チーム力で東洋大に快勝!予選リーグを単独首位で通過する

アイスホッケー

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)、予選リーグの締めくくりとなる第14節。この日の相手は前節では明大を倒し後半戦は全勝と波に乗る東洋大。対する早大は、先週は中大にゲームウィニングショット戦(GWS)の末に破れたものの未だ2敗で好調を維持し、単独首位でこの日を迎えた。後に控える順位決定リーグに向けても決して負けられない戦いを制したのは早大。相手のペナルティがかさむ幸運にも見舞われ快勝し、12勝2敗の単独トップで予選リーグを終えた。

 試合開始直後から両校の意地とプライドが激突する激しい試合展開となる。まずは2分32秒、DF篠田純希(スポ2=北海道・苫小牧東)が執拗(しつよう)なフォアチェックでパックを奪う。東洋大の守りが対応する前に攻め込み、この日第1セットに大抜擢されたFW前田悠佑(社2=東京・早実)が、今季公式戦初ゴールを決める。前田は「どんどん足を動かして相手に当たっていくというホッケーを一週間かけて準備してきました」というハードなプレーを徹底し、氷上で躍動。貴重な2点目もマークし、指導陣の起用に応えた。勝利を確実なものにするためにさらなる得点がほしい中、東洋大の反則により数的有利なPP(※)となる。慎重なパス回しでじっくりと攻め好機を伺う早大。ここでDF大崎大祐(先理3=青森・八戸)が豪快なロングシュートをネットに突き刺す。内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)が「非常に理想的でうれしい1点」と語った大崎の今季初ゴールに大いに盛り上がる早大ベンチ。直後にメジャーペナルティにより東洋大の選手に5分間の退場が告げられると、この好機を逃さない。DFハリデー慈英副将(スポ4=埼玉栄)のスラップショットがさく裂し、スコアを4-0とする。互いに1点ずつ加点し、5-1で第1ピリオド(P)を終えた。

久々の出場となった前田が2連続得点でチームを勢いづけた

 大量リードで迎えた第2P、東洋大が個人技を生かしたゴールで反撃に出る。この得点が呼び水となり、東洋大の強力なフォワード陣が目覚めてしまうのか。次の1点を奪うのはどちらのチームか、と緊迫した空気がアイスリンクに漂う。激しい攻防が続いた31分18秒、運命の一閃を放ったのはFW青木孝史郎(スポ3=埼玉栄)だった。右サイドから駆け上がったFW澤出仁(スポ2=北海道・武修館)が放ったパスをしっかりとレシーブし、「チャンスが来てしっかり決められた」という会心のシュートでネットを揺らす。非常に大きな追加点でダメ押しに成功した早大。第3PのPK(※)で東洋大のDF福田充男(1年)の強烈なシュートがネットに吸い込まれるも、直後にFW生江太樹(スポ2=北海道・釧路江南)が個人技で見せ、相手を戦意喪失させる7点目を奪う。点差がついても、早大に気の緩みはなかった。DF羽場健太(政経4=東京・早実)の気迫のディフェンス、GK谷口嘉鷹(社3=東京・早実)の体を張ったキーピングで相手の反撃の芽を摘む。どのセットからも得点を生み出し、チーム力で東洋大を上回り、勝利をつかんだ。

大崎のロングシュートは戦術面で理想的な得点だった

 泥臭く足を動かし、どこよりも速くパックに駆け寄る基本に忠実な「ワセダのホッケー」が通用することを証明して見せた予選リーグ。全勝で終えた前半戦に比べて後半戦は2敗と結果は劣るが、「一人一人がパックに対する執着心をもち、体を使ったプレーというのがすごくできるようになってきている」と鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)が語るように手応えは十分。「負けた後はきっちり勝ちを取って、悪い流れを断ち切ることができました」(内藤監督)と課題の修正力も光った。この日の勝利で現在2位である明大の自力優勝の可能性は消滅し、栄冠への道は開けた。次週からは早大、明大、東洋大、中大の上位4校が総当たりで戦う、命運をかけた順位決定リーグが始まる。次のステージでも全身全霊で「ワセダのホッケー」を貫き、必ずや優勝杯を手にしてみせる。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 糸賀日向子)

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※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 東洋大
5(16) 1st 1(10)
1(15) 2st 1(9)
1(13) 3st 1(10)
7(44) 3(29)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 02:32 27前田 17高橋
早大 05:08 27前田 17高橋 25篠田
早大 10:27 31大崎 1澤出 PP
早大 12:00 29ハリデー 16鈴木 12飛田 PP
早大 18:27 8坂本 14久米
早大 19:01 16鈴木
東洋大 25:15 21古川誠 18阿部 48清水
早大 31:18 8青木 1澤出 29ハリデー
東洋大 45:04 12福田 29中村 13出口 PK
早大 45:20 9生江 17高橋
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
27前田 17高橋 16鈴木 33坂本 25篠田
19杉本 8青木 1澤出 29ハリデー 13吉野
12飛田 9生江 14小澤田 31大崎 18羽場
15伊東 24河田 2北村 11加賀美 10住友
GK34谷口 B-GK39村上
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――前田選手が久しぶりの出場で2得点と活躍を見せましたね

