早慶戦、攻守ともに安定し勝利を収める

アイスホッケー

第70回早慶定期戦 6月14日 KOSE新横浜スケートセンター

 伝統の早慶アイスホッケー定期戦が、今年もまた開催された。昼間からOB戦、高校戦と続き興奮冷めやらぬ中、17時に開始された現役戦。早大は第1ピリオドに2点を先制し、第2ピリオドでも3点目を奪う。その後慶大に1点を取り返されたものの、攻守ともに安定した動きを見せ、そのまま逃げ切り見事勝利を飾ることができた。

 試合開始からわずか3分、FW村上太一(スポ1=北海道・白樺学園)が鋭く放った一撃が試合を動かす。相手GKの肩に当たったかと見えたパックは、そのままゴールネットに吸い込まれ、早大が先制に成功。貴重な1点にベンチは大きく沸き上がった。

シュートを放つ村上

 その後も流れをつかんだまま、早大は試合を優位に進める。守備陣も集中を切らさず、要所で体を張った守りを披露。GK大塚斗琶(スポ2=北海道・苫小牧中央)は鋭く飛んできたシュートにも冷静に反応し、シュートをことごとくセーブした。そして7分、相手のパスを見事にカットすると、一気にカウンターへ。DF共田野安(国教4=カナダ・George Eliot Secondary School)が冷静にネットを揺らし、待望の追加点を奪う。ピリオド終盤には反則が重なり、一時数的不利の状況も迎えたが、チーム全体で集中を切らさず、慶大のパワープレーを無得点に抑える。攻守にわたり主導権を握った早大が、2―0と理想的な展開で第1ピリオドを終えた。

 

 第2ピリオドでも、早大の勢いは止まらない。積極的にシュートを試み、相手を揺さぶる。FW笹沼葵(教3=東京・早実)やFW飯塚創哉(教2=東京・早実)がゴールに向かってパックを放つも相手キーパーに阻まれ、観客の悲鳴も聞こえた。ピンチも度々あったが、GK大塚やDF榎本康生(文2=東京・早実)などが奮闘し、相手にパックをゴールに入れさせなかった。

相手の攻撃からゴールを守るDF陣

 しばらく相手の攻撃に耐える時間が続いたところ、一瞬にして早大にチャンスが訪れた。相手陣地にてDF共田のアシストによりFW清水朝陽(社4=北海道・武修館)がパックを持つと、相手DF陣を一切寄せ付けずゴールに向かって一人、突進する。そのまま気迫で押し込み、15分、3点目を挙げた。

ゴールへ向かい、シュートを放とうとする清水

ゴールを決め、喜ぶ清水(手前)と共田

 第3ピリオドでは、FW村上やDF共田が積極的に攻撃を仕掛ける。しかし10分、慶大に1点を奪われた。その後も何度かゴールを奪われそうになるが、DF陣がこれを防ぐ好プレーを見せる。残り5分になると両大学の吹奏楽団による演奏が始まり、会場のボルテージが一層高まった。観客の声援も一段と大きくなり、選手のプレーも激しさを増したように見えた。一つ一つのプレーに注目が集まる中、観客からのパワーに後押しされプレーにさらなる力強さが出た早大は、見事逃げ切ることに成功。慶大にこれ以上の得点を許さず、勝利を飾った。

喜ぶ選手たち

 早慶戦は、応援部も参戦し非常に盛り上がる戦いとなった。早大の今季の目標は秋リーグ(関東大学リーグ戦)、インカレ(日本学生氷上競技選手権)での優勝だ。この早慶戦での勝利は、この1年を笑顔で終えるための第一歩に確実になったはずだ。早大の今後の戦いから目が離せない。

(記事 坂部翔子、栗原礼佳 写真 齋藤汐李、鈴江日菜、加々美麻帆)

※掲載が遅くなり、大変申し訳ございません。

 

◆試合後コメント◆

FW清水朝陽主将(社4=北海道・武修館)

――早慶戦を終えて、今のお気持ちはいかがですか

 とりあえず一安心かなと思います。前回冬の早慶戦で敗北して、今回は全員で勝って終わろうという話をしていたので、とりあえず一安心かなというところと、マネージャーなどが準備してくれている中で、感謝の気持ちも忘れずに楽しむことができました。お客さんもたくさんいて、すごくいい一日だったと思います。

――主将としてこの一戦に臨むにあたって、どんなことを意識されていましたか

 感謝の気持ちはもちろんのこと、ホッケーの部分でいうと、前回春のリーグ(秩父宮杯関東大学選手権大会)で最初の立ち上がりが苦戦してしまったので、スタートからしっかりプレーすることを意識しました。ミーティングを重ねたうえでの意識が、良い結果につながったと思います。

