。このように悪いコンディションの中、早大からは6人の選手が出場し、井上賢之介副将(スポ4=福島・猪苗代)が4位に、安藤佑太朗(スポ2=北海道・北照)が6位に入賞を果たした。
安定した滑りで4位入賞を果たした井上
早大が悲願の男女アベック総合優勝を達成するには、アルペン競技がカギを握る。ライバル東海大をどこまで放して、以降の種目に臨めるか。昨年のインカレでは、河野恭介主将(スポ4=長野・飯山北)と井上が3位と4位で入賞を決めるも、東海大に逆転されて優勝を逃した。さらに、ことしは河野がヨーロッパ遠征に出ているためこの種目を欠場。井上にはアルペンチームをけん引する滑りが求められた。「少しでも良い順位で終われればいいと緊張していました」と語る井上は、1レース目から期待に応える滑りをみせる。1分02秒55の好タイムで4位に入った。さらに後輩も井上の姿勢を見て勢いづく。安藤は「練習のときのタイムレースのような気持ちで、気負わずに試合に臨みたい」と語ったように、スムーズな滑りで1分02秒77のタイムを出し、6位につけた。しかし、双方とも目標としていた順位には届かず。さらに午後の2本目は、突風のため急きょキャンセルとなる。そのため、1本目の結果が最終順位となった。思わぬ幕切れについて、安藤は「十分表彰台に立てるチャンスはあった」と悔しさを見せた。
表彰台を狙うも届かなかった安藤
一方で、他の4人は入賞することができなかった。成田伊織(スポ1=北海道・札幌第一)は、インカレで大回転のみに出場するも、コースアウトで失格に終わる。きょうの競技が終了した時点では、大学ごとの総合順位は中大が総合19点で1位。早大と東海大が12点で2位タイに並んだ。早大が目指すインカレ男女アベック優勝へ向けて、まだ逆転の可能性は十分残されている。あしたには女子アルペン競技の大回転と女子クロスカントリー競技の10キロクラシカルが行われるが、これらの種目でも確実に点を取っていきたい。これからの戦いへ向けて、井上は「自分の競技だけではなく、周りのサポートもしっかりしていきたい」と語る。凍てつく寒さを乗り越え、早大のスキーヤーははるかな目標へ向けて突き進む。
(記事 丸山美帆、写真 副島美沙子、松下優)
結果
▽男子暫定総合順位
1位 中大 19点
2位 早大 12点
2位 東海大 12点
4位 近大 8点
5位 東洋大 4点
▽男子大回転
4位 井上 1分02秒55
6位 安藤 1分02秒77
13位 廣島聖也(スポ1=北海道・双葉) 1分03秒23
17位 長沢祐(スポ3=北海道・滝川) 1分03秒74
24位 清野嵩悠(社2=山形中央) 1分04秒20
DNF 成田
※強風のため2本目キャンセル
※タイムは1本目のもの
コメント
井上賢之介副将(スポ4=福島・猪苗代)
――河野恭介主将(スポ4=長野・飯山北)をチームに欠く中、本日の試合にどのような思いで臨まれましたか
河野やオリンピックで出る人たちのためにも、より良い成績で終わらないといけないと思いました。アルペン男子の競技が先にあったので、良いスタートが切れるように、少しでも良い順位で終われば良いと緊張していました。
――本日のコンディションはいかがでしたか
前日に雪が降ったので、通常の大会よりも積雪量がある分、滑りにくかったです。風も、向かい風が吹いていたため、姿勢を低くして滑らなければいけないとか、足が逃げないように気を付けるなど普段より気を配る部分は多かったですね。
――本日の1本目のレースの感想をお願いします
1本目は、滑っていて上の方に跳ねてしまったり、今回のコースはウェーブや起伏が多かったため、その辺りを上手く抑えて滑ることができませんでした。ミスは多かったですが、あの雪にしてはまあまあの感じだと思います。
――本日は2本目のレースがキャンセルとなりましたが
実際悔しいですね。やはり2本目を滑って巻き返したかったので。しかし、それはそれとして捉えています。そういうことも含めて競技の一つなので、仕方がなかったとして受け止めています。
――4位という結果について
優勝を目指していた分すごく悔しいです。しかし、それも自分の実力だと受け止めて、また次もあるので、そこで発揮できるように頑張りたいと思います。
――以降の競技へ向けて意気込みをお願いします
今後の競技も、個人としては優勝を目指しますし、チームとしても総合優勝できるように雰囲気づくりをしていきたいと思います。自分の競技だけではなく、周りのサポートもしっかりしていきたいと思います。
安藤佑太朗(スポ2=北海道・北照)
――きょうのレースを振り返って感想をお願いします
第一シードではなく、スタート順が良くなくて、27番スタートでした。本当は2本滑るレースでプランを考えていて、1本目で上位に食い込んで、2本目で逆転するのをイメージしていたのですが、1本で成立してしまいました。1位とのタイム差は1秒2くらいあったのですが、3位との差はコンマ3秒か4秒しかなくて、十分表彰台に立てるチャンスはあったと思うので、2本目が天候であっけなくキャンセルになってしまったのが心残りです。
――昨年はDNFでしたが、ことしの結果を受けていかがですか
昨年はコースアウトしてしまって、ことしは表彰台に立つということを最低限の目標にしてインカレ(第87回全日本学生選手権)に臨んできたので、その目標に届かなかったことが悔しいです。
――レース会場のコンディションはいかがでしたか
雪がコロコロしているところと、ちゃんとハードパックされているところが部分によって違って、きょうは天候が良くなかったので、雪面状況が多く変わるのに、その状況があまり見えなかったのが難しかったです。
――今季の調子はいかがですか
シーズン始めはあまり調子が良くなかったのですが、1月ごろからインカレ前までに、合宿と練習で少しずつ調子は上がってきています。インカレと意識してしまうと硬くなってしまうので、練習のときのタイムレースぐらいの気持ちで、気負わずに試合に臨みたいと思います。
――2度目のインカレということで、昨年と比べて落ち着いて滑ることができた部分はありますか
そうですね。2年目ということもありますし、きょねんは試合になると気合いが入りすぎてしまったり、自分の考えている以上に気持ちが先行してしまって滑りが悪くなってしまったのですが、ことしは一試合一試合、レースをあまりレースと意識せずに、タイムレースの一貫と考えてやっているので、それが良い方向に向いてくれればと思っています。
――今後の試合に向けて意気込みをお願いします
スーパー大回転は、1回のミスがタイム差に影響してしまうので、しっかりインスペクションでコースの斜面の変化や、雪質、ポールセットを確認しようと思います。これぐらいのスピードが出るからここを狙っていこう、というのをインスペクション中とインスペクションが終わってからスタートする前に頭のなかで何度もイメージしてから滑れば、自ずと結果は出ると考えています。目標は表彰台です。