先週の明大戦で敗北し、関東大学リーグ戦(リーグ戦)の自力優勝が消滅した早大。残された逆転優勝の可能性に向けて不退転の覚悟で臨むチームの前に、難敵・東洋大が立ちはだかる。試合は先制こそ相手に許すが、少ないチャンスを確実に物にしていき、第2ピリオド(P)終了時で3-2とリード。しかしながら、守備の甘さから第3Pに痛恨の2失点を喫してしまう。その後は反撃へと転じるも、3-4のままスコアは動かず。無念のタイムアップを迎え、早大のリーグ戦優勝の希望は打ち砕かれた。
早大にとって絶対に落とせないこのゲーム。しかし、なかなか自分たちのペースに持ち込めず、第1Pは終始攻め込まれる。GK遠藤秀至(社2=東京・早実)の好セーブも多く見られたが、終了間際の19分24秒、ついに先取点を奪われてしまう。第2Pに入るとようやく自分たちの攻撃のかたちを取り戻すが、ペナルティーが重なり流れをつかめない。しかし29分17秒、FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が敵陣でのインターセプトからゴール前まで詰め寄り、パックをFW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)へ。その金子立が左サイドからスティックを一閃(いっせん)し、貴重な1点目を生み出した。その後は相手に追加点を許すも、キルプレーのさなか池田の中央からの速攻によりゴールネットを揺らし、すぐに同点とする。パワープレー中の39分59秒には、丁寧なパス回しを展開し、FW青木優之介(スポ2=埼玉栄)の痛烈なシュートでフィニッシュ。3-2とリードした状態で第2Pを終える。
3得点全てに絡み、主将としての意地を見せた池田
勝負の第3P。このまま勢いに乗り相手を押し切りたいところだったが、「慢心があった」と池田が言うように、気の緩みから攻撃面で精彩を欠き、なかなか点に結びつかない。それどころか、守りが手薄な場面でのミスから攻め込まれ、失点してしまう。これで流れは東洋大に。3失点目からわずか1分後の51分3秒、守備の乱れからフリーになった相手選手にゴール正面よりシュートを打たれ、とうとう逆転を許してしまった。早いうちに追い付きたい早大だが、東洋大DF陣の激しいプレッシャーに阻まれ、決定的なチャンスを見いだせない。残り時間が1分を切ってからはGKをベンチに下げ、6人攻撃によりゴールを狙うが、最後まで相手の固い守りを崩すことはできず。3-4のままタイムアップとなった。
優勝の可能性が消滅し、肩を落とす選手たち
この敗戦により、リーグ戦の優勝を逃した早大。DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)が「モチベーションはすごく高かったのですが、悔いの残る試合になってしまった」と語った通り、試合後の選手たちの表情は暗く、悔しさがにじみ出ていた。だが、これでリーグ戦が終わったわけではない。最終戦で対峙(たいじ)するのは、リーグ戦前半戦で苦杯をなめさせられた中大だ。1月に控える日本学生氷上競技選手権(インカレ)に向け、ワセダらしいホッケーを貫き、チーム一丸となり強敵との一戦に臨む。
(記事 落合修平、写真 角田望)
関東大学リーグ戦 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 東洋大 |
0(9) | 1st | 1(20) |
3(12) | 2nd | 1(18) |
0(14) | 3rd | 2(14) |
3(30) | 計 | 4(52) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
東洋大 | 19:24 | 田中健 | 武尾 | 今野 | - |
早大 | 29:17 | 金子立 | 池田 | - | - |
東洋大 | 30:57 | 武尾 | 山田 | 堀内 | PK |
早大 | 34:10 | 池田 | 金子立 | - | PK |
早大 | 39:59 | 青木 | 池田 | - | PP |
東洋大 | 50:05 | 山田 | 人里 | 岩野 | - |
東洋大 | 51:03 | 堀内 | 今野 | 武尾 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 池田 | 金子立 | 青木 | 石川 | 新井 |
