準々決勝で惜しくも明大に敗れた早大。その結果を受け迎えた3位決定戦の相手は、強豪・東洋大である。ことしこそは3位に入賞したいところだが、東洋大の速いプレッシャーや強い当たりに対応できず、試合の主導権を終始握られ続ける。大量得点を許してしまい、きょねんと変わらぬ4位で関東大学選手権(選手権)の幕を閉じた。
試合開始早々、早大は数的不利なキルプレー(KP)の状況で先制点を決められてしまう。しかし開始8分、パワープレー(PP)のチャンスでFW青木優之介(スポ3=埼玉栄)が果敢にシュートを打ち込む。ここは惜しくも相手GKに阻まれるが、ゴール前にこぼれたパックをFW鈴木ロイ(教1=北海道・苫小牧東)が逃さず、スティックを一閃。強烈なシュートでネットを揺らし、貴重な1点を手にした。その後は両校とも譲らぬ展開となるが、素早いチェックで隙のない攻撃を仕掛けてくる東洋大相手に、徐々に失点を重ねていく。続く第2Pでも試合の流れをつかむことができず、防戦を強いられる。37分34秒には相手GKの動きをしっかり見極めた金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)がゴールを決めたが、2-5と点差は3点にまで広がっていた。
果敢に攻めるFW金子立副将
ここで立て直さなければ後がない早大。しかしながら、波に乗る相手の猛攻をしのぎきることができない。52分28秒には金子立副将が意地の一振りで3点目を奪取したものの、時既に遅し。態勢を立て直すことができない早大は東洋大FW陣に容赦なくゴールを襲われた。その後も一矢報いることなく、無情にも試合終了を告げるブザーが会場に鳴り響く。3-9。完敗だった。
チームをまとめるDF石川主将
得点、シュート数ともに圧倒的な差を見せつけられ、悔しい幕切れとなった今大会。「9失点しているようではどんな試合でも、どんなチームでもほぼ勝てない」(DF石川貴大主将、スポ4=埼玉栄)。早大のホッケースタイルを取り戻すためにこれから何すべきか――。秋こそ悲願のタイトルをつかむために、早大は再び歩み始める。
(記事 中村ちひろ、写真 角田望、後藤あやめ)
関東大学選手権(3位決定戦) | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 東洋大 |
1(10) | 1st | 2(14) |
1(5) | 2nd | 3(15) |
1(13) | 3rd | 4(20) |
3(28) | 計 | 9(49) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
東洋大 | 02:24 | 今村 | 今野 | 田中 | KP |
早大 | 08:43 | 鈴木 | 青木 | ハリデー | PP |
東洋大 | 19:08 | 今野 | 武尾 | 飯島 | - |
東洋大 | 22:13 | 今野 | 田中 | - | PK |
東洋大 | 27:06 | 今村 | - | - | - |
東洋大 | 33:05 | 武尾 | 柴田 | 今野 | PK |
早大 | 37:34 | 金子立 | ハリデー | - | - |
東洋大 | 48:02 | 山田 | 中澤 | 柴田 | - |
早大 | 52:28 | 金子立 | 石川 | - | - |
東洋大 | 52:48 | 人里 | 出口 | 古川誠 | - |
東洋大 | 55:21 | 今村 | 長原 | 武尾 | - |
東洋大 | 56:30 | 笹川 | 阿部 | 田中 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 瀬戸 | 寺井 | 鈴木 | 石川 | 新井 |
2 | 青木 | 金子立 | 加賀美 | 堰合 | ハリデー |
3 | 田中 | 坂本龍 | 矢島 | 清 | 松本 |
4 | 金子聖 | 野村 | 飛田 | 斜森 | 坂本之 | GK中川(60分) |
関連記事
宿敵相手に無念の敗戦、決勝進出ならず(4/27)/関東大学選手権
接戦を制し白星勝ち取る(4/21)/関東大学選手権
大差で快勝、好スタートを切る(4/13)/関東大学選手権
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――きょうの試合を振り返って
完敗ですね。終始受け身で、東洋大にやりたいホッケーをやらせてしまいました。
――きょうはGKの変更などもありましたが
中川は4年生で経験豊富なので、彼に託した部分はありました。
――1年生に関してはいかがですか
まだ入りたてで体力も無いですし、大学のホッケーも初めてなので、その点も考慮するとよく頑張っていると思います。
――秋に向け、どのように考えておられますか
4位という結果に終わりましたし、まだまだ上位校とは力の差があることが分かりましたので、これからチーム全体として運動量を増やし、早大のホッケースタイルを作っていきたいと思います。
DF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返って
9失点しているようではどんな試合でも、どんなチームでもほぼ勝てないと思うので。その大量失点というのがきょうの負けの要因と言う訳ではないですけど、それに尽きると思っています。
――東洋大の印象は
