冬のシーズンに向け、厳しい陸上トレーニングを積むスキー部がことしも全日本学生夏季競技会(夏季インカレ)に出場した。今シーズンはソチオリンピックやユニバーシアードを控えていることもあり、例年以上に気持ちの入った戦いが見られた。陸上競技で構成され、スキー競技の成績に直接は関係しないものの、土台となる基礎体力やまとまりなどのチーム力を測る上では重要なこの大会。早大は圧巻の3年連続男女アベック優勝を成し遂げ、他大にその強さを見せつけた。
★男女ともに好成績
見事優勝に輝いた角
アルペン競技の選手が複数出場した100メートル走。男女共に首位を獲得し、また男子は4位以内に3人が入るなど上々の結果となった。特筆すべきは優勝を決めた二選手だ。荒井章吾(スポ2=北海道・富良野)は昨年に続き今種目で史上初の2連覇。2年生ながら「正直勝って当たり前」と王者の貫録を漂わせている。「体調が万全ではありませんでした」と振り返る角朝美(社4=富山・雄山)も予選から先頭を譲らず、決勝でも実力を遺憾なく発揮。チームの総合優勝を後押しする好成績を残した。
(記事、写真 北川翔一)
★男子悔しい2位、女子圧巻の首位
チームを優勝に導いた3走重田奏
クロスカントリー競技の選手が多く出場した駅伝。早大からは男女ともに2チームが出場した。男子の早大Aは1走で西田順風(人4=北海道・留萌)が3位につけると、2走の宮沢大志(スポ4=新潟・十日町)が快走。最終周で一気に先頭に躍り出た。その後もトップを維持したが、最終的に競り負け2位でフィニッシュ。悔しさの残る結果となった。一方の女子は、早大Aが最後まで他大を一歩も寄せ付けず。結果、昨年に引き続き首位に輝いた。
(記事 近藤万里奈、写真、北川翔一)
★ルーキーの活躍光る
リレーでもチームをけん引した荒井
大きな声援の中女子800メートルリレーと男子1600メートルリレーが行われた。女子はアルペンの選手により構成されたAチームとBチーム両方が決勝に進出し、Bチームが2位に入賞した。Bチームは、1走の向川桜子(教4=秋田・角館)が5位とやや出遅れたものの、続くルーキーの望月絵里菜(社1=北海道・双葉)が快走を見せ、順位を2位まで押し上げる。3走は、同じく1年の根元風花(スポ1=長野・飯山)。順位を維持したままアンカーの角副将へバトンを託した。副将である角は、粘り強い走りでトラックを駆け抜け、そのまま2位でフィニッシュ。仲間の応援を力に変え、実力を発揮した見事なレースとなった。男子はBチームが決勝に進出。駅伝からの連続出場となった西田、宮沢の疲労も心配されたが、100メートル走優勝者の荒井の活躍もありこちらも2位に入賞した。
(記事 副島美沙子、写真 辻玲乃)
★ここ一番の盛り上がり
思い思いの仮装を披露した男子選手たち
予選の後に、『食いしん坊万歳』という障害物リレーが行われた。まずは女子競技から行われ、生クリームの中から飴を探すなど身体を張った戦いぶりがみられた。男子競技では出場者4人がそれぞれ仮装を披露。特にアンカーの井上賢之介(スポ4=福島・猪苗代)は掛け声で周囲を巻き込み圧巻のパフォーマンスを見せ、見事優勝した。参加校の中でも突出した盛り上がりを見せた早大はここでもチーム力の強さを示した。
(記事 辻玲乃、写真 北川翔一)
結果
●男子
▽総合
早大 優勝
▽100メートル走
優勝 荒井章吾(スポ2=北海道・富良野)
2位 長沢祐(スポ2=北海道・滝川)
4位 河野恭介(スポ4=長野・飯山北)
▽駅伝(8キロ×4人)
2位 早大A 西田順風(人3=北海道・留萌)、宮沢大志(スポ4=新潟・十日町)、
佐藤太一(スポ1=秋田北鷹)、藤田佑平(スポ3=北海道・旭川大高)
6位 早大B 佐藤友樹(スポ2=新潟・十日町)、傳田翁玖(スポ2=長野・飯山北)、
山元豪(スポ1=富山・雄山)、神島実孟(スポ1=青森・五所川原農林)
▽リレー(400メートル×4人)
2位 早大B 西田、清野嵩悠(社2=山形中央)、荒井、宮沢
