小学生のころから面識がありお互いをよく知り合うFW金子聖(スポ4=埼玉・立教新座)、FW佐藤秋都(教4=北海道・駒大苫小牧)、DF格地龍太郎(スポ3=埼玉栄)。『HIPHOP』魂を持つ3選手に、関東大学リーグ戦(リーグ戦)の振り返り、そして日本学生氷上競技選手権(インカレ)への思いを伺った。
※この取材は12月8日に行われたものです。
「体を張ったプレーをして、みんなに熱意が伝わるように」(金子聖)
金子聖
――リーグ戦全体の振り返りをお願いします。金子選手はケガの調子はいかがですか
金子聖 今練習に戻ってだいぶ良くなっています。前半戦はケガをしていて自分は出れなかったんですけど、本当に勢いもあって、足を動かして相手にプレッシャーを与え、第3ピリオド(P)まで点を取って勝つというワセダらしいホッケーができていたと思います。でも5連敗という長いトンネルに入ってしまってから、自分たちのやるべきホッケーのスタイルを少し見失ってしまったという点もありますし、悪い流れの中で負ける癖というのがついてしまって。自分たちのスタイルを見失ってしまったのが、良くなかった点だと思います。
佐藤 サマーカップはことし3位になって、法大や明大と対戦してみて、結構いい感触できていたと思います。戦い方的にもさっき聖が言った、チャンスをきちんと決める戦い方が確立されていて、結果的に勝ったってことが多くて。明大相手にも競ることができたというのがあって、リーグ戦でもその流れを最初の方は維持できたと思うのですが、途中から上位3校とやっていく中でやっぱり勝ちきれない、どうしても勝てないというカベにぶつかってしまい、その流れで5連敗してしまいました。そこから自分たちのホッケーをもう一回再構築しようというかたちで、最後東洋戦(△3-3)で引き分けたのが課題でもあるし、収穫でもあって。最後は自分たちの中で光が見えたという印象があります。
格地 リーグ戦は毎年上位3校にどれだけ戦えるかとか、より多く勝てるかを目標にしていて、その上でワセダより下の順位の大学にどれだけこぼさないで、ワセダのホッケーを貫くことをコンセプトにやっていると思うんですけど、今回のリーグ戦は上位校に一回引き分けただけで一回も勝てなくて。ケイオーに引き分けたり(△5-5)、日体大(●3-4)と法大(●3-4)に負けたりとチーム的には本来の目標を達成することはできなかったなと思います。言い訳してしまうと、ケガ人が多く出たりとかでチームがベストなコンディションで戦えない試合が多かったんですけど、そこでメンタルとかも落とさずに戦えたとかみんなでそこをケアし合えたというのは大きかったのかなと思います。
――上位校に勝ちきれなかった理由は技術面とメンタル面ではどちらの方が大きいと思いますか
格地 メンバーとか選手の層で言ったら上位校は厚かったりとかスキルの部分でも強いんですけど、大学のスポーツなので、それらは戦い方や選手のモチベーション次第でいくらでもカバーできると思います。だから選手層の厚さとかを言い訳にしないように、どうやって勝てるかというのをもっと選手一人一人やスタッフ、チーム全体が考えていかないと勝てないなというのはリーグ戦ですごく感じました。
――チームとしての課題はそれぞれどうお考えですか
金子聖 練習で目標としているフォーメーションとか攻め方は試合でできていない訳ではないと思うんですけど、やっぱり実際の試合になって上位校を相手にしたときに先制されてるとそこから負けてしまうというのを5連敗の中でもみんな薄々感じていて。そのパターンになってしまうと気持ちが完全に落ちて、試合が終わっている訳でもないのに、ベンチでみんな黙りこんでしまうとか、そこで相手にやってやろうという気持ちを見せれた選手がほとんどいなかったというのは良くなくて、自分たちで首を絞めていたというふうに思います。悪い流れを立ち切れなかった部分が課題だと思います。
