ことしのルーキーは一味違う。それを感じさせたのは、新体制初戦の高麗大学定期戦でのことだった。スポーツ推薦入試で入学した澤出仁(スポ1=北海道・武修館)、生江太樹(スポ1=北海道・釧路江南)、篠田純希(スポ1=北海道・苫小牧東)はいきなり第1セットで起用され、勝利に貢献。その後の関東大学選手権でも存在感を示し、メンバーの大きく入れ替わった早大に新風を吹き込んだ。北海道の名門からやってきたスパールーキー三人の初対談をお届けする。
※この取材は6月28日に行われたものです。
鮮烈デビューの春
澤出
――大学生活は慣れてきましたか
澤出 だいぶ慣れてきました。
生江 寮の生活にも慣れて、先輩方もいい先輩ばかりなので、過ごしやすいです。
篠田 最初は朝練で3時起きとかしていて大変だったんですけど、だんだん慣れて体もできてきて、いい感じです。
――特殊な練習も多いということですが、早大の練習はどう感じていますか
篠田 トレーナーがプロの方なのでしっかりしたメニューを作ってくれていて、日ごとにウエイトトレーニングの日、ランの日というように分かれていて、自分の体の重さを生かしたトレーニングも取り入れてくれているので、とてもいいと思います。
生江 彼が言ってくれた通りで、トレーナーがプロの方なので、きついトレーニングもあるのですが、チームとして勝つためには必要なことなので、今の内からつらいトレーニングをしてチームの底上げをしたいと思っています。
澤出 やっぱり韓国から来てくれたトレーナーなので、日本にはないトレーニングをたくさん学べていい経験ができています。
――関東大学選手権を振り返っていかがですか
生江 優勝を狙っていて7位ということで、自分たちの実力を出し切れなかったという印象が一番です。サマーカップに向けて今やっているところなので、しっかりと結果を出せるようにみんなで頑張っていきたいです。
篠田 自分たち三人は主力として出してもらっているのですが、その点ではまだ結果が出ていないかなと思っているので、インカレ(日本学生氷上競技選手権)に向けてまた頑張っていきたいです。
澤出 まだ実力がないということを受け止めて、これから練習していきたいです。
――初めての早慶戦は普段と雰囲気も違ったと思いますが、いかがでしたか
澤出 思っていた以上に規模も大きくて、歓声もあったので、本当に早稲田大学に来てよかったなと感じました。
生江 ワセダに入って早慶戦に出たいという気持ちもありましたし、実際その場に立ってみるとすごく客席からの応援が聞こえました。そういった環境でできるというのはワセダのいいところだし、ワセダに入ってよかったと思っています。
篠田 自分たちの声も聞こえないくらいの応援をしてくださって、とてもいい環境でできているんだなと感じました。
――いきなり上位セットで起用されましたが、感じたことはありましたか
生江 1年生なので入ったばかりということはあまり考えず、春の大会から主力として監督さんに使っていただいたので、しっかりと結果を出していかないといけないという気持ちが強かったです。
篠田 自分は遥平さん(新井主将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)と、ハリデーさん(慈英、スポ3=埼玉栄)と組ませてもらったんですけど、まだまだ自分の実力不足で迷惑かけている部分もあるので、そこは自分が実力を上げて活躍したいです。
澤出 先輩方が伸び伸びやらせてくれていたんですけど、まだ実力不足で、1年生三人とも結果を残せなかったので、これから秋リーグ(関東大学リーグ戦)とか夏の大会とか頑張っていきたいです。
――篠田選手は実績のあるディフェンダーと組んでみて、学ぶ部分はありましたか
篠田 二人とも実力のある選手で、細かい部分であったりディフェンスの基本的なことであったりを教えていただいているので、それを自分が生かして自分のものにして、それをまた自分らしさに変えていきたいです。
――澤出選手と生江選手は1年生同士で同じセットということでやりやすさはありますか
