関東大学リーグ戦第5節で明大に敗北して以来、5連敗を喫していた早大。この悪い流れは、第3節で格下・慶大相手に引き分けてしまったことから始まっていた。前回のリベンジを果たし、何としてでも勝ち点3をつかみたいこの一戦。第1ピリオド(P)は思うような動きができないが、その後は切り替え得点を量産。7-0で慶大を圧倒し、渇望していた白星をついに手にした。
この日の早大は、ゴールへの意識がいつもより増していた。開始からわずか43秒、FW金子聖(スポ4=埼玉・立教新座)がリバウンドで出たこぼれ球をたたき込み、先制する。しかしその後は相手にプレーを合わせてしまい、得点が続かない。そんな中、沈黙を打ち破ったのはまたも早大。28分43秒、DF坂本之麿(社2=青森・八戸工大一)が放ったシュートが緩やかな放物線を描きゴールに吸い込まれ、2点目を獲得した。すると数分後、FW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)が好機をつくったことで空いたゴールをFW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が見逃さず。冷静にパックを流し込み、3-0で第2Pを折り返した。
得点に喜ぶ主将・副将トリオ
第3P開始早々、FW青木優之介(スポ4=埼玉栄)がカウンター攻撃に成功すると、その後は早大のゴールラッシュが起こった。まずは、金子立主将が自身2点目を挙げる。その後、FW矢島雄吾(スポ2=北海道・駒大苫小牧)からの好アシストをものにしたFW田中創一郎(政経3=東京・早実)が6点目。さらには矢島とFW高橋寛伎(国教2=東京インターハイスクール)がゴール前で息のあったプレーを見せ7点目と、第3セットの見事な連携が早大の勝利を決定づける。大量得点で、早慶戦を制した。
最後の得点を決めた矢島
5月上旬に行われた早慶定期戦以来の完封勝利。7得点という攻撃力もさることながら、無失点で終えたことは、不調が続いていた早大にとって非常に大きな意味を持つ。この結果は素直に喜び、自信へとつなげるべきものだ。しかし、スコアだけ見ると完璧な試合運びができたように見えるが、乱闘により退場者を複数人出すという息をのむシーンもあったこの試合。「上位校と当たったとき、反則が多くなると厳しい展開になってしまうので、ああいう場面はワセダがコントロールしないといけない」(金子立主将)。次の日大戦では反則を減らし、常に主導権を握る展開で、圧倒的勝利を収めたい。
(記事 中村ちひろ、写真 進藤翔太、冨田千瑛)
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関東大学リーグ戦 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 慶大 |
1(11) | 1st | 0(3) |
2(17) | 2nd | 0(4) |
4(11) | 3rd | 0(3) |
7(39) | 計 | 0(10) | ※( )内はシュート数 |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 00:43 | 金子聖 | 金子立 | 青木優 | - |
早大 | 28:43 | 坂本 | 青木優 | 金子立 | - |
早大 | 32:26 | 金子立 | 鈴木 | 青木優 | - |
早大 | 40:44 | 青木優 | 寺井 | - | - |
早大 | 48:03 | 金子立 | 寺井 | 新井 | PP |
早大 | 48:45 | 田中 | 矢島 | 松本 | - |
早大 | 52:12 | 矢島 | 高橋 | - | PK | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 寺井 | 金子立 | 青木優 | 坂本 | 新井 |
2 | 鈴木 | 青木孝 | 金子聖 | 堰合 | 格地 |
3 | 田中 | 高橋 | 矢島 | 松本 | 羽場 |
4 | 飛田 | 瀬戸 | 加賀美太 | 志村 | 野村 | GK遠藤→草島 |
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(10月30日時点) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | |||
1 | 中大 | 28 | 10 | 9 | 1 | 0 | |||
2 | 明大 | 25 | 10 | 8 | 1 | 1 | |||
3 | 東洋大 | 24 | 10 | 7 | 3 | 0 | |||
4 | 早大 | 13 | 10 | 4 | 1 | 5 | |||
5 | 法大 | 10 | 10 | 3 | 1 | 6 | |||
6 | 日体大 | 7 | 10 | 2 | 1 | 7 | |||
7 | 日大 | 4 | 10 | 1 | 1 | 8 | |||
8 | 慶大 | 3 | 10 | 0 | 3 | 7 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合振り返っていかがですか
まず、勝てたことは非常に良かったと思います。全体的に見ても失点がゼロというのがリーグ戦(関東大学リーグ戦)で初めてだったので、きょうの試合に関しては満足することが多かったです。
――きょうは1本のシュートで終わらず、リバウンドをうまくたたけている印象を受けました
第1Pはどちらかというと単発で終わることが多かったのですが、第2P以降はちゃんとゴールに向かってしつこくやっていこうということを指示して、それぞれやってくれたと思います。