佐藤 ワンチャンスを決めるところがどんどんできなくなっていったかなと思っています。結果を見ても上位校に対する得点は全然なかったです。チャンスに強いか弱いかというのは、気持ちというところで集約されていくのかもしれないですね。
――決定力が課題ということでしょうか
佐藤 そうですね、決定力ですね。日々練習でどれだけシュート一本を集中できるかというのもそうですし、日々の積み重ねで変わってくるのかなと思います。そういうシュート一本の重みというのを一人一人感じてくると変わってくるのかなと思います。シュートのみならずパス一本にしても、それがインターセプトというか相手にチャンスをあげることにもつながるので。そういう一本一本を大切にする気持ちが、上位校との差であったんじゃないかなというのは個人的には思います。
格地 DFの観点からいくと、このリーグ戦の全体の失点を振り返ると失点の質というのがあんまり良くなかったと感じていて。相手のいいプレーによる失点はほとんどなくて、こっちの得点した後の試合の入り方が悪かったり、こっちの不必要なミスとかで失点するケースが多かったです。相手にしてやられた失点がなかったというのは収穫でもあるんですけど、いらない失点というのが多かったなと感じました。たった1分くらいのそのシフトに、選手一人一人がどういう気持ちで臨むか、ちゃんとコンセプトを持てるかいうのを大切にしていかないといらない失点は減っていかないので、そういうところは課題かなと思います。
――個人としての課題やそれぞれのポジションとしての課題はありますか
金子聖 一番苦しんだのは得点力不足です。やっぱり点が取れないと勝てないですし、最初に点が取れていれば流れがこちらに来ていたという試合がいくつもありました。特に自分が入っていたセットは得点が求められるセットだったので、やっぱり決めれるところで決めないといけないなと思いました。あとは、得点を取るセットではありますけど、DFの層がハリデー(DFハリデー慈英、スポ2=埼玉栄)が抜けて少し薄くなったという中で、ただ自分たちが点を取る役割を果たすだけでなく、その穴を埋められるように全員で運動量を落とさずに守るということを意識してやるべきだったかなというふうに思います。
佐藤 個人的に3セット目に出ていたところでの反省点なんですけど、後半戦はここで失点をしてはいけないという場面で3セット目が失点していて、そこで迷惑をかけてしまったということ一人一人がもっと理解していかないといけないと思います。いかに今重要な場面かというのを理解して、そこに対してのコンセプトもオートフォーカスしていって、自分でどうプレーしていくかを考えることが必要かなと。ただがむしゃらに走って疲れてすぐ変わってではなく、試合の中で考える力が必要で、試合全体の見通しもそうですけど、一個一個のシフトの見通しをしっかりしていくことで、一つの試合の筋が通ってうまく完結できるのではないかな、それは結果的に試合の勝利につながっていくんじゃないかなと思います。
格地 ことしはワセダのDFの層が薄いという点がチームの不安要素の一つになっていたと思うんですけど、ジェイ(ハリデー)がいなくなったりケガ人が出たりしたことで、さらにDFの層が薄くなっていって。弱いというのは言われていたんですけど、その中でもちゃんと戦えていたシーンはあったし、今いるDFでも全然戦えてたし、戦い抜いたことをちゃんと自信にしていきたいです。セットのリーダーがFWになっているケースが多いんですけど、DFももっと自信を持って自分たちで意見したりセット間でのイニシアチブを取ったりすることが必要だと思います。今それができているのが堰合さん(DF堰合芳貴、社4=青森・八戸工大一)とか4年生ぐらいなので。悪い言い方すると、FWの言いなりになることが多いので、もっとDFも自信を持ち自分の考えをしっかり持ってそれを言えるようにしていかないとチームで強くなれないと思います。チームの主導権をだいたいFWが握ってしまっているんですけど、そこでちゃんとDFがFWにも意見したりとか、チームに意見しないと勝っていけないかなと思いました。
