最終回はキャプテンとしてチームを引っ張るFW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)と、成長著しいFW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)。第1セットでプレーし、チームの中心を担うFWコンビに、来る日本学生氷上競技選手権(インカレ)に向け、胸の内を語っていただいた。
※この取材は12月8日に行われたものです。
「得点に対してもっと意識を強く持って行かないと」(金子立)
活発な印象の金子立
――関東大学リーグ戦(リーグ戦)4位という結果についてはどのように受け止めていらっしゃいますか
金子立 1次リーグを首位で折り返して、そこから勝てる試合などを自分たちのミスから落としてしまい、優勝できる可能性もあった中で最終的な順位が4位になってしまったので悔しいです。
池田 1次リーグは上位のチームにも勝っていたのですが、勝てた試合の中でも内容的には自分たちの方が圧倒的に攻められていた時間が多かったですし、シュート数だったり自陣でのプレーが多かったりすごくやられているという印象が残っています。やっぱりあの時点では他のチームとのチーム力の差が出ていて、4位というのは、一つでも上に行きたかったですけど、妥当だったのかなと思います。インカレも厳しい戦いが続くので、もっと個人個人がスキルアップをしていかないといけないと思います。秋の順位をそれぞれが受け止めて、何が足りなかったのかということだったり、悔しさだったりを感じて、インカレでは絶対に負けないという気持ちを持ってほしいです。チーム一丸となってやらなければいけないと感じるような敗戦が続いたことは、逆にインカレに向けては良い材料だったのかなと思います。
――対戦して特に印象的だったチームはありますか
金子立 リーグ戦で2試合ある中で中大には2試合とも大敗だったので、勝てなかったという部分で中大は印象に残っています。2試合目は完封だったので、守りがすごいのかなと思います。
池田 東洋大が昨年とは全く違うチームなっていました。スタッフも変わって変化があったというのはあると思うのですが、本当に勝ちに貪欲で、4年生が泥くさいプレーをしたり、1年生が得点を取るために先輩にもしっかり色んなことを要求したりという部分では、本当に脅威になったチームです。いままで早大は東洋大に対しては相性が良いというイメージがあったと思うのですが、今季からは本当に手ごわい存在になっていると思います。
――リーグ戦では第1セットでプレーしていらっしゃいましたが、セットの雰囲気は
金子立 リーグ戦を通して自分と一騎さんはずっと変わらなかったのですが、もう一人のFWは変わったりしていたので、変わるたびにしっかりセットの中でコミュニケーションを取ろうということを意識していました。
池田 全員が早大の看板セットであるという自覚を持っていたと思います。ですが、あまりにもひどい試合というのがリーグ戦でも何回かあって、チーム全体を鼓舞するためにげきを飛ばしたりすると、結構立樹とか1年生のDFの新井(遥平、スポ1=北海道・駒大苫小牧)は自分の目を見て萎縮するので(笑)。そういう部分にも気を遣いながらやっていました。コミュニケーションは多く取っていたと思います。
――リーグ戦では1、2年生の活躍が多くありましたが、その点についてはいかがですか
池田 4年生が4人しかいなくて、3年生でも坂本(龍平、スポ3=青森・八戸商)がケガをしていましたし出ている選手というのは数人しかいなくて、チームの半分以上が1、2年生の選手でやっていたので、やっぱりそこに頼らざるを得ないチームだったのですが、大学ホッケーの経験が1年生にはないですし、2年生はうまい選手は何人もいますけど、自分がチームを引っ張るという意識の選手はまだそう多くないと思います。でもらいねんから3年生になりますし、チームの中心となる選手も多いので、自分が引っ張るという意識を一人一人に持ってもらいたいなというのは正直なところです。3、4年生はそこに頼りすぎずに相乗効果を生んでいければもっと良いチームになれるかなと思います。
――特に今後期待する選手は
金子立 自分が言える立場ではないのですが、やっぱり一騎さんはキャプテンで一番ポイントも多いですし、一騎さんに頼るとかそういうのではないのですが、一騎さんですね(笑)。
