最終戦は制し春は7位。早慶戦でリベンジへ

アイスホッケー

 まさかの連敗を喫し、失意のまま迎えた今大会最終戦。相手はグループBに所属しながらも格上の日大を撃破している青学大だ。ここ2試合は決定力を欠いており、セットを大きく変更。これまで第1セットに入っていた1年生3人を第2セットに移し、DF坂本之麿(社3=青森・八戸工大一)、FW飛田烈(商3=東京・早実)、FW青木孝史朗(スポ2=埼玉栄)が今季初めて第1セットに名を連ねた。そのテコ入れが功を奏し、先制点、中押し点を着実に奪う。DF陣も最少失点に抑え、4-1で勝利。7位で春の戦いを終えた。

 序盤もどかしい攻撃が続いたFW陣だったが、13分52秒、ついに均衡が破れる。突破口を開いたのはこれが復帰2戦目のDFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)。数的有利のパワープレーで落ち着いてパックをキープすると、ゴール前に的確なパスを送る。右サイドから攻めてきていたFW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)が押し込み、先制に成功した。パスをうまく回すハリデーとスピードが武器の澤出、それぞれの長所が生きたゴールだった。第2ピリオド(P)開始早々に1点を加えると、再びのパワープレーで今度は第1セットが機能。飛田や青木の猛攻で相手DF陣を脅かすと、坂本のアシストを受けた鈴木ロイ副将(教3=北海道・苫小牧東)がネットを揺らし、試合を決定づけた。

澤出の先制弾で試合の主導権を握った

 この日は相手にほぼ攻撃の時間を与えなかったが、第2P終盤にピンチを迎える。1対1で放たれたシュートをGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)が一度は止めるもこぼし、悔しい失点を喫した。それでも、谷口は前回同様失点後に気持ちを切り替え、その後は無失点。今大会3試合に出場した若武者は、守護神の座定着へ向け確かな経験を積んだ。第3P、「練習からゴールに向かう姿勢を徹底してきた」と語るDF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が、新体制になって初めてのゴールを決める。しかしその後は疲れも見え、思うように好機を作れず。シュート数もこの日最少の7本に終わり課題も残ったが、最後は青学大の6人攻撃をしのぎ逃げ切った。

自らの手で得点を挙げた新井は笑顔を見せる

 ことしの関東大学選手権は、波乱の連続だった。『4強』の一角が崩れ、法大、日体大がベスト4入り。全体のレベルが上がってきていることは確かだ。新戦力の活躍こそ目立ったが、下克上の波にのまれ7位に沈んだ早大。しかし、約2週間後にはいきなりリベンジの場が設けられている。春の早慶定期戦、前回土を付けられた因縁の相手を倒し、進化の夏へとつなげたい。

(記事 川浪康太郎、写真 糸賀日向子、冨田千瑛)

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結果
早大 ピリオド 青学大
1(10) 1st 0(3)
2(16) 2nd 1(3)
1(7) 3rd 0(2)
4(33) 1(8)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 13:52 澤出 篠田 ハリデー PP
早大 23:01 矢島
早大 25:33 鈴木 坂本 青木 PP
青学大 35:15 越川 佐久間
早大 45:31 新井 鈴木 青木
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 青木 坂本 新井
矢島 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 小澤田 羽場 大崎
瀨戸 前田 伊東 田村 野村
GK谷口

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――青学大相手に4-1というスコアはどのように捉えていますか

相手がどうこうというより、春最後の試合なので、勝って終わろうということをみんなで共有して、勝ち切れたのはよかったです。

――セットを変更した意図はなんですか

ここ2試合第1セットと第2セットがうまく嚙み合っていなかったので、そこを変えてセットプレーを強化するということで組み替えました。

――その点ではきょうはうまくいきましたか

まだ氷上の練習では1週間、3回くらいしかしていないので完璧かと言われるとそうではないのですが、前の試合よりはいい連携ができていたと思います。

――パワープレーで2得点できたことについてはいかがですか

パワープレーの練習もずっとやっていて、そこに関してはうまく機能したと思います。

――GKは谷口嘉鷹選手(社2=東京・早実)を1試合通して起用されましたが

まだまだやってもらわなければいけないことはあるのですが、前回の試合を見て、コーチの判断で谷口を先発で起用しました。

――今大会全体を総括していかがですか

まず、結果が出せなかったのでそこは反省して、その結果を受け止めて失敗は失敗として気を取り直して、まだ早慶戦がありますが、秋のリーグに向けてチームを作っていきたいです。

――今大会のMVPを挙げるとすれば誰ですか

誰と言うのは特にはなくて、1年生がまだまだできると思いますが、プレッシャーの中ではよくやってくれたと思います。

DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――試合を終えて

ここ2試合負けが続いていた中で、やっぱりきょうは結果が求められていたと思うので、まずは勝つことができてよかったなと思います。

――ゴールシーンを振り返って

ゴールをしているしていないに関わらず、きょうは積極的にゴールに向かいました。練習からゴールに向かう姿勢を徹底してきた中で、きょうはすごくそういうプレーが多かったのでよかったです。

――DF陣の出来はいかがでしたか

最近の何試合かの失点シーンで、カウンターを取られて2対1だったり3対2だったり、そういう中での失点が多かったので、まずはDFの状況判断であったり、DFのポジションをここの何回かで変えよう、もっと意識的にやろうとして、きょうの試合は比較的よかったのかなと思います。

――大会全体を総括していかがですか

2連敗してここまでずるずる下がってきてしまったのですが、落ちるとこまで落ちて、ここから這い上がってくるだけなので、対戦相手がどんな相手でも謙虚に自分たちのホッケーをやっていきたいです。これからゴールデンウィークを挟みますが、まだゴールデンウィーク明けに早慶戦があるので、そこまでモチベーションを崩さずにチーム一丸となって勝利目指して頑張りたいです。

