やはり明大は強かった。4校が総当たりで戦う関東大学決勝選手権決勝リーグ。きょうは昨年は歯が立たず、一度も勝利できなかった宿敵・明大との対戦。先制点を奪い、勝利への期待も高まったが、第2ピリオド(P)の連続失点で流れは完全に明大へ。雪辱を果たすことはかなわなかった。
開始直後から相手の速いパスワークに翻弄(ほんろう)される。序盤は明大の猛攻が続き、あっさり先制点を献上してしまうかと思われた。しかし、今季の早大は一味違う。反撃の口火を切ったのは、慶大戦でも2得点と好調のFW澤出仁(スポ2=北海道・武修館)。第1ピリオド(P)10分10秒、センターライン付近から一人で軽やかにパックを運び、勢いそのままにシュート。その直後にも澤出はネットを揺らし連続得点。強豪・明大から先制し、早大ベンチは大いに盛り上がる。波に乗るFW陣の影響あってか、ハリデー慈英副将(スポ4=埼玉栄)を筆頭としたDF陣も積極的に、前に出て相手をチェックするディフェンスが目立つ。
2試合連続で2得点を挙げ好調をキープする澤出
1点リードしていた第2P中盤。明大に同点ゴールを決められる。その直後の早大の攻撃時、パスミスにより相手にパックが渡り対応できずに、まさかの連続得点を許してしまう。気合いを入れ直して臨んだ最終P。FW飛田烈(商4=東京・早実)が今大会3得点目となるゴールを鮮やかに決めた。その後は明大にペナルティーが相次ぎ、数的有利な状況が続くも得点できず。10分55秒、PPにも関わらず相手のシュートは早大のゴールに突き刺さり、3-5。6人攻撃で最後まであきらめない姿勢を見せるもむなしく、最後に追加点を許したところで試合終了のブザーが響き渡った。
GK谷口は好セーブが目立ったが、第2Pに連続得点を奪われ膝をついた
PPの時間は早大の方が長く、シュート数でも相手を上回っている。それにも関わらず最終スコアは3-6。シュートの精度の差が浮き彫りとなった。今大会が始まってから、毎回課題として挙げている決定力不足、そして有利なはずのPP時の弱さがまた出てしまった。しかし、「相手がうまくて入れられた点数はない」、そう内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)とハリデーが異口同音に語ったように、明大との圧倒的な実力差で敗北というよりも、自分たち自身のミスで自滅してしまった印象の強い今日の一戦。技術の差が見える場面は以前より少なく、早大の成長も感じられた。今大会も残すはあと2試合。上位校との対戦が待ち受けているが、明らかになった課題を修正しミスを失くすことに尽力すれば、きっと勝利をつかめるだろう。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 小林理沙子、写真 中澤紅里、小田真史、宇根加菜葉)
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結果 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 明大 |
2(17) | 1st | 0(12) |
0(16) | 2nd | 3(12) |
1(21) | 3rd | 3(14) |
3(54) | 計 | 6(38) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 10:10 | 1澤出 | 16鈴木 | - | - | 早大 | 10:54 | 1澤出 | 16鈴木 | 19杉本 | - | 明大 | 27:41 | 93池田 | 21府中 | 10高橋 | PK | 明大 | 36:37 | 10高橋 | 13松本 | - | - | 明大 | 37:14 | 21府中 | 22徳田 | - | - | 明大 | 47:17 | 93池田 | 21府中 | - | - | 早大 | 48:08 | 12飛田 | - | - | - | 明大 | 50:55 | 21府中 | 93池田 | 91佐久間 | PK | 明大 | 59:59 | 93池田 | - | - | PK | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 19杉本 | 16鈴木 | 1澤出 | 33坂本 | 29ハリデー |
2 | 17高橋 | 9生江 | 12飛田 | 25篠田 | 18羽場 |
3 | 2北村 | 27前田 | 21矢島 | 31大崎 | 13吉野 |
4 | 15伊東 | 24河田 | 14小澤田 | 23草島 | 10住友 | GK34谷口 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――今日の試合の振り返りをお願いします
自滅ですね。相手がうまくて入れられた点数はないので。全部ミスからやられて失点しているので、そこでしょうね。相手が上手で入れられた点数はあまりショックではないので。今日のようにパスミスしたり、PPをかけているのにミスをしていると、上位のチームにはなかなか勝てないということですね。対策は立てて臨んでいますが、60分集中し続けるのは難しいということですね。落ちたところで声がかけられなかったり、甘かったりというところが出てきたのかなと思います。
