法大に悔しい引き分け

アイスホッケー

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)後半戦最初のヤマ場である法大との一戦。リーグ戦前半戦では早大が7-2と圧勝したが、法大はここまで中大や東洋大を破っており決して侮れない大敵だ。試合は接戦となり、法大に1-2とリードを許して迎えた第3ピリオド(P)。DF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)のゴールで追いつくも、あと1点が奪えずあえなくタイムアップ。2-2の同点に終わり、早大はリーグ戦首位から3位に転落した。

 両チームの守り合いでロースコアの展開となった今試合。前節の反省を踏まえ立ち上がりから集中したい早大だったが、先制点を挙げたのは法大だった。2分37秒、ゴール前の混戦から押し込まれ早くも失点。立て直しを図りたいところだったが淡泊な攻撃が目立ち、第1P終盤は法大ペースとなる。0-1で迎えた第2Pは法大にペナルティが相次ぎ、数的有利のチャンスが多く訪れた。しかしこの日はこれまで高い得点率を誇っていたパワープレーでの攻撃がうまく機能せず、チームに焦りが見え始める。そんな悪い流れを断ち切ったのはFW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)。32分24秒、寺井の放った鋭いショットが相手GKの肩口をすり抜け、ゴールネットに突き刺さった。この得点で勢いを盛り返した早大は、寺井とFW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の連携プレーを起点に幾度も相手ゴールを脅かす。だが第2P終了間際の36分32秒、相手FWにゴール前へ抜け出され失点。再び1点を追う苦しい状況となり、逆転の望みは第3Pに託された。

第2P中盤に勢いを取り戻した寺井

 もう後がない第3P。44分に早大が意地の猛攻を見せ、DF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)のリーグ戦初ゴールで試合はドローに。その後も早大らしいプレーで攻め上がり勝ち越しの機運が高まったが、相手GKの好守に阻まれスコアを動かすことができない。一方で早大GK遠藤秀至(社2=東京・早実)も負けずに好守を連発。50分18秒、法大の得点源であるFW木戸啓太が個人技でゴール前に躍り出るも、正面からのシュートを遠藤がしっかりとキャッチしチームを勇気づけた。両校GKの堅守が光る中、同点のまま試合は終盤へ。最大の危機は試合終了15秒前に訪れた。FW小原日向(法大)にゴール前への突破を許し、早大陣営に緊張が走る。しかしこの場面でも「読みで勝った」と話す遠藤がゴールを守り切り、試合は2-2の同点で幕を閉じた。

貴重な同点ゴールを決め喜ぶ新井(左)

 「勝てた試合を落とした」と池田が語るように、勝機は十分にあったものの、小さなミスや焦りが歯車を狂わせ勝ち点を取りこぼしてしまった。今回の引き分けが痛手となったことは確かだが、まだ優勝を狙える位置につけていることに変わりはない。「負けたら終わりという気持ちで1試合ずつやっていきたい」という工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)の言葉通り、1試合ごとに気持ちを切り替え、目の前の試合に全力を注いでいくことが大切だ。

(記事 末永響子、写真 谷口武)

関東大学リーグ戦
早大 ピリオド 法大
0(8) 1st 1(15)
1(9) 2nd 1(9)
1(18) 3rd 0(7)
2(35) 2(31)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
法大 02:37 松本力 木戸 小原 PK
早大 32:24 寺井 堰合 森田 PP
法大 36:32 西口
早大 44:00 新井 石川 青木
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
池田 金子立 寺井 堰合 新井
青木 三浦 森田 石川 斜森
田中 横町 加賀美 松本
野村 佐藤 瀬戸 村上 志村
GK遠藤
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月2日現在)
順位 校名 勝点 試合数
中大 24 10
明大 24 10
早大 23 10
東洋大 21 10
法大 13 10
慶大 10
日体大 10
日大 10 10
コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――試合を振り返って

GKの頑張りで勝ち点1を取れたことは良かったと思います。

――ロースコアの展開となりましたが、この試合をどのように評価していますか

先週と同じでゲームの入りをしっかりやっていこうということを共有したんですけれど、第1ピリオド(P)はうまくいかなかったなと。先週は第2Pで切り替えられましたが、きょうは第2Pでもなかなか足が動かずシュートが打てませんでした。それでも第3Pに追いついて、結果としては勝ち点1を取れたことは良かったです。

――選手の動きに関して具体的に課題だと感じた部分は

プレーが少し淡白になっていました。シュートが単発になっていたりDFのギャップアップができていなかったりして足が動いていなかったと思います。

――パワープレーの時間帯が続きましたがその精度に関しては

パワープレーに関してはいままで得点率も良く、積極的にパワープレーをもらってそこで点を取って行こうというゲームプランはあったのですが、きょうは相手の守りも良く、うまく点が取れなかったのは課題だと思います。