――荒れた展開もありました。どのようにご覧になっていましたか
それは反省点だと思っています。相手があってのことなんですけど、反則をしないということは共有してやっているので、それに関しては次の試合までにきちんと正していければと思います。
――きょうは気持ちの切り替えはうまくいっていましたか
前の2試合では内容は悪くないのに負けたということで、勝ち点を取るということを今週は準備してやってきたので、そういった意味では良かったと思います。
――良かった点と課題点をそれぞれ教えてください
まず、第2P以降であれば特にゴールに向かう気持ちが全員出ていました。被シュート数に関しても10本というのは少なくてよく抑えていたと思うので、そういったところは良かったと思っています。ただ、課題としては第1Pの入りだとか、プレーが雑な面であるとか、足が動いていない部分だとか、セットでの連携みたいなところがおろそかであったところがあったので、そこはまた次の試合で直していきたいと思っています。
FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
5試合ぶりに勝利できたので、率直にうれしいという気持ちがあるのですが、まだまだ課題も多く残った試合だなと思います。
――きょうのチーム全体の雰囲気はいかがでしたか
第1Pは流れがケイオーの方にあって、立ち上がりはちょっと悪かったんですけど。第2P、第3P以降はチーム一丸となってプレーできたし、点数も入って良かったかなと思います。
――ご自身の本日のプレーはいかがでしたか
もうちょっとDFとのコミュニケーションだったり、守りの部分っていうのは改善できる部分があるかなと思っていて。ペナルティーも、キャプテンとして少し多かったので、そこは次戦以降しっかり直していきたいと思います。
――得点シーンを振り返っていかがですか
2得点とも味方のパスが良くて、ラッキーなゴールだったんですけど。ここ最近の試合はゴールからちょっと遠ざかっていたので、きょう2得点できたのは良かったかなと思います。
――荒れた展開もありました。その点についてどうお考えですか
ああいう荒れた試合にならないように、ワセダはもうちょっとコントロールしないと。これから上位校とも当たりますし、反則が多くなると厳しい展開にもなってしまいますし。ああいう場面はやっぱりワセダがチームとしてコントロールしていかないといけないと思います。
――リバウンドをたたき、ゴールに向かわれることがいつもよりも多い印象を受けました。チームで共有されたりしていましたか
いえ、そこは特に共有している部分ではないです。けど、シュート打って外れたパックに対してしっかり寄せて、自分たちのパックにできてるところからゴールに向かえているのかなと思います。
――今回の試合の良かった点と悪かった点を教えてください
やっぱり課題は第1Pの入りですね。点数は取れたんですけど、その後相手にプレーを合わせてしまったというところが、きょうの課題点かなと思います。良かったところは第1Pの悪い流れをしっかり絶ち切り、第2P、第3P以降チームが切り替えられて、点数取れたことです。なおかつ無失点だったというところはきょうの良かった点かなと思います。
FW青木優之介(スポ4=埼玉栄)
――試合を終えた率直な感想をお願いします
きょうは5試合ぶりに勝つことができて、本当に良かったなと思います。
――内容はいかがでしょうか
最初から無失点に抑えようという目標があって、結果として無失点に抑えることができたのでチームとしても良かったと思います。
――荒れた場面もありました
荒れちゃったのはしょうがないので、切り替えて自分たちのプレーをしようということで一からやることができました。
――完封勝利となりました。守りの意識の強さが表れたのでしょうか
ここ何試合か失点が多くて負けてしまった場面が多かったので、まずは失点をなくていこうということで、結果としてきょうは無失点だったことは良かったと思います。
――ゴールシーンを振り返っていかがですか
いいパスをもらったので、それをただ決めるだけでした。
――敗北が続く中、特に強化したことはありましたか
やはりチーム全体として守りの意識を強めようとして、結果としてみんな守りの意識が良かった結果、無失点につながったと思います。
――きょうの試合の良かった点と課題が残った点をそれぞれ教えてください
良かった点は、無失点で終われた点です。ですが、点を取った後に危ない場面も何回かあったので、そこはチームとしてまた直していかないといけないことだなと思っています。
GK遠藤秀至(社4=東京・早実)
――試合振り返っていかがですか
悪い流れがずっと続いていた中で、第1Pではあまりいい流れに乗りきれなかったんですけど、第2Pからしっかり修正し、いい流れで試合に勝てたので良かったと思います。
――無失点という点についてはいかがですか
シュート数自体が少なかったので、当然無失点で終わらせる試合だったと思います。何回かピンチがあったので、そういったところもしっかり修正して、もっと相手のチャンスを減らしていければなと思いました。
――チームとして敗北が続いていた中、特に強化していたことはありますか
特にディフェンスの部分で失点と減らそうというのを話していていたので、そういった意味ではきょうの試合はすごく良かったなと思います。
――きょうのワセダの動きはゴールから見ていかがでしたか
悪くなかったんですけど、技術とかではなくコミュニケーションをもっと多く取ることで直せることがまだあると感じました。そこはしっかり修正していきたいと思います。
――きょうの試合の良かった点と課題点をそれぞれお願いします
