【連載】『Aim for the top!』第3回 西田順風

スキー

ことしは選手として、そして主務としてもチームに貢献し二足のわらじを履くクロスカントリー競技の西田順風(人4=北海道・留萌)。最終学年の責任と共にチームを支える役割も背負う西田に、これまでのことや現在の状況などさまざまに語っていただいた。

※この取材は10月8日に行ったものです。

「選手の力だけではないところが面白い」

――普段の練習ではどのようなことをされているのですか

普段はローラースキーをメインでやって、ウエートトレーニングをやったりスキーのためのトレーニングをしています。特に合宿だからと言って違ったことをするのではなくて、合宿でも普段の練習の延長といったかたちでやっています。ただ環境がちょっと良くなったかなといった感じです。

――夏の合宿はどちらに行かれたのですか

海外はフィンランドに行って、国内では北海道や長野に行きました。国内では普段と変わらない練習をしていたのですが、フィンランドでは雪上に乗れるチャンスがあったので、スキーに乗りました。夏のローラースキーもスキーに似たトレーニングなのですが、やっぱり細かいところが違うので、今までやってきたこととスキーでの練習を照らし合わせて、どういう風になっているのか確認をしたりしてきました。

――合宿を通して強くなったと実感した部分はありますか

マネジャーと仲良くなったかな(笑)。まあ練習は普段からやっていることなので。

――フィンランドでの合宿中のオフなどではどのようなことをしていたのですか

サウナに入ってゆっくりしたり、湖に入ったり。フィンランドはサウナが結構有名で、サウナと湖の間が歩けるようになっているんです。そこでサウナで熱くなった体を湖で冷やすみたいな感じでやっていました。あとは寝たりしてました。

――スキーを始めたきっかけは

ずっと野球部だったのですが冬は野球はできないので、冬にできるスポーツはスキーしかないので、少年団に入ってやっていたというのがきっかけです。本格的に始めようと思ったのは、小学校3年生くらいのときにどうしても勝てない相手がいて、それが悔しくてちゃんとやろうと思ったのが始めだと思います。

――野球も続けていらしたのですか

中学校までやっていました。スキーは冬場の体力づくりといった感じでやっていたのですが、気が付いたらメインになってました(笑)。

――どうして野球ではなくてスキーを選んだのですか

一言でいえばスキーの方が全国レベルで戦えていたというか。競技人口が違うというのもあるのですが、野球は全道大会にも出られていなくて、スキーは全国で何位という世界だったのでそちらの方が楽しいと思いました。

――スキーの中でもクロスカントリーを選んだ理由は

僕の地元にアルペンとジャンプの少年団はなくて、クロスカントリーだけだったので自ずとクロスカントリーを選びました。

――クロスカントリーの魅力は何だと思いますか

やっている側として楽しいなと最近思うのは、意識してフォームを変えたりすると、その成果が分かりやすいところです。上手くなったと実感しやすいというか。ただ走っているのと違ってテクニックが大切なので。見てる側としては結構駆け引きがあるのが面白いと思います。使うテクニックも斜面によって違ったりしますし。テレビで見るのと生で見るのとでは迫力が全然違うと思います。あとスキーは他の競技と違ってワックスを天候によって変えたりするのでそれが勝負を左右したりします。それはもう事前の情報収集から始まっているので、勝負は前日から始まっているというか。他の競技は当日のコンディションが一番大事だと思うのですが、スキーは準備段階も大きな割合を占めているというのhが魅力だと思います。情報であったりとか選手の力だけではないところが面白いかなと。

――道具に対するこだわりなどはありますか

そんなにある方ではないですね。ただ、使っていて一回気になりだすと止まらないというか。例えば、手袋が滑るなと思ったら、滑らないものを探して全部の種類を買ってみて試してみたりとか。サングラスとかも色々なメーカーのものをかけてみて、ちょうどいいものを選んだりとか。逆にスキーとか靴とかは中学校の頃から変えていないので。

