関東大学リーグ戦(リーグ戦)も終盤戦に突入し、この日は慶大と対戦した。2日前の法大戦を引き分けただけに是が非でも勝利したい試合だったが、相手に先制を許してしまう。直後にDF斜森敬太(教3=東京・西)のゴールで追い付くと、その後も得点を重ね5-1でゲームセット。白星こそ得たものの、随所に課題が残った。
弱点である立ち上がりの悪さを、今回も克服できなかった。第1ピリオド(P)開始直後から、停滞した時間が続く。1分28秒にはDF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)がホールディングを取られるなど、相手に隙を与えてしまう。パックの保持率でこそ圧倒したが、シュート数の差はわずかに4。「もっと第1Pからチャンスをつくっていかなければならない」(FW三浦亮、教4=青森・八戸商)。序盤からゴールを脅かすことはできず、0-0のまま第1Pを終えた。
相手選手と2対1の状況でキルプレーゴールを決めた三浦
流れを変えたい第2P。しかし、先に試合を動かしたのは慶大だった。26分30秒にGK中川悠輔(教3=東京・早実)がゴールから前に出たところを突かれ、先制点を奪われた。だがその31秒後、斜森のゴールですぐさま同点。徐々に流れを引き寄せると、相手のダブルマイナーペナルティによるパワープレーのチャンスを逃さず、32分35秒にDF新井遥平が勝ち越しゴール。35分1秒には、FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の鋭いショットのリバウンドをFW青木優之介(スポ2=埼玉栄)が押し込み追加点。さらに37分21秒に三浦のキルプレーゴールで1点を加え、勢いに乗って迎えた第3P。またも互いに得点の奪えない時間が続くも、49分29秒にはルーキー・FW田中創一郎(政経1=東京・早実)がうれしい大学初ゴール。ダメ押し点を加え、5-1で勝利した。
積極的に足を動かし、大学初得点を挙げた田中
序盤精彩を欠きながらも試合中に修正し、この試合は物にした。しかし、次なる相手は首位・明大。「全力でやらなければ絶対に勝てない」(三浦)と、課題の修正は急務だろう。一方でパワープレーの精度が向上し、第3セットが2得点を挙げるなど収穫が多く見られたのもまた事実だ。「自分たちの仕事をすれば結果はついてくるはず」(田中)。リーグ戦も残すは3試合。『優勝』の二文字を見据え、全員ホッケーで突き進む。
(記事 辻玲乃、写真 村上夕季)
関東大学リーグ戦 | ||
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早大 | ピリオド | 慶大 |
0(11) | 1st | 0(7) |
4(14) | 2nd | 1(6) |
1(12) | 3rd | 0(11) |
5(37) | 計 | 1(24) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
慶大 | 26:30 | 大久保 | 笹野 | 安藤 | - |
早大 | 27:01 | 斜森 | 横町 | 佐藤 | - |
早大 | 32:35 | 新井 | 池田 | 青木 | PP |
早大 | 35:01 | 青木 | 池田 | 石川 | PP |
早大 | 37:21 | 三浦 | 清 | - | PK |
早大 | 49:29 | 田中 | 佐藤 | 松本 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 池田 | 金子立 | 青木 | 石川 | 新井 |
2 | 寺井 | 三浦 | 森田 | 堰合 | 清 |
3 | 田中 | 横町 | 佐藤 | 松本 | 斜森 |
4 | 田村 | 加賀美 | 瀬戸 | 村上 | 志村 | GK中川 |
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月4日現在) | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | |||
1 | 中大 | 27 | 11 | 9 | 0 | 2 | |||
1 | 明大 | 27 | 11 | 9 | 0 | 2 | |||
3 | 早大 | 26 | 11 | 8 | 2 | 1 | |||
4 | 東洋大 | 24 | 11 | 8 | 0 | 3 | |||
5 | 法大 | 13 | 11 | 4 | 1 | 6 | |||
6 | 慶大 | 9 | 11 | 3 | 0 | 8 | |||
7 | 日体大 | 4 | 11 | 1 | 1 | 9 | |||
8 | 日大 | 0 | 11 | 0 | 0 | 11 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合を振り返って
勝ち点3を取ることができたのでそれは良かったと思います。
――セットの変更はどのような意図があってのことですか
法大戦では第1ピリオド(P)、第2Pが機能していなかったので、各セットの役割を意識してできるようなセットに組み替えました。
――第2セットの得点力を高めるのが狙いですか
そうですね。もともとパワープレーでやっているセットですし、意思疎通はできていますので。いままでは2つ目がうまく機能しない部分があったので、寺井(FW寺井敏博、国教2=チョートローズマリーホール校)を入れてもう少しアグレッシブにできるように変えてみました。
――試合を終えてみて、選手間の連携をどのように評価していますか
