夏の北海道で幕を開けた秋の関東大学リーグ戦(リーグ戦)の前哨戦である、大学交流苫小牧大会(サマーカップ)もついに最終日。準決勝で法大に惜敗した早大は、3位の座をかけて東洋大との対戦に臨んだ。リードされる展開となると、巻き返しを図るも一歩届かず3-5で敗戦。最終順位は4位で締めくくり、上位校に対してのわずかな差を痛感する大会となった。
前日の法大戦で敗因として挙がった立ち上がりのプレーは、この日はエンジン全開とはいえないまでも改善され、試合が進んでいく。今大会初めて先発に起用されたGK村上隼斗(スポ2=北海道・駒大苫小牧)の好守もあり、第1Pは両者無得点で終える。先制点を奪った方が勝利に一歩近づく。そんな状況のなか、最初に赤いランプを点灯させたのは東洋大だった。続けて2点目を奪われるが早大も負けてはいない。29分40秒に、ここまで毎試合ゴールを決めてきたFW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)がこの日もネットを揺らす。立て続けに迎えた数的有利なPP(※1)だが、東洋大に何度もパックをDゾーンへとクリアされ、チャンスをものにできない。前日と同様に1-2とリードされるかたちで第3Pへ。
安定したプレーで層の薄いDF陣を支えたDF吉野泰平(社3=東京・早実)
第3P開始から数秒、FW杉本華唯(スポ2=北海道・駒大苫小牧)がゴールを決め同点に追いつく。何としてでも次の1点がほしいという選手たちの気持ちと比例するように、運動量も上がり、シュート数も増えていく。だが先に追加点を奪ったのは東洋大だった。ここまで大きく早大を上回る数のシュートを放つ東洋大の攻撃を必死に防いできたDF陣と村上だったが力尽き3失点を喫すると、スコアは2-5。逆転の厳しくなった終盤、今大会安定してゴールをたたき出している第1セットのFW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)が3点目をマーク。春の大会では一度もネットを揺らすことができなかった澤出だが「少しでも点数でチームに貢献できるようにしていきたいなと思って臨みました」という今大会はチームトップの5得点と結果を残してみせた。最後はGKをベンチに下げ、6人攻撃を敢行するも得点は奪えず。3-5と上位校へ一歩届かなかった今大会を象徴するかのようなスコアで、敗戦となった。
今大会チームトップの5ゴールをマークした澤出
サマーカップを終え、「まだ少し上とは差があるのかなという感じもしますし、だからといって全く歯が立たないというわけでもない」というように強豪との差はそれほどあるわけではないと内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)は分析する。長らく大学アイスホッケー界に君臨してきた王者・明大がサマーカップでは準決勝に進むことができず、まもなく開催されるリーグ戦は混戦模様が予想される。今大会を通して、自分たちの実力を測れたであろう早大。課題として挙げられた調子の波、そして不安定な立ち上がりのプレーをここからどれだけ改善していけるか。リーグ戦では一戦一戦のプレーの精度の浮き沈みを減らし、昨年のようなアグレッシブな早大の姿が見られることに期待したい。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 小林理沙子、写真 糸賀日向子)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 東洋大 |
0(5) | 1st | 0(13) |
1(5) | 2nd | 2(17) |
2(15) | 3rd | 3(12) |
3(25) | 計 | 542) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
東洋大 | 21:46 | 中村 | 川口 | ― | PP |
東洋大 | 25:48 | 千葉 | 藤原 | ― | – |
早大 | 29:40 | 生江 | 篠田 | ― | – |
早大 | 40:11 | 杉本 | 務台 | ― | – |
東洋大 | 43:08 | 前田 | 石倉 | ― | ‐ |
東洋大 | 47:22 | 石橋 | 長原 | ― | ‐ |
東洋大 | 53:44 | 武部太 | ― | ― | – |
早大 | 56:15 | 澤出 | 生江 | 務台 | PP | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 澤出 | 青木 | 杉本 | 篠田 | 務台 |
2 | 木綿 | 生江 | 伊東 | 吉野 | 草島 |
3 | 北村 | 河田 | 前田 | 住友 | 大塚 |
