ことしのチームには6人の4年生がいる。全員に均等な出場機会が与えられてきたわけではないが、一人一人がそれぞれの役割を果たしてきた。今回は、Aマークを背負うFW瀨戸公大副将(スポ4=北海道・白樺学園)、トークサポートでチームを支えてきたFW田村心(教4=埼玉・早大本庄)、ムードメーカーでもあるDF野村光平(人4=米国・ウッドブリッジ)による対談。息ぴったりの三人の掛け合いに注目だ。
※この取材は12月7日に行われたものです。
「どこに入ってもプレーできるように準備はしていた」(瀨戸)
瀨戸
――まずは関東大学リーグ戦(リーグ戦)の振り返りからさせていただきます。みなさん4年生ということで最後のリーグ戦でしたが、何か特別な思いなどはありましたか
野村 リーグ戦といえども普通の試合なのは同じなので。僕たちがシーズン初めに決めたスローガンが『一』なんですけど、1試合1試合勝つというのが目標だったので、他の試合と変わらずに一つずつしっかりやっていこうという意識でいました。
田村 やっぱり優勝はしたいという気持ちはありました。秋リーグからシステムを導入したりミーティングとかを増やしたりしていたので、インカレ(日本学生氷上競技選手権)に向けてそういうシステムを完成させたいという思いもありました。
瀨戸 4年間リーグ戦をやってきた中で、ことしでいうと個人的なスキルがそこまで高いものがない選手たちが集まっているという感じで。でも自分が早大に入ってからの4年間の中で一番ミーティングとかもしていますし、チーム的、組織的なプレーができて、この順位まで持っていくことができたというのはいい点だったかなと思います。ただそれでもまだ改善できたところとかはあったんじゃないかなと思うので、これからそこはやっていきたいです。
――リーグ後半戦の好調の要因は
野村 さっき二人も言っていたように、ミーティングっていうのが一番大きいのかなって感じていますね。ことし一番違うのは反省してそれを次に生かす、改善していくっていうところだったと思います。そういった面では最初6位で結構ふがいない結果だったんですけど、負けたチームにどうやったら勝てるのかというのをチーム全員で考えて試合の前後にやってきたことが結果につながったんじゃないかなと思います。
田村 同じ感じです。ミーティングとかを多くやっていたので、法大とか最初負けてしまったんですけど、そういう対策ミーティングとかをしっかりやった結果終盤になるにつれて勝てるようになったっていうのは大きいんじゃないかなと思いますね。あとはあまりケガ人が出なかったというのも大きいかなとは思いますね。
瀨戸 二人と同じです(笑)。
――リーグ戦でのFW陣全体を総括するといかがですか
瀨戸 FW全体的にはゴールにできるだけパックを集めて、そこできれいにってよりかはシュート数を増やして何か起こすという方針でやってきていて。それが一次リーグ、二次リーグにかけていいかたちでつながっていたかなというのがよかったところですね。でもFW陣のバックチェックだったり守りの面ではもっとがんばれる点があったんじゃないかなとは思っています。
――ではDF陣全体は
野村 DF陣に関しては、リーグ戦の始めの方に連携ミスだったりマークミスだったりで大量失点してしまった試合とかもあって、そういったところを反省して次に生かすということを意識していました。チームの方針的にあんまりディフェンスゾーンでプレーをしないで速く前につなげて攻撃に展開するというのを意識してきたので、その意識付けといったところが結構最後の方についてきたのかなと思います。
――ご自身のプレーを振り返っていただけますか
瀨戸 自分は結構試合ではポイントで入ったりすることが多かったんですけど、自分のプレーというよりかは周りを生かすという感じでした。あとはミーティングで発言したり、そういったかたちでの貢献が多くなっていたかなとは思います。
田村 自分は全然プレーしていないんですけど、ベンチに入った時はリンクから帰ってくる人たちに「今のいいプレーだったよ」「ここ気を付けよう」とかの声掛けをして、ベンチの雰囲気をよくすることに徹していました。
野村 僕もリーグ戦は2、3試合くらいしか出場していないんですけど、出場している時は失点は絶対にしないってことは意識していました。やっぱりどんなに点を取っても取られてしまったら意味がないので。なるべく守りに徹するといいますか、とにかく自分のDFからFWにつなげるということを意識していました。あとは田村と一緒でベンチにはずっといたので、技術面などでのトークサポートや指示をするようにはしていました。
――瀨戸選手は最後の2試合、ケガをしたFW青木孝史朗選手(スポ2=埼玉栄)に代わって普段と違うセットで起用されましたが
