最終戦を前に、またも明大の牙城崩せず

アイスホッケー

 二次リーグも終盤を迎えた第13節。一次リーグでは大敗を喫した明大と対戦した。日本学生氷上競技選手権(インカレ)でも勝ち進むと対戦することになる相手だ。それだけに重要な試合だったが、第1ピリオド(P)の大量失点で勝負は決まってしまい、白星を挙げることはかなわなかった。そして、今節の結果によって関東大学リーグ戦(リーグ戦)の最終順位は4位に確定した。

 第1P開始早々パワープレー(※)を迎えるが、得点はできない。しかしパワープレーの直後、油断していた敵の隙をつき、FW高橋寛伎(国教3=東京インターハイスクール)が放ったパックは一直線にネットに吸い込まれる。高橋のリーグ戦2つ目のシュートは、貴重な先制ゴールとなった。好調の第3セットでの得点でそのまま勢いに乗りたかったワセダだが、その後は明大の巧みなパス回しに翻弄(ほんろう)され、思うようなプレーをさせてもらえない。7分10秒、相手の初得点を皮切りに、守りのミスも重なり連続失点。相手の多彩な攻撃パターンになすすべなく、簡単にシュートを決められてしまう。その後も全くパックを保持できず、攻められ続ける時間が多く敵陣にもなかなか攻め込めない。第1P終盤、とどめの5点目を決められ、大幅にリードされて第1Pを終える。

積極的な攻撃でケガ人の穴を埋めた瀨戸

 流れを変えたい第2P、ゴールキーパーを前回の明大戦でもいい守りを見せたGK草島邦彦(社4=東京・早実)に交代。「自分がチームの流れを変えなきゃいけないということだと思った」との言葉通り、相手の鋭いシュートを何度も止め試合の流れを変えた。第1Pに比べて、敵陣に果敢に攻めるシーンも増える。草島邦の好守もあり、第2Pを無失点で終えた。少しでも点差を縮めようと迎えた第3P。第1P途中から、試合中に負傷したFW青木孝史朗(スポ2=埼玉栄)に代わって第2セットでの出場となったFW瀨戸公大(スポ4=北海道・白樺学園)やFW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)がシュートを狙う場面が目立った。瀬戸は普段とは違うセットでの出場となったが「もともとどこのセットに入ってもやれるように準備していた」と語ったように、連携も悪くない。しかし、相手GKの固い守りに阻まれ、惜しくもゴールには結びつかない。中盤、DF坂本之麿(社3=青森・八戸工大一)が鮮やかなシュートでネットを揺らすが、その後のパワープレー時ではチャンスをモノにできず試合終了。2―6の敗戦となった。

またしても明大戦で存在感が光った草島邦

 強豪明大に黒星をつけることはできなかったが、これまで出場機会の少なかった草島や瀬戸ら4年生の活躍など、試合を通して得られたものもあった一戦となった。二次リーグも残すところあと一戦。前回は惜敗した東洋大との対戦だ。順位は決まってしまったが、次の試合をどのようなかたちで終えるかは、12月に控えたインカレに向けても非常に大事となる。長かったリーグ戦の最終戦を、勝利で飾ることができるか。ワセダの意地を見せてほしい。

※ ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 村田華乃、大山遼佳)

関連記事

痛い敗戦も手応えつかむ一戦に/関東大学リーグ戦(11/12)

残り6分であわや…苦しみながらも慶大打破で4連勝!/関東大学リーグ戦(11/5)

リーグ戦初完封!二次リーグ3勝目を挙げる/関東大学リーグ戦(11/3)

