日体大に雪辱果たすも、不完全燃焼な試合に

アイスホッケー

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)この日の相手は、今シーズンいまだ白星を挙げられていない日体大。大学交流戦苫小牧大会(サマーカップ)では惜しくも敗北、リーグ戦前半戦では引き分けと相性が悪い日体大に対し、きょうこそは勝利をと意欲を燃やすワセダだが、立ち上がりは本調子を出すことができない。相手のペースに乱された第1ピリオド(P)は2-1とリードを許し、苦しい展開に。しかし、続く第2PではFW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の得点を契機にワセダらしいプレーを取り戻し逆転。第3Pでもワセダがリードする展開となり5-3で勝利を収めたが、「だらけたプレーが多かった」(FW三浦亮、教4=青森・八戸商)と試合内容に課題が残るものとなった。

 試合は池田のシュートから始まった。FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)が日体大の選手を引き付けると、2分55秒、FW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)からのパスを受け取った池田は危なげなくパックをゴールにたたき込んだ。ここで一気に流れを引き寄せたいワセダ。しかしそのおよそ2分後に、ディフェンスが手薄になったところを攻め込まれ同点に追いつかれた。その後も日体大の攻撃的なオフェンスや勢いにのまれ、何度もゴール前への侵入を許すなど苦戦を強いられる。三浦が「最悪なスタート」と話すように思うようにパスがつながらず、自陣で致命的なミスを重ねた早大。体勢を立て直せないまま1-2とリードを許し、第1Pを終えた。

この日2得点に絡んだ三浦

 「足を動かすところからやっていこう」(池田)。気持ちを切り替えたワセダは第2Pで積極的にゴールを狙い、30分17秒、インターバルでチームに喝を入れた主将自らが右サイドからのショットで点を決め、流れをつくった。この得点を契機にようやく普段のワセダらしいプレーが見え始める。ここでリードを奪いたいワセダ。すると36分17秒、自陣でパスを受けたFW青木優之介(スポ2=埼玉栄)がスピードに乗って相手DFを振り切ると、ゴールに詰め寄って冷静にシュートを決め、3-2と逆転に成功した。

 そして迎えた第3P。追い風に乗ってこのままワセダの独壇場になるかと思われたが、池田のペナルティーでキルプレーとなる。失点を阻止したいところだったが、44分42秒、勢いに乗った相手選手のシュートがゴールネット右上に突き刺さる。3-3と同点に追いつかれ、ワセダはGKを中川悠輔(教3=東京・早実)から遠藤秀至(社2=東京・早実)に交代した。このまま同点では終われない。ここで均衡を破ったのは金子立。ゴール前の混戦を制し、決勝点となる4点目を押し込んだ。試合時間は残り1分を切り、何としても勝ち点が欲しい日体大はGKを下げ6人攻撃を開始した。するとその直後、三浦がカットしたパックをFW森田哲朗副将(教4=東京・早実)がもらい受け、無人のネットへ。そのまま試合は終了し、ワセダは5-3で日体大にリベンジを果たした。

GKとの1対1の場面で鮮やかなシュートを決めた青木

 「第1Pは(相手の)勢いにのまれてしまった」(金子立)と、選手たちが指摘したのは立ち上がりの不調だ。ミスの連発でゴール前へたやすく突破されるなど、守備の意識の甘さが露呈した。また攻撃面でも決めるべきところで得点できず、攻守ともに精彩を欠いた日体大戦。次戦はリーグ戦前半戦で快勝した法大が相手だが、油断はできない。「走りながら考える」(池田)というワセダのホッケーを実践できるかがカギとなるだろう。念願の関東リーグ制覇へ向けて、いまワセダの真価が問われる。

(記事 種村春歩、写真 角田望)

関東大学リーグ戦
早大 ピリオド 日体大
1(12) 1st 2(12)
2(22) 2nd 0(5)
2(13) 3rd 1(11)
5(47) 3(28)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 02:55 池田 金子立 寺井
日体大 05:00 佐々木 上村 松木
日体大 19:22 佐々木 上村
早大 30:17 池田 寺井
早大 36:17 青木 三浦
日体大 44:42 松野 上村 PK
早大 46:12 金子立 新井 池田
早大 59:23 森田 池田 三浦
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
池田 金子立 寺井 堰合 新井
青木 三浦 森田 斜森 石川
瀬戸 横町 加賀美 松本
野村 佐藤 田中 田村 志村
GK中川→遠藤
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(10月28日現在)
順位 校名 勝点 試合数
早大 22
中大 21
明大 21
東洋大 18
法大 12
慶大
日体大
日大
コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――試合を振り返って

