逆転許し決勝進出ならず…課題浮き彫りに

アイスホッケー

 ついに迎えた準決勝、相手は強豪・中大。なんとかこの一戦を乗り越え決勝へ駒を進めたい早大であったが、第2ピリオド(P)で逆転を許すとその後は流れを取り戻すことができず。終始中大に圧倒され結果は1−5と完敗、シュート数も24−41と力の差を痛感することとなった。

 早大は第1P、序盤から攻めの姿勢を見せ積極的にゴールを狙う。しかしシュートは決まらずもどかしい展開が続く。その後は徐々に中大のパックキープが目立ち始め、なかなかパスワークがつながらない。どうにか突破口を開こうとDFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)らがシュートを打ち込むも中大GKに阻まれ得点できず。しかし早大の守備も負けてはいない。途中3人対4人のキルプレー(PK)という絶体絶命のピンチを迎えたもののGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)やDF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の活躍で得点を許さず。このピリオドは両者無得点で終えた。そして試合が動いたのは第2P。8分50秒、数的有利のパワープレー(PP)の場面でFW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大・苫小牧)が動く。ハリデーとの完璧なパスワークから一瞬の隙をついてゴール。「ゴール前から流れてしまわないように意識してプレーした」(矢島)と今大会、なかなかゴールが決まらなかった今までの反省を生かすような見事なゴールであった。

ゴールを決めた矢島のもとに集まる早大陣。今大会は第2セットの活躍が目立つ

 ゴールネットが揺れた瞬間、早大は歓喜に沸き、一気に試合の流れを引き寄せたように思われた。しかし、ここから中大の猛反撃が始まり連続でゴールを狙われる危ない展開が続く。そして36分23秒、ついに得点を許してしまう。谷口が必死にゴールを防いだ直後再度畳み込まれ、止めることができず。好守を連発していた谷口も悔しそうに地に手をつけた。そのまま流れは一気に中大に。早大は絶対に競り負けられない状況でPKになってしまうと守備の間をきれいに抜かれてさらに失点。逆転を許す結果となった。立て直しを図りたい早大であったが第3Pでは立ち上がりに失点。その後も中大のパックキープが続きパスはつながらず、反撃ののろしは一向に上げられない。47分3秒にはさらに1点を追加され絶望的な状況に。FW陣もPP時には必死に1点を奪うおうと猛攻するも中大の厚い守備を前にシュートが打てない。終盤にはDF0人の状態から完全に不意をついたロングシュートを決められ万事休す。試合はそのまま幕を下ろした。

DF陣をけん引している新井

 「もう少しチーム全体として力をつけていかないと中大に勝つのは難しい」(工藤哲也監督、昭63社卒=青森・八戸)。プレーの精度の差を感じたきょうの試合、課題も見えてきた。あすは3位をかけて東洋大と対戦する。「必ず勝って東京に帰りたいと思う」と新井も述べたように選手たちはもう次を見据えている。しっかりと気持ちを切り替えて、絶対に勝利をつかみ取りたい。

(記事 松本一葉、写真 冨田千瑛)

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結果
早大 ピリオド 中大
0(7) 1st 0(9)
1(7) 2nd 2(17)
0(10) 3rd 3(15)
1(24) 5(41)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 28:50 矢島 ハリデー PP
中大 36:23 渡邉 植森
中大 39:15 坂本 簑島 PK
中大 41:10 斎藤 切江
中大 47:03 植森 小泉 PK
中大 57:13 簑島 坂本
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 青木 羽場 新井
矢島 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 小澤田 吉野 大崎
瀨戸 前田 伊東 田村 野村
GK谷口

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――きょうの試合を振り返って

第1ピリオド(P)、第2Pはうちのホッケーができていたのですが、第3Pに入って最初に点を取られて流れが向こうに傾いたかなという印象です。

――前半は特に守備陣が粘っていたと思うのですが

前半はフォワードもディフェンスも守りの意識を持ってロースコアに持っていくということを共有して、それが前半はできていたと思います。

――得点シーンを振り返ってはいかがですか

点の取り方は非常によかったので、それを続けられればよかったですね。相手のゴールキーパーも上手なキーパーなので、なかなか簡単には取れなかったです。

――今大会はパワープレー(PP)での得点が多いですが、そのあたりはどう感じていますか

まだまだ精度は足りないと思いますが、PPに関しては重点的に練習しているので、これからも力を入れていきたいです。

――現段階での中大との戦い方はいかがでしたか

まず脚と体を使うということができれば、きょうの第1P、第2Pのように自分たちの流れにできるのですが、まだプレーの精度の差があるということも分かりましたし、もう少しチーム全体として力をつけていかないと中大に勝つのは難しいと感じました。

――あすは東洋大との3位決定戦ですが、意気込みをお願いします

サマーカップの最終戦ですし、昨年は3位だったので、最低でも同じ順位で終えようということをチームで共有してきました。疲れもあると思いますが、あしたもワセダのホッケーをやりたいです。

DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

前半は互角に戦えてたのかなと思うのですが、第2ピリオド(P)にこっちが得点して、その後失点を重ねてしまいました。1点ビハインドの状態で、第3Pは逆転しようと臨んだんですけど、初めに失点してしまって流れが悪くなってそのままずるずると引きずってしまいました。

――中大の試合運びの変化などは感じましたか

第1Pはあまりシュートを打ってこなかったのかなと思ったのですが、第2P以降シュートが増えて、攻め方を変えてきたのかなと。少しやり辛いところが第2P以降全体的にありました。

――今の第1セットの雰囲気はいかがですか

どのセットも試合ごとに軽運動したりはしていて、試合前もそうですしそういったコミュニケーションは必ず図っているので、全体的に各セット雰囲気はいいと思います。

――次戦へ向けて意気込みをお聞かせください

相手は東洋大学なんですけど、練習試合で2回戦っているんですが、どちらも1点差で負けています。三度目の正直と言いますか、必ず勝って3位になって東京に帰りたいと思います。

FW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――今試合のチーム全体の出来はどうでしたか

試合前、第1ピリオド(P)、第2Pとチームの雰囲気はすごくよくて絶対勝つぞという感じだったのですが、途中第3Pに入ってから脚が止まってしまって失点してしまったという感じでした。第3Pの点差に関してはこれからの伸びしろかなと思っていて、これからの課題もたくさん見つかったので修正していきたいです。

――きょう決めることのできたシュートはどのようなものでしたか

ゴール前から流れてしまうというのが課題だったのですが、そこを意識してプレーしていました。

――第3P後半のタイムアウトではどのようなことを話し合いましたか

チーム全体として落ちている雰囲気があったので、取り返せない点差ではないと気合いを入れ直してしっかり点数を取りに行こうと話していました。

――中大の守備はどうでしたか

ずっと小さい頃からやってきている人が多いのでアイスホッケーを知っているというか、いるべきところにいるというのが中大の守りなので、それを崩すことができなかったのが今回1得点で終わってしまったという結果なのかなと思います。

――あすの試合への意気込みを教えてください

去年と同じく3位決定戦で東洋大とあたって絶対勝ちたいので、きょう見つけた課題を解決してあすはいいプレーができるように頑張りたいです。