――DFの皆さんで共有していることはありますか
格地 DFだけでのミーティングとかは何回かやっていて、そこで試合のビデオを見ながらこういうシーンはこうした方がいいとか、そういうのはみんなで意思統一はしています。毎回試合前にDFで意思統一しているので、それをちゃんとFWにも伝えられたらなと思います。
――リーグ戦を通して見えた良かった点やワセダの強みはありますか
金子聖 特に最後の東洋大戦は全員で気持ちを一つにして泥臭いプレーができたと思います。正直あれも試合の流れは相手に最初の方はいっていたと思うんですけど、それを自分たちでズルズルいかないように立ち切って、最後に2点を返して同点まで追い付けたのは、気持ちの面でも長いリーグ戦を通して一番成長できていた面かなと思います。
佐藤 後半からそれだけ負けが続いていて、たくさんのところでつまづいたりしていた中で、みんなが勝ちたいと心の底から思っているのを自分的には感じていて。最後の2戦ではその思いが強くて、最後の東洋大戦は如実にこぼれた球に対してのよりがすごく早くなったりとか、思いがプレーに出ていたので、今すごく勝ちに対しての欲が感じられます。そういうのが貪欲になっているのはすごくいいことかなと今思っています。
――現在のチーム状況はいい方向に向かっているとお考えですか
佐藤 はい。個人的には最後の東洋大戦でどうやって自分たちで戦っていくのかというビジョンをみんななりにつかんだのではないかなと思っています。(点を)入れられても気持ちの持ちようで流れが変わるところがカレッジスポーツの面白さだと思っていて。気持ちの持ち方で変わるんだということをみんなが非常に分かったと思うので、最近の練習とかもそうですし、ベンチでも失点した後の切り替えが非常に早くて、そういったところが今このチームのいいところだと感じています。
格地 あと何点差で逆転できるという状況で試合の終盤を迎えたとき、点を取らなきゃいけない場面でDFだったら坂本(DF坂本之麿、社2=青森・八戸工大一)や堰合さんがDFの位置から攻めこんで自分でパックをキープして攻めることが増えていくんですけど。それに対してFWに「早くパック離せ」とか「攻めるのはこっちだ」と言われることがあるのですが、自分は試合の終盤、得点がほしいときにDFがパックを持って上がっていくのを見ると、勝ちたいんだなという思いを感じます。勝てるホッケーと勝ちたいホッケーはちょっと違うかもしれないし、DFがパスつないだ方が確実な攻めにつながることも多いですが、勝ちたいという気持ちでパックを持って上がっていったりとかちょっと無謀かもしれない攻めに参加したりする、強い気持ちを持ったプレーが見れたことが自分は良かったと思います。そういう勝ちたいという気持ちをもっと全員の選手がちゃんとプレーで表して、それをみんな理解した上で「じゃあ本当に勝つためにはこうしよう」というのを、みんなの気持ちを理解した上でやっていけたらなと思っています。
「下馬評は覆すためにある」(佐藤)
佐藤
――この3人はどんな3人なのですか
金子聖 まあ、3rdフロアギャング。
一同 (笑)。
――寮の3階に皆さん部屋があるとのことですが、3階は他の階に比べてどのような違いがありますか
金子聖 2階がホッケー部だけで、3階はアメフト部半分でホッケー部と、あとの1割がスピードスケート部。ほとんど4年生なので落ち着いていますね。ね?
格地 落ち着いています。
――ホッケー部だけの階よりも落ち着いているのですか
金子聖 静かなのかな。フリーダム。逆にホッケー部が多すぎると近隣住民とのもめ合いもちょいちょいあるので、それがないですね。
佐藤 干渉し合わないですね。
金子聖 お互い好き勝手にやっているから、逆に他人のことは気にしないっていう。
佐藤 3階が一番寮っぽいです。
――アメフト部とも関わりはありますか
金子聖 あります。僕は同じ学部の友達とかがいるので、そっちの部屋行ったりして、試合に勝ったら「おめでとう」とか、そういう話はします。
佐藤 去年までもあった?
