スケート部ホッケー部門卒業記念特集 第2回 DF金井和『守ること』

アイスホッケー

守ること

 「氷上の格闘技」とも称されるアイスホッケーのプレーヤーは、明るく活発な選手が多い。ワイワイとはしゃぐ早大スケート部ホッケー部門の選手たちを、温かく見守る選手がいる。DF金井和(文構=東京・早実)だ。

対談に応じる金井。1年時(左)と引退後

 栃木県・宇都宮市で幼少期を過ごした金井は、小学校1年生の時、体験会に参加したことをきっかけにアイスホッケーに出会った。かっこよさにひかれ、地元のプロチーム・日光神戸アイスバックス(現H.C.栃木日光アイスバックス)の試合を見に行くなどして、アイスホッケーへの熱を高めていった。当時からDFのポジションで守りに徹し、小学校6年時には関東を制覇。「チームで勝つのが楽しかった」と小学生ながらも連携して勝利をつかむことの魅力に気付いた。

声を出す金井(2023年1月7日、早慶定期戦)

 中学は日光東中でプレーし、高校は早実高へ進学。現在コーチを務める松浦駿コーチ(平24スポ卒=北海道・釧路工)のプレーを地元で見たことや、ホッケーだけでなく学業にも力を入れられる環境を探した結果、早大進学を視野に入れ、早実高を選択した。戦術をしっかりと学べた中学時代に比べ、練習の機会が少なく、システムも重視できない早実高での環境は「どうやったらうまくなるんだ」と物足りなさを感じた。しかし、経験者と初心者が交わる特殊な環境の中でホッケーすることによる学びは、大学時代に生かされたと話す。

フェースオフを待つ金井(2023年1月7日、早慶定期戦)

 早大に進学すると、再び部活動の時間が増え、トレーニングの内容も厳しくなった。早実高での3年間を経た金井は「こういう環境でできるといいなと思っていた」と、恵まれている環境を意識して練習に取り組むことができた。新型コロナウイルスの影響でほとんど活動ができなかった2年生が終わると、あっという間に上級生になった。「チーム全体」への思いが強い金井は、後輩に声をかける時間を意識的に作る中で、コミュニケーションの取れる仲の良い関係性を目指した。そうして作られた「絶対一番仲が良かった」4年目のシーズンは、金井にとって16年間のホッケー人生を締めくくる最後の1年だった。練習には真面目に取り組み、試合では強気なチェックを貫いた。「もうちょっと勝てたら」と反省も残るが、「このチームでホッケーができてよかった」と笑顔で語った。

会場の歓声に応える金井(2023年1月7日、早慶定期戦)

 4月からは、新たな生活が始まる。アイスホッケーとは距離ができるが、「どこかしらでホッケーに携われたら」とも話す。DFとしてチームを守り、賑やかな部員を見守ってきた金井は、これからも周りの雰囲気を、そっと和ませていくのだろう。

(記事 田島璃子、写真 田島璃子、岡すなを)