2日間にわたって開催される高麗大との交流戦。この日の試合が新体制で臨む最初の公式戦であった。FW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)、FW生江太樹(スポ1=北海道・釧路江南)、DF篠田純希(スポ1=北海道・苫小牧東)のルーキー三人を第1セットで起用。メンバーが大幅に入れ替わったばかりということもあり、第2ピリオド(P)まではFW陣が機能しない。それでも、何度もピンチを切り抜け失点を1点に抑えると、試合終盤に生江が起死回生の同点弾を放つ。生まれ変わったチームの片鱗が垣間見える一戦となった。
先制したのは高麗大。試合開始早々に1点を失う。その後はペナルティーが続き数的不利のキルプレーの時間帯もあったが、堅い守りで追加点を許さない。第1P終盤は逆に数的有利のパワープレーに持ち込み、幾度となく好機を演出した。特にパスが回ったのは第1セット。DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が相手の攻撃を断ち切り、パスを受けたフレッシュなFW陣がシュートを放つ。スピードが光った澤出、攻守に存在感を発揮した篠田らルーキーが果敢にゴールを狙うなど、得点こそ挙げられなかったが今後につながる新たな戦い方が見えてきた。第2Pは両校共に決め手を欠き無得点。0-1とロースコアのまま最終Pへと進むこととなった。
草島邦が今季のチームのキーマンとなる
この日、MVP級の活躍を見せたのはGK草島邦彦(社4=東京・早実)。絶対的守護神・遠藤秀至(平29社卒=東京・早実)が抜けたあとの重要なポジションで、正GK候補筆頭の草島邦が結果を残す。ゴール前のこぼれ球を狙ったシュートや力強いロングシュート、相手のもくろむ様々な攻撃パターンを好セーブで封じてみせた。その草島邦の粘りに仲間が応えたのは第3P終盤だった。またも第1セットでチャンスをつくると、今季からエースナンバー『21』を背負うFW矢島雄吾(スポ3=北海道・駒大苫小牧)のアシストを受けた生江が、ゴール右前から鮮やかなシュートを決める。第2セット以降は攻めあぐねるも、DF陣と草島邦が得点を与えず1-1のままゲームセット。初陣を引き分けた。
デビュー戦で値千金のゴールを決めた生江
1年生三人とGKを含む守備陣の活躍が目立った初戦。中心を担っていた10人が抜けたばかりのチームだが、早くも新体制のかたちができつつある。5年ぶりの交流戦勝ち越しへ、そして4月の関東大学選手権へ向けて――。この日見つかった課題を修正し、あすは勝利にこだわる。
(記事 川浪康太郎、写真 佐々木一款、橋本望)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 高麗大 |
0(14) | 1st | 1(13) |
0(9) | 2nd | 0(13) |
1(12) | 3rd | 0(9) |
1(35) | 計 | 1(35) | ※( )内はシュート数 |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
高麗大 | 04:12 | Lee | Seо | Sоng | - |
早大 | 52:19 | 生江 | 矢島 | ‐ | PP | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 矢島 | 生江 | 澤出 | 篠田 | 新井 |
2 | 飛田 | 瀬戸 | 青木 | 坂本 | 大崎 |
3 | 田中 | 高橋 | 小澤田 | 羽場 | 野村 |
4 | 伊東 | 田村 | チェイス | 格地 | 草島芳 | GK草島邦 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――高麗大相手にはどのような対策をしていましたか
まだ新チームになって2週間くらいしか経っていないので、今できることを100%やって、その中で課題があればそこを修正していくということで、特に高麗大に対してなにか対策を取るということはしていないです。
――第1セットで1年生を多く起用していましたが、起用の意図は
きょう使っている3人は高校の時から日本代表の経験や実績のある選手なので、それが力のある相手に対してどれだけできるか試したかったので起用しました。
――1年生3人の働きぶりはいかがでしたか
もっとできると思いますし、まだ周りに遠慮していたり、大学生のプレースピードや当たりの強さに慣れていないところがあるので、これから経験を積ませたいなと思っています。
――チーム全体の攻撃、守備の出来はいかがですか
守りに関しても攻めに関しても足を使ってスピーディーにやっていこうということで戦っていて、きょうは少し雑な部分もありましたが、足を使う部分に関してはよかったと思います。
――新体制になってチームの雰囲気はどう感じていますか
新4年生が中心となってチームをつくっていく中で、4年生がリードしてやってくれています。中心となっていた10人が抜けたところでチームカラーも変わってきたのですが、いろいろな大会で優勝するという目標は一緒なので、そこに向かって力を合わせていってほしいです。
――最後にあしたの試合に向けた意気込みをお願いします
きょうは引き分けだったのですが、交流戦と言えども勝ちにいくゲームにしたいと思っているので、当然きょうの反省を生かしてあしたは勝てるように準備をしたいです。
GK草島邦彦(社4=東京・早実)
――きょうのご自身のプレーを振り返っていかがでしたか
きょうは練習試合明けということもあって体が固くてうまく動けない部分が大きかったです。ディフェンスがよく守ってくれたので1失点で切り抜けられました。
――高麗大のFW陣に対して対策はありましたか
そうですね。向こうは体が大きいというのがわかっていたので、そこはみんなで向かっていこうと思っていました。
――普段戦わないチームとの対戦でしたが、心境の違いはありましたか
相手のことはよくわからないので一人一人に対して100%で行けるようにとは思っていました。
――新チームになり遠藤秀至(平29社卒=東京・早実)が抜けたあとということで、気持ちの変化はありますか
いろんなチームからディフェンス、キーパーが穴だと言われているので、遠藤さんの穴を少しでも埋めたいです。
――あしたの試合への意気込みをお願いします
あしたはきょう以上にいいプレーをできるようにしたいです。
FW生江太樹(スポ1=北海道・釧路江南)
――ゴールを決めた瞬間を振り返っていかがですか
1点ビハインドで負けていて、まず早めに追い付いてというところだったので、決まってよかったです。
――大きな試合としてはデビュー戦でしょうか
そうですね。きのう高麗大と練習試合を2試合やったのですが、きょうはお客さんも来てくれたのでそんな試合で決められてよかったです。
――緊張はしていましたか
1年生なりにがむしゃらにやるだけだったので、やることをやろうと臨みました。
――第1セットには他にも新1年生が出ていましたね
1番の澤出くん(仁、スポ1=北海道・武修館)とかは小学校の時から釧路で一緒にやってきました。1セット目ということで点は取らないといけなかったので、二人で切磋琢磨(せっさたくま)しながら頑張りたいと思います。
――早大の練習の雰囲気はいかがですか
陸トレはグニョンさん(パクトレーナー)が新しくトレーナーとして入ってくださってきつい練習もありますが、キャプテン、副キャプテンが中心となって盛り上げる時は盛り上げてしっかりやってくださいます。それを試合に生かしていきたいと思います。
――早大のアイスホッケーにはどのようなイメージを持っていましたか
自分が高校の時から頭とスピードと体と全部を使っている印象があったので、そこにいち早く慣れるようにしていきたいと思います。
――最後に、あすに向けて意気込みをお聞かせください
きょう引き分けに終わってしまったのですが、今のところ4連続で負けていると聞いているので、自分が1年生の時の代で勝って、そこから4年連続で優勝していきたいと思っています。あしたは本当に大事な試合になってくるので、自分が試合を決めるつもりで頑張りたいと思います。