あと一歩で力尽きてしまった。関東大学選手権(選手権)準決勝。優勝という目標を成し遂げるために、一番の山場となるこの試合。対する相手は宿敵・明大であった。第1ピリオド(P)開始直後にFW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)が鮮やかに先制点を挙げるも、その後はシュートの応酬が続き、均衡は崩れない。しかし第3P、明大を止め切ることができず勝ち越しを許し、2-4で無念の敗北。なんとしても欲しかった1点が遠い。5年連続で決勝進出を逃した。
これほどすさまじい戦いがあっただろうか。攻守の入れ替わりが早く、まさにリンクを駆け巡った激闘だった。第1P、前線に上がった鈴木が左サイドから角度を決めてシュート。早大に勢いをもたらすかと思いきや、明大も簡単には攻撃を許さない。パックの奪い合いが続き、相手の強烈なシュートをGK遠藤秀至(社4=東京・早実)がなんとか凌ぐ。しかし、隙を突かれて得点を許し1点、ゴール正面からシュートを放たれさらに1点と、1-2で逆転されてしまう。早大も追いつこうと必死にパックを前線に運ぶが決定的な一打が出ないままだった。
好セーブを連発する遠藤
第2P以降も、両者の攻撃の勢いは止まらない。一進一退の均衡を破ったのは、FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)だ。ゴール左から狙いを定めてスティックを一閃すると、パックはネットに吸い込まれていく。2-2の同点で第3Pに突入した。明大に盛んに攻撃を仕掛けられ、早大はなかなか主導権を握れない。その状況のなか、わずかな隙間にシュートを決められ2-3に。後がない早大は、試合終盤に6人全員による攻撃で挑むも、弾かれたパックは自陣へ。1点を献上しそのまま終了のブザーが鳴り響く。多くの選手が天を仰いだ。
激しいパックの奪い合いが続いた
選手にとって悔しい敗戦となってしまっただろう。しかし、この勝敗を分けたのはまさに紙一重の差なのだ。「ロースコアの展開に持ち込むというプラン通りの試合はできました」と工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)が語るように、この試合での収穫も大いにある。細かなミスをなくし、早大らしいロースコアで勝ち切るホッケーの確立が今後のカギを握るだろう。来週には3位決定戦が控えている。対する相手は、昨年の選手権で大敗した東洋大だ。勝ちにこだわる早大の意地で、勝利への突破口を切り開いてほしい。
(記事 加藤佑紀乃、写真 川浪康太郎)
関東大学選手権(準決勝) | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 明大 |
1(10) | 1st | 2(11) |
1(7) | 2nd | 0(13) |
0(5) | 3rd | 2(13) |
2(22) | 計 | 4(37) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 01:37 | 鈴木 | 瀬戸 | - | - |
明大 | 11:46 | 川村 | 松本 | - | - |
明大 | 16:26 | 梅村 | 川村 | 井上 | - |
早大 | 36:19 | 金子立 | ハリデー | - | - |
明大 | 46:17 | 松本 | 井上 | 梅村 | - |
明大 | 59:16 | 桂川 | 松本 | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 寺井 | 金子立 | 青木優 | 堰合 | ハリデー |
2 | 鈴木 | 青木孝 | 矢島 | 坂本 | 新井 |
3 | 田中 | 瀬戸 | 金子聖 | 松本 | 大崎 |
4 | 飛田 | 高橋 | 加賀美太 | 格地 | 小澤田 | GK遠藤 |
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コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか
ロースコアの展開に持ち込むというプラン通りの試合はできました。最後勝ち切れなかったのは残念ですが、自分たち的には今できるホッケーはやったと思っています。
――今回の敗因はどこにあるとお考えでしょうか
Dゾーンで(パックを)出すところを出せなかったり、シュートを決められるところを決められなかったりとか、ちょっとした細かいミスの積み重ねで最後こういったかたちになったと思います。
――3位決定戦はどのように戦っていきたいですか
春の締めの試合ではあるので、2ヶ月間つくってきたワセダのホッケーを展開できるようにしたいです。当然勝ちにこだわっていきたいと思っています。
GK遠藤秀至(社4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
全体的に見ると一度ワセダの流れになったと思うのですが、そのあとなかなかシュートを打つこともできず、自分たちの流れにできませんでした。もう少し多くシュートを打って流れをつかめれば良かったなと思います。