池田 お返しに立樹って言いたいですが(笑)、チームの課題と言うのは守りの部分にあるのかなと思うので、やっぱり石川(貴大副将、スポ3=埼玉栄)ですね。3年生でA(アシスタントキャプテン)マークというプレッシャーもある中で、試合でも自分が折れたらチームのディフェンスが崩れてしまうという意識を持ってやってくれていると思います。酷ですけど1試合通してノーミスでやってもらって、それが他のDFにとっても刺激になっていってほしいです。FWは自分がいろいろできるのですが、DFに関しては技術的な部分はよく分からないですし、そういう部分では石川に大きく期待しています。
――金子選手はことし2年生になりましたが、1年生の頃と意識など変わった部分はありますか
金子 きょねんまではウイングとして使われていてことしからセンターになったのですが、正直自分がセンターをやるということは全く考えていなかったので、春は対応が全然できなくて、そこから夏の合宿や秋リーグを通してちょっとはセンターらしくなったかなというのはあります。あとはきょねんはFWとして全然点数が取れなくて個人的には物足りなかったので、ことしは点数に絡むプレーや直接点数を取るというのを意識してやっていて、秋のリーグ戦でポイントできたというのは良かったです。
今季は多くの得点に絡んでいる金子立
――センターとウイングの一番の差はどこですか
池田 センターは守って攻めてのどちらもやるという感じですね。
金子立 ウイングをやっているときよりは、ディフェンディングゾーンでコーナーまでいって、コンタクトプレーを取ったりっていうのが多くなるので、守りの意識はより強いです。ホッケーを始めてからいままでほとんどセンターはやったことがなかったので、ことしが初めてくらいの感じでした。
――センターをやる上で特に苦労した部分は
金子立 最初はやっぱり守りの部分で、どうやって守ったら良いのかだとか、ポジショニングだったりDFとのコミュニケーションだったりがうまくいかなくて、攻め込まれたり自分がウイングにつなげないことなどがありました。
――池田選手は主将としてここまでチームをまとめてきたと思いますが、振り返ってみていかがですか
池田 早大は学生中心でチームをつくっていくという部分が強くて、そういう経験がいままであまりなかったのですごく楽しみにしていたのですが、やっていく上でいろいろな問題が上がってきて。なかなか結果も内容も良くないということが続いていましたが、秋になって1次リーグで首位に立ったということは、4年生を中心に地道にやってきたことが少しずつ実ってきているのかなと思います。でもまだ完璧なチームにはなっていなくて、個人個人の意識をチームの目標と同じにして勝つことだけを考えさせるということがまだできていないと自分の中では思っているので、選手みんなをその方向に向けていけるように、インカレまでやっていければと思います。
インカレでは池田を中心にチーム一丸となることが重要だ
――ここまでで特に苦労した部分は
池田 下級生中心のチームであることは間違いないのですが、そういう部分で経験の浅さや若さというのが出て、チームにすごく波があったと思います。そういう波をいかに小さくしていくかということですごく苦労しています。
――金子選手から見て、池田選手はどんなキャプテンですか
金子立 試合中とかにチームに対してげきを飛ばすときは目が怖いです(笑)。でもチームが全然駄目なときはどこが悪いのか具体的に言ってくれるので、みんなもここをこうしようというのが意識しやすいです。メリハリがあって、キャプテンでもふざける場面では盛り上がりますし、しっかりやるところは一番に切り替えて他の人がやっていなかったら言ってくれるので、すごいなと思います。
――ことしは監督が代わりましたが、環境面の変化についてはいかがですか
池田 キャプテンをやる年にいろいろな変化がありましたが、監督が代わったことはその中でもすごく大きいことでした。キャプテンとして監督と話す機会が多いのですが、本当にチームのことを考えてくれていて、いろいろな手配なども選手が気にならないように早い段階で処理してくれるので、キャプテンとしてはやりやすい環境にしてくれているなと感じています。他のもう2人のスタッフに対しても同じことを感じていますし、自分たち4年生の意見も尊重して考えを取り入れてくれたりするので、スタッフの大切さを感じています。
――インカレに向けて特に修正したい部分は
池田 4年生を中心にリーグ戦を振り返って感じたのが(他校との)シュート数の差で、相手が50本に対して自分たちが20本とかでした。相手にとってはシュートを打たれるというだけですごく嫌だと思うのですが、そういうプレーができていなかったですし、その原因として自分たちが攻められ続けていたということがあります。まずは自分たちのゾーンに簡単に入られないように一人一人がハードワークをして相手の体に当たってという基本的なところからもう一度始めて、相手のゾーンの奥でやれるようにしていければいいかなと思います。
