東京2位、長野3位 上の世代から得た学び/国体決勝、3位決定戦

アイスホッケー

 ついに最終日を迎えた、特別国民体育大会冬季大会(国体)、アイスホッケー競技会。早大選手は決勝に臨んだ東京都にFW木綿宏太(スポ4=北海道・駒大苫小牧)とFW鎌田悠希(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が、3位決定戦に臨んだ長野県にDF務台慎太郎(スポ4=北海道・駒大苫小牧)FW大塚鵬蓉(スポ3=埼玉栄)FW共田野安(国教1=カナダ・ジョージエリオットセカンダリースクール)が参加した。東京都は北海道に力及ばず敗戦し、長野県は大差で勝利。それぞれ、2位と3位で国体を終えた。

★東京都代表(FW木綿、FW鎌田) 対北海道代表

 社会人を中心としたメンバーで構成された北海道代表に、東京都関東1部Aの選手を中心とした東京都が立ち向かった。先制点は開始8分に東京都が獲得。しかしその後、澤出仁(令3スポ卒)の活躍により北海道が続けざまに3点を連取し、第1ピリオドを終えた。第2ピリオドも1点目は東京都がパワープレーのチャンスを生かして手にするが、流れはつかめず。北海道が4点目を獲得し、さらにそのわずか11秒後に5点目を獲得すると、そのまま差を埋められなかった。東京都は第3ピリオド終盤に1点を返したが、3-8で敗戦した。シュート数は北海道が34に対し、東京都は61。チャンスを決めきれず、勝利を手繰り寄せられなかった。北海道は7連覇を達成した。

 

結果
北海道 ピリオド 東京
3(15) 1st 1(14)
3(11) 2nd 1(26)
2(78 3rd 1(21)
8(33) 3(61)
※( )内はシュート数

オールメンバー表
北海道 東京
30 山口 連 GK (株)テツゲン室蘭支店 石川 涼 GK 中央大学
33 高橋 勇海 GK (株)ダイナックス 35 梯 航輔 GK 法政大学
佐藤 光 DF  芽室町役場 11 畑山 隆貴 DF 中央大学
横山 恭也 (A) DF 幌清(株)室蘭本社 竹谷 莉央人 DF 明治大学
大澤 翔 DF アイシン北海道(株) 馬場 杏爾 DF 明治大学
 大場 大 (A) DF (株)ダイナックス 木村 俊太 DF 東洋大学
井上 剛 DF 黒崎播磨(株)  床 勇大可 DF 法政大学
10 阿部 魁 FW 新和産業(株) 13 松本 昂大 FW (株)STIフードホールディングス
坂本 颯 FW (株)ダイナックス 21 権平 優斗 (A) FW 中央大学
11 今村 健太朗 FW (株)ダイナックス 50 三浦 稜介 FW 明治大学
澤出 仁 FW 令3卒、(株)ダイナックス 10 中條 廉 (C) FW 明治大学
12 徳田 滉也 FW (株)ダイナックス 14 大竹 広記 FW 明治大学
13 矢島 翔吾 FW (株)ダイナックス 19 木綿 宏太 (A) FW スポ4
15  上野 拓紀 FW 平21卒、釧路トヨタ自動車(株) 18 鎌田 悠希 FW スポ3
14 小泉 智也 FW 日鉄セメント(株) 15 前田 拓杜 FW 東洋大学
16 今野 友尋 (C) FW (株)ダイナックス 16 中島 照人 FW 東洋大学

★長野県代表(DF務台、FW大塚、FW共田) 対埼玉県代表

 3位決定戦に臨んだ長野県は小学校、中学校時代を長野で過ごした選手が多く、地元愛の強いチーム。埼玉県代表を相手に、序盤から流れを渡さずに得点を重ねた。第1ピリオド3点目はDF務台の得点。自ら運び出したパックを、早大OBのFW青木優之介(平29スポ卒)FW青木孝史朗(令2スポ卒)を介してつなぐ。パスに合わせてDF務台が打ち込み、ゴールを決めた。8点目はFW共田のゴール。この得点もFW青木孝のアシストで、パックを丁寧にゴールに差し込んだ。DF務台は1ゴール1アシスト、FW大塚は2アシスト、FW共田は1ゴールを記録。長野県としては最高順位の3位を1979年以来44年ぶりに達成し、「長野県の代表として、少しでも県内のアイスホッケー普及に貢献できれば」と語ったDF務台は「素直にうれしい」とよろこんだ。

 

結果
長野県 ピリオド 埼玉県
4(16) 1st 2(9)
3(16) 2nd 0(6)
1(14) 3rd 0(10)
8(46) 2(25)
※( )内はシュート数

