法大と競り合いの末に敗北 インカレ準々決勝で涙をのむ

アイスホッケー

 24日に開幕した日本学生氷上競技選手権(インカレ)。1回戦、2回戦を大差で勝利し迎えた準々決勝で戦う法大は、関東大学リーグ戦(リーグ戦)で早大が白星を挙げている相手。第1ピリオド(P)、開始2分で先制点を決められるが終盤で同点に。第2Pで一時はリードを許したものの逆転し優勢な状況になったが追いつかれてしまう。そうして4-4で迎えた最終P。先に得点したのは法大でその後も点を重ねていくが一方の早大は1点しか追加点を挙げることができず5-8で敗北。準決勝を手前にしてインカレの幕は閉じた。

 第1P、先制点を挙げたのは法大。開始2分で得点を決めると、ベンチで歓声が沸く。その後、法大のペナルティーで早大がパワープレー(※1)となり有利な状況が続くが得点することができない。その後もシュートを狙うがあと一歩のところで阻止されてしまう。しかしこのP残り3分で、FW上山響平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)の右サイドから放ったシュートがネットを突き刺した。その追加点で同点となりインターバルへ。

この日先制点を決めた上山

 第2P、序盤から法大の鋭いシュートがゴールに飛ぶが、GK村上隼斗(北海道・駒大苫小牧)がしっかりと守る。しかし、早大のペナルティーで相手に有利な状況を作ってしまうと、ここで得点を許し、さらに1点を追加され差は広がっていく。ここでも流れを変えたのは第1Pでゴールを決めた上山。13分15秒にシュートが入ると、その流れでFW杉本華唯主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)がゴール後ろに回りこみ、キーパーの隙を狙う技ありショットを決める。早大の流れになってきたところでFW鎌田悠希(スポ2=北海道・駒大苫小牧)の放ったパックが、法大のディフェンスをきれいにすり抜けてゴールに入りこれが逆転打となるが、相手も黙ってはいない。直後、法大のシュートがネットを揺らし、同点で勝負が決まる最終Pを迎える。

3点目のゴールを決めた杉本主将

ゴールを狙うFW北村瑞基(商4=東京・早実)

 序盤から法大の打ったパックがゴールの端にあたり音を立て、ゴールにはならなかったが早大ホームに緊張感が走る。その後も相手の惜しいシュートが続き、その流れで先に得点したのは法大。ベンチはこの日一番の盛り上がりを見せる。焦りがプレーにも表れ相手のペースで試合が展開し2点差となり、早大がタイムアウトを取る。キーパーをベンチに送り、6人攻撃でシュートを狙うが、法大にエンプティシュートを決められてしまう。その後、DF棚橋俊太(スポ1=愛知・東海)が正面から得点を決めるが、またもや空のゴールに法大の打ったパックが入り5-8。そして試合の終わりを告げるブザー音が無観客の会場に鳴り響いた。ここ数年超えられない準々決勝の壁は高く、悔しさが残る無念のインカレ敗退となった。

法大のシュートを止める村上

 「可能性はあるチームでしたので、もう少し試合をさせてやりたかったというのが正直な気持ちです」と試合翌日に言葉を残した内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)。リーグ戦でも4位という悔しさの残る結果となったが、その中で上位校とも戦えるという可能性を秘めたチームでもあった。そして、そこからわずか1か月で迎えたインカレは、今シーズン最後であると同時に、4年生にとっては公式戦最後の大舞台。「このメンバーで優勝したいと思っていたのでここでは絶対に負けられないと思っていました」(上山)。4年生、そして4年生と戦う最後の大会である下級生にとっても、特別な思いがあったが、準々決勝で惜しくも法大に黒星を喫した。その結果を前に「チーム全員でやるべきことをやることがどれだけ重要でどれだけ難しいかを痛感した一年でした」と杉本主将は悔しさ混じりで語った。

パックを運ぶDF住友愛斗(教4=東京・早実)

副将としてチームを支えた大塚脩

『Tenacity』。このチームスローガンを掲げて挑んだ今シーズン。結果として、今回日本一の道は断たれたが、ともに戦ってきた1-3年生のメンバーはきっと来シーズン、そして次のシーズンとこのメンバーとホッケーをして感じた喜び、そして悔しさを胸に戦っていくだろう。
次の試合は、1月8日に行われる早慶戦。この伝統の一戦は4年生にとって本当に最後の試合となる。「泣いても笑っても、このチームで出来る最後の試合なので、全力で楽しんで、笑顔で終われたら良いなと思います」(FW大塚脩世、スポ4=長野・佐久長聖)。この言葉の通り、きっと思い出の東伏見のリンクで最高の笑顔を咲かせ、勝利で花道を飾ってくれるだろう。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 岡すなを、写真 田島璃子、大貫潤太)

※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 法大
1(18) 1st 1(7)
3(13) 2nd 3(13)
1(6) 3rd 4(15)
5(37) 8(35)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
法大 01:20 小金澤 金澤 北川 PP
早大 16:44 上山
法大 29:32 金澤 高橋 齊藤 PK
法大 30:07 伊藤
早大 33:15 上山 北村 杉本
早大 35:04 杉本 有賀
早大 36:03 鎌田 木綿
法大 38:00 伊藤 金子
法大 51:10 山村 金子 伊藤
法大 53:02 安藤 金澤 栗原
法大 57:41 安藤 栗原
早大 58:59 棚橋 務台
法大 59:59 砂岡
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
上山 杉本 林幹汰 務台 棚橋
鎌田 木綿 大塚鵬蓉 大塚脩世 沼田
金井真 田中 北村 住友 有賀
川本 仲見 林風汰 金井和 松下
GK村上→B-GK千葉
試合翌日コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――準々決勝から一夜明けた今のお気持ちを聞かせてください

