ことしもまた、スケートリンクに熱気あふれる春が来た。昨年は史上初の7位に沈んだ関東大学選手権。2年ぶりのベスト4そして優勝に挑む早大の戦いが幕を開ける。1回戦の相手はディビジョン1-Bに所属する専修大学。2人が公式戦初得点をマークするなど新戦力が躍動する一方、4年生4人が得点を挙げて存在感を示す。上級生と下級生の活躍がかみ合い、9-2で快勝した。
第1ピリオド(P)開始5分45秒、早大の今季初得点は飛田烈(商4=東京・早実)がゴールネットに突き刺した。第3セットの伊東勢司(政経2=東京・早実)が念願の公式戦初得点を記録するなど、3つのセットが満遍なく得点を挙げて3点を先行する。第2Pは開始早々に専大に一点を返されるが、すぐさまルーキー杉本華唯(スポ1=北海道・駒大苫小牧)が鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)のアシストを受け、ゴーリーの左脇の隙を突く。入学早々に第1セットを任される期待の1年生が、公式戦初戦で初得点を記録した。その後は鈴木が2得点、昨季からエースナンバーの21を背負う矢島雄吾(スポ4=北海道・駒大苫小牧)も、スピードを生かした鈴木とのコンビネーションから得点を挙げて試合を決定づけた。
公式戦初得点を含む2得点を挙げた杉本
第3Pに入ると専大が20分間で5つのペナルティを犯すなど早大のPP(※1)の時間帯が続く。数的有利の間に着実に得点を重ねたい早大だったが、PP(※1)時の得点は1点にとどまった。とるべきところでいかに得点を挙げていくかが今後の課題として残りそうだ。また、第3PではGK村上隼斗(スポ1=北海道・駒大苫小牧)をはじめ1年生や普段は出場機会のない選手も経験を積んだ。総合力で戦う早大にとって、彼らの秋以降に向けての成長は重要なだけに期待がかかる。
2得点を挙げ主将として結果を残した鈴木、今季は積極的にゴールを狙う
初戦をしっかりと勝ち切ったものの、「やりたいことの半分できたかどうか」と内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)が振り返り課題も多かったこの試合。「チャレンジャーとして僕たちの持てる120パーセントの力をだす」(鈴木)という挑戦者の心持で戦っていくことが大切になるだろう。次戦では昨季この大会で苦汁をなめさせられた慶大と対戦する。リベンジを果たし、定位置であるベスト4に返り咲くために負けられない戦いに挑む。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 佐々木一款、写真 下長根沙羅)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 専大 |
3(25) | 1st | 0(2) |
4(24) | 2nd | 1(6) |
2(24) | 3rd | 1(6) |
9(73) | 計 | 2(14) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 5:45 | 飛田 | 生江 | 小澤田 | - |
早大 | 7:52 | 坂本 | 杉本 | - | - |
早大 | 12:10 | 伊東 | 河田 | 矢島 | - |
専大 | 21:45 | 滝本 | 上村 | 生駒 | - |
早大 | 23:14 | 杉本 | 鈴木 | - | - |
早大 | 26:41 | 鈴木 | 杉本 | - | - |
早大 | 37:59 | 矢島 | 鈴木 | 伊東 | - |
早大 | 38:06 | 鈴木 | 杉本 | - | - |
早大 | 51:35 | 杉本 | 鈴木 | 飛田 | PP |
専大 | 52:54 | 園田 | 梶野 | - | - |
早大 | 53:23 | 飛田 | 小澤田 | 生江 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 19杉本 | 16鈴木 | 1澤出 | 33坂本 | 18羽場 |
2 | 14小澤田 | 9生江 | 12飛田 | 23草島 | 10住友 |
3 | 15伊東 | 24河田 | 21矢島 | 31大崎 | 13吉野 |
4 | 11加賀美 | 2北村 | 4チェース | 7大塚 | - | GK34谷口→39村上(3P) |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――きょうの試合の振り返りをお願いします
あんまり良くないね。やりたいことの半分できたかどうか。まず立ち上がりが遅かった。第1ピリオドからもっと点数が欲しかったね。それができるはずの相手でしたから。試合前のウォーミングアップを大事にすることを意識して欲しいと思います。
――得点数に関してはどう思われますか
10本に1本入ればいいのがアイスホッケーですから。でも、枠外のシュートもあったし、もっと入ってもよかったと思いますね。そこは反省して言って欲しいと思います。
――きょうは1年生の杉本華唯選手(スポ1=北海道・駒大苫小牧)と2年生の伊東勢司選手(政経2=東京・早実)が初得点を挙げ、下級生も活躍しましたね