生江 やっぱり同じ学年だとそれなりに言い合うこともできますし、自分と澤出くんは小さい頃から一緒にやっていたということもあるので、そういった点ではやりやすいです。
澤出 中学校も釧路で一緒だったのでやりやすいですし、お互い言い合って切磋琢磨(せっさたくま)してというのをこれからも継続していきたいです。
――次にそれぞれの選手個人としてのタイプをお聞きします。まず澤出選手はスピードが武器だと思いますが、どう考えていますか
澤出 大学ではスピードだけではやっていけないので、これからパワーをつけたいです。スピードがあって運べてはいると思うので、シュートを決められるような選手になれるよう努力したいです。
――澤出選手の背番号である『1』を去年までつけていた矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)もスピードが武器の選手ですが、意識はしていますか
澤出 高校時代から矢島さんは速くて、意識していましたし、これからも切磋琢磨して頑張っていきたいです。
――生江選手は自身の強みをどう考えていますか
生江 自分は日本ではサイズが大きい方だと思っていて、シュートはもちろんアシストでもゴールに絡んで、自分がゲームを組み立てていくような中心的な存在として試合で貢献したいと思っています。
――篠田選手はどんなタイプのディフェンダーだと考えていますか
篠田 自分はディフェンダーの中では小さい方なのでパワーとかでは負けちゃうんですけど、サイドから攻撃参加してフォワードのチャンスメイクの助けになったりしたいと思っているので、攻撃的なディフェンスを目指しています。
――個人としての春の収穫と課題はなんですか
澤出 収穫としてはいろんなところでチャレンジできたということが大きくて、大学に入って消極的になってしまう選手が多い中で、早稲田大学では伸び伸びさせてくれていい経験になったと思います。課題は決定力で、点数を決められないと試合には勝てないですし、シュート力をこれからつけていきたいです。
生江 収穫としてはサイズと体の強さでは負けなかったかなというところです。それでももっともっと体を大きくして、誰にも負けないような体を作りたいですし、まだまだプレースピードが高校の時と違って速く感じるので、運動量を増やして3ピリオド通して戦う体力をつけたいです。
篠田 収穫としては、落ち着いてプレーできている時は冷静に判断していいプレーができたことです。課題としては、ディフェンダーとしてやってはいけない時間帯での失点や連続失点のシーンもありましたし、そこはディフェンダーとしてまだまだ足りない部分だと思っています。
――伸び伸びさせてもらっているという話がありましたが、他大と比べても早大にはやりやすい環境があるのですか
澤出 自分はそう思っています。高校時代はガチガチの上下関係もあったんですけど、早稲田大学では大人の対応といいますか、優しい先輩方が多いので伸び伸びできています。
生江 大学では自分で考えて行動するということが多くなってきたので、自分自身でやらなければという気持ちが強くなっています。
仲の良い道産子トリオ
生江
――この三人は仲は良いですか
澤出 ばっちりです。
一同 (笑)。
――澤出選手と生江選手は小学校の頃から知り合いということですが
澤出 一人で東京に出てくるのは不安な部分もあったので、本当に彼がいてくれて助かりました。
生江 自分も小学校の頃から知っていて、お互いライバル関係というかそういう存在だったので、そういう人が一緒にいるということは自分が成長するためにいいことだと思います。
――篠田選手はいつから知り合いだったのですか
篠田 もちろん実力はあるので名前は知っていましたし、そのあとヤングリーグがあって、そこで知り合いました。
――早大に入りたいと思った理由はなんですか
生江 やっぱり早稲田大学はブランド力もありますし、アイスホッケーも強いし勉強も両立させることができる環境が素晴らしいので、勉強と部活を両立させたいと思ってこの大学を選びました。