準々決勝を突破できる絶好のチャンスでしたので、無念でなりません。

――試合を振り返っていかがですか

たくさん点を取れるチームではないので、リーグ戦のように1点ずつ積み重ねたかったですが、打ち合いをしてしまいました。どちらかというと法政のゲームでした。

――勝敗を分けた部分はどこにあると思いますか

逆転した後、2点差をつけるまで我慢できなかった点です。すぐに同点に戻され、こちらのペースに引き込むチャンスを失いました。

――今年1年の戦いぶりを振り返っていかがですか

「あともう少し」と感じる試合が多いシーズンでした。

――今年のチームはどんなチームでしたか

「すべてが2年ぶり」という一年でした。1、2年生はすべてが初めてで、上級生、特にキャプテンはチームを引っ張ることに苦労したと思います。そのような中でも現状を受け入れ、最善を尽くし、決して強くはないチームをシーズン終盤には上位校にもう少しで手が届くところまで詰め寄ることができました。可能性はあるチームでしたので、もう少し試合をさせてやりたかったというのが正直な気持ちです。

FW杉本華唯主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――準々決勝から一夜明けた今のお気持ちを聞かせてください

一夜明けても悔しいです。

――試合を振り返っていかがですか

早稲田の良い部分、悪い部分が全部出たのかなと思います。

――得点の場面もありましたがご自身のプレーを振り返っていかがですか

もっと得点に絡み、チームを助けるべきでしたが、失点の方に絡む機会が多く、チームを助けることができませんでした。

――勝敗を分けた部分はどこであると思いますか

第2ピリオドを4-3で勝ち越し、そのまま折り返せたら良かったのですが、最後に失点してしまい、4-4で折り返すことになった部分だと思います。

――今年一年の戦いを振り返っていかがですか

今年一年、後輩たちにすごい助けられたなと感じています。正直、僕自身が何かしてあげられたかというと、何もしてあげられていなく、後輩たちの頑張りから学ぶことが多かったように思います。チーム全員でやるべきことをやることがどれだけ重要でどれだけ難しいかを痛感した一年でした。

――早慶戦への意気込みをお願いします

最後くらいは勝って、今までお世話になった方々へ恩返ししたいと思っています。応援のほど、よろしくお願いいたします。

DF大塚脩世(スポ4=長野・佐久長聖)

――準々決勝から一夜明けた今のお気持ちを聞かせてください

もちろん悔しい気持ちはありますが、正直気持ちの整理が追いついていません。もうこのチームでの公式戦が1つも残ってないことが俄に信じがたいです。でも、今後アイスホッケーで、このような大舞台に立てることはないと考えると、この4年間、本当にいい経験をさせてもらえたと思っています。応援してくださった方々には、ベスト8の壁を破るチャンスがあったにも関わらず、負けてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。

――試合を振り返っていかがですか

法政大学は、序盤からどんどんパックをゴール前に集めるホッケーをしていて、それに上手く対応しきれなかったのかなと思います。得点はするものの、すぐ得点し返されたり、突き放されたりしたのが、今回勝てなかった敗因だと思います。

――DF全体のプレーを振り返っていかがですか

全体的にディフェンスラインをもっと上げなければいけなかったと思います。下がっていたせいで、相手に簡単にエントリーされるシーンがいくつもあり、失点にも繋がってしまいました。

――勝敗を分けた部分はどこであると思いますか

第2ピリオドを勝ち越して終われなかった所です。あそこで勝ち越していれば、第3ピリオドはまた違った攻め方が出来ていたと思いますし、相手にもプレッシャーを与えれてたと思います。

――今年一年の戦いを振り返っていかがですか

4年生が少ないこともあり、3年生はじめ、後輩たちに助けられた1年間だったと思います。実際、昨日の法政戦でも、5点中4点は1、2年生が取ってきてくれましたし、そもそもセットの半分以上が下級生です。リーグ戦やインカレが今年初めての選手が多い中、みんな一生懸命頑張ってくれたと思います。また、(杉本)華唯を中心に舵を切っていたんですけど、加えて3年生もチームをまとめることに協力してくれて、最終的にはチーム一丸になって、戦うことができたのかなと思います。

――早慶戦への意気込みをお願いします

泣いても笑っても、このチームで出来る最後の試合なので、全力で楽しんで、笑顔で終われたら良いなと思います。

FW上山響平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)

――準々決勝から一夜明けた今のお気持ちを聞かせてください

まだ悔しさが消えません。

――試合を振り返っていかがですか

先制点を取られて焦りがありました。防げる失点が多かったので守りきれなかったということに悔いが残ります。

――昨日の2得点、どちらのゴールも流れを変えるものだったと思いますが、振り返っていかがですか

先制点を取られて少し焦りがありましたがチームの勢いを取り戻すことができたという点ではよかったと思います。

――4年生はこのインカレが公式戦最後でした。どんなことを思いながら試合に臨んでいましたか

このメンバーで優勝したいと思っていたのでここでは絶対に負けられないと思っていました。

――今年一年の戦いを振り返っていかがですか

他の大学にはない良さがあり、チームワークも良いチームだったので他の強豪とも戦うことができていたと思います。法政大学には秋リーグで勝っていたので今回勝てなかったということに悔いが残ります。

――早慶戦への意気込みをお願いします

4年生と一緒にプレーできるのが早慶戦で最後なので楽しんで悔いが残らないようにして必ず勝って笑って終われるようにします。