東洋大相手に完封勝利!リーグ戦最終節を笑顔で終える

アイスホッケー

 4位が確定した前節の明大戦から中2日で迎えた最終節。相手は関東大学リーグ戦では2014(平26)年の一次リーグ以降、一度も勝利していない3位の東洋大だ。何としてでも勝ちたい早大はパワープレー(※1)で得点を重ね、完封勝利を収めた。

 最初に試合を大きく動かしたのは早大。パワープレーで迎えた4分12秒、FW飛田烈(商3=東京・早実)がシュートを放ち、相手GKに弾かれたパックをDF坂本之麿(社3=青森・八戸工大一)が混戦の中ゴールに押し込み、貴重な先制点を挙げる。しかし先制後に逆転された前節と同じ時間帯での得点に、GK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)が「常に集中し続けることを自分に言い聞かせました」と言うように、選手たちは油断を一切許さない。第1ピリオド(P)ではその後3度にわたってキルプレー(※2)が続くが、谷口を中心にDF陣が体を投げ出して必死にゴールを守り切る。第2P開始早々、早大は速いスピードでパスを回して攻撃を仕掛けにいく。FW伊東勢司(政経1=東京・早実)やFW生江太樹(スポ1=北海道・釧路江南)がゴール前までパックを運びチャンスを作るが、なかなかネットを揺らすことができない。28分15秒のキルプレーから状況は一転して、東洋大が試合の主導権を握る。パスを回されるが、固い守備で至近距離からシュートを打たせない。両者一歩も譲らない状況の中、1点のリードを死守して第2Pを終えた。

先制ゴールを決めた坂本(左)と好セーブを連発した谷口(右)

 第3Pの44分57秒、ラッフィングにより試合が一時中断し、会場は緊迫した雰囲気に包まれる。その後47分45秒のパワープレーでFW高橋寛伎(国教3=東京インターハイスクール)のシュートがネットを揺らし、待望の追加点を挙げる。パワープレーでの得点不足が課題となっていた早大は、この試合で2得点と大きな成長を見せつけた。52分40秒、FW田中創一郎(政経4=東京・早実)がゴールに背を向けた状態でパックを受け、回転しながら落ち着いて相手GKとの1対1を決め切り、自身最後となるリーグ戦で得点。全員が勝利に近付いたと感じた瞬間だった。だが東洋大も最後まで諦めていない。残り3分を切ったタイミングで6人全員での攻撃を仕掛けてくる。早大は気を緩めることなく徹底した守備を見せ、そのまま3-0で試合は終了した。

自身最後のリーグ戦でゴールを挙げた田中(左)とアシストの伊東(右)

 今季のリーグ戦は8勝6敗の4位で終えた。一次リーグは勝ち切れない試合が多く、6位と厳しい状況で折り返してしまう。しかしミーティングを繰り返し、プレーの質を上げたことで二次リーグは4連勝といいスタートを切ることができた。日本学生氷上競技選手権(インカレ)に向けて、今チームは上向きのベクトルを持っている。勝ち上がれば対戦することになる強敵の明大に勝つためにも、インカレまでの1カ月間、万全の準備をして優勝を目指してほしい。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 大山遼佳、写真 小林理沙子、加藤佑紀乃)

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結果
早大 ピリオド 東洋大
1(8) 1st 0(13)
0(14) 2nd 0(10)
2(12) 3rd 0(10)
3(34) 0(33)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 04:12 坂本 飛田 生江 PP
早大 47:45 高橋 新井 坂本 PP
早大 52:40 田中 伊東
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 矢島 羽場 新井
瀨戸 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 伊東 坂本 大崎
河田 前田 田村 草島芳 野村
GK谷口
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月23日時点)
順位 校名 勝点 試合数 GWS勝 GWS負
明大 37 14 12
中大 37 14 12
東洋大 28 14
早大 24 14
慶大 15 14
法大 14 14
日体大 14 11
日大 14 12
コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――きょうの試合を振り返って

