冬の北海道で、日本一を懸けた熱い戦いが幕を開けた。5年ぶり悲願の優勝を目指す早大の初戦の相手は上智大。格下相手に付け入る隙を与えず、30-0で快勝した。普段は出場機会の少ない選手たちのゴールも飛び出し、2回戦以降に弾みをつける勝利となった。
開始早々に2点を奪うと、2分4秒にはDF大塚脩世(スポ1=長野・佐久長聖)の公式戦初ゴールが決まる。関東大学リーグ戦(リーグ戦)2位の実力をいかんなく発揮し、豊富な運動量で上智大を圧倒する早大。ほとんどの時間をアタッキングゾーンでプレーし、淡々と得点を積み重ねていく。第1ピリオド(P)が終わった時点でスコアは9-0、シュート数は37-1。続く第2Pも早大のペースで試合は進む。23分59秒には、DF吉野泰平(社2=東京・早実)のうれしい公式戦初ゴールが決まり、その2分後にはFWマッテオ・チェース(国教3=Camden Hills Regional High School)がネットを揺らす。ここぞの見せ場をものにした選手たちのゴールに、試合はこの日一番の盛り上がりを見せた。
久しぶりのゴールに喜びを爆発させ、チームを盛り上げた大石
第2P中盤には数的不利なPK(※2)の状態となるも、上智大をゴールに近づけない。21-0で迎えた最終Pはまず、この日6ゴールと大活躍のFW飛田烈(商4=東京・早実)が、持ち味であるハンドリングを生かし得点をマークする。するとそれを皮切りに、早大が再び得点を量産していく。FW前田悠佑(社2=東京・早実)、FW伊東勢司(政経2=東京・早実)の両選手は、この日4得点ずつを奪う攻撃力を見せつけ、観客に来年以降への期待も抱かせた。FW陣の奮闘で大量得点を奪うと、DF陣もそれに応えゴールを割らせない。しっかりと完封勝利を収め、30-0で危なげなく初戦を突破した。
2得点3アシストを挙げたチェース
第1セットから第4セットまでが満辺なく得点を奪い、手堅く初戦を突破した早大。4人もの選手が公式戦初ゴールを決め、日本学生氷上競技選手権の初戦としてはこれ以上ない充実した試合内容となった。しかしパスの正確性やパックを求める声など、まだまだ足りない部分もある。早大の強みである豊富な運動量に加えて、「うちの課題は決勝に行くまでそれに尽きる」(内藤正樹監督、平3二文卒=北海道・釧路湖陵)というパスレシーブの精度を上げることが、ここからは重要となる。次戦、関東大学ディビジョンⅠグループAに属する東海大を倒した勢いのある札幌大との対戦が待ち受けている。4年間阻まれてきたベスト4のカベを打ち破るために、まずは確実に1勝をつかみ取りにいく。
(記事 小林理沙子、写真 佐々木一款)
結果 | |||||
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早大 | ピリオド | 上智大 | |||
9 | 1st | 0 | |||
12 | 2st | 0 | |||
9 | 3st | 0 | |||
30 | 計 | 0 |
対上智大 得点表 | ||||
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選手名 | 得点 | アシスト | ||
#2北村瑞基 | 2 | ― | ||
#4チェース | 2 | 3 | ||
#7大塚脩世 | 1 | ― | ||
#9生江太樹 | 1 | 1 | ||
#10住友愛斗 | 1 | ― | ||
#11加賀美俊介 | 1 | 3 | ||
#12飛田烈 | 6 | 2 | ||
#13吉野泰平 | 1 | ― | ||
#15伊東勢司 | 4 | 2 | ||
#16鈴木ロイ | 1 | 3 | ||
#17高橋寛伎 | 1 | 4 | ||
#19杉本華唯 | 1 | 3 | ||
#23草島芳彦 | 1 | 1 | ||
#24河田隼弥 | ― | 1 | ||
#25篠田 | 1 | 2 | ||
#27前田悠佑 | 4 | 2 | ||
#28大石浩之 | 1 | 1 | ||
#29ハリデー慈英 | ― | 1 | ||
#33坂本之麿 | 2 | ― | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 12飛田 | 17高橋 | 16鈴木 | 33坂本 | 25篠田 |
2 | 15伊東 | 24河田 | 27前田 | 23草島 | 10住友 |
3 | 19杉本 | 9生江 | 4マッテオ | 18羽場 | 7大塚 |
4 | 11加賀美 | 2北村 | 28大石 | 29ハリデー | 13吉野 | GK39村上 B-GK34谷口 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――例年より短い期間で合宿が行われましたが、チームの仕上がりはいかがですか
3日前くらいに(北海道に)入りましたけど、こっちの固い氷にも慣れてきて良い感じにはなってきていますね。
――移動の疲れなどはないでしょうか
ないですね。全日本選手権の後、東京で一週間しっかりと合宿をしてきましたので、何ら問題なくいつものように入ることが出来ています。きょうも動き自体は悪くなかったと思います。
――北海道出身の選手も多いですが、意識することはありますか
特にないですね(笑)。ただ、苫小牧は日本で一、二を争うくらいホッケーを知っている方々が住んでいる街なので、恥ずかしいことは出来ないですね。関東大学リーグ戦で2位になったこともみんな知っていますので、恥ずかしくないホッケーをしようということで送り出しました。
――きょうは普段出ていない選手が出場しても、しっかりと大差で勝利を収めましたね
そうですね。一緒に練習しているので、いつどの場面で出てもいいように。大石(浩之、教3=東京・早実)やチェース(マッテオ、国教3=米国・Camden Hills Regional High School)などの若い奴らが頑張ってくれました。
――次戦へ向けてという意味ではきょうの試合はいかがでしたか
きょうの試合も思い出づくりではないので、明日につなげる試合をしなければいけないと話したので、もちろんしっかり反省してもらって明日に向けた対策をしてほしいなと思います。明日の試合はきょうの何倍も速い相手とやることになるので、それをイメージしながらやってくださいと伝えました。明日またハッパをかけて頑張らせたいと思います。
――きょうの試合を見て、やはり課題はパスレシーブの正確さでしょうか
もうちょっとパスレシーブをちゃんとやってほしいなというのもあるし、声を出してパックを要求してほしいなとも思いますね。うちの課題は決勝に行くまでそれに尽きるんじゃないか、それが出来ればいい試合ができると思います。大学生相手に運動量で負けることはないと思うので、正確性をきっちりやることだと思います。