前節、法大から劇的な勝利を収めた早大は連勝を目指し関東大学リーグ2戦目に挑んだ。対戦相手は昨シーズン大差で下した慶大であったが、第1ピリオド(P)は立ち上がりに2点を奪われる苦しい展開に。しかし、第2Pに入ると徐々にリズムをつかみ始め、FW田中創一郎(政経2=東京・早実)の先制弾を皮切りに得点を積み上げる。3-2とリードして迎えた第3Pではさらに4点を加え、攻守ともに慶大を圧倒。7-2で陸の王者を下し、覇者としてのプライドを守った。
開始早々、試合は動いた。5分、細かいパスでディフェンスを崩され先制を許すと、その1分後に再び失点。いきなり2点ものビハインドを負ってしまう。反撃に転じたい早大は、敵陣でプレーを展開し、次々にシュートを放つ。しかし、相手GKに阻まれなかなかネットを揺らすことができない。シュート数で慶大の4本を大きく上回る11本をマークしながら、相手のゴールを割ることができずに第1Pを終えた。
田中の1点から反撃が始まった
「足も動いているし、流れを作ることができれば大丈夫」(FW寺井敏博、国教3=米国・チョートローズマリーホール高)と逆転を信じ、迎えた第2P。第1P同様積極的な動き出しでゴールに迫っていく。そして32分。ゴール左前方でパスを受けた田中がスティックを振り抜き、待望の1点目を挙げた。これで勢いに乗った早大は、その後寺井とFW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が得点し、逆転に成功。続く第3Pでは、パワープレーの好機を生かしFW青木優之介(スポ3=埼玉栄)がゴールを決めた。さらにリードを広げると、その後も攻撃の手を緩めずに3点を追加。守っては、GK遠藤秀至(社3=東京・早実)を中心に集中した守備で慶大に付け入るスキを与えない。終わってみれば7-2と早大の圧勝であった。
この日2得点の寺井
続けざまに2点を奪われる苦しい立ち上がりとなったが、「内容こそ悪くなかった」(DF石川大貴主将、スポ4=埼玉栄)と選手たちは振り返る。苦境に立たされても、自分たちのプレーを信じ、貫き通したことがチームに勝利をもたらしたに違いない。また、反則を少なく抑えたことも勝因の一つだろう。次の相手は日体大。今年度まだ対戦したことのない大学だが、「油断せずにワセダらしいプレーで勝ちたい」(DF坂本之麿、社1=青森・八戸工大一)と気合は十分。次戦でも今回のような試合運びをすることができればおのずと結果はついてくるはずだ。
(記事 佐藤諒、写真 又坂美紀子)
関東大学リーグ戦 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 慶大 |
0(11) | 1st | 2(4) |
3(12) | 2nd | 0(4) |
7(15) | 3rd | 0(6) |
7(38) | 計 | 2(14) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
慶大 | 04:43 | 安藤直 | 金村 | - | - |
慶大 | 05:17 | 阪本 | 史 | 鈴木 | - |
早大 | 32:00 | 田中 | 高橋 | 新井 | - |
早大 | 33:59 | 寺井 | 青木 | 金子立 | - |
早大 | 39:08 | 金子立 | 青木 | 寺井 | - |
早大 | 40:39 | 石川 | - | - | PP |
早大 | 44:46 | 寺井 | 青木 | 金子立 | - |
早大 | 46:01 | 坂本之 | - | - | - |
早大 | 57:19 | 鈴木 | 瀬戸 | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 青木 | 金子立 | 寺井 | ハリデー | 石川 |
2 | 矢島 | 瀬戸 | 鈴木 | 新井 | 堰合 |
3 | 加賀美 | 坂本龍 | 田中 | 坂本之 | 清 |
4 | 金子聖 | 高橋 | 飛田 | 松本 | 斜森 | GK遠藤→中川 |
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コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――第1Pに先制されましたが
守りのギャップコントロールが少しできていなかったですね。ただ2点取られましたが、試合の入り方は前回と比べると悪くはなかったですね。足も動いていましたし。2点取られた部分だけが反省点です。
――早大側の反則が少なかったですが、その点はいかがですか
リーグ戦を通じて反則を少なくすることはチームとして共有していることですので、きょうの試合に関しては合格点でしたね。
――第2P以降は得点が量産されました
足を使って積極的にゴールに向かっていこうとは話していました。結果として第1Pでは点が入りませんでしたが、第2P以降もシュートを多くしていったことがああいった結果になりました。
DF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
立ち上がり、内容こそ悪くなかったのですが、得点できず要所で失点してしまいました。相手にチャンスを決められるっていうところで、あれ以上失点しないでしっかり踏ん張れたというのは大きくて、最終的に大差で勝つことが出来たのはよかったのではないかなという風に思います。
――反則の少なさは意識されていましたか
チームの目標として反則三つ以内ということで進めています。なので、仕方ないペナルティというのはあると思うんですけれども、不用意なペナルティはしっかり自分たちの足でカバーしたり、体を当たったところでペナルティをしないようにしてこうっていったところで一人ひとりそういったことをしっかり理解してそれがプレーに出ていると思います。
FW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)
――今回の試合を振り返っていかかでしたか
第1Pでは先制点と2点目を取られて終わってしまったのですが、第2P以降でチームもとても落ち着いて点数も返すことが出来ましたし、全体としてはよかったのかなと思います。
