関東大学リーグ戦(リーグ戦)前期を首位で折り返したワセダ。後期初戦で迎え撃つはここまで7戦全敗と最下位に沈む日大だ。前期は8-1と快勝した相手だったが、第1ピリオド(P)は点差を広げられず1-0と緊張感のある展開となる。それでも第2PにFW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)、DF堰合芳貴(社2=青森・八戸工大一)の得点で一気にリードを広げると、キルプレーも無失点で乗り切り完全に試合の主導権を握る。第3Pにも加点し攻守に相手を圧倒。5得点快勝とともに、今季初の完封を飾った。
開始早々スコアが動いた。フェイスオフと同時に一気に相手陣地に攻め入ると、34秒に池田がねじ込み幸先よく先制に成功する。いきなりの得点に漂う大勝ムード。しかしここから試合はやや停滞気味に。パックのコントロールミスだけでなく、「相手に合わせてしまった」(FW加賀美太一、商2=東京・早実)と単純な攻撃で攻めあぐねる時間帯が続く。逆に18分20秒には相手のカウンターから冷やりとさせられる場面を招くなど、緊迫した状態で第1Pを折り返した。
開始早々に池田が先制点を決めた
「早めにスコアして相手の士気を下げて、ワセダの流れで最後まで行こう」(池田)。迎えた第2Pは24分41秒、そう意気込んだ主将の角度のない位置からの一撃でリードを広げ始める。さらにパワープレーとなると、ブルーライン付近からのDF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)のショットの跳ね返りに反応した堰合がリーグ初得点。3-0としワセダが一気に試合の流れを引き寄せる。さらにこの日は守備でも違いを見せつけた。34分、キルプレーとなるも相手の拙攻などにも助けられ危険な場面をつくらせない。確実にこの時間をしのぐと、37分38秒にはFW青木優之介(スポ2=埼玉栄)が相手GKと1対1になるなど終盤はシュートチャンスを増やし相手を押し込んだまま試合は最終Pへ。ここでも49分35秒に加賀美の得点で突き離すと、ポイントゲッターのFW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)も加点し試合の行方を決定づける。54分にパスミスから何度かピンチを招いたが、最後まで相手にネットは揺らさせず。後期開幕戦を勝利で飾るとともにうれしいリーグ戦初完封となった。
攻守にわたって活躍した堰合
5-0というスコア以上に攻守で圧倒したワセダ。シュート数こそ多くなかったが、確実に加点することで相手に流れを渡さない我慢のゲームが展開できた。それでも「内容に関して言えばあまり良くないゲームでした」(堰合)と選手たちは一様に課題を口にする。次戦の相手はまだ今季白星を挙げられていない日体大。悲願の関東王者に向け、同じ相手から二度勝ち点を落とすわけにはいかない。
(記事 増山祐史、写真 進藤翔太、栗田麻里奈)
関東大学リーグ戦 | ||
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早大 | ピリオド | 日大 |
1(7) | 1st | 0(8) |
2(13) | 2nd | 0(6) |
2(17) | 3rd | 0(7) |
5(37) | 計 | 0(21) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 00:34 | 池田 | 金子立 | 石川 | - |
早大 | 24:41 | 池田 | 寺井 | - | - |
早大 | 26:36 | 堰合 | 金子立 | 石川 | PP |
早大 | 49:35 | 加賀美 | 横町 | 瀬戸 | - |
早大 | 53:27 | 寺井 | 新井 | 金子立 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 池田 | 金子立 | 寺井 | 堰合 | 新井 |
2 | 青木 | 三浦 | 森田 | 石川 | 斜森 |
3 | 瀬戸 | 横町 | 加賀美 | 松本 | 清 |
4 | 野村 | 佐藤 | 田中 | 村上 | 志村 | GK中川 |
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(10月21日現在) | |||||||||
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順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | |||
1 | 早大 | 19 | 8 | 6 | 1 | 1 | |||
