「何としても優勝したい」(FW寺井敏博副将、国教4=米国・チョートローズマリーホール高)。悲願の三冠達成の一歩目を刻むため、強い気持ちを持って関東大学選手権に臨んだ早大。初戦の相手は昨季と同じく筑波大だった。地力で勝る早大は第1ピリオド(P)から得点を量産。終始相手を攻め続け、反撃の隙すら与えない試合を展開していく。多くの選手が複数得点を挙げるなどし、20-0で筑波大を圧倒。大事な初戦を完封勝利で飾った。
早大が初得点を挙げたのは、開始49秒のことだった。FW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)が右側を攻め上がりシュート。幸先良く、先制に成功した。その後も早大は筑波大にパックを譲ることなく、相手ゴールを積極的に狙っていく。2点目までは時間が空いたものの、5分3秒にFW田中創一郎(政経3=東京・早実)がミドルレンジから振り抜きゴールすると、その後はコンスタントに得点を重ねていった。20分間だけで9点を奪う猛攻を見せ、第1Pを終えた。
この日ハットトリックを達成した鈴木
60分間最後まで走り続けることをテーマにして試合に臨んでいた早大。第2Pに入っても攻撃の手を緩めることはなかった。鈴木がこの試合3得点目を獲得すると、その後はFW田村心(教3=埼玉・早大本庄)が公式戦初ゴールを決める。第3P終了間際にFW金子聖(スポ4=埼玉・立教新座)が20点目となるシュートでゴールネットを揺らして試合を締めくくった。ディフェンスでも相手のチャンスをしっかりと潰し無失点。まさに完勝というにふさわしい試合となった。
公式戦初ゴールを決めた田村
チームで掲げた、60分間最後まで走り切るという目標をしっかりと完遂した早大。スピードで相手を圧倒し、緩むことなく戦い続けた。そして、DF大崎大祐(先理1=青森・八戸)がゴール、FW青木孝史朗(スポ1=埼玉栄)やFW小澤田匠(スポ1=東京・早実)が得点に多く絡むなど、1年生の活躍も光ったこの試合。どちらもこれからのトーナメントを勝ち抜くための重要な要素となるはずだ。次なる相手は昨季の日本学生氷上競技選手権で2位と躍進した日体大。今回以上に厳しい戦いが予想される。一週間しっかりと準備し、この日のような走り勝つホッケーを続けられるかがカギとなりそうだ。
(記事 進藤翔太、写真 川浪康太郎、山下夢未)
関東大学選手権(1回戦) | ||
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早大 | ピリオド | 筑波大 |
9(29) | 1st | 0(3) |
5(26) | 2nd | 0(1) |
6(26) | 3rd | 0(0) |
20(81) | 計 | 0(4) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 00:49 | 鈴木 | - | - | - |
早大 | 05:03 | 田中 | 高橋 | - | - |
早大 | 05:17 | 堰合 | ハリデー | 青木優 | - |
早大 | 09:31 | 鈴木 | 矢島 | - | - |
早大 | 11:26 | 寺井 | 堰合 | 青木優 | - |
早大 | 12:40 | 大崎 | 鈴木 | - | - |
早大 | 14:18 | 飛田 | - | - | - |
早大 | 16:17 | 堰合 | - | - | - |
早大 | 16:55 | 矢島 | 鈴木 | - | - |
早大 | 21:21 | 鈴木 | 青木孝 | - | - |
早大 | 26:07 | 青木優 | 金子立 | - | - |
早大 | 29:11 | 田村 | 小澤田 | - | - |
早大 | 31:27 | 寺井 | 金子立 | - | - |
早大 | 36:23 | 寺井 | 青木優 | - | - |
早大 | 46:58 | 寺井 | 金子立 | - | - |
早大 | 48:31 | 矢島 | 青木孝 | - | - |
早大 | 52:41 | 青木優 | ハリデー | - | PP |
早大 | 53:10 | 矢島 | 新井 | 坂本 | - |
早大 | 53:43 | 田中 | 高橋 | - | - |
早大 | 59:42 | 金子聖 | - | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 寺井 | 金子立 | 青木優 | 堰合 | ハリデー |
2 | 鈴木 | 青木孝 | 矢島 | 坂本 | 新井 |
3 | 田中 | 高橋 | 金子聖 | 松本 | 大崎 |
4 | 飛田 | 小澤田 | 田村 | 志村 | 羽場 | GK草島→谷口 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――きょうの試合を振り返ってみていかがですか
公式戦最初のゲームで、チームとしてはまだ指導して1ヶ月しか経っておらず、まだまだ力がないので、60分間しっかりやりましょうと言って臨みました。そこは良かったと思います。
――60分間思うような試合運びはできましたか
そうですね。シュートを(相手に)打たせない、シュートを(自分たちが)打つということに関してはできたと思いますし、60分間足も動いていたので、そこに関してはよくやってくれたと思います。
――今季のチームカラーは
今季は4年生が10人いるチームで試合経験が多いので、そこを中心にチームを作っていきたいと思います。
――ことしの1年生の印象は
1年生は入ってまだ1ヶ月しか経っておらず、これからいろいろ試合や生活に慣れると思うので、戦力的に何か考えるというよりは、慣れるということを重点的に考えていきたいです。
