GWSで敗れ夏は4位。それでも見えてきた復活の兆し

アイスホッケー

 久々に『四強』がそろった今大会。その名を名乗るにふさわしい、両校の意地と意地がぶつかり合う一戦が繰り広げられた。東洋大との3位決定戦。この夏の練習試合では二度1点差ゲームを落としており、三度目の正直といきたいところであったが、勝ち切れず。ゲームウィニングショット(GWS)までもつれこむ接戦に敗れ2年連続の3位入賞とはならなかったが、春からの確かな成長を証明してみせた。

 第1Pから試合は大きく動いた。開始24秒、初戦以来のスタメンに抜てきされたGK草島邦彦(社4=東京・早実)がミドルシュートに対応できずいきなり先制を許す。それでも立て続けに数的有利のパワープレー(PP)を迎えると、FW青木孝史朗(スポ2=埼玉栄)が今大会初ゴール、FW生江太樹(スポ1=北海道・釧路江南)が今大会4得点目となるゴールを決め逆転。その後再び同点とされたが、PPの時間が多く早大優位の立ち上がりとなった。

ようやく初ゴールを挙げた青木(左)

 しかし、第2P序盤、3人対5人のキルプレー(PK)という絶体絶命のピンチを迎える。ここで光ったのが草島邦の堅守。ポストをはじくなど東洋大の強烈なシュートが続いたが、ことごとく跳ね返し得点を許さない。日体大戦での活躍が目立ったGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)に負けじと先輩が存在感を示し、この場面を無失点でしのいだ。するとその直後、前線に攻めてきていたDFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)が右サイドからのパスにうまく合わせ勝ち越しに成功。さらにFW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)の追加点でリードを2点に広げる。このピリオドで19本のシュートを阻止した草島邦の踏ん張りに応える2ゴールだった。

第2Pでは度重なる好セーブを見せた草島邦

 守り切りたかった第3P。しかし、焦りからかPKの時間が長くなり苦しい時間帯が続く。相手の粘りに屈し、残り1分22秒という局面でついに同点に。終盤はこの日起用される時間の長かったFW伊東勢司(政経1=東京・早実)、FW前田悠佑(社1=東京・早実)らフレッシュなFW陣がゴールへ向かうが得点は挙げられず、試合は5分間のサドンデスへ突入した。ここで勝負は決せず今大会二度目のGWSへ。草島邦が2本目までを止められず、後がない状況でパックを持つのはFW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)。今大会、自慢のスピードを武器に何度も得点に絡んできたルーキーの一打は無情にもゴールの外へ転がり、この瞬間東洋大ベンチが沸いた。またしても、あと一歩だった。

今大会も相手DFを脅かした澤出

 取りたかった一戦を落としたが、工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)は「内容的にはうちのホッケーができたので満足」と試合を振り返る。また、今大会を通してPPで得点しPKを守るという、春はできなかった勝つためのホッケーを展開できたことは一番の収穫だ。『四強』返り咲きを果たし、次なる舞台は関東大学リーグ戦。来週には早くも日体大との大事な初戦を控えている。この夏に得た自信を力に変え、今度は東京で早大旋風を巻き起こす。

(記事 川浪康太郎、写真 冨田千瑛、松本一葉、見延可菜)

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結果
早大 ピリオド 東洋大
2(17) 1st 2(7)
2(10) 2nd 0(19)
0(7) 3rd 2(18)
0(3) サドンデス 0(1)
0(0) GWS 1(1)
4(37) 5(46)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
東洋大 0:24 柴田
早大 2:27 青木 鈴木 飛田 PP
早大 7:13 生江 矢島 澤出 PP
東洋大 15:13 柴田 猪狩
早大 28:14 ハリデー 鈴木 飛田
早大 29:09 矢島 澤出 生江
東洋大 49:55 成田 柴田 佐藤
東洋大 58:38 山田 佐藤 出口
東洋大 GWS 出口
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 青木 羽場 新井
矢島 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 小澤田 吉野 野村
瀨戸 前田 伊東 田村 草島芳
GK草島邦

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――3位決定戦を終えた今の率直な感想は

勝ち切れなかったのが残念ですが、内容的にはうちのホッケーができたので満足しています。

――度重なるキルプレーを無失点に抑えましたが、振り返って

キーパー、プレーヤー共に点を取られないという気持ちでしっかり脚を使って守っていたので、そういったところは評価できると思います。

――4得点挙げたFW陣についてはいかがですか

最初のPP(パワープレー)で2点取ったかたちは、ゴール前で混戦をつくってリバウンドを押し込むという今一番やりたいかたちで、そこでいい流れで取れて追加点も取れたのでよかったです。

――サドンデスは押しているように見えましたが

サドンデスは練習していなかったのですが、出たメンバーが一生懸命やってくれました。

――今大会、GK草島邦彦(社4=東京・早実)とGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)をどちらも起用されましたが、それぞれの印象は