金子立 秋のリーグ戦中もずっと、スマートなプレーをみんな意識している部分があって、泥くさくゴールに向かって行ってリバウンドで決めるというような得点が少なかったと思います。どんなかたちであれ1点は1点ですし、インカレはトーナメントで勝たないと終わりなので、得点に対してもっと意識を強く持って行かないと駄目かなと思っています。
「ホッケーから離れることでホッケーに対して熱を持ってほしい」(池田)
池田(左)と金子は共にアイスホッケーの強豪・駒大苫小牧高出身
――お二人は同じ駒大苫小牧高出身ですが、高校時代はどういった関係性だったのですか
池田 僕が3年生のときの1年生だったので、そういうのもあってすごくかわいがっていたつもりです。でもあまり響いてなかったみたいですね(笑)。
金子立 自分が高校に入学したときのキャプテンで、やっぱり高校時代は上下関係も厳しかったので、高校時代はそんなに多く喋っていたわけではないです。それで大学入学したら寮の同じ部屋だったので、どうしようって(笑)。最初の何カ月間かは部屋で二人でいるとき委縮してしまって…。
池田 ここ(寮)の部屋は2段ベッドみたいな感じになっていて自分が下で立樹が上だったんですけど、自分はすごく怖いのが苦手なのですが、上から携帯で怖い動画を見せてきたりとか、自分が寝ている間に女の人の怖い叫び声を耳元で聞かせてきたりして、全然舐めてましたよ(笑)。
――大学に入ってお互いの印象は変わりましたか
金子立 変わりましたね。まるっきり変わりました。
池田 自分はそんなに変わっていないですが、やっぱり高校の後輩っていうだけでかわいがる理由になりますね。新井君は自分のことを不良だと思っていたみたいなので、立樹も同じようなことを思っていたのかもしれないですね(笑)。
金子立 不良とは思っていなかったです。ただ怖いのかなっていう印象がちょっと(笑)。でもすぐに払しょくされました。
――リーグ戦が終わった後はオフの期間だったと伺いました
池田 そうですね。一回ホッケーから離れることでホッケーに対して熱を持ってくれるといいという意味を込めての長いオフだったので、自分の時間ができて良かったと思っている選手が多いのかなと思います。
――オフ中に何か特別なことはしましたか
池田 アジアリーグを見に新横浜まで行きました。全然大学リーグとスピードが違うので、それをまず自分が見て感じて他の選手にも伝えようということを目的として行ってみました。
金子立 自分も一緒にアジアリーグを見に行きました。あとシーズン中はあまりだらけた生活はできないので、(オフの)最初の方は昼過ぎに起きて一歩も寮を出ないみたいな(笑)。ひたすら部屋でテレビ見てっていう廃人生活をしていましたね。
――アジアリーグを見て受けた刺激などはありましたか
金子立 早大出身のOBがたくさん出ていて、特に昨年卒業した山田(虎太朗、平26社卒=現王子イーグルス)選手だったり羽刕(銘、平26スポ卒=現日本製紙クレインズ)選手だったりが活躍していてすごいなと思いました。観客とかも全然違いますし、自分もこういうところでプレーしてみたいなと思いました。
――何かマイブームはありますか
池田 携帯ゲームですかね。いま違う部屋ですけど、立樹と二人でゲームをすることが多いです。
金子立 対戦ゲームなので自分対一騎さんみたいな感じで、大体自分が勝ってます(笑)。あとは寮に代々先輩が置いていった漫画があるので、一騎さんに気持ち悪いと言われながらも読んでます。
池田 読むのは良いんですけど、読み出したのが2カ月くらい前なのにまだ読んでるんですよ。1回全部読んでそれから4周くらいしてるんですよ(笑)。
「早大のこれからにつながるようにしたい」(池田)
最後のインカレに向け意気込みを語る池田
――ことしのインカレは北海道・釧路での開催ですが、何か北海道あるあるなどはありますか
池田 ガラナを飲むとかですかね。キリンガラナとかカツゲンとか北海道にしかない飲み物を、夏に苫小牧で試合があるときはみんな買いに行ってます。
金子立 セイコーマートっていうめちゃくちゃ安いコンビニがあって大体そこに行くっていう。値段が安いのと、いろいろとコンビニ内でつくっているカツ丼とかがあるので、遠征先では大体セイコマですね(笑)。
――東京に出てからも思わず出てしまう方言などはありますか
