痛い敗戦も手応えつかむ一戦に

アイスホッケー

 痛い敗戦となった。二次リーグ開幕から4連勝と勢いに乗る早大はこの日中大と対戦。強敵相手に第2ピリオド(P)までを2—2で終えるも、続く第3(P)では中盤に追加点を許してしまう。その後、残り2分30秒を切った6人攻撃の場面でさらに2失点。試合内容は悪くはなかったが、最後まで攻め切ることができなかった。

 4点差をつけて勝つことが2位への最低条件だった今回、早大は序盤から果敢にゴールを狙い惜しいシュートを連発するが、相手の好セーブに阻まれなかなかゴールが決まらない。対する守備陣もGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)を中心に得点を許さず、両者一歩も譲らない展開が続く。そんな中、早大はキルプレー(※1)の場面で手薄になったDFを抜かれ初ゴールを奪われてしまう。しかし、直後の8分38秒にはFW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が1人でDF陣を抜き去り、ゴールを決め同点に。続く第2Pでも互いにゴールを脅かす緊迫した状況となる。先にゴールを決めたのはまたも中大、速攻からロングシュートで1−2に。その後早大のパワープレー(※2)となる場面もあったが決定打は生まれない。しかし終了間際、「DF羽場くん(健太、政経3=東京・早実)からのパスがちょうどきたから合わせられた」と矢島が羽場との息のあったプレーでこの日2得点目を挙げる。そのまま第2Pは幕を閉じ、勝負の行方は最終ピリオドへ。

この日も2ゴール。好調を維持する矢島

 第3Pでは一転、中大の猛攻に防戦一方となり反撃の兆しが見えない。その中でも、一瞬の隙をついてFW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)がシュートを狙うがこれは惜しくも得点につながらず。そしてその直後、中大にこぼれ球を拾われ速攻からのシュートを許してしまう。これが追加点となり2−3、再び早大が追いかける展開に。その後はキルプレーもあったもののなんとか耐え抜き、攻撃のチャンスをうかがう。そしてラスト2分30秒に差し掛かったところでタイムアウトを要求。GKを下げ6人攻撃の策に切り替えた。しかし、これが裏目に出てしまった。中大陣地に総力を挙げて攻めかかるが、なかなか得点まで結びつかない。そしてパックが早大の手から離れた瞬間、ゆるく打たれたシュートは静かに早大ゴールに吸い込まれていってしまう。一同はゴールの瞬間をただ見守るしかなかった。これで2−4、厳しい状況に追い込まれる。その後たまらず谷口を戻すが、もう後がない早大は残り2分を切った場面でまたも6人攻撃に切り替える。そして試合終了間際、悪夢は繰り返す。またも中大から放たれたパックは早大ゴールを目指していく。必死に食い止めようとDFが追いかけるも万事休す。だめ押しの5点目を入れられ、試合終了となった。

6人攻撃で終盤に激しい猛攻を見せたが、1点が遠かった

 結果は5−2で敗北となったが、GKがいる中での失点は3点に抑えるなど確実に成長がうかがえる。しかし、3回あったパワープレーで一度もゴールを奪えなかったことやシュート数が34−35と変わりのないことを考えると、決定力のなさも浮き彫りとなってきた。課題を修正してさらにパワーアップを図りたいところだ。次はいよいよ王者・明大との対戦となる。「明大に勝って、東洋大に勝って、3位で終わりたい」と谷口も意気込むように、次こそは白星をつかみ取りたい。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

(記事 松本一葉、写真 冨田千瑛、加藤佑紀乃)

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結果
早大 ピリオド 中大
1(13) 1st 1(13)
1(11) 2nd 1(12)
0(10) 3rd 3(10)
2(34) 5(35)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
中大 05:39 宮本 小野
早大 08:38 矢島
中大 31:13 坂本 蓑島
早大 39:41 矢島 羽場 飛田
中大 49:04 齋藤 蓑島
中大 57:42 齋藤
中大 59:41 坂本 蓑島
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 矢島 羽場 新井
青木 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 小澤田 坂本 大崎
加賀美 瀨戸 河田 伊東 野村
GK谷口
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月12日時点)
順位 校名 勝点 試合数 GWS勝 GWS負
明大 34 12 11
中大 33 12 11
東洋大 26 12
早大 21 12
法大 13 12
慶大 12
日体大 12 10
日大 12 11
コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――試合を振り返って

一次リーグでの中大戦の内容と比べると、今回の方がうちのやりたいホッケーができましたし、それだけに結果が出なかったのは残念です。

――前回、前々回の対戦時と同様に第2ピリオド(P)終了時では同点でしたが、第2Pまでを振り返って

第2Pまではショートシフトで脚を使ってのバックチェックで相手に好きなプレーをさせないということをできたので、そこを第2Pまでできていて勝ち切れなかったのは残念です。