4 | チェイス | 冨田 | 林 | 金井 | 加賀美 | GK村上 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――まず立ち上がりの部分はいかがでしたか
エンジン全開というほどでもないけど、まあまあかな。60点くらいかな。0―0で終われたのは良かったんだけれども先に点数がほしかったですね。
――試合を通して早稲田らしいプレーはできましたか
昨日のきょうなのでなかなか難しいところもあったんだけど、一生懸命やっていたことは一生懸命やっていたというのは伝わってきましたけど、まだまだ基本的な技術が追いついていないのかなという感じです。
――GKは村上選手が先発でした
そうですね。前から仮に決勝だとしても村上でいくと決めていたので、コーチ陣で話して。良くも悪くも今の彼の実力が出たのかなと思います。
――大会を総括していかがですか
非常に波のある大会でした。だらしない時や、きっちりやればそれなりに点数をつけられるということもわかりましたし、まだちょっと上とは差があるのかなという感じもしますし、だからといって全く歯が立たないというわけでもありません。いつも通りのどっちに転ぶかわからない早稲田大学ですけど、それをリーグ戦では一戦一戦。この波をずっと続けていったら一勝一敗にしかならないので、そうであればどう頑張っても4位5位にしかなれません。一試合一試合新たな気持ちで積み上げていくということをしなければいけないので、生活、普段の練習からもう一度洗って、残り少ないですけど1週間東京に帰って挑戦して、開幕を迎えたいと思います。
――リーグ戦に向けて修正したい部分は
やっぱり気持ちがないとできないので気持ちの部分もありますし、後は基本的な技術、パスレシーブ、体を張ってパックを守る、運動量の多いホッケーを相変わらず目指していきたいなと思います。
――リーグ戦への意気込みをお聞かせください
もちろん選手も優勝と言っていますし、私も優勝したいので、今言ったことを一試合一試合丁寧に正確に積み上げていきたいと思います。
FW青木孝史朗主将(スポ4=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
早稲田のホッケーが100%出せたかというと全然出せてはいなかったんですけど、収穫のあった試合かなと思います。
――立ち上がりはいかがでしたか
試合全体を通して1対1の弱さだったり、ルースパックの寄りが遅い部分があったかなと思っています。
――FW陣の連携はいかがでしたか
最初の同志社戦、日大戦は第1セットだけで見たら得点が取れていて良い流れでした。でもレベルが上がった法政戦、きょうの東洋戦になってから得点力が落ちて失点するシーンも多かったので、まだまだどこのセットもそうですけど、失点するプラスマイナスで考えたらマイナスの方が多いので、そこはすごく改善すべき点かなと思います。
――チーム全体の課題はどのような点でしょうか
第一試合もそうだったんですけど、まだ去年まであったようなアグレッシブさが足りないなと思っているので、それが課題かなと思っています。
――秋リーグに向けて一言お願いします
夏大会をやって、自分たちもきょうの結果が実力だということは分かっているんですけど、大差ではないと自分たちでは思っています。これから2ヶ月という長いリーグ戦があるんですけど自分たちの今後の取り組み方、練習の仕方によっては結果が大きく変わってくるのではないかなと思っているので、リーグ戦に向けてチーム一丸となって頑張りたいと思います。
FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
立ち上がりに失点して流れが悪かったんですけど、今大会通してスタートが悪くてという流れが多くて今回もまたスタートが悪かったので、秋リーグに向けて修正していきたいと思います。
――ゴールシーンを振り返っていかがでしたか
今回PPが多くあったんですけど点数を入れられていなくて、点数を入れたい場面だったので、生江選手からパックが来たので良かったと思います。
――第1セットの連携はいかがですか
去年からもう何回も組んでいて阿吽の呼吸というんですか、徐々にできていると思います。でもまだまだ改善できるところはあると思うので、秋リーグにむけて改善していきたいと思います。
――今大会で毎試合ゴールを決めていましたが調子がいいのでしょうか
調子とかではないんですけど、やはり春(関東大学選手権)0点でチームに貢献出来なかったというのが大きいので、少しでも点数でチームに貢献できるようにしていきたいなと思って今大会臨みました。少なかったですけど点数に絡めたので良かったと思います。
――秋リーグに向けて一言お願いします
優勝を目標にしたいんですけど、まず一戦一戦初戦から全力でいけるようにコンディションを整えて頑張っていきたいと思います。