――道具は頻繁に買い替えるのですか

スキー板は毎年替えます。ただ毎年捨てているわけではなくて、3年くらいは乗ります。そうしたらスキーも滑りが悪くなってくるので、使えなくなってきます。なので、新しいのを入れて古いのを捨てて、というローテーションです。靴も1年で駄目になりますね。

――お金も結構かかりますか

かかりますね。親のスネかじりまくってます。そろそろスネなくなりますね(笑)。

取材に応じる西田

「強い環境の中でやりたかった」

――早大を選んだ理由は

直属の先輩がいたというのもありますし、スキーが一番強い大学だったからというのが一番の理由ですかね。強い環境の中でやりたくて、早大にしました。六大学だからとか、有名だからとかいうのは考えなかったですね。

――早大スキー部のいいところは

やっぱり強いだけあって、世界で戦っている選手がたくさんいます。そういうチームってなかなかないと思うんですよね。そういう選手っていうのは考え方とかも普段の生活とかも一流なので、そういうところが勉強になるし、刺激にもなります。強い人はしっかりとした考えを一人一人持っているので。色々な人がいて面白いです。こういう環境で4年間スキーができたことは良かったなと思っています。

――世界で戦っている選手のどういったところがすごいと思いますか

大志(宮沢、スポ4=新潟・十日町)はクロスカントリーでずっと一緒なのですが、やっぱりストイックなんですよね。遊ぶときは全力で遊ぶけどスキーのことはよく研究しているし。ある程度うまくいくと普通はよしっと思うじゃないですか。それがないんですよね。すぐに上に目がいくというか。それはすごいなと思うし。善斗(渡部、スポ4=長野・白馬)はオーラはないじゃないですか(笑)。でもああ見えて、自分の考えを持っているというか、他の人に左右されないものがあるんですよね。自分は自分というのをしっかりもっているのがすごいと思います。

――最高学年になって意識など変わった部分はありますか

4年生になったから引っ張っていかないといけないと最初は思っていたのですが、いまはそんなに背伸びする必要もないかなと思っています。ただ自然体の自分を後輩が見てくれればいいかなと思ってやってきています。練習に対しての考え方とかは、学年が上がるにつれて経験が増えてくるので、変わってきました。また、スキーとはまったく関係のないところでもつながりも増えてきました。スポンサーの会社の人であるとか色々な人と話をするようになって、視野が広くなったと思います。

――ことしは主務も務められていますが大変なことはありますか

いやあ大変ですね(笑)。ただ、ことしはマネジャー専門でやってくれている人が3人いるので大分助かっています。

――具体的にはどのようなお仕事があるのですか

マネジャー業の仕事でいうと、試合に行くときに競技スポーツセンターとの連絡を取ったり、監督との連絡を取ったり、あとは保険など色々な登録を行ったりします。結構幅広いですね。それと監督に呼ばれて集まりに出席して、ひとこと話したりとかもあります。

――早大スキー部とはどのような存在ですか

いて当たり前の存在って感じですかね。本当は当たり前じゃないんですけど帰ってきたらいる人みたいな。家族とは言いたくないし(笑)、友達とも違うし。特に合宿に行って感じるのは、より強くなりたいとか速くなりたいとかいうことを共有しているので、それがあって色々なことがあるので、一つのことを一緒に追いかけている仲間というか。そういう感じです。

「インカレは一つの試合」

――スキーを始めてから一番つらかったことは

大学に入って1、2年生のころつらかったです。高校の時に国体やインターハイで優勝して結構スキーに対しては自信を持っていて、大学でも勝てると思っていたのですが、いざ大学に入ってみたら全然勝てなくて。高校の時に勝っていた人とかにも負けるし、高校生にも負けるし。そこで限界なのかなと思ったときがあって、その時が一番つらかったです。夏に頑張らなかったとかそういうことがあればもっと頑張ろうとか思えるんですけど、1、2年生の時は夏に努力したという自信があって駄目だったので、何故だめだったのかも分からなかったし、本当に限界なのかと思いました。同期の大志はどんどん上に行くし、それに対する焦りとかもあって、その時期は本当につらかったです。その時期を乗り越えてきょねんはまあまあ良かったし、ユニバーシアードのメンバーにも選ばれたので、その経験は自分にとって大きいと思います。