▽食いしん坊万歳
優勝 早大 成田伊織(スポ1=北海道・札幌一)、尾形俊(スポ3=群馬・嬬恋)、
神島、井上賢之介(スポ4=福島・猪苗代)
●女子
▽総合
優勝 早大
▽100メートル走
優勝 角朝美(社3=富山・雄山)
▽駅伝(6キロ×3人)
優勝 早大A 重田結歌(スポ1=群馬・長野原)、有路杏子(スポ2=山形・新庄北)、
重田奏絵(社3=群馬・長野原)
4位 早大B 大平麻生(スポ1=新潟・十日町)、五十嵐優花(スポ3=長野・飯山)、
村田愛美(スポ3=新潟・小出)
▽リレー(200メートル×4)
2位 早大B 向川桜子(教4=秋田・角館)、望月絵里菜(社1=北海道・双葉)、
根本風花(スポ1=長野・飯山)、角
4位 早大A 石栗優(スポ2=北海道・双葉)、太田好美(スポ2=北海道・網走桂陽)、
仲村ひかる(教2=埼玉・早大本庄)、波多野希美(スポ1=長野・小海)
コメント
河野恭介主将(スポ4=長野・飯山北)
――大会をふりかえって
スキーとは何も関係ないですけど、とりあえずチーム力というか、陸上もすごく大切な要素なので勝てるということはすごく良いことだったと思うので、それを目指してやってきた甲斐はあったと思います。
――出場された100メートル走の結果については
まああんなもんでしょう(笑)。可もなく不可もなく。1、2、4位を取れたことは良かったと思います。
――主将に就任して意識などかわった部分はありますか
とにかくどれだけ自分がステップアップできるかというところを見せられれば、みんな同じように上がっていけるというのが分かっていると思うので。それだけ意識をしながら自分のことをしっかりやりながらアドバイスできるところはして、という風にやっています。
――夏にニュージーランド遠征や合宿がありますが
とりあえずオリンピックもあるので夏のニュージーランドで新しいスキーに慣れることと、レースもあるのでしっかり欧米の人たちと戦えるように夏場はがんばってそのままオリンピックに繋げたいです。チームとしては夏に陸上の合宿があるので、きつい合宿なんですけどしっかりみんなで乗り越えて一回り二回り強くなりたいなと思っています。
――冬に向けて個人、チームの目標は
チームの目標はずっとできていないのでインカレ(全日本学生選手権)で男女アベック優勝をすることです。オリンピックに出る人が何人かいなくなると思うんですけどその中でも僕も4年で最後のチャンスなのでアベック優勝をとにかくしたいというのがひとつです。個人としてはいま全日本チームに入っていてオリンピックに出るチャンスがまだあるので、しっかりW杯(FISワールドカップ)の権利を狙って活躍することと、ユニバーシアードで金メダルを取ることが目標です。
角朝美(社4=富山・雄山)
――きょうの試合全体を振り返っていかがですか
ひとりひとりが目標を持って、チームとして一丸となって取り組めたので良かったです。人数が多いということもあって、応援もみんなきちんとしていたので、それもパワーになったのではないかと思います。
――勝因はなんでしょうか
スタート前に円陣を組んで士気を高めたことが大きかったと思います。
――100メートル走で優勝されましたが、感想をお願いします
体調が万全ではありませんでしたが、それでも優勝することができたので、良かったと思います。1位は点数も大きいので、優勝に貢献できたかな、と思っています。
――冬に向けての目標は
やはり、4年生でラストのシーズンとなってしまうので、悔いのないように今の夏場のトレーニングを頑張っていきたいと思います。チーム全体としては、インカレ(全日本学生スキー選手権大会)が次で3連覇になるので、自分たちが最上級生の立場の今年で、やっぱり優勝したいなと思います。
宮沢大志(スポ4=新潟・十日町)
――きょうを振り返って
