終わってみれば6-3。点差こそあれど、ワセダは試合のペースを常に握れたわけではなかった。関東大学リーグ戦(リーグ戦)2戦目は、素早い攻守の切り替え、激しいパックの奪い合い、体のぶつかり合いが続く総力戦に。時に攻めあぐねた状況もあったが、勝ち抜けたのは要所で確実にシュートを決める力と、GK遠藤秀至(社4=東京・早実)の好セーブの連発があったからだ。
均衡するゲームを動かしたのは、開幕戦でも先制点を挙げたFW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)だった。スピード展開でお互いに攻撃の突破口を探す中、金子立主将は目の前に来たパックを倒れこみながら滑り込ませた。「点数を取るということは毎試合意識してやっている」(金子立主将)の言葉通り、確実に決めるという意地でのシュートだ。しかし相手も黙っておらず、その後は点の取り合いに。2-2の同点の場面で、金子立主将がこぼれたパックを決めて勝ち越す。さらにDF羽場健太(政経2=東京・早実)が中央からミドルシュートで点差を突き放した。「同期で自分だけゴールを決めたことがなかった」(羽場)と語るよう、特別な初ゴールにチームの喜びもひとしおだ。続く第2ピリオド(P)、攻めては積極的にチャンスメーク。DF坂本之麿(社2=青森・八工大一高)から金子立主将へうまくパックが通ると、金子立主将がターンし倒れながらもシュートを決めハットトリックを達成した。守っては、遠藤の活躍で相手にゴールを割らせない。5-2で第2Pを終えた。
公式戦初ゴールを決めた羽場
しかし、第3Pはこれまで以上に相手に攻め込まれる。相手に1点返されてしまうが、その後数的有利なパワープレーの状態に。「きのうの日体大戦ではパワープレーが決まらなかったので、シュートの意識を高めていました」(FW寺井敏博副将、国教4=米国・チョートローズマリーホール高)と語るよう、寺井副将は冷静にゴールを決めパワープレーの好機を生かした。だが第3Pのワセダのシュート数は5であるのに対し、相手は21。遠藤のセーブで失点を1に抑えたものの、ディフェンスを突破されるなど危ない場面は幾度となく見られた。
守護神・遠藤に何度も助けられた
たとえ相手に攻め込まれても、自らが攻めるときに確実に決める勝負強さはついてきている。この2試合で上位セットを超えて多くの選手がゴールを決めた。それぞれのセットで得点できる力があるのは、早大にとっても武器であろう。全員が好機をつかみさえすればシュートを決める意識で臨んでいることの表れではないだろうか。一方、課題が残ったのは守備面。3点全て自分たちのミスが招いたものであり、遠藤頼りの場面も見られた。「もっと失点を減らさないと次回以降厳しい試合になる」と遠藤も厳しい評価。長期にわたるリーグ戦で1試合1試合、いかにワセダらしいホッケーができるかが勝負の行方を決める一つのカギであろう。
(記事 加藤佑紀乃、写真 冨田千瑛)
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関東大学リーグ戦 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 法大 |
4(15) | 1st | 2(12) |
1(13) | 2nd | 0(10) |
1(5) | 3rd | 1(21) |
6(33) | 計 | 3(43) | ※( )内はシュート数 |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 09:35 | 金子立 | 新井 | - | - |
法大 | 10:54 | 鈴木 | - | - | - |
早大 | 12:02 | 寺井 | 金子立 | 青木優 | - |
法大 | 12:42 | 福島 | 石田 | - | - |
早大 | 15:39 | 金子立 | 新井 | 寺井 | PP |
早大 | 16:21 | 羽場 | 矢島 | 高橋 | - | 早大 | 27:30 | 金子立 | 坂本 | 青木優 | - | 法大 | 46:54 | 西口 | 高橋 | 松本 | - | 早大 | 48:53 | 寺井 | 坂本 | 金子立 | PP | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF(/FW) |