金子聖 去年も1個上の先輩は本当にみんなフレンドリーで、こっちの部屋に来て遊んで話したりとか、ご飯にも誘ってもらいました。ことしは同じ学年だからそういう感じではないかもしれないですが、仲はいい方だと思います。
――皆さんは小さいころからお知合いだそうですね
格地 自分のホッケー人生初の公式戦が小学校2年のときだったのですが、その対戦相手がここ(金子聖選手と佐藤選手が属しているチーム)で二人は小学校3年生でした。自分のチームはものすごく弱いし、メンバーは7人で、7人でキーパー1人と5人出て1人ベンチと強いられた状況で。しかも(相手が)その年の一番強いチームだったんですよね。初の公式戦で結構うきうきして臨んだら3-37で負けました(笑)。
佐藤 その3点こいつですから(笑)。
格地 聖さんとか20点くらい入れる(笑)。とめどなく、「もういいだろ」って思うくらいでした(笑)。
金子聖 小学生って怖いよな。
佐藤 無我夢中だからな(笑)。決めるのがただ楽しいから。
――金子選手と佐藤選手のチームは人数がそろっていたのですか
佐藤 2セットちゃんと回して、普通にやっていたよね。
金子聖 普通にやってた。
――その試合は皆さん覚えていらっしゃるのですね
金子聖 覚えています、フェイスオフで格地くんがすごいにらんできて(笑)。
一同 (笑)。
格地 どっから手を付けていいのか分からなかったです。
――格地選手は初の公式戦で初ゴールということでしたが、そのことは覚えていらっしゃいますか
佐藤 格地は守らないんで。ずっと上にいて。
格地 守ってもどうせ入れられるし(笑)。攻めに10割の意識をやろうかな、パックが来たら入れるだけ。
金子聖 そのとき、こっちのチームに加賀美太一(FW、商4=東京・早実)もいたよね。
格地 自分はセンターで、そのときの相手のセンターが加賀美さんだったんですよ。「もういいや」って思ってパック見ないで、顔面にスティックガーンでペナルティー受けて。ずっと外にいましたね。そういう懐かしい思い出があります。
――格地選手のホッケー人生において印象深いほうですか
格地 そうですね、一応デビュー戦なので。
佐藤 絵に描いたような、映画にできそうだよな。そこから格地のホッケー人生は始まって、うちらを倒すことに専念するもんな。結果的に勝っているもんな。
格地 小3のときかな。自分らの学年が結構人数いて、1個上一人もいなかったので、小2のときから(自分が)キャプテン付けていて、それが小3になったときには結構勝てるようになってきて。「見たか!」みたいな(笑)。「金子さんとかいなかったら37点も入れられないぞ!」って。そんな感じでしたね。
――そのころからお互いの印象は変わりましたか
格地 やっぱり同じチームになると変わりますね。自分は最初(この二人は)悪魔にしか見えなかったんで。
一同 (笑)。
格地 オフのときはこんな感じなのですが、リンクに上がると目つきが変わるんですよ。「あっ怖え、悪魔二人いるよ」って。でも同じチームになるとこんな感じなので印象は変わりますね。悪魔の部分は薄れましたね。
――逆にお二人から見て、格地選手の印象は変わりましたか
金子聖 高校のときにU-17の関東代表にたまたま自分が入って、そのときには埼玉栄が関東の代表でたくさんいて自分は強いられていた側なのですが。そのときに高校のときの格地を見たのですが、一発芸とかもやらされる、盛り上げ役だったので「こういうキャラなんだ」思いました。大学入ってきても同じだったので、大学入ってから変わったという感じではないですね。
――格地選手は、よく他の選手から推しメンと言われることが多いです
格地 ああ、やっぱり愛されちゃうところはあるのかな。
佐藤 気付いたらね。お立ち台に上っている(笑)。
――何かエピソードなどはありますか
佐藤 今までの埼玉栄の先輩の一発芸、格地からもらってくるっていう。
格地 一発芸みたいなものをいろんな席で披露する場面があるのですが、高校のときも一発芸隊長みたいな感じで結構披露していました。それでネタを持って入学してきたら栄の先輩が自分のネタを勝手にここで披露していて(笑)。
一同 (笑)。
格地 「それ見たよって、何勝手に使ってんの」って(笑)。
佐藤 困ったら格地みたいなところはありますね。
格地 そうですね。1年生がネタをやることが結構多いのですが、スベって空気がちょっとうってなったら、「じゃあ格地行こう!」って。「なんでなんで?」ってなります(笑)。
一同 (笑)。
佐藤 チェイサーみたいなもんだよな。格地で流そうって。
格地 カシオレみたいなかんじですね(笑)。
――金子聖選手と佐藤選手は同じチームで始まりましたが、印象は変わっていないですか
金子聖 変わっていないよね。
佐藤 要は『BAD BOYS 2 BAD』みたいな感じだよね。
一同 (笑)。
金子聖 まあそうだよね。お互いいたずら好きというか、ふざけることが生きがいみたいなところがあるから。こんな今真面目にしているけど外出たら、「わー!」って(笑)。
――そんな二人を表すエピソードはありますか
金子聖 自分の中では佐藤くんは小学校のとき追い付かない存在で。
佐藤 うそ(笑)!