――昨年悔しい敗北を喫した明大相手ということでしたが、意識する部分はありましたか
メイジは決して相性が悪い相手だとは思っていなかったので、自分たちがやりたいホッケーをして相手のホッケーをやらせなければ勝てると思っていました。きょうはワセダの方が足は動いていて良かったと思うのですが、細かいミスで流れをつかめなかったので、そういったところを修正できればと思います。
――守備陣の調子はいかがでしたか
前回よりは良かったのですがどうしても細かいミスが多くなってしまって。攻撃に移るところで移れなかったりして流れを悪くして、攻めなければいけないところで守りに入ってしまって体力がなくなってしまい、危ないシーンが何回かあったかなと思います。もう少しシンプルにできるところは前につないでいってほしかったです。
――決勝ゴールとなった3失点目を振り返ってみていかがですか
あそこは一番取られてはいけない場面だったので、守備陣の集中力の切れもあったとは思うのですが、2対2という場面で3失点目してしまったのはとても悔しかったです。
――今季から最上級生になったということで、意識していることはありますか
最上級生だからといって特別な思いはなく、今までやってきたことを変えたりせずにいつも通りやっていきたいと思っています。
――最後に、3位決定戦への意気込みを聞かせてください
毎年ワセダは準決勝で負けて3位決定戦で気持ちが切れてしまっているので、ことしはしっかり練習して気持ちを切り替えて勝ちたいと思います。
DF新井遥平副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
自分たちの小さなミスから失点した場面があって、それが負けにつながってしまったのかなと思います。
――DFリーダーとして、きょうの守備面に関してはいかがでしたか
自分がやっているときに失点してしまったので、そこは悔しいです。DFリーダーとしてはあまり良い出来ではなかったと思います。うまくDFをまとめるとことができていなかったので。
――最後のタイムアウトではどのようなことを話していたのですか
何があっても1点取りにいくということでした。
――3位決定戦はどのように戦っていきたいですか
優勝はなくったのですが、まだ終わりではないので、来週1週間しっかり細かいミスの修正をして絶対3位を取りたいと思います。
FW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)
――今回の試合を振り返ってみていかがですか
先週の日体大戦では僕たちのセットの動きがすごく悪くて、チームに結構迷惑かけてしまったのですが、きょうはセットとしてやりたいホッケーができたので、そういった面ではチームに貢献できたのではないかと思います。僕たちのセットは1・2年生主体の比較的若いセットなので、若さを生かしたスピードある、シンプルにパックを運んでそこから相手のミスを誘ってシュートまで持っていくというホッケーができたと思います。
――昨年悔しい結果に終わった明大との対戦ということもあり、意識されたことはありましたか
昨年メイジと3試合したのですが、60分のゲームの中では負けていなくて。負けた試合といってもオーバータイムで負けて、あとは引き分けと勝ちだったので、得意意識はあり、試合で劣勢になったとしても追いつくチャンスはいくらでもあるという気持ちでプレーしていました。あと、メイジは立ち上がりが悪いというのが特徴のチームなので、立ち上がりで僕らが先制点を取って勢いに乗れたら、僕たちのペースで進めるのではないかなと思っていました。
――今回の敗因は何だとお考えですか
全体を通してみれば僕たちも全然メイジに負けていなかったと思うのですが、細かいプレーで例えば、Dゾーンでパックをクリアしなければいけないときに出せなかったりとか、一つのパスを通せなかったりとか、一つのシュートで入れられていれば攻撃で終われていたのを外してしまって相手のカウンターになってしまったりとか、そういう細かいプレーの積み重ねによって紙一重で相手に有利なようにプレーが進んでしまったことだと思います。
――先制点を入れられてますが、ご自身の今回のプレーについては
さっきも言ったのですが、先週は僕自身もセットとしてもやりたいホッケーができなかったので、きょうはまずシンプルにシュートを打つことと、パックを持っていないときはどんどん体に当たるということを意識していました。得点に関しては第1Pの最初のシュートだったので、FW瀬戸公大選手(スポ3=北海道・白樺学園)からパスをもらったときに、枠に入るように抑えて低めを狙って打ったら、それがたまたま入りました。結果につながって良かったと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
東洋大は昨年の大会でも3位決定戦で当ってぼろ負けしてる相手で、僕たちは東洋大に対して苦手意識を持っています。そのイメージを払拭するために、東洋大は結構プレッシャーの早いチームですが、それに負けないように僕らもどんどんプレッシャーをかけていきたいです。まずは東洋大のプレッシャーを意識した練習をして、試合では向こうのプレッシャーに負けないように意識してプレーできれば、勝つチャンスがあると思います。