――1次リーグで対戦したときに比べて法大の印象はいかがでしたか

1次リーグではたまたま勝てましたが、実力のあるチームですし、今回もチャレンジする気持ちでやりました。向こうのプレッシャーも速かったですし、手強い相手だったと思います。

――残り時間1分26秒のところでタイムアウトを取りましたが、どのような指示を出しましたか

1セット目のアイスタイムが長かったので、休ませる意味で(タイムアウトを)取りました。ここではきっちりと守っていこうという指示しか出していません。

――今回の結果を受けてどのような部分を修正したいですか

きょうの反省点を選手間で共有して、また立て直していければと思います。残りの試合は負けたら終わりという気持ちで、まだまだ優勝を狙える位置にはいるので、1試合ずつやっていきたいと思います。

FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――2-2という結果でしたが、試合を振り返って

勝てた試合を落としたと思います。自分たちのセットを含めて決定力不足が出たかなと思います。

――セットの連携は悪くないように見えましたが

相手がラッシュで攻めてくるのが分かっていた中で、自分たちが相手のゾーンの中でパックをキープできず、相手に簡単にリズムをつくらせてしまいました。悪くはないとスタッフにも言われましたが結局良くはなかったので、もう少し集中していきたいと思います。

――パワープレーでなかなか点が決まりませんでした。その点に関してはいかがですか

1次リーグではパワープレーのスコアリングの確率がすごく高くて、それが勝利につながっていましたが、この試合ではそれができずに自分たちを負けに近づけてしまいました。それでも最後に踏ん張って引き分けで追われたのは良かったかなと思います。

――相手GKの好守にも阻まれたかたちとなりました

あれだけ前に出てくるGKは大学ではそんなに多くないので、それに早く気づいて攻略できなかったのが良くなかったと思います。

――次戦は2日後とコンディショニングも難しいと思いますが、どのように臨んでいきたいですか

きょうのクールダウンやあしたの過ごし方など、もう少し個人個人がしっかりと準備をして、きょうの第1Pは良くなかったので、しっかり最初から100パーセントの動きができるようにしたいと思います。

DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)

――きょうの試合を振り返って

スタートが悪かったですね。2次リーグに入る少し前からスタートがすごく悪くて。それを改善していこうと、1、2シフト目を走ってプレーしようということだったのですが、序盤から失点してしまったということが第1Pで相手に流れを持っていかれてしまった原因になっているのではないかと思っています。きょうはそこが一番の反省点だと思います。

――1失点目の要因としては

キルプレーでの失点だったと思うのですが、まずキルプレーにしてしまったこと自体が悪いのですけど、そこをいかにして守るかという話になってきて。スロットをマークするFWとゴール前のDFのコミュニケーション不足が失点を生んでしまった原因になっていると思うので、(次戦まで)1日しかないのですがそこをしっかりとミーティングして、失点をしないようにしたいと思います。

――2得点目はご自身のアシストもありましたが振り返っていかがですか

ゴール前にFWがしっかり立っていてくれたということが得点につながったと思うので、そういう泥臭いプレーをFWに求めて、逆に自分たちは相手に泥臭いプレーをされても、ゴール前からはじいてボックスアウトしていくことが必要なのかなと思います。

――パワープレーで決め切れない場面もありました

パワープレーは早大の得点の生命線でもあると思っているのですが、それが決まらないときょうみたいに苦しい展開の試合になってしまいます。練習ではそれなりのプレーができているのですが、いざ本番になると歯車が狂ってしまっています。その原因は何かと考えてみると細かいパスレシーブだと思うので、次の慶大戦ではそこを直していきたいと思います。

――カウンターから1対1になる場面も多く見られました

法大はカウンターがうまいということは想定内というか、そういうシチュエーションを考えた上で、それに対応した練習もしっかりできていたと思うので、カウンターからの失点というのはなかったのではないかと思います。練習からその情報をスタッフが提供してくれて、それを自分たちが実行できたということはすごく良かった点なのではないかと思います。

――DF陣の動きについてはいかがですか

尻上がりに良くなっていったのですが、本当に第1Pのパスミスが多くて。やはりスタートからできるようにチーム全体でやっていかないといけないと思いますし、今後そういうプレーをしていると第1Pに巻き返せないような点差がついてしまう試合が続くと思うので、スタートからきっちりできるようなチームを目指したいと思います。

――慶大戦は2日後と間隔が短いですが、どのような調整を考えていますか

あしたはセット毎やチームで体を動かしてだらだらした一日を過ごすのではなく、試合に合わせた時間帯でのプレー運動やコミュニケーションを取ったりして、あさってに向けて準備をしていきたいと思います。