杉本に関しては、1年生ですけどチームの中心になっていって欲しい選手です。この点数で満足することなく。次もどんどん取って行ってもらいたいですね。伊東に関しては、良かったね(笑)。去年もずっと良かったけど得点に結びつかなくて、やっと結びついたのでよかった。彼ももっと得点の匂いがする選手なので、頑張って欲しいですね。
――今のセット編成にはどういった狙いがありますか
新しくコーチも来ましたし、3人で話し合いながらやっています。まだ試行錯誤のところもあります。
――今大会において早大のチームとしての注目ポイントはどこでしょうか
上位のチームと比べると個々の能力は劣ってしまうと思うので、それをみんなでどれだっカバーしあえるかですね。常に全力でやる、小さなことでもチームのために一生懸命やる、そういうワセダにしたいと思っていますし、選手たちもそういう自覚はあると思います。どんなに小さなことでも諦めないワセダを見てほしいなと思います。
――最後に今大会の目標をお願いします
もちろん優勝です。選手たちは勝ちたがってますし、私も勝ちたいですし、マネージャーもみんな勝ちたいと思ってますし、みなさんもたぶん勝ってほしいと思ってますんで。勝っている姿を見せられるように、次の試合も頑張っていきたいと思います。
FW鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)
――まず、きょうの試合の振り返りをお願いします
初戦ということもあって、勝ち切れたことはよかったんですけど、随所で相手のスピード感に合わせてしまうところがあって、全体的にあまり早稲田のホッケーが出来なかったなという反省はあります。
――オフェンス面はいかがでしたか
オフェンス面の悪かったところは、ゴールへ向かうプレーが少なかったことですね。アタッキングゾーンで攻めているときに、サイドでは回しているんですけど、そこから相手の脅威となるようなゴールに向かうプレーが出来なかったことが反省です。良かったところは、初ゴールを決めた選手が2人でたことですね。
――ディフェンス面はいかがでしたか
ディフェンディングの良かったところは、フォワードがしっかりバックチェックに下がってこれたので、あんまりディフェンスが下がらずに済んだというところですね。悪かったところは、特に第1、第2ピリオドはディフェンスが下がりすぎていたところですね。少しディフェンスにおいて消極的なプレーが多かったので、そこがあまりよくなかったなと思います。
――鈴木選手自身のプレーはいかがでしたか
きょうの自分自身の出来はあまりよくなくて、スコアは出来ましたけどもっともっと点を取れる場面はありました。PPとかも結局1得点だけに終わってしまったので、もう少しシュートチャンスで確実に決められるようにしなければいけないな、と個人的に思いました。
――第2ピリオドで矢島雄吾選手(スポ4=北海道・駒大苫小牧)ときれいに崩したぷれーがありました
そうですね、あのプレーはシンプルにワセダのスピードを生かして雄吾がゴール前にドライブして、そこに流してという感じでいいゴールだと思うのでこれからも続けていきたいです。
――この大会での鈴木選手の注目ポイントを教えてください
スコアですかね。去年はどっちかというと、特に秋リーグは自分の思った以上に点が取れなくてパスに頭が回っちゃってたんですけど、この春大会は自分がゴールでチームを引っ張って雰囲気をよくできるようにしたいので、アグレッシブなプレーからのゴールを期待してほしいと思います。
――最後にこの大会の目標をお願いします
去年この大会で7位に終わっているので、僕たちはチャレンジャーだと思っています。チャレンジャーとしての気持ちを持って、一試合一試合僕たちの持っている力の120パーセントの力を出して必ず優勝したいと思います。
FW杉本華唯(スポ1=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの試合を振り返って
自分的にはミスが多くて、課題を見つけられる試合だったので次につなげたいです。
――課題とは具体的になんですか
もっと精度の良いパスとかレシーブとか、自分ができることはまだまだいっぱいあるのでそういうところです。
――2得点3アシストの活躍でしたがご自身のプレーはいかがでしたか
先輩たちがお膳立てしてくれて自分は触るだけで入るような感じだったので、自分も先輩たちのように頑張りたいです。
――一番良かったと思うゴールシーンは
1点目の自分が切り込んでいって決めたゴールが一番良かったです。
――第1セットとして先輩たちとプレーするのはどうですか
やりにくさは全くないです。先輩たちはみんな優しくて自分がプレーしやすい環境をつくってくれてありがたいです。
――今大会で注目すべきポイントはありますか
次の慶大戦です。自分は全部の試合が初めてになるので、どこが注目かっていうのはまだ分からないですけど、全試合注目されたいです。
――今大会の目標は
自分はFWなので点数を入れてチームに貢献しないとチームの勝利にもつながらないので、自分ができることを精一杯やりたいです。