2 | 中大 | 18 | 8 | 6 | 0 | 2 | |||
2 | 明大 | 18 | 8 | 6 | 0 | 2 | |||
4 | 東洋大 | 15 | 8 | 5 | 0 | 3 | |||
5 | 法大 | 12 | 8 | 4 | 0 | 4 | |||
6 | 慶大 | 9 | 8 | 3 | 0 | 5 | |||
7 | 日体大 | 4 | 8 | 1 | 1 | 6 | |||
8 | 日大 | 0 | 8 | 0 | 0 | 8 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合を振り返って
初めて完封もできたし、試合の前から点を取られないということと、守りの意識をきっちりやっていこうという部分を目標にしていたのでそこは良かったと思います。
――第1ピリオド(P)開始後いきなり先制点を奪いましたね
1次リーグの反省から第1Pのゲームの入りは重要だと考えていたので、そこを集中しようということは共有してやっていました。立ち上がりで点を取れたのはすごく良かったと思いますけれど、その後が続かなかったりシュート数が少なかったのは今後の課題かなと思います。
――選手の動きに関してはいかがでしたか
足を使えていたのでそこは良かったと思いますが、一人一人の動きにはまだ少し課題が残っていると思います。
――前回の中大戦の反省から意識して修正したところはありますか
中大戦では入りが集中できていなかったので、最初のゲームの入りは重要だと思っていました。そこを立て直すことはできたと思います。
――ここから関東大学リーグ戦(リーグ戦)も後半戦ですが、今後に向けて一言お願いします
残り6試合ですし、頑張って優勝を狙える位置にはいますので、きっちり優勝できるように一試合一試合を全力で戦っていきたいと思っています。
FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――日大に完封勝利を収めました。振り返っていかがでしたか
スコアリングできるチャンスはもっと多かったと思うんですけど(決められず)、そういうところは修正していくべきだと感じました。0点に抑えられたというところは、リーグ戦で初めての完封だったので、収穫だったと思います。
――第1Pが終了した後、チームでどんなことを話し合われましたか
第1Pは日大相手に1点差のゲームをしていて、実力的には負けていないにしても相手が波に乗ってカウンターで失点ということもあり得るので、早めにスコアして相手の士気を下げて、ワセダの流れで最後まで行こうという話をしました。
――第2P以降は、話したことを実行できたという感じでしょうか
そうですね。どのセットも相手のゾーン深くでやれていたと思うんですけど、もっと得点を増やさないと、これから勝てないかなと思います。
――池田選手の2点目は角度のないところからのシュートだったと思いますが、あのゴールシーンを振り返って
ワセダはすごくシュート数が少なくて、相手GKにプレッシャーを与えることができていなかったので、どの角度でも一回ゴールに集めるという意識をしてあのプレーが出て、結果としてスコアにつながったので良かったです。
――次戦は前回引き分けた日体大が相手ですが、どのように調整していきたいですか
スコアリングの精度を高めて、全員が足を動かして、苦手意識を持たないようにやっていきたいと思います。
――リーグ戦後半戦の抱負をお願いします
これからまた同じだけ試合が続いていく中で、疲労も溜まると思うんですが、ここからは1週間ずつ間が空きますし、他のチームより良い準備をしてやっていければと思います。
FW横町翔太(スポ4=青森・八戸工大一)
――きょうの試合全体を振り返ってみていかがですか
きょうから2クール目が始まったので、スタートから大事にいこうとみんなが同じ意識をもって臨んだのですが、少し自分たちがやろうとしているゲームの入り方とは違ったかなと思います。
――得点では完封勝利となりましたが、課題の残る試合だったのですか
これから2次リーグが進んでいく中で、いろいろと課題が見つかった試合だなと思いました。
――第3セットで得点するシーンもありましたが、振り返ってみていかがですか
第3セットは、試合を通じて得点を与えずに無失点でいこうという全員の意識でやっているのですが、きょうはそれにプラスで得点を取ることができたので、非常に良かったかなと思います。
――日大相手の今試合でしたが、試合前にはどのようなことを考えていましたか
相手がどういうプレーをしても、自分たちはいつもの通り走ってワセダらしいプレーをしようとしていたのですが、それが少し足りなかったと思います。
――1次リーグを首位で折り返しましたが、ここまで振り返ってみていかがですか