――最後に慶大戦への意気込みをお願いします

きょうスタッフから言われたのですが、自分たちは首位に立っているよりも後ろから追っていく方が良いプレーをするのではないかと話があって。いまは首位から落ちてしまったと思うのですが、残りの試合を全部勝ち続けて結果的に優勝できるというようなプレー、試合運びをしたいと思います。次は永遠のライバルでもある慶大で、前半戦は2-1という苦しい試合だったので、圧倒して勝ちたいと思います。

GK遠藤秀至(社2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

前回法大とやった時は結構大差で、シュートも簡単に決まって楽に勝てましたが、きょうは自分たちのペースに持って行けず、相手の流れになっている時間が多かったので、もうちょっと自分たちのホッケーというか、自分たちのペースで試合を運べれば良かったなと思いました。

――引き分けという結果はどのようにお考えでしょうか

きょうは勝ち点3欲しかったところですけれど、負けているところから追いついての引き分けなので、負けなくて良かったです。

――DF陣の動きはいかがでしたか

DFはそんなに悪くなかったですけれど、もう少しお互いにコミュニケーションを取りたかったです。かみ合っていない部分などもあったので。個人個人の動きよりも、連携がもっとできていればなと思います。

――ご自身の調子はいかがでしたか

悪くはなかったですけれど、試合開始直後に(シュートを)決められてしまったので、そこで気合入れなおそうと思いました。そこからはだいぶ良かったですけれど、変なリバウンドなどを出してしまったりしたので、自分の納得いく内容ではなかったですが、2点に抑えられたので良かったなと思います。

――終盤相手FWと1対1の場面が多く見られましたが、見事に抑えました

そうですね。最後の方重要な時間帯でああなっていたのでかなりプレッシャーはありましたが、あの時は完全に読みで勝った感じです。

――あさっては慶大戦ですが、どのように調整していきたいですか

1日しか間がないので、しっかりあしたは疲れを抜いて、あさってベストなコンディションで試合できるようにしたいと思います。

FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)

――先制点を挙げられましたが、ご自身のプレーを振り返って

僕自身は出だしが悪かったですね、足が動いていなかったので。足が動いていないと、パックを取られてしまうし、チャンスも生めません。さらにパックも手についていなかったのですが、点を入れてから流れが良くなりました。出だしの調子が悪い時に、いかにゲームをつくるかということをもっと考えていきたいです。

――先週の日体大戦では第1Pで積極的に動けなかったことが課題でしたがきょうはいかがでしたか

内容的には悪くなかったと思うんですけれど、ゲームとしては淡々としすぎていてだらっとしたペースだったので、もう少しチームとして気合いを入れて、0-0とかああいうロースコアの試合でもっと点を入れていかなければ、次からの試合では厳しくなるのではないかと思います。

――2-2と同点で試合が終わりましたが

絶対に全ての試合で勝つという気持ちで臨んでいたので、本当に悔しいですし、今後は一戦も落とせません。後から点を返したことはすごく良かったと思いますし、出だしからやっぱりちゃんと点を取っていかなければいけないと思いました。

――パワープレーで得点するというのが早大のかたちだと思うのですが、きょうはなかなか点が決まりませんでした

ワセダは足を動かして、ペナルティを取って、パワープレーで点を決めるとうかたちなのですが、きょうは点が入らず、もっとちゃんと決めたいと思いました。

――ラインはうまく連携できたと思いますか

第2Pや第3Pではシュートを打っていたと思うのですが入りませんでした。内容的にはシュートをどんどん打っていこうと言っていたのですが、もうちょっとゴール前のリバウンドを意識していきたいと思います。全てきれいなゴールっていうわけではないので、泥臭いプレーなどそういうワセダらしいホッケーをがむしゃらに求めていきたいです。

――次戦は慶大戦ですが、意気込みをお願いします

これからもう一戦も落とせないので、ちゃんと良い内容でリーグ戦(関東大学リーグ戦)を続けていけるように点数をたくさん入れて、勝ちたいです。

DF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合を振り返って

第1Pが勝負だと思ったのですが、あまり良い内容ではありませんでした。

――しかしながらご自身ではシュートも決められましたね

シュートは敵のオウンゴールみたいなものなので、そこまでは特に感じていません。それよりも自分自身のプレーができなかったという印象の方が強いです。そこはあした一日あるので、次の慶大戦に備えたいです。

――なかなか攻め切ることができませんでしたが、相手の守備の印象は

パワープレーで得点をするというのがワセダの攻撃スタイルなのですが、そこのチャンスを今回は物にすることができませんでした。

――ワセダとしては守備面で乱れが見られました

パス一本でノーマークというかたちを何本も取られてしまいました。集中力が切れていたと思います。

——きょうの課題と次戦への抱負をお願いします

きょうダメだった部分を、きょう、あしたと反省して、この反省を前向きに捉え、再び試合に挑んでいきたいと思います。