――ことしの1年生はFWが多いですが、チームに与える影響は
まだこれからチームの戦力になってほしいと思いますが、一人一人の力が不足しています。そこをちゃんとチームの力になれるように、日頃からトレーニングなどを一生懸命やってほしいと思います。
――反対に、DFが多かった昨年の4年生が抜けた影響は
昨年の4年生が中心にやっていたところが抜けましたが、そこは残っているメンバー全員がカバーする気持ちで今やらせています。
――次の試合への意気込みをお願いします
来週はランクが上のチームと当たると思うのですが、まず走り負けない、当たり負けないことを基本にしていきたいです。力を発揮できるように、これから1週間しっかり準備していこうと思います。
FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――この試合全体を振り返ってみていかがでしたか
スピード感の違う相手だったんですけど、60分間を通して全員が走り切って戦えたので良かったと思います。
――この試合に向けたテーマや目標などはあったのでしょうか
さっきも言った通り、60分間最後まで戦い抜こうということですね。点数差がついても、しっかり最後まで戦おうということで試合に臨んで、それができたので良かったですね。
――無失点という結果についてはどう思われていますか
昨年は1失点してしまったので、ことしは失点なしでいこうという話もしていました。それでみんなが失点しないという意識を持ってできていたと思います。
――相手のDFはゴール前に人数を割いていた印象でしたが、それに対する対応などはいかがでしたか
中盤あたりは(パックを)回してしまって、シュートを打たない場面も見受けられたんですけど、全体的に見ればシュートを多く打てましたし、(相手にシュートを)当てないように意識してシュートを打てたと思います。
――主将として臨む初の公式試合となりましたが、何か意識していたことはありますか
主将だから特に、ということはなかったですね。チームをまとめるということは多少意識しましたけど、試合に臨むうえで主将だからということで特に意識したことはなかったです。
――チームの雰囲気はいかがですか
自主性がすごくあって、個人個人で自主練したりだとかしているので、すごく良い雰囲気でできていると思いますね。なので、きょうの試合も無失点で終えられたんじゃないかと思います。
――昨季は守備面を強みとしたチームでしたが、今季のチームはどのようなものにしていくのでしょうか
昨季と特にチームカラーを変えたりはせずに、守りからしっかりやっていこうとしています。自分たちは、ロースコアで勝つということを目標にしているので、守りの意識を強く持って練習していますね。それはきょうの試合でも出て良かったと思います。
――1年生の印象はいかがですか
きょうも何人か試合に出ていましたし、1年生らしいプレーといいますか、すごく積極的にプレーしていたと思います。これからだと思うんですけど、チームに貢献できるようなプレーを期待していますね。
――1年生はFWの選手が多いですね
そうですね。DFは一人しか入らなかったので。FWの競争も激しくなると思うので、2年生以上もしっかりやっていければ良いなと思います。
――次戦の相手は日体大ですが、どのような印象がありますか
昨年のインカレ(日本学生氷上競技選手権)で準優勝したチームなので、この一週間でしっかりと気持ちをつくって練習して、勝てるようにやっていきたいと思います。
――最後に、改めて次戦への意気込みをお願いします
一週間しっかりと練習して、確実に勝ちを取れるようにやっていきたいと思います。
FW寺井敏博副将(国教4=米国・チョートローズマリーホール高)
――きょうの試合を振り返って
第一の目標として、失点を絶対しないとチームで決めていたので、それが達成できて良かったです。
――きょうは4得点というご活躍でしたが
僕の得点は周りがチャンスを作ってくれたので、その勢いで来週もやりたいと思います。
――今季からアシスタントキャプテンという立場ですが、いかがですか
最上級生となって責任感もあり、ロッカーで発言したりしてチームをまとめたいと思っています。まずは結果を残すという目標で、春の大会は絶対に優勝したいと思っています。
――アシスタントキャプテンという立場から見たチームの雰囲気は
韓国の遠征からチームの調子は上がっていると思います。けがをしている選手も多いんですけど、雰囲気は非常に良いと思います。
――今季のご自身の目標を教えてください
個人的には、何としても優勝したいという気持ちが強くて、そのためにゴールやアシストといった、点に絡むプレーをたくさんして、勝利に貢献したいと思っています。
――次戦への意気込みをお願いします
来週からは、チームのプレースピードが変わってくると思うので、練習からみんなで気合いを入れて、一試合一試合を勝って、最終的には絶対に優勝したいと思います。
DF堰合芳貴(社4=青森・八戸工大一)
――春シーズンが始まりましたが、どのような心境ですか
今回初めての公式戦ということで、チームがどんな状況にいるのかっていうのを再確認することができた試合になりました。
――具体的にどのような状況だと捉えていますか
昨年も初戦は筑波大とあたって、昨年できなかったことを今回改善しようという課題をコーチからいろいろ出されたのですが、その課題をしっかりクリアすることができました。今シーズン新しく入ってきたチームメイトも初ゴールを決めることができて、練習の成果が少しは出てきているのかなと思いました。
――堰合選手自身も得点、アシストを果たし、チームの勝利に貢献しました