金子聖 こいつ小3なのに、20歳くらいの知識があるじゃないかってくらいいろんなことを知っていて。僕はスニーカー結構好きなんですけど、佐藤くんのお兄ちゃんも集めていて、そこから佐藤くんもインスパイア受けて、それを自分が引き継いで、という。この人の家に行ったら、自分のユートピアがあるって。
一同 (笑)。
金子聖 ゲームとかもめちゃくちゃ強くて、コテンパンにされた記憶があって、本気でやったら何でも自分のものにしてしまう感じがあります。かっけえな、HIPHOPだなって。
佐藤 でた!それ言いたかったんだよ。生き様なんだよ。最近の流行語だもんね、HIPHOP。ほめるときに使うんだよね。「お前HIPHOPだな」って。
――どなたがよく使われるのですか
金子聖 ここ二人しか(金子聖選手と佐藤選手)。
一同 (笑)。
格地 流行語って言われていますけど、今自分も初耳です(笑)。この二人で流行しているだけで、こっちには来ていないですね。
佐藤 なんか流行らせるのも俺らだよな。
金子聖 趣味が合う。
――流行ったことってありますか
金子聖 その、HIPHOP・・・。
一同 (笑)。
金子聖 そんなもんか。アメフトの海外のトッププレーヤーがタッチダウンで得点決めた後にダンスをするんですよ。それをずっとやっていたら周りに広まっていきました。
格地 それはすごいやっていましたね。
佐藤 すぐ輸入するもんね、俺らね。輸入屋さんみたいな(笑)。トシ(FW寺井敏博副将、国教4=米国・チョートローズマリーホール高)とか聖が和訳して、実演して、伝播していく。
――話は変わりますが、佐藤選手と格地選手はバイト先が同じだったそうですね
佐藤 こいつ遅刻やばくて。
格地 すぐ寝るんですよ。「10分寝れるな」って思って寝たら、「あっやばい」ということが結構多かったです。
佐藤 俺もひやひやだったわ。板ばさみだから。
金子聖 自分も実は3カ月くらい(同じバイト先に)いたんですよね。そのときの佐藤くんのエピソードが一つだけあって。当時2年生だったのですがとにかく筋トレが好きで、朝ウエイト場が開く時間に行ったら「おお佐藤にもう行かれてた」とか「どっちが先に行くか」という感じでウエイトにのめりこんでいて。佐藤くんは今よりもさらにゴリゴリでした。バイト先の制服がファスナーの硬い生地のシャツで。上の棚にモノを置く仕事があったんのですが、佐藤くんの肩らへんの筋肉がすごすぎて、手が上がらなくて返せないんです。「ああ佐藤くんすごいな、本物だな」って。
格地 マックスで筋肉がついていたとき、バンザイができなくて。この人すごいなって思いました。手を伸ばせば届くのですが、途中までしかいかないのでつま先を使うしかなくて。手の可動域には頼ってなかったです。
一同 (笑)。
――突然ですが、自分が女の子の立場になったとき、クリスマスをメンバー内の誰と過ごしたいですか
佐藤 羽場健太(DF、政経2=東京・早実)は間違いないと思うよ。あいつイケメンだしさ、歩いているだけではくが付く。
金子聖 ルイヴィトンみたいなもんだよね。イケメン、高身長、高学歴・・・。
佐藤 あとそれっぽいカフェに連れて行ってくれそう。
一同 (笑)。
格地 あいつのオフの前とか検索履歴それっぽいカフェだよ。
金子聖 僕がもしアングラな怖いもの見たさの女の子だったら、やっぱり佐藤さん。
一同 (笑)。
佐藤 俺も聖だと思うんだよな、なんだかんだ。 絶対食べ放題行くよね。
金子聖 あっ行っちゃう。つい最近僕と田村(FW田村心、教3=埼玉・早大本庄)と松本(DF松本逸輝、商4=滋賀・光泉)と佐藤くんで、山梨にあるほったらかし温泉に行って、そこに行った後に御殿場のアウトレットに行くなど、山梨と静岡を1日で回ったんですよ。温泉目当てで行ったのですが、ご当地グルメのハンバーグのお店があって、ものすごくおいしくて。やはりそのときに感じたのは食べ物のほうが記憶に残る。おいしいものを一緒に食べれる人がいいですね。だからやっぱり佐藤くんが詳しいので、佐藤くんがいいです。だいたいのものを食べているんで。