――第3P、特に6人攻撃の場面を振り返っていかがですか

第3Pは失点はしましたが途中まではしっかり粘れていて、最後勝負を仕掛けようということで6人攻撃を選択しましたが、攻め切ることができなかったです。

――前回の中大戦と比べてよかった点はどこですか

前回に比べると最後まで脚は動いていましたし、体も動いていましたし、互角に戦えていたと思います。守りの面でもしっかり守ってくれましたし、相手のFWに対してもそれぞれ対策をして厳しいチェックで抑えていて、最後も勝ちにいこうということで攻めていけたので、そういった点ではよかったと思います。

――次の明大戦に向けた意気込みをお願いします

次の明大も一次リーグで負けていて簡単には勝てない相手ですが、きょうと同じようにロースコアに持ち込んで勝ち切りたいです。優勝はないですが3位を目指して残り2試合勝つために全力で準備をしていきたいです。

FW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

全体的にこっちのペースでプレーできていて、第3ピリオド(P)で1失点するまではこっちのやりたいように試合を運べていたかなと思います。失点した後、チームのテンションが落ちてしまって、あそこで開き直って持ち直せたらよかったのですが、そこからは何とも言えないですね。

――本日2得点されましたが

相手のキーパーが僕の幼なじみで、幼稚園の頃から知っていたので、きょうは絶対点を入れてやろうと思っていました。一つ一つのゴールをはっきりとは覚えていないのですが、二点目はちょうど羽場くん(健太、政経3=東京・早実)からのパスが来たので、合わせられました。

――現在のご自身の調子はいかがですか

あまり調子がいいかといったことは考えたりしなくて、点数が入ったりいいプレーができたら後から調子いいかなと考えるくらいです。悪かったら悪かったでこんなもんか、と思いますし。ですが、結果にして見たら今は調子がいいのではないかと思います。

――中大の守りに合わせて、戦略など変更したことはありましたか

いえ、今回は自分たちのやるべきことをやろうということで、中大だからどう変わるとか、今回そういったものはありませんでした。前は一巡目で相手のセットに合わせてこっちのセットを変えたりしていたのですが、そういうの今回はなくて。とりあえず自分たちのホッケーをしようということで、プレーしていました。

――今回パワープレーがうまく決まらなかったように思うのですが

そうですね、やっぱり中大はキルプレーがうまいので詰めが早かったりとか、パック持ってる余裕がなかったので、その辺りはちょっと対策が甘かったかなと思います。

――第3Pの終わりで6人攻撃の場面がありましたが

ほんとは今回4点差をつけて勝たないと2位には入れなかったので、点数取りに行かなきゃいけない場面だったのですが…。個人的にこのプレーはああすればよかったなって後悔するところがありました。

――最後に、次の明大戦への意気込みをお願いします

インカレ(日本学生氷上競技選手権)でも準々決勝で当たる相手だと思うので、そこへの布石という意味でも、ここで勝っていく意味は大きいです。秋リーグで3位をとるためにも、絶対勝てるよう準備して明大戦へ臨みたいと思います。

GK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

チームとして絶対に勝つと決めて臨んでいたので、勝ちきれなかったことは今のチームの弱さだと思います。

――2位・中大に対して前回より失点を押さえましたが

ワセダはあんまり点数が取れるチームではないので、勝つためには最少失点に抑えることが必要で、きょうも無失点を目標にしていたんですが、3失点してしまいました。そこが負けにつながっているので、もっと抑えられるところは抑えないといけないなと思います。

――第3ピリオド(P)の失点数について意識している部分はありましたか

試合を通して最後までパックを見ることと最後まで集中することを言い聞かせているので、第3Pも入るときは常にそれを意識しています。

――二次リーグに入ってからの好調の要因はなんですか

一次リーグ終わって負け越していたので、絶対に勝つということがチームの目標だったので、それに向けて自分も勝ちに貢献しなければいけないので、目の前の1試合を大事に臨んでいます。

――上を抜かれるシュートが多いことへの対策を意識しているとお聞きしました

僕もそんなに身長が高くなくてバタフライしてしまうとどうしても上が空いてしまうので、まず相手より先に動かないということと、最後までパックを見てシュートコースが上だったときは座らないということを、練習から常に意識しています。

――次の明大戦への意気込みをお願いします

きょう負けて、2位の可能性は無くなってしまったんですけど、明大に勝って、東洋大に勝って、3位で終わりたいと思います。