今週は矢島(雄吾副将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)が教育実習でいないので、先週からコーチと相談して前田を入れようと話していました。彼はケガもあって試合に出られていなかったので、ここしかないと思って頑張ったんでしょう。いいことですね。毎日(練習やトレーニングを)しっかりやればちゃんと試合に出られるよといういい薬になったのではないでしょうか。

――きょうは合計7得点となりました。非常にバランスよく点数を取ることができていますね

ハリデー(慈英副将、スポ4=埼玉栄)のシュートと大崎(大祐、先理3=青森・八戸工大一)のシュートがよかったですね。大崎のシュートは非常に理想的でした。ハリデーのシュートをたくさん(東洋大に)見せることで、そちらにマークを付かせておきながら自分でシュートを打って、さらにゴール前にも複数のスクリーンを張ることができていました。非常にうれしい1点ですね。

――第1ピリオドで5点を挙げて試合を決めましたが、東洋大のペナルティも大きかったですか

東洋大もきょうは(チェックが)非常に厳しかったですね。きょうも厳しい戦いになるかなと思っていたところで、たまたま先制点を取ることができたので非常にラッキーでした。もし先に点数を取られていたら、ひょっとしたらスコアはひっくり返っていたかもしれません。そのぐらい東洋大はきっちり運動してきていましたので、きょうのプレーにかける意気込みがひしひしと伝わってきました。ラッキーな部分もあったと思います。

――東洋大の反撃もありましたが、ダメ押しができたことで勝ちにつながりましたね

点を取られること自体はあんまりよろしくないけれども、そのあと得点できて流れを持っていかれなかったということが、きょうの悪い中でのいいところだったのでしょうか。あれで、こちらが点数を取れないと次の失点への呼び水になってしまいますからね。

――予選リーグ最終戦も、基本を忠実にということがしっかりと出来ていた試合でしたね

そうですね。今までやってきたことと何ら変わりはないので、シュートをたくさん打つことと、こぼれたパックを相手より一歩でも早く動かすこと、それができたことがよかったのかなと思います。パスレシーブも毎日言っていることですしね。基本的なことができないと、うちは慶大にも負けてしまうし、日体大や東海大にもおそらく負けてしまうのではないかと思います。相手がどこであるかに関わらず、基本的なプレーを忠実にやってくださいということです。

――予選リーグを1位通過で終えました。ここまでの振り返りをお願いします

慶大に負けたのは気に入らないですけども、そのあと引きずらずに連敗しなかったと。きょうもそうですけれど、優勝を狙うにあたって大切な、負けた後はきっちり勝ちを取って悪い流れを断ち切る、ということができました。連敗をするチームが優勝できるわけはないのでね。先ほど言った、失点した後にすぐ点を取って悪い流れを断ち切るということと同じですね。それができたことによって、勝ち点を積み上げることができたのではないでしょうか。

――順位決定リーグへの意気込みをお願いします

1位通過は大変うれしいです。11月の半ばまで来てまだ優勝争いができているということは4、5年ぶりなものですから、我々スタッフも選手も幸福感を感じているのではないでしょうか。ただ、どのチームもまだ逆転可能な範囲にいるので、結局は我々が一個ずつ勝って、点数を積み上げるしかないと思っています。他のチームが崩れて優勝するなんていうことは無いと思うので、これからも一戦一戦を大事に戦っていきたいと思います。

FW鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうは第1ピリオド(1P)で勝負をつけることができたので、そこが一番良かったなと思います。

――ゴールシーンを振り返っていかがですか

太樹(生江、スポ2=北海道・釧路江南)からコーナーでパスもらって遠いところからシュートを打とうと思ったんですけど、意外と相手が来なかったので自分で切り込んで行ってみたらゴール前まで行けて。キーパーも完全に座ってて1回ゴール前にいたディフェンスに当てちゃったんですけど、そのルーズパックを取って押し込んで決めました。

――矢島さん(雄吾、スポ4=北海道・駒大苫小牧)の所に前田さんが入っていましたが、いかがでしたか

期待以上の働きをしてくれたというか、得点した場面に限らず一試合通して本当にハードにプレーしていましたし、軽いプレーも一切なかったので来週以降もぜひ試合に出て欲しい選手だと思います。