金子立 「なまら」と「わや」は普通に使いますね。
池田 「わや」は北海道出身じゃない人たちも勝手に使っています。
金子立 便利な言葉なので。どんな意味にでもなります(笑)。
池田 「すごい」とか「それはひどい」とかの意味で使います。とりあえず「わや」って言っておけばコミュニケーションが取れます(笑)。
――釧路の印象は
池田 寿司がうまいってことですかね。海鮮系がおいしいです。
金子立 あと東京に来て思ったのが、リンクの質が北海道の方が良いです。
池田 (東京は)暖かいのでリンク自体がやわらかいんですよね。なのでスケートの刃で蹴っていくときに前に進まなくて足が重く感じるんです。苫小牧とか北海道はすごくリンクを固くしているので速く感じるし疲れにくいです。
――インカレのポイントやキーマンは
池田 やっぱりGKですかね。昨年インカレ優勝したのも、GKの調子が良かったというのは大きかったと思います。
金子立 秋リーグと違って負けたらそこで終わりなので、得点するというのがポイントだと思います。守りも大事ですが、ダブルヘッダーもあって日程がハードなので、次の試合に疲れを残さないように、点数を取ってなるべく早く試合を決めるということが大切だと思います。
――インカレで見てほしいプレーは
金子立 アシストなどポイントに絡むプレーを見てほしいです。
池田 自分は得点をすることがセールスポイントだと思うので得点をするプレーと、自分にマークが集まったときに周りの二人を生かしてあげられるようなパスを出す判断の部分を、目を凝らして見てほしいかなと思います。
――春からこれまでで自分が成長した部分はどこですか
池田 不機嫌にならなくなったということですね。自分が言いすぎると委縮する選手が多いですし、本当に駄目なときは言いますけど、そういうとき以外はあんまりネガティブなことは言わないようにしているつもりです。
金子立 1年生のころからすぐふて腐れると周りの人から言われていて、一回そういう印象が付いちゃうと自分が怒っていなくても周りから言われてしまったりするので、もっと笑顔でいるというか、悟らせないというか、態度には出さないようになったっていうのは自分の中では成長しているかなと思っています。
――では、これから成長したい部分は
金子立 ガツンと言われても委縮しないようになりたいです。委縮しちゃうとプレーにも出てしまうので、言われてもしっかり聞いてポジティブに受け止められるようにいっていかないと。今後上級生から厳しく言われることもあると思うのですが、しっかりやっていけるようにしたいです。
池田 自分はもっともっとストイックにやっていきたいです。自分の中ではやれることはやっているつもりですが、周りと比べて本当にそれが最大限の努力なのかと。これから卒論が終わればホッケーに打ち込む時間しかなくなるので、最後のインカレに向けて、チームもそうですが自分自身がもっと成長していけるように、ストイックさを増していきたいなと思います。
――インカレに向けての意気込みは
金子立 昨年優勝して連覇が懸っている年でもありますし、優勝するという一つの目標に向かって全員でやっていけるように、チームの中心選手であるという自覚を持ってしっかり準備したいと思います。
池田 学生スポーツとしてやるホッケーは早慶戦を残して最後になります。後輩たちにタイトルを残してあげたいので、4年生としてもキャプテンとしても、言動もそうですが背中で見せていければと思います。後輩たちは学生ホッケーがまだ続くので、早大のこれからにつながるようにしたいです。また学生としてこれまですねをかじってばっかりだったので、優勝して親に恩返しをしたいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 辻玲乃)
池田選手がとても生き生きとしていました(笑)
◆池田一騎(いけだ・いっき)※写真左
1992年(平4)10月27日生まれ。身長178センチ、体重70キロ。北海道・駒大苫小牧高出身。スポーツ科学部4年。写真を撮る際、金子立選手を相手にプロレスの技を披露してくださった池田選手。普段から二人でさまざまな技を試しているそうです。とっても仲良しな二人の息の合ったプレーにインカレでも注目です!
◆金子立樹(かねこ・りき)※写真右
1995年(平7)3月2日生まれ。168センチ、70キロ。北海道・駒大苫小牧高出身。スポーツ科学部2年。自身の短所を「すぐにふてくされる」と語っていた金子立選手ですが、取材中は素敵な笑顔が印象的でした。プレー中もとびきりのスマイルをたくさん見せてほしいですね!