きょねんもおととしも自分がプレーしていて思うのは、速いプレッシャーからのカウンターであったり、そこからの速い展開であったりを得意としていて、またフィジカルの部分、しっかり体を寄せたり当たってきたりというところからチャンスをつくってくるチームだと思っていて、そこにうまく引っかかってしまったりする選手もいたので、そういうところから自分たちのテンポをつくれなかったのかなと思います。
――9失点の要因は
速いプレッシャーの中でのターンオーバーであったり、グレーゾーンでのミスがあって、相手にチャンスを与えてしまったのではないかと思っています。
――ご自身のプレーに関してはいかがでしたか
ペナルティーもしてしまいましたし、最後失点にも絡んでいますし、自分が退氷中に失点しているので…。自分の中で失点をしないということを目標にしている中でそれが今大会ではほとんどできていないので、もう一度自分の中で何かを変えなくてはいけないのかなと感じています。
――4位という結果については
きょねんもこの大会で確か東洋に負けて4位だったのですが、こんな試合をしているようでは4位にしかなれないのかなと思っています。ですので、チームの中で一人一人が何かを変えて、夏、秋につなげていかないといけないと思っています。
――秋へ向けレベルアップしたい部分は
まずは1対1のときのパックに寄った瞬間のフィジカル、あとはスコアリングチャンスをしっかり決めること、失点をしないという3つです。失点をしないというためにはいろんな要因があると思うのですが、結果的に失点をしないという風にしていかないといけないと思うので、特にフィジカルという部分ではレベルアップしないといけないと思います。
FW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)
――点差が開いたまま試合が終了となってしまいましたが、きょうの試合を振り返っていかがでしたか
1Pから相手に押されていて、そこから2P、3Pとずるずるきてしまい、きちんと切り替えられなかったというのが敗因の一つだと思います。3Pでは大量失点になってしまい、ワセダのプライドをもうちょっとしっかり持たなきゃいけないなと感じました。
――ご自身は2得点されましたが、いかがでしたか
。きょうは2得点できましたけど、結果的に9対3と負けてしまったし、チームが苦しい状況の時に点数を取って流れをワセダに持ってくるような得点をするようなことをもう少しできるようになりたいです。
――東洋大のプレーに対してどう思われましたか
1Pから東洋大の速いプレッシャーだったり、強い当たりだったりというに少し引いてしまって、攻め込まれたのでそれがグルグルと続いて2P、3Pの失点につながってしまったので、そこの部分はやはり自分たちの対応の甘さが出てしまったのだと思います。
――きょうはシュート数が少なかったように見受けられました
攻め込めなかったというのがシュート数の少なかった原因だと思います。その原因としては、攻めれないというか、相手のプレッシャーが速い中でそれに対応できなかったことにあると思います。
――ワセダらしいプレーができなかった原因は何だとお考えますか
自分たちが東洋大は速いプレッシャーや強い当たりというプレーをわかっていた中で、やっぱり対応しきれなかったのがワセダのプレーを出せなかった一つの要因だと思います。
――今大会を振り返っていかがでしたか
法大戦以降は大量失点となる試合になってしまいました。ワセダはやっぱりロースコアで勝つチームですから、点の取り合いになっては厳しい状況になるとみんなが把握している中で失点が多かったので。こういう所は秋に向けて改善していかなきゃいけないなと思います。
――今大会を踏まえて、秋への抱負をお願いします
春は優勝という目標を掲げた中で、4位というのは自分たちの実力のなさもあります。秋まで時間があると言っても、夏の試合もありますしあっという間だと思うので、この結果を個人個人がしっかりと受け止めて秋までに今後どういう風にやっていくのか考えていかないと、秋は長丁場になりますし勝てないと思うので、しっかりとやっていきたいと思います。
GK中川悠輔(教4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
明大戦がロースコアだったので、きょうもその勢いに乗りたいと思っていました。きょうは勝つことが目標だったので、大量失点で負けてしまったのは反省しなければなりません。
――大量失点を許してしまった要因は
試合の入りが良くなかったと思います。第3Pが一番点を取られたと思いますが、そこは点を取りに行きました。GKのコーチからもキーパーの責任だと言われましたが、そこそこ自分がペナルティを出してしまったのが反省です。
――最初に相手にペースを譲ってしまったのが大きかったのでしょうか
そうですね。先制点を取られてしまうと相手のペースになってしまうので、今後はやはり先制点を取られないようにしたいです。
――東洋大の印象は
プレッシャーが速く、体が強いです。そこはワセダには無いところなので、強化していかないといけないなと思います。
――今大会を振り返っていかがですか
やれる自信はありましたが、法大戦やきょうのような大量失点をしていては今後が見えてこないと思います。そこを改善していかないといけないということが明確にわかりました。
――今後に向けて一言お願いします
今回の大会は優勝できませんでしたが、秋は確実にタイトルを取れるように、皆で一つになって負けられないなと思っています。