1 | 飛田 | 金子立 | 青木優 | 坂本 | 新井 |
2 | 鈴木 | 青木孝 | 寺井 | 格地 | 大崎 |
3 | 瀬戸 | 高橋 | 矢島 | 松本 | 羽場 |
4 | 小澤田 | 加賀美太 | 佐藤 | 野村 | 田中 | GK遠藤 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか
きのういい試合をした後だったしサマーカップで法大に勝っているということだったので、油断がないようにということを全員で共有したのですが、やっぱり第1Pは調子が出なかったです。そのまま引きずらずに最終的には勝ったので良かったんですけど、課題が多かった試合でした。
――課題とは具体的にどういったものでしょうか
あまりリスクをしてはいけない場面でリスクがあるプレーだったりとか、あるいはDFが下がりすぎて簡単に打たれたり、3番手4番手に打たれたりとかいった細かいところですけど、そういったことが積み重ねになったのは反省だと思います。
――連戦でしたが、チームの動きはご覧になっていかがでしたか
特に第1Pなんかは(ワセダが)点を取ったあとすぐに(相手に)取られたりだとか、集中力に欠ける部分であったりとか、自分たちのミスで取られた点が多かったので、そこは反省点が多かったと思います。
――6―3というスコアの印象はいかがですか
結果として3点差では勝てましたけれども、(相手の)3点すべて自分たちのミスで入れられて。特に最後第3Pは(シュートを)21本打たれた中、キーパー(GK遠藤秀至、社4=東京・早実)に助けられました。結果として勝てましたけど、そういったところはまだまだやっぱり修正していく必要があったかなと思います。
――次の慶大戦への意気込みをお願いします
3回氷上練習がありその中で同じメンバーがベンチ入りできるかは分からないのですが、常に競争意識を持って、またその中で一番動きのいいメンバーでセットを組み、当然また勝ちにいきたいと思います。
FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合全体を振り返っていかがですか
結果としては勝てたんですけど、第1Pの2失点はちょっと多かったかなと思います。
――第1Pでは危ない場面もありましたが、立ち上がりはいかがでしたか
きょうはきのうの試合ほどいいものではなかったんですけれども、結果的に点数が4点入ったところは良かったのかなと思います。
――きのうに続いて本日も先制点を決められていました。何か意識されたりしたのでしょうか
点数を取るということは毎試合意識してやっているので。先制点を取るということは意識していないのですが、試合を通して1点、2点取れるようにということは意識しています。
――ハットトリックおめでとうございます。それぞれの得点シーンを振り返っていかがですか
1点目は相手のスティックかなにかに当たってオウンゴールで、自分も転んでいてよく見えなかったんですけど、ラッキーだったなと。2点目はディフェンスからいいシュートを打って、そのリバウンドをうまく入れられたかなと思います。3点目は、自分の足元にパックがうまくこぼれてきたので、あとは叩くだけでした。
――6―3という得点についてはどうお考えですか
失点が多いのかなと思います。やっぱり守りからしっかりやるというのは毎試合意識してることなので、第1Pの2失点だったり、最後第3Pの1失点をどれだけ少なくできるかが今後の課題かなと思います。
――第3Pではシュート数が少なかったように思うのですが、その点についてはいかがですか
攻め込まれる時間が長くて、自分たちもちょっと受け身になったことで、相手に勢いでシュートを多く打たれたので。第3Pになっても自分たちの足を止めずに攻め続けて、アタッキングゾーンで長くやるということがこれからは大事になってくるんじゃないかと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
立ち上がりからしっかりワセダのホッケーができるように、今週しっかり練習して次戦頑張りたいと思います。