――いつも矢島さんが入っているところに前田さんが入って、それでも連携がうまくいったというのはチーム内で意識の共有ができていたからでしょうか

そうだと思いますね。ここ一週間の練習でずっと前田をいれてやっていて、僕らがやって欲しいことだったり細かく教えこんだので、それを前田が氷の上で試合で発揮してくれたと思います。

――予選リーグ1位通過となりましたが、振り返っていかがですか

一次リーグは全勝で二次リーグはPS負けも含めて2敗してしまいましたけど、一次リーグよりパワーアップしているなというのはすごく感じますし、一人一人がパックに対する執着心を持って、体を使ったプレーというのがすごくできるようになってきていると思います。このまま二次リーグで出来たことを再確認してそこを伸ばしつつ、二次リーグあまり良くなかった点を修正して来週以降の決勝リーグに臨みたいと思います。

――それでは次戦への意気込みをお願いします

どこが来ようと僕らがやるホッケーというのは全然変わらないので、今週1週間またハードに準備していきます。さっきも言ったように予選リーグで出来たことと出来なかったことを頭の中で整理して、そこをもう1回練習で確認しながらもっとレベルアップして来週を迎えたいと思います。

FW前田悠佑(社2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

ケガでリーグ戦前半は全然試合に出ていなくて。きょうが復帰戦だったので、とりあえず足を動かして貪欲にゴールを狙ってどんどんシュートを打っていこうという意識で試合に臨みました。

――ゴールシーンをそれぞれ振り返っていかがでしたか

結構チャンスはあると感じていたので、そこをしっかり決めてコーチ陣にアピールしていこうと思っていました。1点目の時は結構狙いすまして打ったんですけど、2点目は気持ちで押し込んだという感じで、入って良かったです。

――第1セットでの起用でしたがどういう準備をしてきましたか

日頃の練習からキャプテンにも足を動かせと言われていたので、試合でもそこだけは負けないようにやり切ろうと思っていました。日頃の練習でも、どんどん足を動かして相手に当たっていくというホッケーを一週間かけて準備してきました。

――実際に試合に出てみて、第1セットでのコミュニケーションはいかがでしたか

基本的にロイさんと寛伎さん(高橋、国教4=東京インターハイスクール)は試合中も練習中も声をかけてくれて、すごくコミュニケーションとりやすかったです。ずっと声を出してサポートしていただいていたので、やりやすさを感じていました。これからは自分も頼ってばかりじゃなくて、自分からもどんどん声を出していこうと思いました。

――チーム全体で連携がうまくいってたと思うんですけど、その点についてはいかがですか

きょうはテナシティという、相手に一生懸命競り勝つという目標があったので、「皆でひとつのパックに全身全霊で食らいつく」という思いが試合で生きていたのかなと感じて、それが流れを上手く運んでくれたんじゃないかと思います。

――ここまでトレーニングを積んできて、いかがですか

トレーナーのダソムさんの練習メニューで結構長い距離を走るメニューが多いので、そこでみんな妥協せずに走って試合で活躍するという意識があります。日頃からみんな競争意識があるからこそ、競った試合でも足が止まらないでホッケーすることができていると思います。日頃のトレーニングで最後まで足を止めないという意識を持って取り組んでいることが、きょうの結果につながっていると思います。

――それでは最後に次戦への意気込み、目標をお願いします

自分のやるべきことはどんどん一生懸命当たって貪欲にゴールを狙っていくことなので、そこは変えないで、でも頭は冷静にホッケーをしてチームの優勝に貢献するように相手はどこだろうと関係なくプレーします!

FW青木孝史郎(スポ3=埼玉栄)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうは1試合通してワセダがやりたいアグレッシブなホッケーができて、結果もついてきたので良かったとお思います。

――前半戦に比べて後半戦はなかなかゴールを決められてない中で、きょうの得点はいかがでしたか

自分自身そろそろ得点を決めたいなと思っていたので、チャンスが来てしっかり決められたのは良かったなと思います。

――試合を決める重要な6点目となりました

点差はあればあるだけいいと思うので、あの1点は大きかったのかなと思います。

――予選リーグを首位通過したことは、どう捉えていますか

ワセダのやりたいアグレッシブなホッケーを崩さず、ずっとやってくることができた結果が1位通過になったと思います。

――予選リーグで成長できた点は

フォアチェック、バックチェックの形がしっかりとできたのと、バトルで勝利することが成長した部分だと思います。

――順位決定リーグまでに修正したい課題は

1ピリに自分たちのやりたいホッケーをやって、2、3ピリで少し手を抜いてしまった部分があったのかなと思うので、2、3ピリも気を引き締めて1試合通して自分たちのホッケーをすることが重要かなと思います。

――順位決定リーグへの意気込みをお願いします

1位通過でワセダのホッケーもいい状態にあるので、この調子でワセダのやりたいホッケーをどんどんやっていって必ず優勝で終わりたいです。