第1Pは1点しか取れなかったんですけど、その後はしっかり点数が取れたのでそういった面では良かったと思います。(ケイオーの)シュート数も10本に抑えられたので今までの試合に比べたらすごく良くなったと思います。課題としては、まだコミュニケーションミスだったり、自分たちのミスでピンチをつくっていたので、そこはもう少し修正しなければいけないなと思いました。
FW金子聖(スポ4=埼玉・立教新座)
――久しぶりの勝利となりました。今の気持ちを教えてください
率直にうれしいです。その中でも、無失点で勝てたということが一番大きかったと思いますね。今のチームのスタイルだと、失点が多くなってしまうとそれに競り合うのは厳しいので。ゼロに抑えることができたのは良かったと思います。
――無失点で勝てた要因はどんなものがあったのでしょうか
FWとDFのコミュニケーションを意識していて、相手に詰められるところはDFがしっかり当たりにいって、それをFWがサポートするという練習を前回の敗戦から徹底してやってきました。それが今回の試合でしっかり出せたということが要因だと思います。
――先制点も挙げられました。得点シーンを振り返ってみていかがですか
リバウンドが自分のところに運良く出てきてくれたので、それを打ったという感じです。
――ケガから復帰後、初のゴールとなりました
そうですね、うれしかったです。これからも試合は続いていくので、そこでもさらに点を取れるように努力していきたいと思います。
――前回の試合ではリバウンドを取れない場面が目立ちましたが、この試合ではよく取れていた印象です
そうですね。ゴール前に詰めたときに、FWが中に入りすぎてしまったというのが前回の良くなかったところでした。それが、この試合では1人がちゃんと高めの位置に引いてリバウンドを待つということがチームの中で徹底できていました。その結果が今回の自分の得点を含め、ゴールにつながったのだと思います。
――この試合で良かった点、悪かった点を教えてください
良かった点としては、練習でやってきたことをみんながしっかりと試合で出せたことですね。悪かった点は、相手のペースに合わせてしまう場面があったことです。それがワセダの1番良くないところだと思うので、次からはもっと積極的にやって、自分たちが試合の主導権を握れるようにしていきたいと思います。
DF新井遥平副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)
――試合を振り返っていかがですか
結果的に無失点で勝つことはできたので、そこは良かったかなと思います。
――本日の守備陣の動きはいかがでしたか
ノーマーク取られたりしてしまって、キーパーに助けられた部分が結構あったのかなと思います。
――課題が多く残る試合だったということでしょうか
課題は毎試合あるんですけど、出だしちょっと悪かった部分があるので、全部が全部いい試合だったというわけではないと思います。
――今回、守備陣で意識されていたことはありましたか
DFは、Dゾーンに入られる前に早い段階でプレッシャーをかけるということをやっていました。
――今回の試合の良かった点を教えてください
最近はあまり得点を取ることができない試合が多かったんですけど、結果的に7点取ることができていたので。スコアリングというところに関しては良かったのかなと思います。
――反対に悪かったところや、改善する点はありますか
出だしが、ちょっと気持ちが緩んでるというわけではないですけど、ふわっとした気持ちで入ってしまう試合が多いので。スタートから気を引き締めてやっていかないと、この先強豪チームと当たったときに、第1Pで点数入れられて勝負をつけられてしまうことがあるかもしれないので。スタートからワセダのホッケーをできるようにやっていくことが大切だと思います。
DF坂本之麿(社2=青森・八戸工大一)
――5試合ぶりの勝利となりました
シンプルに、勝ててうれしいです。チームとしても、とてもプラスになる結果だと思います。素直にそれを喜んでいいと思いますし、無失点で抑えられたのが一番の収穫だったと思います。
――やはり無失点勝利ということは大きいのでしょうか
そうですね。無失点で勝てた試合はしばらくなかったので。それはDFとしても一番良かったことだと思いますし、チームとしても次につながる結果だと思います。
――完封勝利を挙げることができたポイントはどのようなところにあったと感じていますか
DFだけで守るということは難しいので、FWとの連携を意識して今週は練習してきました。そこの成果を出すことができたのだと思います。
――ご自身の得点シーンを振り返ってみていかがですか
納得のいくシュートではなかったですね。ゴールまで届いて、リバウンドが出ればいいなと思っていました。それでも、そのシュートが結果的にゴールに入ってくれたので、良かったです。それが2点目でもあったので、自分としても心に余裕ができたかなと思います。
――緩やかな軌道のシュートでしたが、狙ったわけではなかったのでしょうか
そうですね。ラッキーなかたちでした。
――この試合で良かった点、悪かった点をそれぞれ教えてください
良かった点は、さっきも言った通り無失点だったことだと思います。守りの面が全体的に良かったですね。これを今後も継続していきたいです。悪かった点は、こちらの気が抜けてしまったところで相手にチャンスをつくられてしまって、失点のピンチがあったことですね。危ないシーンを減らすためにも、FW、DF共に守りの意識を高めていけたらと思います。
――次の試合に向けて一言お願いします
次の試合でもワセダらしいホッケーをして、無失点でこの日のような勝ち方ができればいいなと思います。