澤出 今は少し低迷しているのですが、昔は強豪と呼ばれて優勝している時期もあって、今アジアリーグで活躍している選手も早稲田大学の卒業生が多いので、自分もそんな選手になりたいと思い志望しました。
篠田 早稲田大学出身の人たちが日本代表として多く活躍していて、そういった部分に憧れもありますし、環境も整っているので志望しました。
――目標にしている選手はいますか
澤出 自分は王子イーグルスの久慈修平選手(平22社卒)で、自分と同じでスピード重視の選手なんですけど、アジアリーグでも得点王になったりしているので、本当に尊敬しています。
篠田 王子イーグルスの山田虎太郎さん(平26社卒)で、サイズが大きくて、若手なんですけどすごく落ち着いてプレーされていて、その中でディフェンダーとしての技術が高いので自分もそうなりたいなと思っています。
生江 日本製紙クレインズで活躍されている羽刕銘さん(平26スポ卒)で、ポジションは違うんですけど、チームの中心にいるということでお手本にしています。今もクレインズで副キャプテンをやっていて、そういう中心の選手になっていきたいです。
――次に他己紹介をしてもらいます。まずは澤出選手の紹介をお願いします
篠田 常に笑っていて、先輩からもかわいがられていて、自分たちにもかわいい部分を出してきたりしてきます。
生江 試合では頼りになる存在なんですけど、普段はおっちょこちょいなところもあったりして、チームの中でのマスコットみたいな感じです。
――次に生江選手の紹介をお願いします
澤出 しっかりしてそうなんですけど結構おっちょこちょいで、天然なところもあります。
篠田 知らないことが多くてすぐ質問してきます(笑)。
――最後に篠田選手の紹介をお願いします
生江 彼は頭がいいんで、課題とかも教えてくれたり…あんまり褒めたら調子に乗るんですけど。
一同 (笑)。
澤出 努力家ですね。体を見てもらえれば分かるんですけどがっちりしていて、自分よりも勉強もトレーニングも必至に取り組んでいます。
――お互いの見習いたいところはどんな部分ですか
生江 澤出くんは小さい頃からやっていて、たぶん負けず嫌いだと思うんですけど、試合で負けている時も自分がやってやるという気持ちが見えるので、そういった部分は見習いたいです。
澤出 自分は篠田くんなんですけど、入学して三人で一緒に学校に行っていたんですけど、クラスで分かれると篠田くんだけクラスの子ととても仲良くなって、友達が多いので羨ましいです。
篠田 流れ的に生江くんなんですけど、生江くんは試合中に熱くなることが多くて、すごいパッションの持ち主で、チームメイトがやられているのを見たら守ったりしていて、そこはすごいなと思います。
――仲の良い先輩はいますか
篠田 よくしてもらっているのは田村さん(心、教4=埼玉・早大本庄)で、よく一緒にごはんに連れて行ってもらっていて、就活のことも教えてもらっています。
生江 ゴールキーパーの草島さん(邦彦、社4=東京・早実)は部屋で一緒に映画を見たりしています。最近ハマっているのはホラー系で、何人かで怖いシーンはヒヤヒヤしながら見ています。
澤出 自分は同部屋が1年生なので先輩とあまり接する機会がないんですけど、これから仲良くしていきたいです。
――篠田選手は鈴木ロイ選手(教3=北海道・苫小牧東)が高校の先輩ですが
篠田 ロイさんは本当に誰にも負けないくらい努力していて、自分の趣味で韓国語を覚えだしたりしています。高麗大学の留学生とも韓国語で話していました。
――早実出身の同期とは仲良いですか
篠田 ちょっと個性が強いですね(笑)。
生江 個性強いね。
――1年生同士で遊びに行ったりはしますか
生江 自分らは地方から来たんですけど、来てすぐに浅草とかスカイツリーに行ったりしました。そこから仲良くなって、同期で澤出くんの誕生日にごはんに行ったり、原宿行ったりしました(笑)。
篠田 よっち(草島芳彦、教1=東京・早実)がひたすら甘いものを食べたがっていました。
――好きな食べ物はなんですか
篠田 栗きんとんです。栗の甘さ、自然の甘さが好きです。
生江 バナナが好きです。バナナは消化にいいし、スポーツをする上ではいい食べ物です。朝練の前とかに毎日食べています。
