6位に沈んだ一次リーグから一転、全勝で迎えた二次リーグ3戦目。この日は前回4失点を喫した日大との一戦に臨んだ。終始早大のペースで攻撃を進めながら相手のシュート数を抑え、今季の関東大学リーグ戦初の完封勝利を飾った。
第1ピリオド(P)、序盤からキルプレー(※1)となり不利な状況を迎えてしまう。しかしパックをしっかりキープし相手にシュートを打たせない。キルプレーをしのいだ後、FW鈴木ロイ(教3=北海道・苫小牧東)、FW飛田烈(商3=東京・早実)がゴール前でパスを回してFW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が右サイドから得点。その後も再びキルプレーになってしまうが、これも相手に得点を許さずパックをキープする。さらにラスト1分で鈴木、矢島のゴール裏からの攻撃で最後は飛田がゴール。2点ともキルプレーのあとに矢島、飛田、鈴木の第1セット3人の抜群のコンビネーションでの得点となり、アシストが生きた理想的なプレーだった。
夏以降第1セットでの起用が続いている羽場
第2P、ここでも守備陣の踏ん張りで相手にシュートを打たせず無失点に抑える。DF羽場健太(政経3=東京・早実)が「シュートを打たれないようにスティックを合わせたり、打たれた後も身体を当てに行ってシュートを打つという選択肢を減らせるように徹底したことが功を奏した」と語るように、相手のシュート数を5本にとどめた。しかし、相手の連続ペナルティーによる5人対3人のパワープレー(※2)の好機を生かせず、このピリオドは早大の得点もゼロ。続いて今季失点の多かった第3Pも徹底した守備で前のピリオドに続き失点をゼロにする。42分20秒には飛田、鈴木のアシストでFW高橋寛伎(国教3=東京インターハイスクール)がシュートを決めた。普段第3セットでプレーしているが、パワープレー時は常に攻撃に加わっている高橋。今まで惜しいシュートの多かった高橋が今回今季初ゴールを挙げたことは、チームにとっても大きいだろう。
ようやく今季の公式戦初ゴールを挙げた高橋(右)
前回の日大戦での4失点から失点をゼロに減らし、ディフェンス面では次につながる収穫のある試合となった。一方で、パワープレーの好機を生かせず、総シュート数49本のうち3本しか決まらなかったことで今後に向けた課題が見えた試合でもあった。リーグ戦6勝目を挙げ、昨季の勝ち数を超えた早大。次戦も勝って、リーグ戦上位に食い込めるか期待のかかるところである。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
(記事 阿部かれん、写真 冨田千瑛、小林理沙子)
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結果 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 日大 |
2(21) | 1st | 0(4) |
0(17) | 2nd | 0(5) |
1(11) | 3rd | 0(7) |
3(49) | 計 | 0(16) | ※( )内はシュート数 |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 09:37 | 矢島 | 鈴木 | 飛田 | - |
早大 | 19:16 | 飛田 | 鈴木 | 矢島 | - |
早大 | 42:20 | 高橋 | 飛田 | 鈴木 | PP | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 飛田 | 鈴木 | 矢島 | 羽場 | 新井 |
2 | 青木 | 生江 | 澤出 | 篠田 | ハリデー |
3 | 田中 | 高橋 | 小澤田 | 坂本 | 大崎 |
4 | 加賀美 | 瀨戸 | 河田 | 草島芳 | 野村 | GK谷口 |
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月3日時点) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | GWS勝 | GWS負 | 負 | ||
1 | 明大 | 28 | 10 | 9 | 0 | 1 | 0 | ||
2 | 中大 | 27 | 10 | 9 | 0 | 0 | 1 | ||
3 | 東洋大 | 23 | 10 | 7 | 1 | 0 | 2 | ||
4 | 早大 | 18 | 10 | 6 | 0 | 0 | 4 | ||
5 | 法大 | 10 | 10 | 3 | 0 | 1 | 6 | ||
6 | 慶大 | 9 | 10 | 3 | 0 | 0 | 7 | ||
7 | 日体大 | 3 | 10 | 1 | 0 | 0 | 9 | ||
8 | 日大 | 2 | 10 | 0 | 1 | 0 | 9 |
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合を振り返って
きょうは無失点で、去年の秋リーグ(関東大学リーグ戦)でもなくて2年ぶりだったのでよかったです。
――一方で得点としてはもっと取りたかったですか
そうですね。シュート数は49本ですし、ゴールの枠にいっていないシュートもかなりあったので、そういった部分ではもっと点を取るタイミングはあったと思います。