――どのようにその時期を乗り越えたのですか

それまでは自分に自信があったので、アドバイスとかをされても、聞くは聞くけど流すみたいなところがありました。でもその時をきっかけに色々な人の意見に耳を傾けるようになって、それこそ自分より成績の良い後輩とかにも練習中にどこを意識しているのか聞くようになりました。スキーに関係ない人にもスランプの時の話を聞いたり、さまざまなことに目を向けるようになりました。今思えばそのときに気づけて良かったと思います。

――一番うれしかったことは

ユニバーシアードの選考がきょねんあって、その最終戦で代表が決まって、全日本選手権でもリレーで早大が優勝して、駄目だった時を乗り越えて、優勝できたりしたことがすごくうれしかったです。

――自分の強みはどこだと思いますか

結構色々なことを試してみるところですかね。挑戦してみるというか。スキーに関係ないことにも手を出してます。休みの日に遊ぶときはめっちゃ遊ぶし。本当に色々なことをしたいなと思っています。

――スキー以外のことは何をされているんですか

休みの日にはサーフィンに行ったり、スポンサーの関係でプロバスケットの方と知り合ったりしてその人の試合を見に行ったり、スキーだけじゃなくそういうところでもつながって、最終的にスキーにつながっていくことがあるんじゃないかと最近は思っています。

――自分の弱点はどこだと思いますか

つらいことが嫌い(笑)。練習していて調子が悪い時に、考えても理由が分からないともう考えたくないし、練習も一人だったらできてないと思います。他の人もいて競っていればそこに楽しさもあるからがんばれるんですけど、基本つらいことは嫌いです。いかに楽しくやるかっていう。

――学生最後のシーズンですが卒業後はどうなさるのですか

卒業後もスキーを続けます。ただ、まだどこでやるかっていうのは最終決定はしていないです。

――今季の勝負どころは

ことしはユニバーシアードにいけるので、そこでメダルを取りたいです。

――これまでのインカレで一番印象的だった大会は

きょねんのインカレのスプリントですね。普通にやっていれば入賞できるだろうと思っていたのですが、予選で敗退してしまって、それはすごく悔しかったです。

――学校ごとに戦う大会はインカレだけですがそれに対する思い入れは何かありますか

僕あんまりないんですよね(笑)。自分の中でインカレが特別っていう思いはなくて、一つの試合って感じですね。ただ宿舎がみんな一緒だったりするので楽しいんですけど、みんながいるからがんばれるとかそういうのは感じないです。普段から応援してくれる人は応援してくれているので。競技に関して言うと、あまり特別という感じはないです。ただインカレで男女アベック総合優勝したことがないので、したいとは思います。その前にまず自分が一つ一つをがんばらないといけないので。

――今季の目標は

全日本で表彰台に上りたいです。それとユニバーシアードでのメダルですね。あとはナショナルチームの人と戦う機会もあるので、次に上がるためにも、そこで良いところにつけたいです。ことしは昨年までと違って手応えも感じているので、冬が来るのが楽しみです。

――ありがとうございました!

(取材・編集 近藤万里奈、辻玲乃)

『順風満帆』

◆西田順風(にしだ・じゅんぷう)

1991年4月22日生まれ。クロスカントリー競技。北海道・留萌高出身。人間科学部4年。色紙にはご自身の名前を使って「順風満帆」と書いていただきました。文字通りシーズンでの順風満帆な活躍に期待です!