2 | 寺井 | 三浦 | 森田 | 堰合 | 清 |
3 | 加賀美 | 横町 | 佐藤 | 松本 | 斜森 |
4 | 坂本 | 野村 | 瀬戸 | 村上 | 志村 | GK遠藤 |
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月19日現在) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | |||
1 | 明大 | 31 | 13 | 10 | 1 | 2 | |||
2 | 中大 | 29 | 13 | 9 | 2 | 2 | |||
3 | 東洋大 | 28 | 13 | 9 | 1 | 3 | |||
4 | 早大 | 26 | 13 | 8 | 2 | 3 | |||
5 | 法大 | 19 | 13 | 6 | 1 | 6 | |||
6 | 慶大 | 10 | 13 | 3 | 1 | 9 | |||
7 | 日体大 | 5 | 13 | 1 | 2 | 10 | |||
8 | 日大 | 3 | 13 | 1 | 0 | 12 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合を終えて率直な感想をお願いします
勝って勝ち点3を取って優勝争いに加わりたかったのですが、残念です。
――敗因はどこにあると思いますか
第1ピリオド(P)は悪かったですが第2Pで逆転して、第3Pはその勢いで最後まで足を動かしていこうという話をしたのですが、勝ち切れなかったのは力不足だと思います。
――試合前はどのようなことを話されましたか
東洋大は当たりが速いので、それに負けないように一つ一つのプレーの判断を早くしてやっていこうと言いました。
――第3Pは少し勝ちが見えてしまったようにも思えました
少し気の緩みがあったというか。第2P終了ギリギリで逆転して良い流れで第3Pに入っていけたのですが、それで少し安心した面もあって、それで一つ一つのプレーがおろそかになったかなと思います。
――2次リーグでは守備面でやや苦労しているように思いますが、なかなか修正は難しいですか
そうですね。選手は一生懸命やっていると思いますが、一つ一つのプレーで少し軽いプレーがあったり、パスが弱かったり、体でしっかり当たれなかったりというような基本的なところがうまくできていなくて、そういったほころびが出てしまったと思います。
――次戦に向けて
今回は非常に悔しい結果でしたが、まだあと1試合ありますし、インカレ(日本学生氷上競技選手権)という最終目標があるのでそこにつなげられるようにチームを立て直していきたいと思います。
FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を振り返って
試合終わって第2Pが始まる前までは勝っていて、いままでのデータ上自分たちは第3Pでは一回も負けていないということだったのですが、そういうのもあってか慢心があって、最後の2失点があったのかなと思います。
――これまで立ち上がりが課題ということでしたが、きょうはいかがでしたか
第1Pはいままでに比べると悪くはなかったと思います。第3Pが良くなかったです。
――一番の敗因は
第3Pの気の緩みです。
――試合全体を評価していかがですか
終始相手のペースでやられていて、PP(パワープレー)のチャンスがあまりなかったので、自分たちの強みも出せずに終わってしまったのかなという感じです。
――試合後のミーティングではどんなことを話されましたか
優勝はなくなったので、最後中大に良い試合をして、インカレにつなげることだけを考えようと。チームの弱点を克服していかないとインカレみたいな短期決戦は勝てないと思うので、しっかり前を向いてやっていこうという話をしました。
――リーグ戦後半戦に入ってから厳しい戦いが続いていますが、どんな部分で苦戦しているのでしょうか
相手に対策されて、その通りに自分たちがやられたという感じの試合が多かったです。要所で気持ちが負けていることもあって、そういうところを本当に直していかないと勝てないので、それが原因だと思います。
――池田選手はきょう3得点全てに絡みました。ご自身のプレーについていかがでしたか