FW寺井敏博副将(国教4=米国・チョートローズマリーホール高)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
2連戦でコンディション的にみんなもそうなんですが、きつい試合の中で、立ち上がりだけ気をつけて足を動かしていこうと話していました。
――最終的に6-3と点差は離れましたが、試合を通して競っている印象でした
点差は最終的に開いたのですが、ゴール前で打たれたりとかDゾーンで抜かれたりとかそういう部分も見えたので、そこはキーパーの遠藤(GK遠藤秀至、社4=東京・早実)がすごいカバーしてくれたんだなとは感じました。点差は開きましたが内容的には決して良くはなかったかなと思います。
――寺井選手は2得点を挙げていました。1点目を振り返っていかがですか
1点目はシフトチェンジで出たばっかりで、高めに浮いてこぼれてきたパックを押し込めました。ちょうどいいタイミングで変わったな、と。良かったかなと思います。
――第3Pに挙げた2点目は狙っていましたか
きのうの日体大戦ではPP(パワープレー)が決まらなかったので、シュートの意識を高めていました。打ったら入ったので良かったと思います。
――第3P、全体的にはシュートを決め切れていない印象でした
逆に法大に打たれていた場面が多かったです。点差はちょっと開いてたんですが、内容的にすごい攻められた場面が多かったと思い、そこは反省点かなと思います。
――2連勝となりました。次戦に向けての意気込みをお願いします
1週間また空くんですが、今週の日体大戦、法大戦のビデオを見たり、反省点を生かして、火曜日からの練習をちゃんとやって、土曜日また慶大戦で点差をつけて勝ちにいきたいと思います。
GK遠藤秀至(社4=東京・早実)
――試合全体を振り返ってみていかがですか
全体的にうちのいいプレーもあったんですけど、悪いプレーがかなり目立っていました。あと各ピリオドの入りが悪かったので、そこはもっと良くしないと強豪校と当たるときに厳しいんじゃないかなと思いました。
――悪いプレーとは具体的にどういったところでしょうか
自分たちのゾーンでミスを繰り返してしまったり、簡単に前に出せばいいところを一回後ろに下げてしまい、そこで相手のプレッシャーに引っかかって前に進めずそこからリズムを崩してシュートを多く受けてしまった場面があったので、そういったことは改善していきたいと思います。
――特に第3Pは相手に攻め込まれてしまいましたが、どのように対処したのですか
第3Pはかなり流れが悪かったので、もうちょっとピリオドの途中で良くして流れが変えられれば良かったんですけど、向こうの勢いに押されてしまいワセダの足が止まってしまったので、そこは次回直さないといけないところだなと思います。
――そのような悪い流れの中で、遠藤選手の好セーブがたくさんありました。ご自身的にはどう評価されますか
危ない場面を防げたのは良かったのですが、失点が3だったのでもっと失点を減らさないと次回以降厳しい試合となるので、もっと失点を減らさないといけないとは思いました。
――連戦だった中、チームの動きはゴールから見てどうご覧になりましたか
連戦の割には悪くはなかったんですけど、自分たちのやりたいことを最初からできずに相手のペースになってしまったので、そこは残念だなと思いました。
――6-3というスコアの印象はいかがですか
6点取れたというのは大きいんですけど、第1Pに2失点というのはかなり悪いと思います。そこは一番最初のピリオドなので失点しないように、第1Pから自分たちの流れにしていけるように練習していきたいと思います。
――次のケイオー戦への意気込みをお願いします
ケイオーはことし結構大差で勝っているので、次の試合でしっかり点差をつけて勝って、ワセダの強さを見せたいと思います。
DF羽場健太(政経2=東京・早実)
――ゴールを決められましたね。率直な感想はいかがですか
素直にうれしかったです。
――セットのメンバーもみんな喜んでいるのが印象的でした
同期で僕だけまだゴールを決めたことがなかったので、みんな喜んでくれました。
――きょうの試合を振り返っていかがですか
まだ課題が残る試合になったかなと思います。
――体を張ってディフェンスしている姿が印象的でした。ご自身の守備についてはいかがですか
自分には武器があまりないので、体を張っていこうと思っています。