――主将としてここまでチームをまとめてこられました。今、仲間たちにはどんな言葉をかけたいですか

 春の期間お疲れさまでした、と伝えたいです。また、今後自分たちが関東・関西の上位校と戦う上で、まだまだ足りないところがたくさんあったので、そういったところを中心に、この夏合宿や秋の期間で、インカレでの優勝を目指せるように頑張っていきたいです。

――得点シーンを振り返って、特に意識していたことはありましたか

 特に意識していたことはありませんが、笹沼や共田がパックを敵から取ってくれて、それを貰ったうえで一旦状況を確認して、キーパーと1対1の状態で後は落ち着いて決めるだけだったので、決めきることができました。

――今日の試合でのチームワークについてはいかがですか

 今年はチーム全員で頑張らなければ勝利に繋がらないことが分かっていたので、試合の中でのコミュニケーションを大事にしました。今日は特に歓声が大きかったので、いつもより試合中のコミュニケーションは難しかったのですが、なるべく仲間に声をかけて良いプレーができるよう意識しました。

――今日の試合では下級生の活躍も光っていました。主将としてはどう感じていますか

 本当に助けられました。特に自分を含む3、4年生の上級生が少なく、下級生が多いチーム構成の中で、それぞれにどれだけチームに溶け込んでもらって、良い結果を残せるかが重要だと考えています。今日も1年の太一(村上太一)が決めてくれたことで、勢いをつけてすごく良い形で終われたと思います。

――この勝利を経て、今後の試合に向けてはどのような意気込みですか

 これから夏・秋の合宿や大会でどんどんステップアップをしていく必要があると思っているので、みんなでまた一丸となって、さらに成長できればなと思います

――ありがとうございました!

 

 DF共田野安副将(国教4=カナダ・George Eliot Secondary School)

――早慶戦を終えて、今のお気持ちはいかがですか

 まずは嬉しいですね。4年生としてちょっと緊張するところも結構あって、2ピリ(第2ピリオド)もちょっと調子悪かったのですが。それでもしっかり最後までみんなで頑張って勝ち切れたことが一番印象的ですね。

――副主将としてこの一戦に臨むにあたって、どんなことを意識されていましたか

 自分はもう3年くらい(早慶戦を)やっているので、自分の緊張というよりも1、2年生の緊張の方がすごい大きかったと思います。チーム全員でしっかり臨められるようにということを意識していました。1ピリは本当に良いプレーができたので、そこはすごく良かったかなと思います。

――得点シーンを振り返って、特に意識していたことはありますか

 意識するというよりも、自分の好きな決め方がバックハンドからフォアハンドにいってクイックで打つことで。それでしっかり決められたのが嬉しかったです。

――今日の試合でのチームワークについてはいかがですか

 1ピリはコミュニケーションをずっと取れていました。今年課題にしていたのがコミュニケーション、しっかりリンクの上で話すことだったので。2ピリで会場も盛り上がっていて、コミュニケーションがそこまで取れてなかったところがありました。でも、そこをみんなで振り返って3ピリは頑張れたので、そこは良かったと思います。

――この勝利を経て、今後の試合に向けてはどのような意気込みですか

 ここでオフ期間に入って陸トレ(陸上トレーニング)とかがあり、リンクに2か月間ぐらい乗れないのですが、この3、4ヵ月ぐらいしっかりとチームミーティングなどをして、頑張ってきました。このことを忘れないでまた夏と秋に繋げられるように。目標はインカレ優勝なので、それにめがけて頑張っていきたいと思います。

――ありがとうございました!

 

FW村上太一(スポ1=北海道・白樺学園)

――初めての早慶戦の感想はいかがですか

 だいぶ緊張感もあったため最初は足が全然動かなかったのですが、葵さん(笹沼葵)や創哉さん(飯塚創哉)が声をかけてくださって、何とか体を鼓舞して上手くプレーできたかなと思います。

――この早慶戦という舞台で、強みである得点力を発揮した感想はいかがですか

 あのコースのワンタイムは練習で何度も決めていたので、後は自信を持って振り抜くだけだと思いました。

――得点能力という強みを発揮する上で、チームとの連携も欠かせないと思います。今日の試合でのチームワークについてはいかがですか

 今までの早稲田はどちらかというとスタートがあまり良くなかったのですが、今日の早慶戦ではすごいいいプレーが続いていて、4年生中心にミーティングをしていた成果が出たのかなと思います。

――秋のリーグ戦とインカレに向けての意気込みをお願いします

 ここで勝つことが最終目標ではないので、常に高みを目指してこれからも頑張ります。

――ありがとうございました!