いやー悔しいですね。やっぱり自分が出た種目は優勝したかったです。特に駅伝は強くそう思いますね。(駅伝、リレーと連続出場となったが)まあ体力的には問題ないですが、どっちつかずというか、まだまだ自分自身が甘すぎるなと感じます。ここまでトレーニングを重ねてきたつもりでしたが、こういう場所で走るとまだまだだなと痛感しますね。自分の本気が甘いなというか。
――きょうに向けてどういう調整をしてきましたか
きのうまでランナーチームは志賀高原で合宿していて、この大会に向け調整しなくても走れるくらいの力を付けるという気持ちで合宿を組んで臨んだのですが、そこまで甘いものじゃないですね。
――今大会の位置付けは
4月にチームを結成して初めての団体戦を迎えるに当たって、チーム力が試されるというか。チームの色が出る中でどこでボロが出るか、どこに良いところがあるかということを把握する意味でも、冬のインカレ(全日本学生選手権)に向け非常に大切な大会だと思いますね。
――再来週から海外合宿が始まりますが心境はいかがですか
昨年も同じ合宿に行ったのですが、そこから体調を崩してしまって。それも風邪とかではなくオーバーワークで体調を崩してしまったので、もうちょっと内容を考えて、自分に合ったトレーニングをやっていけたらなと思います。イタリアは山登りがメインになるのですが、山登りってハードなんですよね。だからそこは無理をせずに抑えつつ。ドイツに行ったらスキートレーニングがメインになってくるので、夏ローラースキーなどでやってきた技術をスキーで発揮できるかということを確認していけたらなと思います。
――これまで春季はどこに力を入れてトレーニングしてきたのですか
ここまでは体の状態をつくるという意味で長くゆっくりしたトレーニングをやってきて、いい感じにやっていけてると思います。今後は、いま自分が一番世界で戦えるのはスプリント競技だと思ってるので、そのスプリント能力を伸ばせるような、具体的に言うと、体の乳酸に耐えられるようなトレーニングをしていきたいと思ってます。持久走などのベーストレーニングでしっかり乳酸に耐えられるような土台をつくって、冬のスプリント競技に備えてます。
――今季はどこにピーキングを
12月のワールドカップが五輪への派遣に一番関わってくる大会なので、まずそこに軽くピークをもっていって、五輪の出場権を獲得したいですね。五輪に最大の焦点を当てて、学生の内に自分がどこまで通用するかというのを試してみたいなと思っています。第1ピークは12月、第2ピークは2月ですね。2月から五輪が始まるので。これは自分の中では最低でもクリアしたいと思っています。
――今後に向けて
今季のチームは『覚悟』という目標を掲げてやっているのですが、自分も『覚悟』をしっかり持ってトレーニングに励んでいきたいと思います。
荒井章吾(スポ2=北海道・富良野)
――昨年に引き続き100メートル走で優勝しましたね
史上初の二連覇だったらしいので、うれしいです。
――総合でアベック優勝を果たしました。チームとしてはどうですか
僕個人としては100メートル走は、正直勝って当たり前だと思っていました。でもチームとしては本当にうれしくて。特に女子は僕の中でギリギリかなと思っていました。なので女子(の優勝)が発表された時には、すごくうれしかったです。
――今のチームとしての練習の成果が出せたと思いますか
思います。でも男子はやっぱり2位が多くて。あと一歩という所で勝てなかったのはすごく悔しかったです。結果は優勝でしたが、課題の残る夏季インカレだったと思います。
――今はどのようなトレーニングをされていますか
走ったり、素早い動きだったりとか。あと今の時期は筋肥大を目標にウエイトをやっています。本当に多くの種類の練習をやっていますね。
――夏はどのような点を強化していこうと思いますか
僕はフィジカル面は自信があって。走るのもウエイトもそこそこ得意な方なので。あと自分に足りないものは柔軟性だったり、自分の頭で考えていることと体をリンクさせることだと思います。なので複雑な発展系の動きを強化していこうと思います。