 

オールメンバー表
長野
小池 丈二 GK 三菱地所株式会社 30 丹治 大輝 GK 大東文化大学
33 柏原 瑞 GK 法政大学 19 川上 塁 GK 立教大学
塚本 怜司 DF  上田信用金庫 10 中居 隼都(C) DF 平23卒、(株)野村信託證券
12 務台 慎太郎 (A) DF スポ4 15 佐藤 育也 DF 日本製紙(株)
大和 純也 DF 東洋大学 在家 虎仁朗 DF 日本体育大学
11 横須賀 未来 DF ウエスタンアイオワテックコミュニティーカレッジ 18 成瀬 翼 DF 明治大学
横須賀 大夢 DF 中央大学 村社 海莉 DF 明治大学
16 青木 優之介 FW 平29卒、長野市役所 馬場 風諒 FW (株)リクルートスタッフィング
13 牛来 森都(C) FW 三井住友銀行 13 井口 藍仁 FW 明治大学
18 青木 孝史朗 FW 令2卒、長野市役所 11 平田 祥紘(A) FW 平25卒、(株)HRC
21 亀田 歩夢 FW 明治大学 斉藤 世龍 FW 大東文化大学
22 丸山 詳真(A) FW 明治大学 12 長谷川 宗矩(A) FW 石岡市消防
10 大塚 鵬蓉 FW スポ3 17 菅原 聡太 FW 大東文化大学
19 横須賀 颯人 FW アイオワ州立大学 16 上野 懸勢 FW 立教大学
山崎 創也 FW 東洋大学 14 荒井 大空 FW 法政大学
共田 野安 FW 国教1 坂本 大地 FW 大東文化大学

(記事・写真 田島璃子)

コメント

北海道代表・澤出仁(令3スポ卒)

――1ゴール3アシストと、存在感を見せた決勝を振り返っていかがですか

 東京は学生が多くて走ってくるというのは前から分かっていたことなので、社会人(プレーヤー)として練習もしていますし、頭使って足を使って、というプレーで勝つ、ということが体現できたので良かったと思います。

――東京にはFW木綿、FW鎌田と後輩がいました

 鎌田は途中で肩をケガしちゃって出られなかったですが、木綿の方は来年からプロでプレーするということを聞いたので、頑張ってほしいです。またこうして一緒にプレーできるっていうのはありがたいことですし、貴重な経験です。

――最後に、OBとして、現役の学生にメッセージをお願いします

 僕は4年生の時に1年間プレーできなかったというのもあるので、学生ならではのこの時間を、本当に大切にしてほしいです。大学の4年間を過ごした仲間っていうのは本当に大切な存在だと思っていて、今回の国体でも先輩方であったり、後輩であったり、早稲田のOBで集まったりしていたので、本当にかけがえのない仲間だと思います。インカレ優勝、春大会優勝と掲げていると思うので、そこに向けてチーム一丸となって頑張ってほしいです。

東京都代表・FW木綿宏太(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――顔に書いている黒い線はなんですか

 フラットがめちゃめちゃ明るかったので、まぶしいって聞いていたから、メジャーリーグみたいにやってみようかなと。

――効果はあったんですか

 あったと思います。ちゃんとコルクを買ってきてやりました。調子が良かったから付けていただけです。

――きょうの試合の振り返りをお願いします

やっぱり北海道は強かったです。いろいろ反省点する点はあったかなと。シュート数は多かったので。

――大会全体を通して、3位という結果も含め、どのように振り返りますか

 優勝したかったのはもちろんなんですが、北海道はすごくいいチームだったので、順位的には、このぐらいかなと。今年は、去年よりも、1回戦、2回戦がきつかったです。楽しかったです。

――国体には、どのような価値や意義があると思いますか

 いろいろなチームの選手と一緒に楽しくホッケーができるので、その点がすごくいいかなと思います。

東京都代表・FW鎌田悠希(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――決勝を振り返っていかがですか

 結果は大差で負けてしまったんですけど、チャンスはあったので、そういうところを決めていければもうちょっといいゲームになったんじゃないかなとは思います。

――国体はどのような期間でしたか

 国体に来ないとこういう他の県の社会人とか、他のチームの人とプレーすることもないので、それがすごく楽しかったです。いい経験になりました。

――顔に書いていた反射よけの線の効果はありましたか

 なかったです。木綿さんとかはなんか「調子いい。調子いい」とか言ってましたけど。(誰からともなく)「みんなでやろうよ」みたいな感じで1試合だけやっていました。

――国体にはどのような意義があると感じましたか

 年齢関係なくいろいろな世代の人が集まって試合をするっていうことで、東京は学生主体ですけど、他のチームはおじさんも若い人もいて。皆で集まったチームでやるので、それはいい刺激になりますし、社会経験としていいかたちなんじゃないかなと思います。