瀨戸 自分的にはどこに入ってもプレーできるように準備はしていましたし、自分はいろんなポジションで使われることが多いんですけど、青木選手がケガをしたからといって青木選手のようなプレーをするというよりも、自分のプレーができるようにイメージしながらやっていました。このチームの第2セットは日本代表とかもいたりしてすごい選手が多いので、そこは自分の方が気持ちよくプレーさせてもらったなという感じです。
――ことしのチームに関して、去年までと異なる点はありますか
田村 やっぱり去年よりはスター選手がいて、実力のある選手が減っているのでそこは違うんですけど、その分ミーティングとかのシステムを導入して試合に勝ちにいくというそういう部分はよくなっているんじゃないかなと思いますね。カラー的にもチームワークは去年よりもいいんじゃないかなと。
野村 僕もチームワークに関しては去年よりもいいんじゃないかなっていうのは実感していて、まず一次リーグから改善して6位から4位になれたというのは大きいと思っています。去年はこれの逆で最初の方は調子よかったんですけど、5連敗したりだとかがあったので。チーム力に関しては本当にいいチームになっていると思いますね。スター選手がいない分、これやれ、あれやれっていう命令口調も減りましたし、みんなで言い合って一番いい方向を編み出すということができていると思います。
瀨戸 メンバーという面で変わったというのが一番なんですけど、その中でみんな考え方も変わってきているというのもあって。本当に去年に比べて反則が減ったりだとか、自分を抑え込んでチームのためにって考える選手が増えているのはいいことだなと思いますね。それが今のチーム力っていうところにつながっているんじゃないかなと思います。
――上位三校との対戦で感じたことは
瀨戸 秋リーグに関しては、明大はどっちかっていうと崩されてという感じの失点がすごく多くて、こっちのプレーも考えていかないといけないなというようには感じています。ただ、中大や東洋大には自分たちのやりたいことをできれば勝ちまで持っていけたんじゃないかなという印象です。そこはやっぱり自分たちのミスだとか自分たちがやり切れなかったというところで勝てなかったという感じですね。明大に関しては本当に自分たちももっと考えていかなくてはいけないと思いますし、中大と東洋大には落とせないというくらいの気持ちでいっていいんじゃないのかなと思います。
田村 自分も同じ考えです。東洋大と中大は相手のやりたいことをやらせなかったら勝てるという自信はあります。明大はインカレでも当たるということはわかっていて、今のままではまだ勝てないなというのはリーグ戦で感じました。インカレまでの3週間でいかにみんなが成長しないといけないかということを自覚できた試合だったかなと思います。
野村 右に同じですね(笑)。明大は大きなカベだと思っているので、でも逆にそこを突破さえすれば優勝というのも見えてくると思います。最後の東洋大戦(○3-0)に関してはチームにとってとてもプラスにはなったと思うので、そこからどう対策を打って勝てるようにしていくのかというのに最後は懸かっているかなと思いますね。
――印象に残っている試合はありますか
田村 最後の東洋大戦ですかね。夏のサマーカップや一次リーグでも東洋大には当たっていて、いつも1点差で負けていたので、その東洋大に対して3点入れて無失点で勝てたというのは良かったなと。あの試合のベンチとか、試合後のロッカールームとかの雰囲気もすごくよかったので、あのような試合をずっとやっていきたいなと思いました。
瀬戸 自分も東洋大戦ですね。やっぱり無失点で勝つということは他のチームとか見ていてもとても少ないことだと思うので、すごく価値のある試合だったかなと。個人的にもペナルティーショット(PS)を外したので(笑)。印象に残っています。
野村 他だと一次リーグの慶大戦(○2-1)かなと。あれ結果的に勝ったんですけど、最後の数秒で危うく入れられていたんじゃないかという疑惑もあるような試合で、本当に自分たちの甘さが出た試合だったかなと思います。でもそこで反省する大切さを学べたので、印象に残ったというか、チームが1つ切り替わった試合だったかなと思います。
「3時に起きるんじゃなくて、3時まで起きたかった」(田村)
田村
――ここからは他己紹介に移ります。まずは田村選手の他己紹介をお願いします
瀨戸 彼はアメフト部の一員と言っても過言じゃないくらい、アメフトが好きです(笑)。
田村 心はアメフト部です。
瀨戸 体は見てもらえば分かるように強くて、鉄が恋人のような(笑)。最初の頃と比べると体も変わったし、一日2回ウエイトしたり、プロテインとかサプリメントを飲んでいたり、ストイックだなという印象です。いろんな意味で熱い男です。
野村 ご覧の通り顔はかっこいいですし…。
瀨戸 俺はそう思わないけど(笑)。
