「スピーディーに、アグレッシブに」(工藤哲也監督、昭63社卒=青森・八戸)。今季の早大が目指すホッケーだ。高麗大学交流戦の第2戦、新体制でつかんだ公式戦初勝利は、まさにそれを体現したような試合展開だった。第1ピリオド(P)で先制に成功すると、第2Pでは前日に続きルーキーが躍動。FW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)が2得点を挙げ、リードを広げる。DF陣も2試合連続で最少失点に抑え、見事5年ぶりの交流戦優勝を決めた。
第1Pは早大が完全に試合を支配していた。5度も数的有利のパワープレーを迎え、DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)やDF篠田純希(スポ1=北海道・苫小牧東)らDF陣も後方からロングシュートを連打するなど、全員でゴールを脅かす。ようやく試合が動いたのは14分47秒。ゴール前の激しい攻防の中、前に攻めてきていたDF坂本之麿(社3=青森・八戸工大一)がネットを揺らす。得点はこの1点にとどまったが、相手の3倍のシュートを放ち、高麗大に反撃の隙を与えなかった。
『C』マークを胸に、後輩たちをまとめる新井
3人対5人と優位な状況でスタートした第2P。FW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)、FW小澤田匠(スポ2=東京・早実)ら第2、3セットのFW陣が積極的に攻め込むが、なかなか追加点は生まれない。そんな中、またしても新戦力の活躍が光った。前日から惜しいシュートが続いていた澤出が、中盤に貴重な2ゴールをたたき出す。1点目はゴール裏からのパスに合わせて、2点目はリンクの中央から右サイドに抜け出してスティックを振り抜いた。そしていずれもアシストは同じくルーキーのFW生江太樹(スポ1=北海道・釧路江南)。幼少期から共にプレーをしていた息ぴったりの二人が、この2試合で早くもポテンシャルの高さをアピールした。また、GK草島邦彦(社4=東京・早実)は第1戦に続き絶好調。第3Pで1点こそ失ったがそれ以降は相手の猛攻をシャットアウトし、2点のリードを守り抜いた。
スピードを生かし結果を残した澤出
ロースコアの試合をものにし、優勝トロフィーの奪還に成功した早大。新体制発足からまだ約2週間だが、幸先のよいスタートを切った。ただ、第3Pは終始高麗大のペースにのまれ、後半のスタミナ不足を露呈。また2年生以上のFW陣は得点を挙げることができておらず、今後に向けた課題も見つかった。本当の船出は4月の関東大学選手権。残る時間でチーム力を向上させ、9年間遠ざかっている頂点の座を目指す。
(記事 川浪康太郎、写真 松本一葉)
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結果 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 高麗大 |
1(21) | 1st | 0(7) |
2(12) | 2nd | 0(9) |
0(9) | 3rd | 1(12) |
3(42) | 計 | 1(28) | ※( )内はシュート数 |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 14:47 | 坂本 | 矢島 | 鈴木 | - |
早大 | 27:29 | 澤出 | 生江 | - | - |
早大 | 33:44 | 澤出 | 生江 | - | - |
高麗大 | 44:36 | Kim | Chang | - | - |
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 生江 | 鈴木 | 澤出 | 篠田 | 新井 |
2 | 矢島 | 瀨戸 | 青木 | 坂本 | 大崎 |
3 | 田中 | 高橋 | 小澤田 | 羽場 | 野村 |
4 | 飛田 | 前田 | 伊東 | 田村 | 草島芳 | GK草島邦 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――きょうの試合を振り返って
きょうは勝ちにいって、内容は押されましたけど最後勝ち切ったのはよかったです。
――きのうから戦術を変えた部分はありますか
特に変えた部分はなくて、攻めも守りも足を使ってスピーディーにということを徹底して、きょうはそれがうまくできたと思います。
――FW澤出仁選手(スポ1=北海道・武修館)が2得点の活躍でしたが、そのことについてはいかがですか