澤出 自分はレモンです。レモンのジュースとか飴とかが好きです。唐揚げとかについてるやつはちょっと食べます。
――最近ハマっていることはなんですか
澤出 スマブラ
生江 めちゃめちゃ強いです(笑)。
篠田 わりとユーフォーキャッチャー好きです。原宿に行った帰りに高田馬場のユーフォ―キャッチャーをして、そこにバナナのキーホルダーがあって(笑)、一人一本ずつ取りました。
生江 よくサッカーはしますね。
――アイスホッケー以外に好きなスポーツはありますか
篠田 サッカーはワールドカップとかはだいたい見ていますし、自分はこっち来る前は日本ハムファイターズの試合も結構見ていました。
生江 自分はサッカーが好きで、本田圭佑が大好きです。小さい頃からずっとファンで、見習うところが多すぎて尊敬しています。彼は負けず嫌いで気持ちが強くて、叩かれる時期とかもあったと思うんですけど、それでも自分を信じて自分の力で這い上がっていくところはお手本にしています。
澤出 自分はあんまり見ないです。
若い力でチームを救う
篠田
――この夏強化したいことはなんですか
篠田 自分は体が小さいので、しっかりウエイトトレーニングを積みたいです。
生江 自分はプレースピードを上げることと、運動量をもっと増やすこと、あとは得点力を上げることです。もっと勝利に貢献できるようにそこを上げていきたいです。
澤出 自分は、体を大きくして、つくっていきたいと思います。
――サマーカップに向けた意気込みをお願いします
篠田 春の大会では、監督、コーチの期待にしっかり応えることができなかったので、夏実力を上げて、ワセダの古豪復活に貢献したいと思っています。
生江 春は期待に応えることができなくて、そこで課題も見えてきたので、夏練習してチームを変えていって、サマーカップでは自分たち三人は起用してもらってるのでしっかり結果を出して優勝したいです。
澤出 とにかく勝ちたいというのが正直な気持ちなのですが、焦っていいことはないので、焦らず自分のプレーができるようにしたいです。
――最後に、4年間の目標、意気込みを教えてください。
生江 アイスホッケーをやるために来たのですが、学業との両立を自分の中で達成することと、インカレで優勝したいので、アイスホッケー選手としてももっともっと成長したいです。つらいこともたくさんあると思いますが、切磋琢磨できるすばらしい環境に身を置けているので、そこを生かし、4年間で大きく成長したなと思ってもらえるように頑張りたいです。
篠田 自分も、ワセダに入ったからには勉強もしっかり頑張って、アイスホッケーではインカレ優勝はもちろん、四冠達成に向けて、自分が何をできるか考えて、4年目では自分がチームをまとめていける存在になれたらいいなと思っています。
澤出 4年間の目標はインカレ優勝で、ワセダを選んだのも、このワセダで優勝したいという気持ちがあったからです。ワセダのプライドを持って、4年間、しっかりアイスホッケーに打ち込んでいきたいです。
――ありがとうございました!
(取材・編集 川浪康太郎、見延可菜、尾崎彩)
澤出選手を二人で軽々と持ち上げていました!
◆澤出仁(さわで・じん)(※写真前)
1998(平10)年5月7日生まれ。163センチ。北海道・武修館高出身。スポーツ科学部1年。「かわいい」と評判の澤出選手。ベイマックスのぬいぐるみを抱いて寝ているそうです。スピードを武器にこれからも氷上を駆け回ってくれることでしょう!
◆生江太樹(なまえ・たいき)(※写真後左)
1998(平10)年6月28日生まれ。181センチ。北海道・釧路江南高出身。スポーツ科学部1年。チームの中心的存在になりたいという生江選手は、尊敬するアスリートである本田圭佑選手について熱弁してくれました。大きな体から放たれる強烈なシュートで相手ゴールを脅かします!
◆篠田純希(しのだ・じゅんき)(※写真後右)
1998(平10)年12月25日生まれ。163センチ。北海道・苫小牧東高出身。スポーツ科学部1年。高校の先輩である鈴木選手の前ではおとなしいという篠田選手。氷上では大暴れし、攻撃的ディフェンダーを目指します。