決死の覚悟で挑んだ山場 早大、散る/東洋大戦

アイスホッケー

 東洋大の壁は高かった。新横浜で行われた日本学生氷上競技選手権(インカレ)準々決勝、早大は強豪・東洋大と対決した。第1ピリオド、キルプレーで失点すると、その後も各ピリオド1点ずつ取られ、0-3で敗北。第2ピリオドはシュート数で上回るなど、決して防戦一方の試合ではなかったが、勝利をもぎ取ることはできなかった。

円陣をする選手たち

 これまでの大きな円形ではなく、DF務台慎太郎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)を中心に集まる円陣で始まった準々決勝。東洋大のフォアチェックに押される中、開始2分37秒でキルプレーのピンチが訪れる。懸命に守る早大だったが、こぼれたパックをゴール前で押し込まれ、失点してしまった。下を向くGK千葉琉矢(スポ3=北海道・武修館)に、ベンチから控えGKの飯見拓未(社1=東京・早実)が「琉矢さん、しょうがないよ!」と声を掛ける。13分38秒、パワープレーのチャンスが生まれるが、攻めのかたちを保てず得点とはならなかった。その後は数多くのピンチをGK千葉を中心に守りきり、緊迫した空気に、ベンチは静かなまま第1ピリオドを終えた。

試合を見つめる早大ベンチ

 第2ピリオドは約1分30秒間のパワープレーから始まった。第1ピリオドでのパワープレーとは違い、落ち着いたパス回しからゴールのチャンスをうかがう早大。FW金井真(スポ3=北海道・苫小牧東)が振り向きざまに放ったシュートを相手GKが取りこぼし、GKの背中とゴールの間に落ちたが惜しくもゴールとはならなかった。その後、得点のチャンスはあったものの、相手GKに捕らえられてしまった。GK千葉もスーパーセーブを見せ、一進一退の攻防が続く。13分30秒には4分間のパワープレーのチャンスが訪れ、丁寧に攻めるが、ゴールが動いたり、相手GKにキャッチされたりするなどして得点にはつながらなかった。そして18分36秒、ゴール前に落ちたパックを外に出せず、押し込まれて失点。2点差で第3ピリオドを迎えることとなった。

失点直後、GK千葉に声をかけるDF務台主将

 第3ピリオド、前半はGK千葉が好セーブを見せ、6分20秒に訪れたキルプレーも守りきり、得点は動かない。残り時間は刻々と減り、第3ピリオドで2点、ないしは勝ち越せる3点が欲しい早大の戦況が徐々に厳しくなる中、ペナルティーが増え始める。終盤には相手ゴール前のこぼれたパックを押し込もうとしたFW金井真が東洋大の選手になぎ倒され、共にペナルティーを取られる展開に。17分55秒には、リンク中央付近で奪われたパックをゴール前に運ばれ、一対一になり、失点。残り時間がわずかとなる中、早大は得点力のある選手を集め、さらに途中でGKを上げて6人攻撃を実行するがゴールネットは揺らせず。4年生の公式戦引退が決まった。

走るFW木綿宏太副将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

 早大にとって東洋大は、約1年前の抽選でベスト8で当たることが分かってから、意識せざるを得ない相手だった。傍から見れば、個々の実力の差は明らかで、早大が東洋大に負けるという結果は「予想通り」かもしれない。しかし、早大の選手は勝利を信じて本気で戦い、敗北に悔し涙を流した。試合後、呆然と立ち尽くす下級生と、落ち込む選手に声をかけるFW林風汰(教4=東京・早実)とFW林幹汰(文2=東京・早実)。晴れやかな表情を見せるFW木綿宏太副将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)。最後まで早大らしく戦い抜いた選手には、会場から大きな拍手が送られた。

 来年1月7日、早慶戦が現体制の最後の試合となる。1年間の集大成を見せ、「早稲田のホッケー」を思う存分に体現するだろう。

(記事 田島璃子 写真 大貫潤太、岡すなを、田島璃子)

結果
早大 ピリオド 東洋大
0(9) 1st 1(23)
0(13) 2nd 1(11)
0(9) 3rd 1(15)
6(31) 2(49)
※( )内はシュート数

得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 GS
東洋大 03:03 前田 大久保 PP1
東洋大 38:36 中島 宮田 山崎 EQ
東洋大 57:55 中島 EQ

早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
林風 木綿 大塚 務台 沼田
川本 清水 鎌田 棚橋 松下
上山 共田 金井真 有賀 金井和
平林 田中 江島
  林幹 仲見
GK 千葉

堤広利監督(平10人卒=東京・早実)

――今日の試合を振り返っていかがですか

 非常に悔しいゲームでしたね。勝ちきれませんでしたが、今シーズン一番良いゲームだったと思います。やろうとしていたことはできていはいましたが、全部できていたわけではなくて。向こうの方が少し上だったのかなと思っております。

――試合前には選手にどのような声をかけましたか

 ずっと同じことです。相手が誰であろうと同じで、自分たちがやってきたことを全てぶつける。基本的なところを正確に、という話をしています。

――第3ピリオドのタイムアウトでは選手にどのような話をされましたか

 点差は3点でしたが、最後GKを上げて点を取るしかないので。一度選手を休ませて、GKを上げるタイミングを指示して、最後なんとか点を取ろうというチャレンジでした。

――インカレの結果を踏まえ、選手にはどのようなことを伝えたいですか

 まずはここまでチームを引っ張ってくれた4年生に感謝したいです。3年生以下は、少し届かなかった、この壁を超えるために、来年1年間頑張っていこうと話しました。

――最後に早慶戦に向けて

 いい状態で来ていますので、この状態を保ったままいいゲームができればいいなと思っています。