日本学生氷上選手権 12月27日 青森・テクノルアイスパーク八戸
負けたら終わりの日本学生氷上選手権(インカレ)。大会4日目、早大はついに準々決勝に登場し、関西リーグ1位の関大と対戦した。近年大きな壁となっていたこの一戦に打ち勝つため、全てを懸けて挑んだ今試合だったが、 第2ピリオドに2点を先制され、厳しい展開に。早大はすぐに1点を取り返したものの、第3ピリオドにも得点を重ねられ、一時は3点まで点差を広げられてしまった。しかしその後、FW笹沼葵(教2=東京・早実)とFW飯塚創哉(教1=東京・早実)が2点を追加して怒涛の追い上げを図り、1点差に迫る。最後はGK大塚斗琶(スポ1=北海道・苫小牧中央)を下げ、6人全員でゴールを狙ったが、あと1点が遠かった。最終スコア3ー4で敗れ、惜しくもベスト8敗退が決まった。
パスを出すDF棚橋主将
第1ピリオドは早大の攻撃する時間が圧倒的に長かった。まずは開始30秒で関大の選手がスラッシングのペナルティーで2分間退場。早速、早大のプレーヤーが1人多いパワープレーの時間が訪れた。このチャンスに、DF棚橋俊太主将(スポ4=愛知・東海)がパックを持ってゴール前まで素早く上がり、FW林幹汰(文4=東京・早実)がシュートを放つなど、しっかりとシュートにつながる攻撃を繰り広げる。しかしその後のパワープレーでも何度もゴール前にパックを集めるが、関大のディフェンス陣に要所要所を守られ、決定的なシュートが決まらない。一方の守備では、12分に早大にとって今試合初めてのキルプレーの時間が訪れる。関大はこれまでの一方的な守りの流れを断ち切るため、猛攻を仕掛けてきたが、早大も譲らず0点で守り切り、流れを渡さなかった。結果、第1ピリオドに放ったシュートは関大が6本に対し、早大は30本。先制点こそ奪えなかったものの攻撃のかたちを上手く作り、0ー0のまま第2ピリオドにつなげた。
迎えた第2ピリオドも早大が主導権を握ったかに思われた。しかし、23分にDF棚橋のペナルティーでキルプレーとなった早大は、この時間を守り切れず、24分に先制点を許してしまう。外から内に入り込んできた関大のプレイヤーに一瞬の隙を突かれた。少ないシュートをものにされ、1ー0とされた早大。さらにこの後、気持ちの切り替えが出来ないまま、再び得点を許し、あっという間に2点差とされる。GK大塚も必死のプレーでここまで守っていたものの、立て続けにゴールを破られ、早大はすかさずタイムアウトで流れを断ち切る。仕切り直して攻撃を再開した早大は、30分、ついにゴールを捉えた。パワープレーのチャンスを生かし、左サイドからのFW笹沼のパスを受けたFW飯塚が、ゴール左から前に回り込み、キーパーの股下を狙って押し込んだ。1点を返してスコア1ー2とし、第2ピリオドを終える。
ゴールを守るGK大塚
勝負の第3ピリオドは、一刻も早く同点に追いつきたい早大にとって、厳しい展開となった。早大はリンクを大きく使ってロングパスを通しつつ、常にゴールを狙った攻撃を繰り広げるが、第1ピリオド同様になかなか得点に結び付けられない。一方の関大は、早大の長い攻撃の後、素早いカウンターで何度もゴール前に攻め込む。このカウンター攻撃と鋭いシュートに苦しめられた早大は、ついに47分、キルプレーの時間を守り切れず、3点目となる追加点を許してしまった。さらに49分にもこぼれたパックを押し込まれ、4点目。あっという間に点差を離されて苦しい時間が続いたが、早大もこのままでは終わらなかった。もう一度奮起して立て直した早大は、残り10分に差し掛かるところでDF棚橋主将がゴールの枠ギリギリのシュートを放つ。惜しくもこれは得点とならなかったものの、早大はまだまだ攻撃を止めない。すると51分、ついに得点が動く。パワープレーで中央にいたDF沼田恵祐副将(文4=青森・八戸)からのパスを受けたFW笹沼が、そのまま遠間からゴール。何人ものディフェンスをすり抜けたこの鋭いシュートに、FW笹沼とメンバーは大きなガッツポーズを見せた。さらにここで勢いを強めた早大は、52分にもDF沼田のアシストでFW飯塚がゴール。DF沼田のゴール前でのパスがつながり、FW飯塚が今試合2点目を決め、ついに1点差まで追い上げた。そして残り3分を切ってからはGK大塚を下げ、6人で攻撃に挑んで猛攻を仕掛ける。早大は最後の1秒まで関大のゴールをこじ開けようと奮闘したが、あと1点が遠かった。怒涛の追い上げも及ばず、最終スコア3ー4でインカレ敗退となった。
ゴールを決めたFW笹沼