野村 オンとオフはしっかりしている人だなと思いますね。ストイックにウエイトをやって、後輩たちのいいお手本になっています。後輩も引き連れて体を鍛えにいったりしているので、同期として、4年生として尊敬できるところだと思います。オフもオフで、アメフトの試合を見にいったり、アメフトの試合を見にいったり、アメフトの試合を見にいったり…。たまにラグビーを挟んだりするんですけど。
――次に瀨戸選手の他己紹介をお願いします
田村 同部屋なんですけど、結構ホッケーのことを考えていて、今C(キャプテン)、A(アシスタントキャプテン)でいうと、遥平(新井、スポ4=北海道・駒大苫小牧)とロイ(鈴木、教3=北海道・苫小牧東)が上のセットを中心に考えてしまうところがあるんですけど、公大が下のセットや下級生のことを考えてくれているので、そのおかげでうまくチームが同じ方向に向けているのかなと感じています。就職先も一緒なので、今後とも仲良くしていきたいです。
野村 相変わらず腐れ縁といいますか、暇なタイミングが一緒なのでよく遊びにいくんですけど、プライベートなことでいうと、彼はビリヤードが非常にうまくなりました。ホッケーを頑張っているのはもちろんなんですけど、それと同じくらいビリヤードと英会話と中国語を頑張っていますね。就職先が決まってから英会話塾に通ったり、個人的にチュートリアルチャイニーズを取ったり、ちょっと変な奴なんですけど、私生活においてもストイックなのかなと思います。ビリヤードで勝負勘もしっかり磨いて…まあこの間PS外しちゃったんですけど(笑)。でもすごいいい子で、ご覧の通り顔もイケメンです。
――最後に野村選手の他己紹介をお願いします
田村 そうですね…。ちょっと3日前くらいに言ってもらえれば。
野村 そんなに印象薄いかなあ。
田村 あ、英語がうまいですね。英語はすごいうまいです。
野村 そこだけ…?
一同 (笑)。
瀨戸 うーん…。そうですね…。
田村 あ、入学した時より痩せましたね。
瀨戸 たしかに。入学した時は、どんぐり君って言われていて。最初は髪も暴発してて、まん丸でしたね。前のトレーナーと吉祥寺まで走ったり、ずっとダイエット、いや練習していたり、そういった意味では頑張る奴だし、いじられキャラで後輩からもかわいがられていて…。
野村 かわいがってる方じゃなくて?
瀨戸 あ、慕われていて。
野村 そうそう。日本語下手になったな、英語やりすぎて。
瀨戸 日本語があまりうまくない高橋くん(寛伎、国教3=東京・インターハイスクール)とかとも遊んだりしていて、フッ軽ですね。
田村 結構いじられてるんで、いい意味で上と下をつないでるんじゃないかなと思います。
瀨戸 やっぱり後輩にかわいがられて、面倒見られて、後輩を慕って…。
野村 俺何年?
一同 (笑)。
瀨戸 そういった意味では、彼のこと好きな後輩もすごく多くて、チームのみんなをうまく回せるパーソナリティーを持っているかなと思います。いくらいじっても怒んないし(笑)。
――ことしの4年生はどんな代でしたか
瀨戸 自分たちは1年生の時からバリバリ試合に出ている人が多いというわけではないし、4年生になっても遥平以外はあまり出ていない状態でも、一人一人どこかしらでチームに貢献しているとは思っています。みんなチームのことを考えて動いているし、みんないい奴というか、自分たちがまとめているという感覚を少なからず持てる代だと感じています。
田村 プライベートでは、みんなホッケー以外のコミュニティーも持っていて、自分もアメフト部に所属していて(笑)。ホッケー部に依存しないということはいいことなのかなと思います。
野村 ライフスキル的にはすごく高い代なのかなと思います。頭悪い奴もいないですし…。
田村 草島(邦彦、社4=東京・早実)…。
野村 あー忘れてた。まあでも、今後集まっても仲良くできる常識のある人ばかりで、自立した人が多いと思います。オンとオフがはっきりしていて、ミーティングも4年生で何回かしたんですけど、普通に1時間くらいで終わるかなと思っていたら気づいたら3時間くらい経っていたり、考え出したらしっかり向き合う代でした。マネージャーも二人いて、裏方もしっかり見れるマネージャーなので、そういった意味ではうまくまとめられる代なのかなと。
――卒業も近いですが、大学生活でやり残したことはありますか
瀨戸 夏休みとかやってみたかったな。
田村・野村 あー。
瀨戸 留学とかもしてみたかったし。
野村 言い出したらキリがないですねこれは(笑)。どうしても行動範囲が狭まってしまうんで、普通の大学生の生活がしてみたかったですね。
田村 3時に起きるんじゃなくて、3時まで起きたかった。
一同 (笑)。
――理想のクリスマスはなんですか
瀨戸 クリスマスだからなんかっていうのもね…。日本人だし。
野村 俺はアメリカ人だから大事にしてるよ。カリフォルニアに住んでたんですけど、寒くないクリスマスが一番理想というか、好きですね。
瀨戸 かっこいいね。
田村 ちなみに自分、去年のイブは、ウエイトルームにいました(笑)。なので理想のクリスマスは、鉄と戯れることですかね。
瀨戸 クラブとかは?