佐藤 そうか?聖めっちゃカニの食べ方うまいじゃん。
金子聖 出たその話(笑)。小3のころに佐藤くんと佐藤くんのお母さんともう一人と自分で、ホテルのレストランに行きました。そのとき佐藤くんはまだあまり慣れていなくてカニをお母さんが取ってあげる感じだったのですが、自分はすごく慣れていて、佐藤くんのお母さんにすごく褒められました。そこから「聖はカニに強い」と言われるようになりました。
佐藤 カニむかしたら天下一品。スティック使いうまいからね、それと一緒だよね。HIPHOPですね。
――HIPHOPの語源はありますか
金子聖 私生活においても日頃の感謝を忘れないっていう。
佐藤 真っ白いメンタル、初心を忘れない。
金子聖 HIPHOPやっている人って、海外にせよ日本にせよ、生い立ちが成り上がりというか、劣悪な環境で育った人間が多いから、当たり前のことや、感謝の気持ちを大切に、愛にあふれたように。現実で起こったことを書いたりして伝えているのでかっこいいなって。自分たちは結構ストレートに生きているじゃないですか。そういう違う世界で生きてきた人たちはおもしろいです。
佐藤 俺らまだまだHIPHOPじゃないよね。
「インカレ後に4年生から『ありがとう』と言ってもらえるプレーを」(格地)
格地
――インカレについて伺います。まず、トーナメント表を見た率直な感想を教えてください
金子聖 明大と当たるというのはもともと分かっていたのですが、そこが一番のヤマ場だと思います。ことしは練習試合で一回勝ったくらいでほとんどコテンパンにやられているチームなのですが、そこに勝てたらその流れで決勝でも優勝が本当に見えてくると思っているので、明大を倒したいなと思います。
佐藤 僕は、明大に集中しすぎるとその前の大東大が怖いのかなと思っています。明大ばかりに向き合うと、大東大もちょっとじゃなくて危ないと思うし、足をすくわれるというのは去年のインカレの日体大を見ても思うので(※昨年度のインカレで、日体大は優勝候補・明大を倒し決勝進出)、一戦一戦集中していくというのが重要で、その上に明大という目標があるのかなと思います。
格地 1回戦、2回戦は多分周りから見ればワセダが勝って当たり前という試合なのですが、そういう試合の方がトーナメント方式の大会だとワセダだけに限らずつまずきやすいです。なので、そういう試合をちゃんとクリアしていって、一試合一試合どういうホッケーを見せるかにこだわって進んでいきたいなと思いました。
――大東大は埼玉栄高出身の選手が多いと伺いました。埼玉栄高出身の格地選手から見た印象はいかがですか
格地 やりづらいとは思います。自分のホッケーキャリアのうちほとんどを一緒にプレーしていた選手もいて、互いの手の内を知っているのでやりづらいです。
――明大のどのような点を特に警戒していますか
金子聖 一人一人の個人スキルが圧倒的に高いというのと、スピードに乗ってエントリーされると結構厄介だなというところがあります。特にFWの得点力が高いチームなので、それこそ本当に守りに重点を置きつつもチャンスがあればそこはしっかり決めるという展開にもっていかないと、勝ちが見えてこないのかなと思います。
佐藤 僕は去年、おととしと比べてことしの明大は違うなと思っています。というのは、根本的に自分たちがこうやっていくべきだという体制が、4年生を中心にしっかり整っているからだと思います。例えば反則が少なくなったりだとか、足を止めない真面目なホッケースタイルだったりとか。そういうところが今までの明大の技術で見せるスタイルに加わったことによって、より隙がなくなったと感じていて。そこが本当に明大の良いところだと思います。