――今回の試合に向けて意識していたことはありますか
夏も戦って先制点を取られているので、きょうは先制点を取りに行こうということだったのですが、みんなあまり入りが良くなく、やはり先制点を取られてしまったので、そこが今後の課題だなと思いました。
――先制点を取られてからの逆転ということでしたが、焦りなどはありましたか
そこまで焦りはありませんでした。ベンチでもまだ時間はあるから、落ち着いてプレーしていこうとは声をかけていたので、それが第2P以降のプレーにつながって、点数が取れたなと感じます。
――今回の試合から見つかった課題や収穫はありましたか
まず、立ち上がりで失点してしまっているのでそこが一つ課題なのと、きょうはパワープレーが多かった中で、点をあまり取ることが出来なかったので、次の試合以降パワープレーでは確実に点を取るということを意識してプレーしていきたいです。
FW寺井敏博(国教3=米国・チョートローズマリーホール高)
――慶大戦にはどのような意気込みで臨みましたか
伝統の一戦ということもありますし、3連続試合がある中の2戦目として3試合目にいい流れを作れるような内容でいけたらいいなと思って臨みました。
――具体的な目標はありましたか
失点はできる限り2点以内に収め、パワープレーなどのチャンスがあるときに決めて、点差をどんどん広げるという目標はありました。
――この試合の全体的な印象は
内容的にスタートから悪くなかったのですが、最初から2失点してしまって、内容が悪くない中で点数が取れない第1Pになってしまいました。足も動いているし、流れを作ることができれば大丈夫とみんなで話し合ってその後逆転して。そのまま第2Pの流れで第3Pから得点を重ねることができたので、その流れを次の試合に継続していけたらなと思います。
――第1Pは苦しい試合展開となりました。第2Pに移るまでの間チームで話し合ったことはありますか
足は動いていたと思うので、もっと意味を持ったシュートを打つことを意識しようと話しました。あと、ゴールの枠内に入らなかったりとかリバウンドを決めきれていない場面が多かったのでそういったことも直していこうとしました。それで第2Pに3点入れられたので良かったと思います。
――パワープレーのチャンスを生かしきれていない印象でした
パワープレーは結構あった中で、最後のパスがつながらなかったりする場面が多かったので、細かいところも見直して次の試合に臨みたいと思います。
――今後につながる収穫は得られましたか
今回スタートで2失点して悪い流れで始まったので、第3Pみたいないい流れを最初から作っていきたいと思います。
――日体大戦の意気込みをお願いします
3連続の3試合目でみんな体が疲れていると思うのですが、きちんとケアしてパワープレーもちゃんと決めて、足を動かしてワセダのホッケーをやればいいと思うので、絶対に勝ちたいと思います。
GK遠藤秀至(社3=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
前回苫小牧で慶大と試合したときは、第1Pで先制されて悪い流れで始まったんで、きょうこそ第1Pからしっかりいきたかったんですけど、きょうも先に1点取られてしまって、悪い流れから始まってしまったので。そのあとはよかったんですけど、なかなか点も入らなかったので、スタートをもっとしっかりできればよかったなと思います。
――ゴールから見ていて、味方の好守はいかがでしたか
足が動いていて、パックも先にとれていたんですけど、どうしても最後のシュートの場面があんまりよくなくて、苦しまぎれで打ってしまったりとかあったので。もうちょっとしっかり、最後意味を持たせたシュートを打ってほしかったです。守りは、ディフェンスが結構滑りに意識がいっていたので、しっかり守りのほうも意識を置いてやってくれればよかったなと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
この連休三連戦で、3試合目なので。疲れが両チームとも残ってると思うんですけど、その中でもしっかり1Pから足を動かして。日体大戦は、第1Pしっかり失点をなくして、いい流れでそのまま、次の試合につながるような試合をしていきたいと思います。
DF坂本之麿(社1=青森・八戸工大一)
――きょうの慶大戦にはどのような意気込みで臨みましたか
慶大は決して弱くない相手なので、手加減せずにどんどん攻めの気持ちを持って臨みました。
――具体的な目標はありましたか
積極的にシュートを決めていくことは自分の中で決めていました。
――この試合を全体的に振り返ってみていかがですか
最初2失点して流れが悪くなったんですけど、内容としては悪くなかったし、みんな足が動いていたので逆転できると思ってやっていました。自分もチームに貢献できて良かったかなと思います。
――苦しい立ち上がりとなった第1Pを振り返っていかがですか
失点はしたのですが、内容も悪くなかったので焦らずにできたと思います。
――第1Pから第2Pに移る間、チーム内ではどういったことを話していましたか
足は動いていたので、このままの調子でいけば必ず逆転できるから1点1点ちゃんと集中して攻めていこうという話はしていました。
――第2P以降はワセダらしいプレーができているように見えました
夏の大会から、後半から追い上げる展開が多くて、それは夏のトレーニングだったり体力面でワセダらしいところを見せられているということではないかなと思います。
――ご自身のゴールシーンを振り返って
ラッキーな部分はあったのですが、狙ったところにゴールできたので良かったと思います。
――公式戦初ゴールの気持ちを教えてください
素直に嬉しいんですけど、これからも大事なところで決められるようになりたいです。
――今後につながる収穫は得られましたか
自分自身大きな自信になったと思うので、この先のリーグ戦でも貪欲にシュートを打ってチームに貢献できたらいいなと思います。
――今後もリーグ戦が続いていきますが、どのように戦っていきたいですか
1戦1戦勝つことを意識して、チームとしても個人としても勢いをつけて優勝を狙っていきたいです。
――次の日体大戦の意気込みをお願いします
まだことし対戦していない相手なので、油断せずにワセダらしいプレーで勝ちたいと思います。