なんとか首位ではあるのですが、これから最後まで首位に立って最後に優勝するためには、それぞれがプレーの精度を高めていかなければならないと思うので、現状に満足することなく、これからもチームとしての完成度をより高くしてやっていこうと思っています。
――春から秋に、DFからFWに転向されましたが、それについてはいかがですか
スタッフからFWに戻らないかいう話がありました。お互いに目指しているのは優勝なので、それに対するアプローチの仕方としてスタッフは僕がFWに戻ることが良いと思っていたので、それに関してはチームのためだと思うので、どこのポジションでも頑張っていこうと思っています。
――いまのチームの雰囲気や状態はいかがですか
全体としてみんな自分の仕事を分かって、試合に出ていないメンバーもベンチで声を出してくれていたり、良い雰囲気の中でやれていると思うので、このまま最後までチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。
――最後に次の試合に向けての意気込みをお願いします
次の試合相手の日体大は前回引き分けていて夏も負けているので、次はしっかりとリベンジしたいと思います。
DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返ってみていかがでしたか
まず失点0に抑えられたのはよかったんですけど、失点につながるプレーというのがあったのはきょうの反省点かなと思います。それでも(2次リーグ)初戦を勝てたというのは大きいですね。
――DFリーダーとしてきょうのディフェンスについてはいかがでしたか
最初ディフェンスのターンオーバーだったりパスミスとか処理ミスというのがあって、そこから相手に攻め込まれるという場面が第1Pでは特に多かったので、第2Pに入る前に直していこうという話をしました。そこもピリオドを重ねるごとに減っていったのは良かったんじゃないかなと思います。
――3点目でアシストも決められていましたが
遠めのところからシュートしたんですけどポストに当たってしまって。その後の選手が前に詰めていてくれたのが良かったかなと思います。
――この試合に向けて意識していたことなどはありますか
まだ満足はいっていないんですけど、もっとシュート数を多く打っていこうということでこの試合に臨んでいました。でもきょうは(シュート数が)37本で終わってしまったので、もっとシュート数を多く打ってそこからチャンスをつくろうとか、例え一発で入らなくてもゴール前のリバウンドでもっとシュート数を増やしていきたかったです。それができなかったのが残念でしたね。
――次回の日体大戦に向けて一言お願いします
ことしに入って日体大とは2回対戦してるのですが、どちらでも勝てていないので、しっかりまずは勝つということを目標にして、自分たちの中でまず苦手意識というのを持たずに、しっかり走って当たって相手を圧倒できればなと思います。
FW加賀美太一(商2=東京・早実)
――試合を振り返って
日大を相手に、しっかり3セット目として起動し、チャンスがあったら点を狙っていこうと思っていました。きょうは突然、セットが変わって瀬戸くん(瀬戸公大、スポ1=北海道・白樺学園)が新たに加わったのですが、セット内で声を掛けあうことを意識してしっかり動きました。
――チーム全体としては
きょうはしっかりと得点をあげることと、無失点を目標にしていました。無失点のほうは達成できたと思うのですが、得点力はもっと意識して今後のリーグ戦を頑張っていきたいと思います
―-声を掛け合わないことが課題だと以前他の選手の方が仰っていましたがきょうはいかがでしたか
きょうは声の掛け合いもそうですが、それよりも相手のプレーに合わせてしまったことが問題だと思います。実力差のある相手に、足を止めるなどペースを乱されたことがオフェンス面での問題だと思います。
――きょうはワセダのペナルティーが少ないように見受けられました
それはミーティングでそう話し合っていたからです。でも、本当は相手からペナルティーを引き出そうとしていたのですが、やはり先ほど言ったように相手に合わせてしまったため、うまく引き出せませんでした。いつもはパスを素早く出したりするなどスピードを生かしたプレーをするのですが、きょうは積極的なプレーができませんでした。
――次の日体大戦に向けての意気込みをお願いします
ことしは1回も勝てていない日体大なので、今度の試合はしっかりと気持ちを入れてリベンジしたいと思います。
FW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)
――2次リーグ初戦でしたが意気込みは
2次リーグの入りで、これから優勝争いできるかというのが重要になってくるので、気を引き締めてのぞみました。