――オフェンスはいかがでしたか
シュート数が相手より多くて50本以上打っている中で、3点というのは物足りない精度かなと思いますね。もう少し枠に入っているシュートが多ければ、状況は変わったのかなと思います。
――収穫はありましたか
もちろん4ヶ月前よりは良くなっています。パックを守ろうという気持ちも、ある部分では出せていました。学生には今日の反省をして、引きずらないようにと話しています。
――中大戦への意気込みをお願いします
同じミスをしないようにと学生には言っています。相手が強くて負ける分には仕方ない部分もありますしね。ただ、自分たちの方から相手にあげる点数は無くしていかないといけないですね。優勝を狙うためにはあと2つどうしても勝たなければ行けないので、自滅とか自らピンチを招くことは避けなければいけません。それができれば、いい勝負ができると思っています。
ハリデー慈英副将(スポ4=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
悔しいの一言というか、序盤は運良く先制できて良い流れをつかんだかな、と思ったんですけど、僕らの油断とかもあってああいう試合になってしまって残念です。
ーー立ち上がりは無失点でしたが、守備についていかがでしたか
ディフェンス云々よりも、うちのFW陣がチェックをガンガン行ってくれて、それで流れをつかんだというか、前でパックを取れるようになってたので。DF陣も良かったとは思うんですけど、FW陣の方が頑張ってくれていたかなと思います。
ーー明大戦に向けて、DF陣での決まり事などはあったのでしょうか
明大はパス回しが速いチームなので、しっかり人につくということと、あとニュートラルゾーンとかでパックチップされたりしたら、前に前に出ることを意識しました。あんまりディフェンスが下がりすぎると抜かれてしまうので、前で勝負してなるべく人につくようにしました。
ーーきょうの試合で見つかった課題とは
ディフェンスの課題はまずは数的有利な状況で失点しないということはもちろんのことで、今回は明大がうまくて失点したということはあまりなかったので、ノーマーク取られたりだとか、そういう小さなミスを少なくして、相手にチャンスをあげないことを意識すれば失点はもう少し最小限にできたのかなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
今年からは運良くリーグ戦なので、負けてもくよくよしていられないので、切り替えてしっかり中大を倒したいと思います。
飛田烈(商4=東京・早実)
――どのような気持ちで今日の試合に臨まれましたか
いつも明大に負けてしまっているので、今年は違うぞ、という気持ちを持って臨みました。
――第2セットの調子はいかがでしたか
今シーズンが始まって、少しメンバーが変わっているので、日頃の話し合いや1回1回の練習とその後の寮でのミーティングを大事にしてるので、そこはコミュニケーションがうまく取れていると思います。
――今大会を通して3点目のゴールを決めましたが、自身の調子はいかがでしたか
自分の仕事はスコアをすることで、結果として点が取れたので、調子が良かったんじゃないかと思います。
――新チームになって初の明大との試合でしたが、課題や収穫はありましたか
明大のホッケーに対して自分らがどういうふうに守るかを明確にして、ミーティングを重ねてリーグ戦(関東大学リーグ戦)やインカレ(日本学生氷上競技選手権)につなげていきたいと思います。
――明日の相手は中大ですが、意気込みをお願いします
まだ優勝の可能性は残っているので、それに向けてチーム全員で準備していくだけです。
FW澤出仁(スポ2=北海道・武修館)
――昨年は一度も勝利していない明大との対戦でしたが、どのような意気込みで臨まれましたか
勝利っていうのを一番に考えていて、最初2点取れて良い流れだったんですけど、攻め急いでしまって、第2P、第3Pで中だるみしてしまったので、次の試合から頑張りたいと思います。
――1点目のゴールシーン振り返っていかがですか
ロイさん(鈴木、教育4=北海道・苫小牧東)から良いパスが来て、練習でやっているプレーができて良かったと思います。
――2点目はいかがでしたか
自分で入ったってわからなかったんですけど、練習でいつも打っていたのでそれが成果として出たのかなと思います。
――ここまで戦って来て、第1セットの連係はいかがですか
1年生の杉本(華唯、スポ1=北海道・駒大苫小牧)が新戦力として入ってきて、最初は合わない部分もあったんですけど、試合を重ねるうちにどんどん合うようになって、点数も入るようになってきたので今後のあと2試合頑張っていきたいと思います。
――前の試合でも2得点でしたが、ご自身の調子は良いですか
調子は良いと思いたいですけど、きょうの試合は勝てなかったので、もっと調子が良くなるように頑張っていきたいと思います。
――あすの中大戦に向けて意気込みをお願いします
中央にも昨年、勝てていないので、切り替えて明日勝てるように頑張っていきたいと思います。