自分があと1ポイントでも取れていれば全日本選手権(全日本)に出場する可能性があったので、そういうあと一歩が足りないのかなと。あとはもっともっと自分にパックを集めて相手のゾーンの近くでプレーして、チームの流れをつくるようにしていかなきゃいけないなというのを感じています。
――次の中大戦に向けて
走って当たって、頭を使いながらプレーを選択して、それがゴールにつながる最善の決断になるように、試合をしっかり意識した練習をしていきたいです。中大戦では、インカレにつながるようにワセダらしいホッケーを貫いてやっていきたいと思います。
DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)
――東洋大戦への意気込みは
前の試合の結果で、勝てば最終戦まで優勝、全日本出場があるという状況で、モチベーションはすごく高かったのですが、第3Pに再逆転されてしまって、悔いの残る試合になってしまったので残念です。
――どのようなゲームプランを考えていましたか
自分たちの弱さは第1Pということで、そこをまず克服しようとしました。第1Pを克服した上で、逆に第3Pはスタッフが出してくれたいままでの試合のデータ上では強みになっているので、逃げ切って勝とうというゲームプランだったのですが…。最後の最後で自分たちの強みが過信になってしまったのかは分からないのですけど、そういった状況を生み出してしまって、再逆転されて負けてしまったということは自分たちの弱さなのかなと。心の隙があったのかなと思います。
――第1Pについてはいかがでしたか
第1Pは正直そこまで悪くない内容だったと思うのですが、決して良くもない、ただ過ぎてしまったというような内容でした。東洋大がガンガン来るプレーをしてきた中で自分たちもガンガンプレッシャーを与えて、自分たちで勢いをキープできれば良かったのですが、それもできずに終わってしまって。結果からしても、残念なかたちになってしまいました。
――第2Pで逆転しましたが、良かった点は
スコアリングチャンスでスコアをしたところです。チャンスをしっかり物にできたということで逆転につながって勢いも付いたと思うのですが、それを第3Pでキープできなかったのはもったいないところで、第2Pは勢いがあって得点もついてきてくれたという点が良かったと思います。
――第3P、連続失点の場面についてですが要因は
まず相手のDFがジャンプアップしてきたところに守りがついてこれなかったという点と、DFがギャンブルプレーをして前に詰めて数的不利をつくってしまったという点に尽きるのですが、DFがギャンブルプレーをして守りをおろそかにしてしまった時に、周りの選手がバックアップできないことが続くと失点してしまうと思うので、ミスした後のプレーや周りのサポートが今後大事になるので、そこを意識付けしてやっていきたいと思います。
――振り返ってどの点が試合のポイントになったと思いますか
やはり逆転した後に自分たちの勢いをキープして第3Pもホッケーできれば良かったのですが、それができなかったということが負けに直接的につながったと思います。僕も含めきょうはペナルティーが多くて、勢いをキープするのがすごく難しい試合だったのかなと思います。
――ご自身の動きについて
ディフェンスリーダーとして、自分がペナルティーを犯してしまうというのはどんな状況であれやってはいけないプレーだと思うので、まずペナルティーをしてしまったことを反省するということと、一つめの自分と遥平(DF新井遥平、スポ1=北海道・駒大苫小牧)が3失点もしてしまっているので…。それが情けないというか、悔いの残る試合になりました。
――リーグ戦最終戦、どのように戦いたいですか
チームとしてモチベーションをつくるのが難しいと思うのですが、一人一人が最後の試合で成長できるように、それがインカレにつながるようにしたいです。前向きに何が自分にできるのか、何を伸ばしていきたいのかを理解して、次の一戦を無駄にしないで、何かを得られるようにプレーしたいと思います。
FW青木優之介(スポ2=埼玉栄)
――きょうの試合の感想は
きょうは第2Pが終わった時点では勝ち試合だったのですが、最後弱みが出てしまって残念な結果です。
――きょうの試合にかける意気込みは
まだ優勝の可能性がゼロではないということで、まずは東洋大戦に絶対に勝つということと、試合のスタートからしっかり入るということを意識しました。