――チームの課題と強化したいところはどこですか

得点力と守備力といった面で、今好守どちらもいい状況ではないので、FWに関しては得点力を上げること、DFに関しては1対1、2対2という基本的な守りとFWとの連携を強化していきたいです。あとGKも小さなミスで失点している部分もあるので、チーム全体としてミスを減らして、得点力と守備力を上げて、というところを目標にしていきたいです。

FW鈴木ロイ副将(教3=北海道・苫小牧東)

――試合を終えて

きょうはいつも通りシュートを多く打って相手のスピードに合わせないで、早稲田のスピードでやっていこうということを心掛けていて、比較的よくできたのではないかと思います。

――ゴールシーンを振り返って

いいパワープレーの形でできていて、相手も疲れてきて反応が鈍ったところに、青木選手(孝史朗=スポ2=埼玉栄)からいいパスをもらってとりあえずゴール前に流そうと思って打ったら、いいところに入ったという感じですね。

――第1セットのメンバーが変わりましたが、いかがでしたか

メンバーは変わったのですが、僕らのやる根本的なホッケーは変わらないのでその面では攻撃力が落ちたり上がったりとかそういう違いはありませんでした。先週までと同様にゴールに集めるいいホッケーができたんじゃないかなと思います。

――大会を通してのFW陣の収穫と課題はなんですか

課題としては、シュート数は多く打てていたと思うのですが、それでも点数が決められなくて2点とか3点どまりで、相手の方がシュート数が少ないのにたくさん点数を取られてしまうという場面が多かったので、やっぱりFW陣は決定力のなさが浮き彫りになったと思います。収穫は、1年生で試合に出ているFWが結構多いので、1年生にとってはいい自信にはなったと思います。

――日体大と慶大に敗れたことについてはどう捉えていますか

日体大とか慶大戦はこっちの方がシュート数は多く打っているのになかなか点が入らなくって、下馬評だったら早稲田の方が上だったと思うのですが、それを相手に覆されてしまいました。今までだったら早稲田は4強と言われていたのですが、ことしはそうじゃないので、新たにチャレンジャーとして下の方からのスタートにはなると思うのですが、1試合1試合しっかり勝って、秋リーグの話ですけど優勝争いできるようにこれから準備していくだけだと思います。

FW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――試合を終えて

序盤は相手のペースに合わせて足が動いていなかったのですが、第2ピリオドからは自分たちのホッケーができてよかったのではないかと思います。

――ゴールシーンを振り返って

ゴールはまぐれというかたまたま入った感じなので、狙ってはいなかったのですが入ってよかったです。

――1年生3人と同じセットですが、相性はいかがですか

1年生ということもあって高校上がりだから体力もあってすごく走ってくれます。僕自身も走るプレーなのですごくやりやすいです。

――3年生になって意識の変化はありますか

やっぱりエースナンバーである21番をつけたこともあって、周りの期待とかそういうものに応えなければという気持ちはありますが、自分の気持ちとしては今まで通り自分らしくやっていこうと思います。

――今大会全体を総括していかがですか

日体大戦で負けて慶大戦で負けて去年勝ったチームに負けてしまったということはことしの自分たちの実力だと分かったので、それを収穫として、今後のサマーカップとか秋リーグとかではもっと上の順位を狙いたいです。

――今後に向けた意気込みをお願いします

早慶戦は絶対に負けられないので、その試合は勝てるように練習していきます。

DF坂本之麿(社3=青森・八戸工大一)

――試合を終えて

先制点、そしてその後も点を取ることができてよかったです。ですが、失点してから個人的にもチーム的にも足が止まったところがあって、失点の後で集中力を切らさないようにしたいです。

――きょうは第1セットでの起用でしたが

昨季も第1セットでの起用だったので慣れていたところはあったのですが、起用されたからには応えなければいけないと思ったので、点数もそうですが守りの面でも第1セットらしいプレーをしようと心掛けました。

――DF陣の出来はいかがでしたか

失点を1点に抑えられたのもありますが、ピンチの場面も少なかったと思うので、前の試合と比べたら守りの士気は高くなっていたのではないかと思います。

――今大会全体を振り返って

今大会は日体大と慶大に負けて7位決定戦に回ってしまい、いろいろ反省点はありますが、それを直せばもっと上の順位にいけると思うので、この大会を活かして次の早慶戦と秋リーグを戦っていきたいです。

――新体制になってここまでのチームの雰囲気はどう感じていますか

雰囲気は去年よりもいいと思います。去年はいい意味で集中力があったのですが、ことしはその集中力を保ちつつ明るい雰囲気でやれているので、そういったところもプレーに出していければと思います。

――今後に向けた意気込みをお願いします

今大会は学ぶところが多かったので、これを糧にしてもっと上の順位にいけるように、チーム一丸となって頑張りたいです。

FW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)

――試合を終えて

今大会はあまりいい結果が出ていなくて、勝利することを目標にやっていたので、勝つことができてよかったです。

――ゴールシーンを振り返って

点数が欲しかった場面だったので入れられてよかったです。

――きょうは第2セットでの起用でしたが

どこのセットでも自分の役割があると思うので、頑張りました。

――前回の試合は欠場していましたが、ケガの具合はいかがですか

もう大丈夫です。

――今大会を通して得たものはなんですか

まだまだ自分の実力が足りないと思いましたし、やっぱりチーム力が上がっていかないとチームも勝てないと思うので、これから早慶戦に向けてチーム力を上げていきたいです。

――今後に向けた意気込みをお願いします

まず一戦一戦勝つことを目標に、自分の全力を出して頑張っていきたいです。