長野県代表・DF務台慎太郎(スポ4=北海道・駒大苫小牧)(書面インタビュー)

――大差で勝てた3位決定戦を振り返っていかがですか

 試合前は相手にパックを持たれる時間が多いかと思いましたが、試合を通してこちらのペースで進めることができましたし、失点も最小限に抑えることができました。また、44年ぶりの3位入賞という結果を勝ち取ることができて、素直にうれしいです。

――大会全体を振り返っていかがですか

 歴代の長野県チームの中でもトップレベルの選手が集まったと思います。個人技を生かしながら、試合を重ねるごとにチーム力の高まりも感じました。

――長野県チームの面白い選手を教えてください

 横須賀颯人です。高校、大学をアメリカで過ごしていることで、随所でフレンドリーさを発揮してチームのムードを高めていました。また今回の長野県のチーム内では双子の弟の未来、弟の大夢の三兄弟で出場していました。三兄弟の掛け合いもチームの雰囲気を和やかにしていました。

――国体にはどのような意義があると感じましたか

 かつてチームメートだった選手と同じチームでプレーできる機会はなかなかないので、貴重な経験だったと思います。また、故郷を背負ってプレーできる数少ない試合なので、自分の生まれ育った地に貢献できることはうれしく思います。さらに、今回の長野県の成年チームは県内の高校を卒業した選手が1人もおらず、(長野県のアイスホッケーは)深刻な現状を抱えています。そんな中で、長野県の代表として、少しでも県内のアイスホッケー普及に貢献できればと思っていました。3位入賞という結果を残せたことは、長野県のアイスホッケー界に少しでも影響を与えることができたかと思います。

長野県代表・FW大塚鵬蓉(スポ3=埼玉栄)(書面インタビュー)

――埼玉県と争った3位決定戦を振り返っていかがですか

 私は埼玉の高校出身で、切礎琢磨(せっさたくま)してきた同級生などと対戦することができたのがとても感慨深かったです。

――大会全体を通して、どのように振り返りますか

 小学生から一緒にアイスホッケーをやっていたメンバーと約10年ぶりに再び同じセットでプレーすることができたのがとてもうれしかったです。

――長野県チームの面白い選手を教えてください

 横須賀颯人、キャニオン ブラウンです。アメリカ仕込みの親しみやすさで、誰にでもぐいぐい行ける一面と、注意されるとすぐに反省する素直な一面を持ち合わせています。

――国体にはどのような意義があると感じましたか

 ほとんどの人が自分のチームが地元だと思うので、小さい頃にお世話になった地元に恩返しやお世話になった人々に自分の成長を伝えることができる、という意義があると思います。

長野県代表・FW共田野安(国教1=カナダ・ジョージエリオットセカンダリースクール)(書面インタビュー)

――大差で勝てた3位決定戦を振り返っていかがでしたか

 すごくプレーしていて楽しく、ワクワクしたゲームでした。チーム全員、「3位を取る」という思いで戦っていたように感じ、他のゲームに比べると長野県のしたいホッケーが一番できた試合のように感じました。その影響で大差で勝ち、得点も決めることができたと思います。

――3位という結果も含め、大会全体を振り返っていかがでしたか

 改めて考えると3位までいけたことがすごいことだと感じ、達成感が湧いてきました。しかし北海道に勝つことができなく、悔しい思いも残りましたので来年は1位を狙いたいです。

――長野県チームの面白い選手を教えてください

 横須賀はやと先輩、キャニオン。すごくキャラクターのある選手です。アメリカに住んでいることもあり、すごくフレンドリーな性格をしているので、機会があればぜひ話してみてください。

横須賀颯人(アイオワ州立大学、写真は2月4日準決勝)

現役部員の所属
所属 選手
長野県 DF務台慎太郎(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
FW大塚鵬蓉(スポ3=埼玉栄)
FW共田野安(国教1=カナダ・ジョージエリオットセカンダリースクール)
東京都 FW木綿宏太(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
FW鎌田悠希(スポ3=北海道・駒大苫小牧)
神奈川県 FW林風汰(教4=東京・早実)
FW林幹汰(文2=東京・早実)
栃木県 FW金井真(スポ3=北海道・苫小牧東)
FW清水朝陽(社1=北海道・武修館)
愛知県 DF棚橋俊太(スポ2=愛知・東海)