きょうは勝つことが目標だったので、それが達成できて良かったです。

――試合前はどのようなことを話されましたか

第1ピリオド(P)を大事にしてしっかり足を動かしてやっていこうということは共有しました。

――第1Pは苦戦を強いられてしまいました

課題が残ったと思っているので、そこはしっかり準備していきたいです。シュートを打ち切れませんでした。

――日体大の選手にゴール前への突破を許すシーンが何度かありましたが

こちらも研究すべき点はありますし、日体大にはスピードの速いプレーヤーもいますので、そこでやられてしまったかなと思います。

――試合中盤から切り替えることができましたが、良かった点は

第2Pからはシュートを打っていこう、ゴールに向かっていこうというところと、シンプルにプレーしていこうということを徹底しました。第2P、第3Pは良かったと思います。

――日体大の印象はいかがでしたか

よく走るチームですし、何人かキープレーヤーがいて、彼らを中心に回しているなと。きょうは第3セットに回っていましたが、本来第1セットでやっているようなセットは強力だなと思っています。

――次戦に向けて

次は土曜日、月曜日と試合が連続するので、きっちりコンディションを整えてしっかり勝てるように準備をしたいと思います。

FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――試合を振り返って

第1Pはチーム全体が最悪なプレーをしていたので、それを第2Pから修正できたことは良かったです。それが勝ち切るということにもなるので、今後につながる試合だったと思います。

――第1Pは相手に合わせてしまったという感じでしょうか

いや、相手よりもひどかったです。きのうの練習から気が抜けてしまっていた選手もいて、そういうことがきょうの第1Pにつながってしまったと思います。

――気持ちの面で隙があったと

そうですね。自分たちが上位校だという変な意識をなくして、相手をリスペクトしながら自分たちのプレーができるようにしないといけないと思います。

――第2P後半から立て直しましたが、話し合われたことや意識した点はありますか

第1P終わって控え室に戻ったときには、もう少し自分たちの力を見直して、相手よりも良い準備はできていなかったと思うのでまずは足を動かすところからやっていこうという話をしました。しっかり足を動かすところからワセダのホッケーは始まるので、そういう部分を修正して、全体にもう一回意識付けするようにしました。

――今季やや苦戦している日体大について、どのようなチームだと感じていますか

ラッシュで攻めてくるのが速いですし、うちは体で当たっていくプレーというのが少ないので、そういう部分で日体大に苦しめられているというのがあると思います。うちはそういうプレーをする環境で昔からやってきた選手が少ないので修正は難しいですが、あと1週間でもう少し意識付けしてやっていきたいと思います。

――次戦に向けて

ワセダらしさというのは、まず足を動かして、そしてどんなプレーをしなきゃいけないのか考えるということです。ただ単純にホッケーをするだけじゃなくて、走りながら考える。得点を取るためにはこういうプレーが必要だとか、いまの時間はこういうプレーが必要だとか、そういう頭を使ったプレーを、足を動かすことを前提に継続して、優勝に向けてやっていきたいです。

FW三浦亮(教4=青森・八戸商)

――日体大戦でしたが話し合ったことはありますか

日体大戦に入る前の練習が内容的に良くなくて、ここで切り替えてプレーしていこうと話していたのですが、この試合の第1Pは前の練習を引きずってだらけたプレーが多くて、流れを渡してしまったのでそこは反省しないといけないと思います。

――きょうの試合を振り返って

本当に最悪のスタートをして、第1Pと題2Pのインターバルにキャプテンからチームにかなり厳しいことを言われて。そこで切り替えてやっているようではダメですし、言われた後もマシになっただけで良くなったわけではないので、試合全体を通して反省しないといけません。

――2アシストもありましたが、ご自身のプレーについては

第1Pは最悪です。周りも見えていない、足も動いていない、パックも手につかない状態でスタートして。先ほども言ったのですが一騎に言われた後の第2P、第3Pもマシになっただけで良いプレーをしていたわけでもないですし、アシストも優之介(FW青木優之介、スポ2=埼玉栄)が走って入れてきただけなので、自分のプレーにも反省しないといけないと思います。

――5-3という結果についても満足できるものではないですか

そうですね。

――FW陣の動きについては

きょうの試合ももっとスコアするチャンスはあると思うのですが、最後のところで入らないというのはずっと課題と言われていて、それが改善されていないので、とにかく集中して練習して改善していかないと上位校に勝てないと思うのでしっかり頑張っていきたいと思います。