昨シーズン、国体を除いて公式戦では一度もゴールを決めることができなくて。ことしはしっかり決めていこうと自分の中で決めていて、きょうゴールすることができたので、これからもチャンスがあればゴールを逃さないようにしていきたいと思います。
――DFの要として、どのように守備陣を引っ張っていきたいですか
Aマークはついてないのですが、4年生だからできることとか、代表とか行って経験もたくさん積ませていただいたので、そういった経験を後輩たちに教えて、僕らがいなくなっても戦っていける選手に後輩たちをしていけるように頑張っていきたいです。
――昨年の4年生の大半がDF、ことしの1年生の大半がFWということで、守備面に優れていた昨年とは違ったチームになりそうですね
昨年活躍していたDFの選手が抜けたことで守りは欠けてしまった部分はあるんですけど、入ってきた1年生もガッツがあって、FWだけど守りもしていて、練習でもそういうふうにしているので、問題ないかなと思います。
――最後に4年生として、ことし1年間どのように過ごしていきたいですか
全大会優勝を目指していきたいっていうのと、4年生としては僕らが1年生のとき(日本学生氷上競技選手権で)優勝を経験したので、優勝というのを後輩たちに見せられるように僕ら4年生がチームを鼓舞していきたいと思います。
DF新井遥平副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)
――大差での勝利となりましたが、率直な感想をお聞かせください
きょうは試合前のミーティングで、自分たちのホッケーをしっかりやってシュートを打っていくということを目標にしていたので、それが結果に出て良かったと思います。
――今季からアシスタントキャプテンに就任されましたが、それについてはいかがですか
今までは引っ張ってもらう側だったのですが、ことしからAマークになったので、自分がチームを引っ張っていかなければいけないという責任は芽生えてきました。
――きょうはチームとして無失点でしたが、守備陣の出来はいかがでしたか
出来は良かったと思います。
――アシストも多く見られましたが、ご自身の調子はいかがですか
普通ですかね。
――新加入の選手はどのように映りましたか
みんな練習から意識が高くて一生懸命やっていて、きょう初ゴールした選手もいましたが、ゴールしなかった選手もこれからどんどん活躍していくと思うので期待しています。
――最後に、次の試合への意気込みをお願いします
次の試合からは、きょうのように大差で勝つということはできなくなると思うので、今まで練習してきた自分たちの成果をしっかり出せるように頑張りたいと思います。
FW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)
――先制のゴールを含めた大活躍となりましたが、自己評価はいかがですか
僕たちのセットとしてやりたいことが60分を通してできたと思うので、それが良い結果につながったと思います。
――やりたかったこととは、具体的にどのようなことですか
自分たちでどんどん走っていつも通りのプレーをして、来週以降の試合につながるようなプレーをすることが目標でした。
――新生チームでの公式第一戦となりましたが、実感としてはいかがですか
まだあまり実感が湧いてないというか。来週ぐらいから強いチームと対戦になるので、これからが勝負だと思います。
――2年生となり後輩ができて、環境の変化はありましたか
環境の変化は特にないです。プレー面としては、昨年は上位セットに1年生から出さしてもらってたんですけど、決められるチャンスでなかなか点を取れないような選手だったので、ことしは自分でどんどん点を取って、点を取るという面でチームを引っ張っていきたいです。今1年生の青木孝史朗選手(スポ1=埼玉栄)と一緒にセットを組んでいるので、1年生が萎縮しないでのびのびとできるような環境を作ることで、1年生にも活躍してほしいなと思っています。
――次戦の日体大との試合ではどのようにプレーしていきたいと考えていますか
僕たち2セット目は、僕とか矢島(雄吾、スポ2=北海道・駒大苫小牧)とか、走れて若い選手主体のセットなので。どんどん走って、当たって反則をもらって、得点を2点ぐらい取って、プラスで終われればいいと思います。
FW青木孝史朗(スポ1=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
決めるところで決めきれなかったので、初めての公式戦だったのですが、ちょっと残念です。
――きょうは大学の公式戦デビューとなりましたが、緊張はありましたか
初めてだったので、結構緊張しました。
――高校と大学の違いは感じていますか
高校と比べてスピードもパワーも変わってきて、プレーする中で自分に与えられた時間が少ないなと感じています。
――チームの雰囲気には慣れましたか
少しは慣れたのですが、早くなじめるようにしたいです。
――兄である青木優之介選手(スポ4=埼玉栄)と同じチームですが、刺激を受けていますか
そうですね、兄ということはあまり意識していないんですけど、初めて一緒にプレーできるので、この一年はしっかり頑張っていきたいと思います。
――大学に入る際、お兄さんから言葉はかけられましたか
特になかったです(笑)。
――ご自身の強みだと考えていることはありますか
スピードと、身長を生かしたパワーを自分の中で得意としています。
――これからも試合は続きますが、今後に向けての意気込みをお願いします
これから決勝まで行って優勝できるように、1年生らしくて自分の持ち味のパワーやスピードを生かしてガツガツプレーしていきたいです。