――今季初完封でしたが、守備面はいかがでしたか
キーパーだけでなく、DFやFW、出ている全ての選手が守りの意識を共有してやった結果ですし、なかなか完封はできるようでできないことなので、これに関しては評価したいです。こういった経験は次につながると思います。
――第2ピリオドではパワープレーで決められない場面も目立ちましたが
パワープレーでシュートが少なかったりするのは試合では相手があってのことなので、そこに関しては次戦以降修正するポイントかなと思います。
――そんな中、FW高橋寛伎選手(国教3=東京インターハイスクール)が今季初ゴールを決めました
パワープレーの中での点でしたが、彼はパワープレー時の要因として入っているので、取ってくれたのはよかったです。これをきっかけに、あさって以降の試合でも点に絡むプレーを期待したいです。
――パワープレーで高橋選手を起用しているのは、高橋選手の攻撃力を買ってのことですか
彼も泥臭いプレーをできる選手ですし、周りとの連携もうまい選手なので、そういう点で起用しています。
――次の慶大戦はあさってですが、そこに向けた意気込みをお願いします
慶大は上位校に対してもいい試合をしていますし、当然油断することなく、こちらも強い気持ちでいかないと負ける可能性が高いので、しっかりと疲れを取ってまたあした準備をして、勝ち点3を取りたいです。
DF羽場健太(政経3=東京・早実)
――試合を振り返っていかがでしたか
秋リーグ(関東大学リーグ戦)が始まって初めて無失点で勝てた試合で、みんな守りの意識とか高くやれていたので、次につなげられるすごくいい結果だったと思います。
――無失点で抑えられましたが守備面はいかがでしたか
試合前の対策ミーティングの段階から数的不利の状況は作らないようにしようと話していて、DFがパックを後ろにそらさないとか、しっかりFWが戻ってくるとか、そこは徹底しようと話していて、完璧ではなかったものの、みんな意識ができていたところはよかったかなと思っています。
――前回日大戦では4失点でしたが、それを受けて何か対策はありましたか
前回の試合の失点が結構自分たちのミスから出たものが多かったので、キーパーが弾いてしまったりだとか、FWが全員下の方に戻って来すぎて上に上げられて上から打たれるとか、そういうところが多かったのですが、それだけはないようにしようと言っていました。それはすぐに変えられることだったので、しっかり意識をして臨めたというところが大きかったと思います。
――被シュート数を少なくすることを意識していると伺ったのですが
例えば1対1のときとか、しっかり相手のスティックのところに自分もスティックを合わせたりだとか、FWでいえば、DFのところにパスが行ってるから打たれる瞬間にしっかり詰めて、シュートを打たれないようにスティックを合わせるだとか、打たれた後もしっかり身体を当てに行って、シュートを打つという選択肢を減らせるように徹底してきたので、そこがうまく功を奏したのかなと思います。
――ここまで第1セットで起用されてきて、手応えはありましたか
僕は1番目のセットでやれるような実力ではなくて、マロ(之麿、社3=青森・八戸工大一)が本当は第1セットで出るはずなんですけど、マロがケガをしたので穴埋め的な感じで今は入っています。足を引っ張らないように、とりあえずやれることを全力でということだけを考えてやってきて、マロが体力的な部分で本調子ではないということでまだ一番上ではやれないんですけど、自分の手応えでいうと完璧に抑えられているわけではないので色々反省点はあります。ですが、高いレベルのところで経験を積ませてもらっているということはいい経験になっています。
――チーム全体をここまで振り返っていかがでしたか
1次リーグは3勝4敗で負け越してしまって、目標としていた優勝には手が届かないのではないかということになってしまったんですけど、ここから次の目標をしっかり立ててやっていきたいです。今後半戦の序盤の3つは勝てているので、次の慶大戦はヤマ場だと思うのですが、しっかり勝って上位校3チームに挑戦する権利を得ることができればいいかなと思っています。
――最後に次の試合への意気込みをお願いします
慶大戦に勝てるか勝てないかで、上に食い込んでいけるか下に戻ってしまうかが決まってくると思うので、今シーズンなかなかワセダは勝てないと言われてきたところではありますが、勝って最後秋リーグに爪跡を残せるように、勢いに乗れるような試合にしていきたいと思います。
FW高橋寛伎(国教3=東京インターハイスクール)
――試合をふり返っていかがですか
チームとしてやるって決めたことはできたと思うので、それと一緒に結果がついて来たと思います。
――ゴールシーンをふり返っていかがですか
パワープレーという数的有利な状況で、ネット前で人数多かったので、そこで出てきたパックを決めることができてよかったです。
――今季初ゴールでしたがお気持ちは
うれしいです。
――前回同じセットのFW田中創一郎選手(政経4=東京・早実)も初ゴールを決められていましたが、第3セットの調子は良いですか
シーズンの序盤から比べたら相当成長したと思うんですけど、まだ直すところはいっぱいあると思うので、これから練習で極めていって活躍できるといいです。
――次の慶大戦に向けてお願いします
勝ちます。