チーム棚橋の集大成となるインカレはベスト8で幕を下ろした。棚橋主将は引退試合となる今試合を終え、「やっぱり最後、本当にチームのみんなが気持ちをぶつけてくれて、チームが1つになって頑張れた」と振り返る。今年度の早大は、秋季リーグ戦でセカンドリーグの降格の危機や、最終戦2試合の棄権など、数々の大きな山を乗り越えてきた。今試合、関大との一戦で見せてくれた最後の追い上げは、そんな早大のチームの結束力を感じられる意地の2点だった。4年生にとって公式戦はこれで引退となる。今試合でも得点を決め、大きな活躍を見せた2年生FW笹沼と1年生FW飯塚をはじめとする後輩たちへ、インカレ優勝の目標は引き継がれた。
そして来年2025年1月5日には現体制最後の試合となる早慶戦が控える。新体制へ向け、第一歩を踏み出す早大スケート部ホッケー部門に、年始から目が離せない。
(記事 濵嶋彩加 写真 濵嶋彩加、梶谷里桜)
◆試合後コメント◆
DF棚橋俊太主将(スポ4=愛知・東海)
ーー最後の1秒まで全力を投じた接戦、惜しくも敗退となりましたが今の気持ちはいかがですか
そうですね、ほんとに最後の大会でここで負けちゃって、引退なので、本当に悔しい気持ちしかないです。
ーー第1ピリオドはシュート数は多かったもののゴールが遠く見えました。第2ピリオドからは結果的に3点取りましたが、修正した点、話した点はありましたか
第1ピリオドで点は取れなかったんですけど、やっぱりシュート数が多かったのはすごくチームの流れを作ることにおいては良かった点だったので、 今は点を取れていないけど、このシュートを多く打つのを続けていけば絶対点が入るからという声掛けはしました。
ーー後半になるにつれて関大も積極的な攻撃を仕掛け、特にカウンターには苦戦したようにも見えましたが、その点は振り返っていかがですか
昨日の夜に関大と相手の試合のビデオを見て、 こういうところは気をつけようっていうことをみんなで共有していたんですけど、やっぱり気を付けてる中でもそういうとこを狙ってくるチームで、そういうプレーをずっと続けてきたので、そこで自分たちのちょっとボロが出たと言いますか、最後対応しきれなかった部分があるかなと思います。
ーー試合全体を振り返った感想はいかがですか
でもやっぱり最後、本当にチームのみんなが気持ちをぶつけてくれたと思うので、その面では本当にチームが1つになって頑張れたのかなと思うんですけど、やっぱりちょっとピリオドの入りだったり、 自分たちの力を100パーセント出した試合ではないなと思う部分もあるので、やりきった感はすごくあるんですけど、ちょっと悔しい部分というか。うん、ちょっとそこはみんなで気をつければなっていう部分があります。でも、最後の公式戦ですごくチームの一体感を自分も感じられましたし、多分見てる側も感じられたと思うので、そこはとても良かったのかなと思います。
公式戦はこれで引退となります。
ーー主将として過ごした1年間を振り返っていかがでしたか
去年も副将をつけていたんですけど、その時は4年生の主将に頼りきりっていう状況で、あまりチームをどう作っていくのかっていうのはつかめていなかったんですけど、その中でもやっぱり4年生が見せてくれた姿っていうのはあったので、そういうところを参考にチームをまとめていこうと思ってやっていましたが、やっぱり最初の方はあまり上手くいかずにトライアンドエラーの繰り返しでした。でもそういう時に同期であったり頼れる後輩をすごく頼って、 主将として1人で何かしたっていうよりかは、本当に同期を含めてチーム全体で作り上げたチームです。主将という立ち位置ではあるので引っ張っていく部分はありましたけど、たくさんの部分でみんなに支えられたので、本当に良いチームだったなと思います。
ーー4年間をともにした同期へのメッセージをお願いします
同期の中で自分が主将になるってなって、その時から、最初から本当に自分のことを支えてくれてありがとうございますっていうのと、 最後4年生の意地を見せられたと思うんで、後輩に思いを託して、いつかみんなでまた試合を見に来られたらいいなと思っています。
ーー今試合でも3年生以下の活躍も目立ちましたが、来季以降も早大を担う後輩に向けてメッセージをお願いします
もう、なんて言うんですかね、悔し涙もそうですし、 こうやって良い試合したけど負けてしょうがないねみたいな。そういう試合はもうしてほしくないし、しないでほしいので、本当にこの悔しさ覚えて、この悔しさを糧にしてもらって、来シーズンはもっと自分たちより上を目指せると思うので、人数は少ないんですけど、人数少ないからこそまとまってチーム1つになって、来年こそ優勝を目指してください。応援しています。
ーー最後1月5日に早慶戦を残しています。意気込みをお願いします
早慶戦はフルメンバーではないので、今日が全員揃っている最後の試合だったんですけど、それでもそこで先輩たちが築いてくれたずっと勝ってるという歴史を途切れさせないために、ここで気を抜かずにしっかりと慶應をぼこぼこにしたいと思っているんで、インカレでは負けてしまいましたけど、最後早慶戦はしっかりとみんなで戦って、勝って優勝を飾りたいです。