――きょうの試合を振り返って
第1Pに1点しか取れなくて、チャンスがある中で決めきれなかったというのは課題として残っていて、それでも無失点だったというのは良かったと思います。
――FW陣の調子は
練習の中からスコアリングなどをずっと意識してやってきているので、得点するという意識は高く持ってやっていると思います。
――3アシストの活躍でしたが
たまたまアシストがついたものもあったのですが、得点に絡めたというのは良かったと思います。それでも、自分にもチャンスがある中で直接ゴールできなかったというのは、今後改善していかないと駄目だなと思います。
――きょうの収穫と課題は
課題は、日大相手に5得点じゃ足りなくて、上位チームとこれから当たっていく中で、スコアリングというのは重要だと思います。収穫は、流れの悪い場面でも無失点で切り抜けることができて、完封で勝てたというのは良かったと思います。
――次戦の日体大戦に向けて
今季は日体大と2回対戦して、夏は負けて1次リーグは同点で、相性というわけではないですが、そういうところも含めて2次リーグではしっかり無失点で勝つということが優勝に向けてのカギになると思うので、しっかり日体大に勝って次につなげていきたいです。
DF堰合芳貴(社2=青森・八戸工大一)
――2次リーグ初戦で勝利を飾った感想は
きょうはシュート数や無失点などチームでもセットでもいろいろと目標があったんですけど、試合は勝ててもその目標は達成できなかったので、内容に関して言えばあまり良くないゲームでした。
――無失点という目標は達成しましたね
無失点だったんですけど、他の上位チームと当たっていたら失点していたかもしれないシーンが多々あったので、そういった面ではGKの中川さん(GK中川悠輔、教3=東京・早実)のおかげで無失点に抑えられたのかなと思います。
――リーグ戦初得点を決められましたが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか
最初からずっとポイントがなかったのですが、入れるチャンスはある相手だったので、得点を入れたいという気持ちで臨みました。まずは守りからだったんですが、守りはできましたし、チャンスでちゃんと入れることもできたので、個人的にはまあまあかなと思います。
――次にあたる日体大には前回引き分けていますが、どのように対策して試合に臨まれますか
日体大は今シーズンまだ勝てていない相手なので、アップの段階から上位チームとあたるつもりでやって試合に臨めたら結果もついてくると思います。
――この先の2次リーグに向けて意気込みをお願いします
1次リーグは優勝を狙える位置で終えることができたんですけど、2次も同じ順番で試合する中で同じように戦っていたら優勝はできないと思うので、どんどんプレーの質を高めて、チーム全体で戦って、最後は優勝できたらいいなと思います。
FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)
――2次リーグ初戦ということでしたが、チームで話し合ったことはありますか
中大戦に負けた後にちゃんと切り替えようと話していたので、チームの気持ちも高まっていたと思うのですが、きょうは攻撃でもっと得点できるような場面があったと思うのでそこはチームとして反省しています。
――きょうの試合を振り返って
悪い意味で言うわけではないのですが日大はまだ1勝もしていないですし、良いかたちで勝とうと言っていて。勝ちはしたのですが、強豪チームと戦うとあのくらいチャンスを与えていると得点を入れられて流れも悪くなってしまうので、チームとしても個人としても決められるところで決めないと駄目だと思いました。
――第1Pは1-0という入りでしたが、入りとしてはいかがでしたか
第1Pは結構中で攻めていたのですが、外に回ったりして、リバウンドやネット前の意識が弱かったと思っていて。中大戦が終わった後にチームでネット前の意識を高めようと話していてのこの第1Pだったので良くはなかったのですが、無失点だったことは良かったと思います。
――ご自身のゴールシーンを振り返って
新井選手(DF新井遥平、スポ1=北海道・駒大苫小牧)からクロスサイドに良いパスをもらって、いったん落ち着けて肩口に狙った通りにゴールできたので良かったと思います。
――5-0という結果について
もう少し入れられたという部分もあるのですが、秋リーグ初の無失点だったのでそこは良かったと思います。
――次戦は1次リーグで引き分けた日体大が相手です
日体大にはまだ1回も勝てていないので。一戦一戦無駄にできないし、どのチームも油断できないのでチームの気持ちを高めて、シュートやゴールなどの攻撃的な意識をしっかりとしてチームで勝ちたいです。