きょうは最終戦ということで、勝って終わるためにワセダのホッケーをしようということでやって、結果的に3ー0で勝ててよかったです。

――先制シーンを振り返って

最近は第1ピリオドの立ち上がりを大事にしようということで積極的にゴールに向かっていて、きょうも普段通りのプレーができたかなと思います。

――前回は先制の後に失点が重なってしまいましたが、今回はその時間帯は特に注意して守りましたか

そうですね。点を取った後に気を緩めてしまったのが明大戦の反省点だったので、点を取ったとしても自分たちのホッケーを貫こうということをもう一度共有しました。

――きょうはキルプレーの時間が多かったですが、その点に関してはいかがですか

少し反則が多い試合だったのでそこは反省点でしたが、キーパーを含めプレーヤーも体を張ってハードワークで守れたので、そこが勝因になったと思います。

――東洋大相手に完封できたことはチームにとっても自信になりましたか

そうですね。少しは自信になったと思いますし、ロースコアで点を取られないようにということをこれまでやってきた結果が出せたのでよかったです。

――一方で攻撃陣の出来はいかがでしたか

ゴールに向かってシュートをたくさん打つということをやってきた中で、2番手、3番手のところがきょうは決めてくれたのでよかったです。うちのプレーヤーはシュートが上手な選手があまりいないので、しつこくいかないとなかなか点が取れないということで、きょうはうまくつながってくれました。

――関東大学リーグ戦を終えて、感想は

1試合も楽な試合はなかったですし、その中で一生懸命やって8勝6敗で終えられたことは、順位的には満足していないですが、今のチーム事情を考えるとよくやってくれたなと感じています。

――日本学生氷上競技選手権までに強化したいことはなんですか

当然守りの強化は大事ですし、得点のチャンスを増やすために決定力を上げていきたいです。

DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――関東大学リーグ戦(リーグ戦)最終戦を終えて、今の気持ちはいかがですか

順位確定はしてしまっていたのですが、最後勝つのと負けるのとでは大きく違うので、素直に勝ててよかったです。

――ご自身にとっては最後のリーグ戦でしたが、特別な思いはありましたか

1年生の頃から出させてもらっていたリーグ戦だったのですが、最後の最後で勝って終われることで、2年と3年の頃は同じ東洋大戦で引き分けで終わっていたので、最後の年に勝って終われて本当にうれしいです。

――完封勝利を収めましたが、守りの面を振り返って

きょうはペナルティーが多い中でよく無失点で抑えられたなと思うのですが、無失点で抑えられたのはGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)のおかげだと思います。その他にも東洋大の対策はしっかりできていたので、その点も無失点の要因になりました。

――キルプレーのピンチを抑えられた要因はどう考えていますか

東洋大はスキルの高い選手が多いということは分かっていて、あとディフェンスからのシュートがうまいチームなので、いかに東洋大がしにくい攻撃をさせるかということをミーティングで話し合ってきました。それがキルプレーでもうまくはまって守れていたと思います。

――攻撃の面ではパワープレーをものにしました

得点に関しては入る時は入りますし入らない時は入らないので、どちらかと言うといかに失点を減らせるかどうかということを意識していました。守りの部分がよかったから得点も入ったのではないかなと思います。

――同期のFW田中創一郎選手(政経4=東京・早実)が得点を決められましたが、そのことについて思うところはありますか

彼はあんまり得点をするキャラではなかったのですが(笑)、大事な場面で決めてくれたので本当に感謝しています。

――今季のリーグ戦14試合を振り返っていかがですか

最後勝てたことはうれしく思っていますが、優勝を目指してきた中で4位に終わってしまったので、この悔しさをインカレ(日本学生氷上競技選手権)で晴らしたいと思います。

――そのインカレに向けて、これからどんなことを強化したいですか

順当に勝ち上がればメイジと当たるのですが、自分たちはメイジとの差を感じているので、この1カ月でメイジに勝てるように、練習の質を高めていきたいと思います。

FW田中創一郎(政経4=東京・早実)

―― リーグ最終戦でしたが、とてもいいかたちで終えられたのではないでしょうか

本当ですね。 完封は気持ちいいです(笑)。

――3-0というスコアもチームにとっては意味のあるものではないでしょうか

はい。秋の締めというのと同時に、インカレ(日本学生氷上競技選手権)に向けてのスタートという意味があったと思うので完封という試合ができたのは、いい結果だと思います。

――これまでは先制しても追い付かれることや、得点後の失点も目立ちましたが、きょう失点を0を抑えられた要因は

うちのチームは気持ちの浮き沈みがあって、得点を取った後に浮かれてしまうシーンが多いかなと今までは思っていて、「得点後に集中しよう」というのはベンチの中でも声を掛けて共有していました。自分たちのやるべきことができたのが良かったかなと思います。

――キルプレーの時間も長かったですが、キルプレー中に意識したことはありますか

やはり声掛けを多くすることを大事にしていていました。それは必ずしも氷の上に乗っている選手だけではなく、ベンチからも「裏空いてるよ」とか「誰か空いてるよ」とか「マークしろ」といった声が飛んでいて、それに助けられた部分も大きかったです。