結果
早大 ピリオド 明大
1(9) 1st 5(17)
0(9) 2nd 0(11)
1(13) 3rd 1(8)
2(31) 6(36)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 04:01 高橋 飛田
明大 07:10 高橋 松本 徳田
明大 09:13 松本 高橋 徳田
明大 9:35 桂川 府中 梅村
明大 11:07 府中 池田 桂川
明大 17:04 徳田 高橋 松本
明大 48:12 京谷 徳田
早大 50:17 坂本 飛田 鈴木
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 矢島 羽場 新井
青木 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 小澤田 坂本 大崎
加賀美 瀨戸 河田 伊東 野村
GK谷口→草島邦
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月23日時点)
順位 校名 勝点 試合数 GWS勝 GWS負
明大 37 13 12
中大 34 13 11
東洋大 28 13
早大 21 13
法大 13 13
慶大 12 13
日体大 13 11
日大 13 11
コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――きょうの試合は先制に成功しましたが、そのシーンを振り返って

立ち上がりの最初の5分で点を取ろうということで第1ピリオド(P)は大事に戦おうということで、集中して取れたゴールだったのでそこはよかったです。

――一方、第1Pでは5失点を喫しましたが

最初の失点はDゾーンでのこちらの細かいミスが重なって取られたもので、先に点を取れたということで安心した部分もあったのかもしれないですが、そこは次に向けた反省点だと思います。

――第2PからGKを草島邦彦選手(社4=東京・早実)に変更しましたが、その意図はなんですか

第1Pで5点取られましたし、決してキーパーだけの責任ではないのですが、流れを変えたいということで4年生の草島を出しました

――前回の明大戦でも草島邦選手の好守が目立ちましたが、それも踏まえてのことでしたか

そうですね。きょうも第2P、第3Pはよく頑張ってくれましたし、うちのやりたいホッケーもできていたので、そこはよかったです。

――きょうはFW瀬戸公大選手(スポ4=北海道・白樺学園)の起用も目立ちましたが

孝史朗(FW青木、スポ2=埼玉栄)がケガできょうは出られないということで、もともと誰かケガ人が出たら公大を出すというプランがあったので、その通りにしました。

――明大とは日本学生氷上競技選手権でも当たりますが、そこに向けてはいかがですか

勝ち進めば明大と当たることになるので、そこを想定して準備していきたいです。

――関東大学リーグ戦は次戦で最後になりますが、意気込みをお願いします

毎年そうですが最終戦は大事で、今までやってきたことを出し切って、当然勝って終わるのと負けて終わるのでは違うので、勝ちにいく姿勢で残りの時間やっていきたいです。

GK草島邦彦(社4=東京・早実)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

第1ピリオド(P)に勝負をつけられてしまったなという感じです。

――交代を告げられた時の心境を教えて下さい

< p>キーパーが自分に変えられたってことは、チームの流れを変えなきゃいけないってことだと思うので、まず自分がチームの流れを変えられるように、自分を中心に守らなきゃいけないなと。控えのキーパーとしての役割を全うしようということが、自分の中にありました。

――前回の明大戦での交代後のプレーは、イメージされたりしましたか

イメージというよりも、前回は変わってすぐ失点してしまって、役割を果たせなかったので。今回は交代直後から役割を果たすということを念頭に置いていました。なので、その役割はある程度果たせたかなと思っています。

――無失点に抑えた第2Pでの守備については

明大は裏を通してくるパスが多かったので、声を出して、仲間を相手につかせるということを一番心がけていたのと、キーパーが座っちゃうと次の動きができなくなるので、座らないということを常に頭に置いてプレーしていました。

――第3Pのご自身のプレーは

第2Pが失点0だったので、そのまま無失点で終えたかったなという思いはありました。自分の失点が原因でその後チームが流れに乗れなかったので、どうかと聞かれるとあまりよくはなかったなと思います。

――本日のDF全体の動きや精度はどのように見ていますか

第1Pは相手に振り回されて、後手に後手に回っていたのですが、第2P、3Pでは自分たちのやりたいホッケーができて先に自分たちの守りを立てることができたなと思います。先程も言いましたが、自分たちのホッケーが第1Pよりはできていたのかなと思います。