格地 一人一人のスキルが高くて、才能を持った人がいるチームだと思います。明大は決まったかたちで攻めてくるというのがあまりないチームだと感じていて、一人一人のスキルの高さで攻めてきます。天才同士つながっているのかなというくらい、パスとかがきれいに回る読めないプレーをされて、でも味方同士では通じ合えているというふうに感じます。そういうチームに対してどういう守りをしていくのかというのは、DFの課題だと思いますし、考えていかないとインカレでは勝てないなと思います。
――インカレのキーパーソンは誰になると思いますか
金子聖 やっぱり、ゴールキーパーの遠藤くん(GK遠藤秀至、社4=東京・早実)。彼が立った日はうち強いので。彼が止めてくれればこっちも点を取るしかないので、彼には一番期待しています。
佐藤 点を入れる青木くん(FW青木優之介、スポ4=埼玉栄)と金子くん(FW金子立樹主将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)と寺井くんです。この3人がうまくはまったときは点が入って、良い試合運びになるのではないかなと思っています。それに加えて、試合に出ていない人たちですかね。これからチームを一体化させるにはボトムアップが必要だと思っています。その人たちもチームの一員であって、その人たちがやる気を見せることによって上の人たちへの刺激になって、その人たちのために勝ってやると思えると思います。そういうところを個人的には期待していますし、特に1年生の大石くん(FW大石浩之、教1=東京・早実)が頑張っている姿はみんな励みにしているので、彼にはどんどんそういうプレーを続けてもらいたいという思いがあります。
格地 自分は堰合さんですかね。姿勢やプレーでDFを引っ張っているのは堰合さんだと思います。最後の東洋戦でも実質2点入れていて、4年生の力は大きいなと感じています。その中でも同じポジションで何回も組んでいる堰合さんに感化されることが多くあります。4年生が頑張っている姿を見ると、一緒に勝ちたいなと思うので、堰合さんです。
――インカレでの個人の目標と、それに向けてどのような練習をしていきたいか教えてください
金子聖 足を動かすというか汗かき隊というか、一番足を動かしてチームのために献身的なプレーをすることが自分には合っているかなと思います。どちらかというと点を取るというキャラではないので。そういうプレーをしたいので、それに向けて日頃の練習から体を張ったプレーをして、みんなに熱意が伝わるようにしていきたいと思います。
佐藤 僕が期待されているのは、泥くさいプレーだと思います。なるべく早くパックに飛びついたりだとか、シュートブロックにいったりだとか。そういったプレーもそうなんですけど、自分はベンチの中とかの雰囲気が悪くなったときに、積極的にその雰囲気をくんでアプローチできるようになりたいなとも思っています。何回か練習試合があるんですけど、そこで自分がチームに対してどうアクションするかというところをしっかり取捨選択していって、インカレ本番では雰囲気を変えられるような存在になりたいなと思います。
格地 個人的にはDFの遠い距離からのシュートの精度を上げていきたいと思っています。リーグ戦でも一回自分のシュートに聖さんが合わせてくれてゴールというかたちになりました。自分の中では狙いすぎて相手に当ててしまうといったことが多かったなと思っているので、もっと精度を上げてゴールまで届くシュートとか、FWが合わせやすいシュートというのを狙っていきたいです。あとは、自分はDFってキーパーのことを守るポジションだと思っているので、ゴール前で相手の選手をキーパーに近づけさせないとか、キーパーにちょっかいを出してくる選手を抑えるといった、キーパーを守るプレーを、自分もそうですしDF全体の課題として取り組んでいきたいと思います。