きょうは第1セットから第3セットまで各セットの役割を意識したプレーができたと思います。それについては満足しています。
――立ち上がりはきょうも課題が残ったように思いますが
第1Pはシュートを打ってもなかなか入らず攻撃が淡白になっていたので、第1Pの終わりにもう少ししつこくスクリーンに入るとかリバウンドをたたくという話をしました。第2P以降は修正でき、この結果になったと思います。
――明大戦に向けて
きょうのような各セットの役割を意識したプレーをして、個人個人ではなくチームで勝っていくというのがうちのスタイルなので、それがしっかりできれば勝てると思っています。
FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を振り返って
前の2試合と同じように出だしが悪かったです。その後は修正できたのですが、次の試合までの課題になりました。
――セットの変更がありましたが、それに関してはいかがですか
前回の試合で第1Pで点数が入らない中、きょうのセットに変えてから良くなったということで、このセットでシーズンの途中までやっていましたし、得点力を求めての交代だったと思います。それがきょうは半分くらい成功したのかなと思います。
――きょうはパワープレーの精度が高かったですね
もう1点くらい取れていたらと思いますが、前回に比べて良かったと思います。
――前回の法大戦の反省を受けて、きょう意識した点はありますか
シュート数が少なく、上からシュートを打ってリバウンドを狙うというような泥臭いプレーがなかったことが前回得点につながらなかった理由だったと思います。きょうは遠くからでもシュートを打ってリバウンドをたたくという意識を持つようにして、それが結果につながったと思います。
――次は明大戦ですが、どのようなプレーをしていきたいですか
足を動かすことを前提に、時間やシチュエーションを考えたプレーを全員がしていけば大量失点することもないと思うので、あとはスペシャルプレーでしっかり得点して勝てればいいかなと思います。
FW三浦亮(教4=青森・八戸商)
――きょうの試合の感想は
勝ったことはまず良かったのですが、いままでも課題だった第1Pが悪くて徐々に良くなるという展開で、スコアも足りませんでした。もっと第1Pからチャンスをつくっていかないと次からは勝てないと思うので、そこをしっかりやっていきたいと思います。
――きょうの試合の位置づけはどのようなものでしたか
慶大戦も前回接戦でしたし、ここで良い試合をしないと、次は優勝の懸かった3試合になってくるので、しっかり自分たちのホッケーをして勝つということが大事でした。
――自身のゴールシーンについて
パックが良い位置に来ていて、2対1の状況になって、哲朗(FW森田哲朗副将、教4=東京・早実)が良いドライブをしたおかげで相手のディフェンスが下がったので、そこで思い切ってシュートを打ったら入ってくれたので良かったです。
――この試合からセットが組み変わりましたが
前回の第3Pをこのセットでやって、この方が良いとスタッフの方々が判断してだと思います。春はこのセットでいつもやっていたので、これからしっかり話し合いをしながらやっていきたいと思います。
――パワープレーの成功率が良かったように思いましたが
前回はすごくPP(パワープレー)が多い中で点が取れなくて引き分けになってしまったというところがあったので、それから氷上練習はなかったのですが、話し合って変わるところもあったと思うので、改善できたところもあると思います。
――きょうの試合のポイントは
先制されてしまって良くない流れになりかけたところで、3セットがしっかり2得点してくれて、逆に2セット目はあまり点が取れなかったのですが、そういうところで助けてもらったのは良かったと思います。
――次週の明大戦に向けて
総力を出して、全力でやらないと絶対に勝てないと思います。1巡目のようにはいかないと思いますし、ラッキーパンチで勝てるほど甘い相手ではないので、全員で持てる力を全部出してプレーしたいと思います。
FW田中創一郎(政経1=東京・早実)
――きょうの試合を振り返って
第1Pがあまり流れが良くなかったのですが、第2Pから修正できた部分がチームの良かった点だと思います。
――関東大学リーグ戦(リーグ戦)も終盤に差し掛かり、チームの雰囲気はいかがでしょうか
チームの雰囲気は、負けと引き分けがついたことで、今後負けられない状況になってきたので、チーム全体が勝ちに向かっていて、とても良いと思います。
――第2Pで立て直したということでしたか、何かきっかけはありましたか
チーム内で、自分たちの役割を果たした上でスコアを目指そうという話をして、そこへ向かって修正していきました。
――ご自身はどのようなプレーを意識しましたか
自分たちの役割を意識して、守りからチームをつくっていこうと思いました。また、自分の持ち味は足を動かすことなので、それを最大限発揮できるようにプレーしました。
――大学初ゴールの感想はいかがですか
本当に、精一杯走った結果だと思うので、今後も続けていこうと思います。
――ここ2試合続けて出場していますが、調子が良いのでしょうか
そうですね、先週から足を動かそうということを意識してプレーしていて、それを監督が評価してくださったのだと思っています。
――次戦は首位の明大戦に臨みますが、意気込みをお願いします
厳しい戦いになると思いますが、いつもと同じように自分たちそれぞれの役割を考えて、自分たちの仕事をすれば結果はついてくるはずなので、頑張りたいと思います。