――明大は、日本学生氷上競技選手権でも対戦することになるであろう相手ですが、修正していきたいところや意識していきたいところはありますか

やっぱり相手のスピードに合わせるというよりも、自分たちのホッケーをするということですかね。相手に合わせるということは既に自分たちが後手に回っているということなので、自分たちのホッケーを着実にやって、相手にやりたいことをやらせないということを念頭に置いて、自分たちのホッケーをもう一度、勝つために固めていきたいなと思っています。

――最終戦に向けて意気込みをお願いします

順位は決まってしまいましたけれども、やはり負けて終わるのと勝って終わるのは全然違うので、最後は絶対に勝って終わりたいなと思います。

FW瀨戸公大副将(スポ4=北海道・白樺学園)

――試合全体を振り返って

この試合の前に順位が決まってしまって、ミーティングの中で3位を狙ってという感じで臨んだんですけど、それを考えずに、インカレ(日本学生氷上競技選手権)につながる試合にしようっていう感じで。結果、インカレにつながる試合になったかどうかといえば、そこまでいい試合はできなかったんですけど、一人一人つかむところはあったと思うので、そういった意味では収穫のあった試合だったかなと思います。

――第1ピリオドの途中からの出場となりましたが、その時の心境は

もともとどこのセットに入ってもやれるように準備はしていたので、青木選手(孝史朗、スポ2=埼玉栄)がケガした中で、できるだけそこのセットの流れを変えないようにっていうのと、もう連続失点しちゃってて試合の流れも悪かったので、その流れを変えられるように、そこは気持ちを入れてプレーしました。

――いつもと違うセットでのプレーでしたが、手応えは

澤出選手(仁、スポ1=北海道・武修館)、センターの生江選手(太樹、スポ1=北海道・釧路江南)とか、世代別日本代表に入ってる選手が多くて、パスもすごいいいところに来ますし、何回かチャンスになるプレーもあって、チャンスを決められればセットとしてよかったなと思うんですけど…。もうちょっといいプレーができたんじゃないかって後悔してます。

――FW全体のプレーを振り返って

セットが5つ目まであるんですけど、4つ目でも5つ目でも、ゴールを狙えるそんなに大差ないFW陣だと思っています。きょうの調子もそんなに練習と変わらなくて、やってて「できるな」っていうのはありました。秋リーグはシュートをたくさん打つっていうのが自分たちの中であったんですけど、守る時間が多くなっちゃって、FWがシュートを打てなくなったり、流れが悪くなると守りから攻めに転じるときもちょっと遅くなったりして、第2P、第3Pで疲れが見えてきた場面があったので、他と比べてスキルがある選手が多いわけじゃなくて、頑張る選手が多いと思うので、そこはインカレにもつなげていければいいと思います。

――チームの状況をここまで振り返って

ことしは4年生がすごく活躍しているっていう場面が少なくて、去年で言うと金子主将(立樹、平29スポ卒=北海道・駒大苫小牧)だったり青木さん(優之介、平29スポ卒=埼玉栄)だったり4年生に力のある選手が多かったんですけど、ことしはチーム全体の力っていう意味で、去年よりいいチーム力だとは思っています。なので自分は、副将の鈴木ロイ選手(教3=北海道・苫小牧東)や主将の新井選手(遥平、スポ4=北海道・駒大苫小牧)のサポートだったり、ホッケーの頭の面、プレーの助言だったりをしています。日本代表でやってる選手が他の大学と比べて多いわけじゃないので、そこを底上げしてチーム力で戦っていかないと、ワセダは勝てないと思うので。今そういった面は悪くないのかなと思うんですけど、まだやっていけると思います。

――リーグ最終戦へ向けて意気込みをお願いします

きょうの試合もそうなんですけど、順位が決まってしまってモチベーション保つのがちょっと難しいんですけど、この後もインカレが残っていますし、最後インカレにつながるように、勝ちに向けてやるのはもちろんなんですけど、何かつかんでチーム力を上げるっていう面でも成長できるような試合にしたいと思ってます。