――法大戦へ向けて意気込みをお願いします

試合の前から過ごし方を考えて、試合に向けてしっかり準備をしたいです。きょうよりも相手は強くなって、きょうのようなプレーをしていたら絶対勝てないと思うので。一人一人がやるべきことをやらないとワセダは勝てないので、自覚を持ってやりたいと思います。

FW青木優之介(スポ2=埼玉栄)

――今季はいまだに勝ててない日体大が相手でしたが意気込みは

今シーズンまだ一回も日体大に勝てていないので、きょうこそはリベンジして勝ちたいと思っていました。

――チームとしてどのような話をして日体大に臨みましたか

日体大はチーム一丸となって走ってくるチームなので、ワセダも走り負けないように、最初から頑張ろう、スタートから行こうって話し合っていました。

――戦略はうまくいきましたか

日体大の方が走っていたと思いますね。第1Pが終わってやっぱり日体大がリードしていました。

――第1Pでは相手のペースに合わせてしったという印象を受けました

そうですね、合わせてしまったという感じです。自分たちのプレーができませんでした。

――第2Pではいつものワセダらしさが戻ってきたように見受けられましたが、第1Pが終わった後に何か話し合われたのですか

控え室で池田さんが切り替えていこう、走って行こうと仰っていて、その後の第2Pから変わったと思います。

点を決めた後はガッツポーズをしていましたね

久しぶりに自分で入れた点だったので。いままでもチャンスはあったのですが決めるべきところで決められなかったので、きょうは得点できてうれしかったです。

――きょうの試合を振り返って、ご自身の良かったところは得点を挙げられた以外には何かありますか

相手と戦ってスピードは十分通用するなということは分かっていましたけど、まだまだコーナーでの1対1などは弱いなと感じました。

試合を終えて、チーム全体の課題は

決定力がなく、きょうの試合も悔しい感じになってしまいました。

――次の試合への意気込みをお願いします

リーグ戦(関東大学リーグ戦)はまだまだ続くので、一試合一試合勝てるように頑張っていきたいと思います。

FW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合の感想は

第1Pが終わった時点で1対2で負けている状態から勝てたことはプラスだったのですが、やっぱり第1Pから自分たちのプレーができないということは、試合前のコンディションづくりからつながったものだと思うので、次の試合では試合前からそういうところをきちんとしていかないとダメだと思いました。

――第2Pで雰囲気が変わったように感じましたが

1対2で負けているというのは、やっぱり入りがうまくいかなかったというか、1点取ってそこから気が抜けて立て続けに失点したので、第2Pから気持ちを切り替えてやっていこうという話をピリオド間にしました。

――1ゴール1アシストの活躍でしたが

2点に絡めたということは良かったのですが、もっとチャンスがありましたし、自分のパスミスでチャンスがつぶれたりということもあったので、次の試合では得点に絡めるプレーというのをもっと多くしたいと思います。

――きょうの調子は

第1Pから足は動いていたのですが、ゴールに向かう姿勢や泥くさいプレーというのが少なかったと思います。

――日体大の印象は

夏と1次リーグで勝てなくて、相手のワセダに対しては勝てるんじゃないかという勢いに第1Pはのまれてしまいました。そこを第2Pから、相手の勢いを止めて、自分たちのペースに持っていけたというのは良かったと思います。

――次戦の法大戦に向けて

1次リーグでは大差で勝っているのですが、法大も上位校に勝っていますし、勢いがあるのでしっかり第1Pからやっていかないと取り返しのつかないことになると思うので、しっかりやっていきたいと思います。

DF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合を振り返って

第1Pはあまり良い内容ではなくて。でも第2P後半から立ち直ることができて良かったと思います。

――相手の日体大の印象は

とにかく走ってくるチームだという印象です。

――DF全体の動きについて

第1Pは攻め込まれる時間が長くて、相手のFWとの間合いも詰めることができず、ただ下がるばかりで受け身になっていたので、あまり良いとは言えなかったと思います。

――DFの良かったところは何かありますか

第1Pが終わった後に、キャプテンからダメな部分をいろいろ指摘されて、相手のFWとの距離を詰めることなどを意識できたので、ギャップコントロールなどができていたと思います。

――最後に、次の試合に向けた意気込みをお願いします

次の相手の法大はプレッシャーも速いので、きょうダメだった部分を今週、来週で改善して、次につなげていきたいと思います。