――ご自身のゴールシーンについて
もう時間がないと分かっていたので、とりあえず強いシュートを打ってリバウンドを出せればいいなと思っていたのですが、そのまま入ったのでラッキーなゴールでした。
――きょうの試合のポイントは
やっぱり第3Pですね。勝てたところで無駄なミスからの失点が多かったので、そこをしっかりと直していきたいです。
――東洋大の印象は
みんながガツガツ一生懸命やるプレーだったのでやりづらかったです。
――ペナルティーの多さについて
反則をしていたら勝てないチームだと思うので、反則をできるだけ少なくしていくことが今後の課題かなと思います。
――最終戦の中大戦に向けて
優勝はなくなってしまいましたが、最後の試合なので、チーム一丸となって勝てるように頑張りたいです。
FW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)
――この試合を振り返っていかがでしたか
前回の試合から、第1Pの始めの立ち上がりからしっかりやろうという話はしていたのですが、きょうも結果的に最後に1点を取られて第1Pを終えて第2Pからエンジンがかかるという試合だったので、そこが駄目だったところというか敗因の一つになってしまったと思います。
――優勝するためには重要な一戦でしたが、どのような気持ちで臨みましたか
緊張などは特になかったのですが、きょうと次の試合で勝てばまだ優勝の可能性が残っていたので、気持ちを入れて試合に臨みました。
――東洋大は序盤からプレッシャーをかけてきているようでしたが、それについていかがでしたか
東洋大のプレースタイルとして、どんどん体に当たって早いプレッシャーをかけてくるチームだということが分かっていた中で、きょうの早大のチームは準備ができていなかったと思います。
――特に第2Pは両者ペナルティーが重なりましたが、それについていかがでしたか
仕方ないペナルティーやレフェリーのジャッジに関するものもあったのですが、どんなときでも反則をしたら相手に流れを渡してしまいますし得点も取れないです。第2Pに関しては得点は入っていたのですが、反則をもっと少なく抑えれば、もっと第3Pにつながるものになっていたと思います。
――第3P失速の原因は何だと考えますか
第3Pの1失点目は自分のミスから生まれた失点で、それで流れを渡してしまった部分もありました。やはり一つのプレーから相手に流れを渡してしまうというところから第3Pで2点取られてしまって、第3Pが始まるところでは勝っていたのに、勝ち切れなかったです。
――試合後のミーティングではどのようなことを話されたのですか
優勝も全日本選手権出場もなくなってしまったのですが、まだ最後にインカレという大会が残っているので、次の試合はインカレにつながるものにしようということを言われました。
――最終戦の中大戦に向けて意気込みをお願いします
優勝はなくなってしまったのですが、インカレという最後の大会が残っているので、1週間で準備してそれにつながる試合をしたいです。中大には1次リーグでもまだ勝てていないので、しっかり勝てるようにやっていこうと思います。
GK遠藤秀至(社2=東京・早実)
――きょうの試合を振り返っていかがでしたか
全体的にかなり押されていたのですが、第1Pと第2Pでは少ないチャンスを物にし、また守備面でも全体的に良く、良い試合運びができていました。しかし、第3Pでは第1Pと第2Pの疲れが出たのか、集中力を切らしてしまい、失点を重ねてしまいました。最後まで集中力が持たなかったのが敗因だったのかな、と思います。
――第3Pでは短い時間に失点を重ねてしまいましたが、あの部分に関してはいかがですか
3失点目を喫した時点でしっかり立て直さなければならなかったのですが、なかなかうまく流れに乗れず、その後も相手ペースで試合を運ばせてしまいました。もちろん失点しないのがベストなのですが、失点した後にしっかりと立て直し、次の失点を防げるようにするべきだったと感じています。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
中大には前回、かなりの大差で負けているので、次の試合は順位に影響があるかはまだ分かりませんが、まだ勝っていない中大相手にしっかりと勝利し、インカレに向けて良い流れをつくっていきたいと思います。