――第2Pを終えて1-0でしたが、チームにとっては油断はできない点差でしたか

はい、そうです。

―― 3点目はご自身が決められましたが、ゴールシーンを振り返っていかがですか

伊東勢司(政経1=東京・早実)がゴール裏よく粘ってくれて、自分の前に転がってきて、キーパーと1対1になって。今まで結構ああいうシーンで慌てて打ってしまうことがあったんですけど、ちょっと落ち着いてキープしたら入りました。

――リーグ戦全体通して、田中選手は攻撃に絡みシュートを放つ場面も多かったと思われますが、それが形になったと

そうですね。結果が出てくれて、本当にほっとしています。

――攻撃陣も積極的にパックをカットしにいく姿勢が見られましたが

まず、自分たちのチームとしても、特に自分たちのセットとしても、守りは第一だということがありました。守りが第一ではあるのですが、全員がパックに寄ってしまって失点してしまうシーンもあって、それは無くそうという話をミーティングの中で何度も共有して臨んだので、いい結果が出たと思います。

――今日はチームとして3得点挙げましたが、攻撃のかたちや連係もリーグ戦を通して徐々に良くなってきていますか

そうですね。3点のうち2点はパワープレーのゴールですし、ずっと準備してきたことが最終的にかたちになったかなと思ってます。

――リーグ戦を全体的に振り返っていかがですか

リーグ通して振り返ると、例年にないくらいミーティングを多くして動きの質はどんどん上がっていると思っています。ここからインカレまでさらに質を上げて、インカレでいい結果を出したいなと思っています。

――リーグ戦を通じて、収穫と課題を挙げるとしたら、どのようなことが挙げられますか

やはりチームで話し合う機会が増えたというのは一番大きな収穫だなと思います。今までは試合が終わった後にちょこっと反省することはあっても、時間作って全員で失点のシーンを共有するとか、そういうことはなかったのでそれはいい習慣になっているかなと思います。課題はやはり、意識付けをしていても執着心からなのか、パックに寄っていってしまうことが多くて、それはこれから改善できると思います。

――来月に控えるインカレに向けて意気込みをお願いします

やはり最後の大会ですし、もう全員で一丸となっていい結果を残せるように頑張っていきたいと思います。

DF坂本之麿(社3=青森・八戸工大一)

――今日の試合を振り返っていかがですか

1番は無失点で勝てたことがチームとしても1番良かったし、全体として自信になるゲームだったんじゃないかなと思います。

――パワープレーでのゴールでしたが、ゴールシーンを振り返っていかがですか

今回の試合、パワープレーで起用させてもらったんですけど、自分が決めたいって思うというよりもまあチームとして、セットとして決めれば良かったなと思っていたので。結果的に自分が決めましたし、そこは素直に嬉しいです。

――2試合連続のゴールとなりましたが、調子はいかがですか

得点はしているんですけど、個人的に守りの方が少し課題残っていると思うのでそこは修正していきたいと思います。

――DF陣の調子はどうですか

今日は本当に無失点で終われたのですごい良かったと思いますし、それはDF陣、キーパーも含めて自信になればいいなと思います。

――後半からでしたが、リーグ戦振り返っていかがですか

前半チームがすごく苦しい状況だったんですけど、自分が入ってどうにかなればっていう感じで復帰して、まあ順位は去年と変わらないんですけどチームとしてはすごい良くなったかなと思いますし、個人としても合格点をあげられるリーグ戦になったと思います。

――インカレに向けて、お願いします

個人的に地元でのインカレになるのでそこは気合入れてやりたいと思いますし、あと1ヶ月チームで準備して、優勝できるように頑張りたいと思います。

GK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

最後に勝って終わるのと負けて終わるのではやはり違うので、必ず勝つということを全員で共有して得た勝利だったと思います。勝つことができて良かったです。

――前節の明大戦の5失点から切り替えることはできましたか

前節は普通ではありえない第1Pで5失点をしてしまい、チームに迷惑をかけてしまいました。何としてでもチームに恩返しをしなければいけないという思いをもって試合に臨みました。

――個人的に改善した部分などはありますか

前回の試合では連続失点が目立ってしまっていたので、まずは1本1本のシュートに集中しました。常に集中をし続けることを自分に言い聞かせて60分間プレーをしました。

――東洋大相手に完封したのは自信になりましたか

完封というのはどの試合でも嬉しく、GKは常にそれを目標にしてプレーしています。目標が達成できたのは自分が秋リーグを通して成長できたからだと思います。

――リーグ戦を振り返っていかがでしたか

決して良い成績ではないので満足できるものではないですが、最後に勝って終われたので良かったです。

――インカレに向けて一言お願いします

インカレは負けたら終わりの中また明治と当たるので、それまでの1ヶ月間、明治に勝つための準備をしっかりとチーム全員でしていきたいです。