二人とも春に比べれば成長しているのですが、まだまだ弱い部分があるので、これから競い合って、試合を重ねるごとに正キーパーを決めていきたいです。

――大会全体を総括していかがですか

結果は4位でしたが、日体大戦、中大戦の前半、そしてきょうと、全体を通して合宿で強化してきた脚や体を使ったプレーはできていたと思います。ただ勝ち切れなかったというところでまだまだ自分たちの力が足りないということが分かったので、東京に帰って秋リーグ(関東大学リグ戦)に向けてさらに強いワセダをつくっていきたいです。

――秋リーグでは来週いきなり日体大戦を迎えますが、そこに向けた意気込みをお願いします

まず初戦は非常に大事なので、コンディションを整えて、しっかりいい準備をしていきたいです。

DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――きょうはキルプレーを無失点で乗り越えましたね

前の試合もキルプレーで失点して、ビデオとかで確認してどのプレーがダメなのか、どこで打たせちゃいけないのか、とミーティングを重ねたことが無失点につながったのかなと思います。

――第3ピリオドでは守りに徹しているように見えましたがいかがでしたか

時間帯的にすごく守らなきゃいけない時間帯が続いて、やっぱりどちらかというと攻めよりも守りの方が意識があって、その結果受け身になって2失点してしまったのかなと思います。

――この夏を通してチームの成長を感じた部分はありましたか

この夏にOBの方達に教えてもらったことなどを実行してすぐ次に生かすことだったり、前の試合でダメだったところをまたミスを繰り返さないことだったり、一試合一試合ごと修正できたのがチームとしても成長したことだと思います。

――最後に関東大学リーグ戦に向けてお願いします

来週からまた土日と2連戦あるのでこの悔しさを忘れずに、また残り数日あるのでそこでチームを立て直して修正して、絶対に2戦を勝って、まずは秋リーグいいスタートを切れるように頑張ろうと思います。

FW青木孝史朗(スポ2=埼玉栄)

――本日の試合を振り返っていかがでしたか

序盤、自分たちのペースで持っていけて、第2ピリオド(P)終わった時点では点差で勝っていたんですけど。第3Pになって全体的に守りの姿勢になってしまい、追い付かれて負けてしまって、最終的によくないかたちになってしまった試合だったなと思います。

――第1P、2Pはワセダの思うような攻撃ができましたか

そうですね、やっぱり自分たちも守りの意識になってしまうと全然攻められないので、攻めの姿勢でプレーしていたんですけれども、第3Pは得点を守ろうとしてしまって、反則ももらえませんでした。第1Pは反対に足も動かしていましたし、反則も貰えていたので、第3Pで守りの姿勢になってしまったのがよくなかったかと思います。

――同点ゴールを決められていましたが、その時のゴールシーンを振り返っていただきたいです

第1PはPP(パワープレー)がきたらどんどんシュートを打っていこうというかたちで、たまたまこぼれたパックを入ただけでした。シュートへの意識がよかったのかなと思います。

――今回の大会期間中、点を取ろうという意識はご自身のなかでされていましたか

今大会は自分の中で、いいプレーだったり得点が入る気がしていなかった中で、シュートの意識をしていこうというところだったので、第1Pで点を入れられたのはよかったと思います。今まで自信がなかったところが少し、自信に変わったところはあります。

――今回の大会を通して見えた課題や、感じたことはありましたか

自分の中では、反則が一番試合を動かしてしまう大きなきっかけになったかなと思っています。あとは、試合開始5分と、ピリオド終了5分などの時の集中力の足りなさですかね。そこで失点してしまうことが多かったので、時間を考えたプレーというものがもう少しできたらいいなと思います。

――来週から始まる関東大学リーグ戦に向け、意気込みをお願いします

今大会は4位という結果だったんですけれども、優勝のためにまた気持ちを切り替えて、1つになってプレーしていければいいなと思います。

FW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)

――今大会を通してシュート数が多い印象がありましたが、やはり決めたいという気持ちは強かったですか

そうですね、やっぱりチームが勝つためには自分たちのセットで決めないといけないと思っていたので多くシュートを打っていました。

――同期の選手の活躍はどう思いますか

切磋琢磨(せっさたくま)して日々練習をしているので同期が結果を残しているのはうれしいです。

――今大会で第2セットのメンバーを固定していたと思いますが、やりやすさなどは感じましたか

とてもスキルの高い人が多かったのでやりやすかった思います。

――GWSでプレッシャーはありましたか

チームが暖かく見守っていてくれていたので緊張はしてなかったんですけど、やはりまだまだ練習不足ということもあって決めることができませんでした。

――今大会全体の感想を教えてください

今回4位という結果に終わってしまったのですが、春大会の7位という結果をみると成長してきている部分はあると思うので、秋リーグもここからまた仕切り直して頑張りたいと思います。