――4年生のお二人は1年生のときにインカレ優勝を経験されていますが、今でもどんなふうだったか覚えていますか
佐藤 負ける気がしなかったよな。
金子聖 ゾーンに入っていたというか。圧倒的に練習の質が高かったです。自分たちのハングリー精神もすごかったし、後輩を寄せ付けないような4年生の圧みたいなものもすごく感じました。畏れ多い存在というか。
佐藤 あの方たちにはインカレしか見えていなかったよね。コミット力がすごかった。
金子聖 リーダーシップもキャプテンの羽刕さん(平26スポ卒=現日本製紙クレインズ)とか本当にすごくて。チームをまとめるのもうまかったし、周りのこともちゃんと見えていて気をつかえる方で、人間として素晴らしいなと思いました。
――最後のインカレに懸ける特別な思いはありますか
金子聖 ほとんどの人が2桁の競技歴を持っていると思うのですが、これで終止符が打たれるので、悔いのないように全部ぶつけたいなと思います。
佐藤 四の五の言ってられない。
金子聖 彼の最近のホットワードです(笑)。中大戦のときも言ってました。途中負けてるときに、「四の五の言ってられねえんだよ!」って。
佐藤 僕はもうそのとき気が気じゃなくて。勝ちに対して貪欲どころではなくてもう焦りすぎていて。僕たちが1年生のときの4年生は、それくらいの緊張感で多分やっていたと思います。
金子聖 自分たちも先輩のように熱くならなきゃなと思います。
――インカレに向けた意気込みをお願いします
金子聖 一番の目標はやっぱり優勝です。そこに向けて一つ一つしっかり段階を踏んで勝ち上がることが必要だと思っているので、日頃の練習から常に試合のことを意識して取り組んでいきたいと思います。
格地 インカレが終わった後に4年生から「ありがとう」と言ってもらえるようなプレーをしたいです。
佐藤 戦評などでもそうなんですけど、多分多くの人が明大が上がってくるんだろうなと思っていると思います。そういう下馬評があって、これもHIPHOPなんですけど、下馬評は覆すためにあるみたいなのを聞いたので、僕もそういう気持ちでしっかり戦っていきたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 中村ちひろ、加藤佑紀乃、橋本望)
色紙の文字もやっぱり『HIPHOP』!
◆佐藤秋都(さとう・しゅうと)(※写真左)
1994(平6)年8月5日生まれ。170センチ、74キロ。北海道・駒大苫小牧高出身。教育学部4年。背番号『13』。通販でよく買い物をするという佐藤選手。寮に荷物が届くと貼り紙が貼られるそうですが、あまりにも多すぎて張り紙でカタカナの「サ」が完成してしまったと教えてくださいました!
◆金子聖(かねこ・ひじり)(※写真中央)
1994(平6)年11月26日生まれ。174センチ、73キロ。埼玉・立教新座高出身。スポーツ科学部4年。背番号『19』。クリスマスプレゼントにはBluetoothのスピーカーがほしいという金子選手。寮のお風呂はすごく響くそうで、音楽を聴くと最高だとか。HIPHOPを聴きたいとおっしゃっていました!
◆格地龍太郎(かくち・りゅうたろう)(※写真右)
1995(平7)7月7日生まれ。170センチ、78キロ。埼玉栄高出身。スポーツ科学部3年。背番号『3』。物心ついたときからパグが大好きだという格地選手。早スポ記者にパグの魅力を力説してくださいました。クリスマスプレゼントにほしいものも、やっぱりパグだそうです!