期待通りの活躍はしてくれましたが、彼はもっとできると思うので、これから経験を積みながらワセダの核になるような選手に育ってほしいです。
――きのうも含め、GK草島邦彦(社4=東京・早実)のプレーについてはいかがでしょうか
周りがよく守ってくれたし、本人も一生懸命やった結果きのうもきょうも1点で抑えられたのは自信になったのではないかなと思います。
――この2試合を通して得たものはありますか
早いプレッシャーをかけてくる高麗大との試合をこの時期にできたことはよかったですし、当たりもかなり強かったので、強豪校と当たった時の参考にもなりました。プレースピードやシュートのスピードはチームをつくっていく上で参考にしたいです。
――最後に、関東大学選手権へ向けた意気込みをお願いします
当然春は優勝を目指しているので、ことしのテーマとしてはスピーディーに、アグレッシブに、早くてしつこいプレースタイルを確立していきたいです。それに向けてまだまだ体力的な部分では劣っていることが今回の試合で分かったので、陸上トレーニングもしっかりして備えたいと思います。
DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの試合を振り返って
きょうは結果にこだわっていたので、理想のかたちというか、少ない失点で3点取って勝てたことは結果としてよかったです。
――2試合通して、チームとして得たものはありますか
ことしのスローガンにもあるように、ひとつひとつのプレーを大切にする、1試合1試合に集中するという点でおのおのやることはできたのかなと思います。
――主将に就任して意識の変化は感じていますか
去年まで副将で、立樹さん(金子、平29スポ卒=北海道・駒大苫小牧)に頼っていた部分があったのですが、ことしから最上級生ですし主将にもなったので、チームを引っ張っていこう、リーダシップを取ろうという気持ちはさらに増しました。
――第1セットのメンバーは大きく変わりましたが、手応えはいかがですか
去年までは4年生と僕という感じだったのですが、ことしは僕が最上級生であとは全員後輩なので、後輩がやりやすいように心掛けています。
――一緒にプレーしているルーキー3人の活躍はどう見ていますか
早くもチームの主力となって、澤出(仁、スポ1=北海道・武修館)や生江(太樹、スポ1=北海道・釧路江南)は得点していますし、篠田(純希、スポ1=北海道・苫小牧東)は守りの中心として頑張ってくれているので、今後も期待しています。
――守備陣の出来はいかがでしたか
失点がここ最近は少ないのですが、ディフェンスがよかったかと言われるとそうではなくて、キーパーに助けられた部分やフォワードがバックチェックでディフェンスを助けるプレーをしてくれているおかげでロースコアで抑えられています。ディフェンスはまだまだこれから細かい部分を修正して、さらに守備力を上げていきたいと思います。
――最後に、関東大学選手権に向けた意気込みをお願いします
まずは初戦の駒澤大戦は必ず勝って、次の日体大戦につなげられるように、あと3週間しっかり修正して結果的に優勝したいです。
FW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)
――きょうの得点についてお願いします
1点目は自分でもゴールが見えていなかったのですが、チームでゴールに向かおうという姿勢だったのでそれでゴールに向かいました。2点目はもう狙っていきました。
――入部して間もなくですが、大学生と一緒にやってみていかがですか
体も大きいですし、パスレシーブの精度とかシュートも早いですし、そういう部分に早く慣れて活躍できるように頑張りたいです。
――部には慣れましたか
少しですが慣れてきました。
――今回のゴールは2回ともアシストが同学年のFW生江太樹選手(スポ1=北海道・釧路江南)で昔から一緒にプレーしているということですが、いかがですか
中学のころから知っているので。通じるものがあるというか(笑)。
――いきなり第1セットでの起用でしたが、期待などは感じるでしょうかa
まだそこらへんは分からないのですが、任されたからにはやっていきたいと思います。
――関東大学選手権に向けての意気込みをお願いします
そうですね、まあ一年生なんですけどがむしゃらに。チームに貢献できるように頑張りたいと思います。
――ワセダでの4年間での目標はありますか
やはり、最近ではインカレ(日本学生氷上競技選手権)優勝が遠のいてるのでまたインカレ優勝を目標に。また四冠を狙って頑張っていきたいです。