野村 チャラいねー、やっぱり。
瀨戸 そんな大学生らしいことしてないから(笑)。
田村 やり残したことクラブもアリですね。
野村 六本木とか行ってみたい人生だったね。
田村 伏見だけだもんね…。
瀨戸 クリスマスはね、みんなで過ごすのがいいかな。
野村 僕は家族と過ごすのが一番好きです。
「死んでもGKを守ってゴールを入れさせない」(野村)
野村
――インカレに向けて強化していきたい部分はどこですか
田村 メイジに勝たなきゃいけないんで、メイジの速い攻撃をバックチェックとかで早めにつぶしたり、誰が出ても絶対にミスをしないということを徹底していかないといけないと思います。
野村 DFとしては、失点は絶対にしないということを共有して、死んでもGKを守ってゴールを入れさせないように、連携の部分はもちろん大事なんですけど、気持ちの部分も強化してFWにつなげて点取ってもらえるようにできればなと思います。
瀨戸 一番のヤマ場はメイジで、メイジでは高校の同期や後輩が活躍しているのですが、ずっと負けているので、最後に勝ちたいです。まだまだ後輩にも伝えきれてない部分もあるし、ことしだけじゃなく来年のためにもなるような大会にしたいですし、この2週間で体を作るとかは難しいと思うので、細かいところや気持ちの面を強くして、最終的に勝ちたいです。
――最後のインカレということで、どんな思いがありますか
野村 ここまでホッケーができたのは両親のおかげで、というのもホッケーを始めたのはアメリカなんですけど、アメリカって車移動がすごい多くて、父親も仕事の時間割いてでも遠いところ週3回、1時間くらいかけて連れていってくれたりしていたので。最後の大会出られたとしても出られなかったとしても、全力でホッケーを頑張ったという姿勢を見せたいなと思います。
田村 ここまでホッケーやってこられたのは同期がいたからなんで…。その同期と、1から3年生も含めて、この最高の仲間たちと優勝したいというのが最後の大会に対する思いですね。本音はもう早く引退したいです(笑)。
瀨戸 自分たちが入ってから、ベスト4が最高の順位で、そのまま後輩に残すというのはふがいないところもありますし、やっぱり後輩に何か残して卒業できればいいなという気持ちもあります。そのために、Aマークつけてるというのもありますけど、4年生としても責任を持った行動やプレーをしてチームに貢献して、いいかたちで結果を出して、それが結果的に親への感謝やみんなへの感謝を表せるホッケー人生であればいいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 篠原希沙、川浪康太郎、冨田千瑛)
お三方の髪質とのダブルミーニングです!
◆瀨戸公大(せと・こうだい)(※写真右)
1995(平7)年6月13日生まれ。169センチ。北海道・白樺学園高出身。スポーツ科学部4年。自分のココが一番:『清純さ』
どんな質問に対しても時に真剣に、時に楽しく答えてくれた瀨戸選手。最近はビリヤードで勝負勘を磨いているそうです。インカレでPSの機会があれば、今度こそ決めてくれることでしょう。
◆田村心(たむら・しん)(※写真中央)
1995(平7)年7月23日生まれ。172センチ。埼玉・早大本庄高出身。教育学部4年。自分のココが一番:『後輩に使ったお金』
アメフトが大好きな田村選手。一番なところとして、『引退したい欲』も挙げていました。ちなみに澤出選手、生江選手、篠田選手の総称である『ハッピーセット』は田村選手が命名したそうです。
◆野村光平(のむら・こうへい)(※写真左)
1995(平7)年6月29日生まれ。168センチ。米国・ウッドブリッジ高出身。人間科学部4年。自分のココが一番:『話せる言語の数』
様々なあだ名を持つ野村選手は、最後までいじられ倒されていました。一方、アメリカ育ちならではの家族愛の強さも垣間見えた野村選手。最後のインカレではプレーで感謝を示します。