関東大学リーグ戦4戦目は慶大との対戦。早大撃破に闘志を燃やす慶大を相手に思わぬ苦戦を強いられたが、56分にFW三浦亮(教4=青森・八戸商)が勝ち越し点を挙げ2-1で勝利。FW陣の決定力に課題を残したものの、順当に勝ち点3を積み上げた。
多くのシュートを放つも、ゴールが遠い試合となった。第1ピリオド(P)序盤から早大がパックを支配し、何度も慶大ゴールを脅かす。しかし慶大の集中した守りに苦しめられ、なかなかゴールネットを揺らすことができない。波乱が起こったのは第1P終了間際。DF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)が相手選手の激しいチェックを受け負傷退場。このプレーにより相手選手はメジャーペナルティーとミスコンダクトペナルティを課されて退場となり、騒然とした空気の中で第1Pが幕を閉じた。
この秋得点力が増している寺井
早大の約5分間に及ぶパワープレーからスタートした第2P。この数的有利のチャンスで待望の先制点を挙げたのは、関東大学リーグ戦(リーグ戦)開幕以来3試合連続で得点しているFW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)。21分48秒、ブルーライン付近からのスラップショットがきれいに決まり、スコアを1-0とした。この勢いでさらに点数を重ねたい早大だったが、パスミスやアイシングで攻撃が途切れるなどし、結局5分間のパワープレーは寺井の1得点のみで終了。すると34分5秒、フリーになった白神裕己(慶大)が右サイドから鋭いシュートを放ち、同点ゴールを許してしまう。第2Pを1-1で終え、勝負の行方は第3Pに委ねられた。
「引き分けに終わるわけにはいかない」(三浦)。何としても1点が欲しい第3P。早大は決定的なシーンを何度も生み出すが、相手GKの好守に阻まれ決め切れない。時間は刻一刻と過ぎていき、試合時間は残り4分。ここで早大がタイムアウトを取り、より攻撃的なセットで勝負をかけることを決断。そして56分5秒、FW森田哲朗副将(教4=東京・早実)と寺井がキープしたパックを三浦が押し込み、ついに勝ち越しに成功。2-1で辛くも慶大に勝利した。
好アシストで勝利に貢献した森田
「もう少し楽な試合展開にできた」とFW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が振り返ったように、パックの保持率やシュート数で慶大を圧倒しながら、最後まで苦しい戦いを演じてしまった。次戦の相手はリーグ戦開幕4連勝中の明大。いままで以上に得点機を無駄にしないことが勝利への絶対条件となる。実力者ぞろいの手ごわい相手だが、早大の武器である『チームワーク』で明大の牙城を崩してほしい。
(記事 末永響子、写真 角田望)
関東大学リーグ戦 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 慶大 |
0(17) | 1st | 0(9) |
1(20) | 2nd | 1(10) |
1(16) | 3rd | 0(11) |
2(53) | 計 | 1(30) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 21:48 | 寺井 | 三浦 | 森田 | PP |
慶大 | 34:05 | 白神 | - | - | - |
早大 | 56:05 | 三浦 | 寺井 | 森田 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 池田 | 金子立 | 加賀美 | 石川 | 清 |
2 | 青木 | 三浦 | 金子聖 | 堰合 | 斜森 |
3 | 寺井 | 横町 | 森田 | 新井 | 松本 |
4 | 佐藤 | 瀬戸 | 田中 | 格地 | 志村 | GK中川 |
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合を振り返っていかがでしたか
最初から足も動いていてシュートも打てていてチェックにも行けていたので、内容は悪くなかったんですが、なかなか点が取れず、苦戦をしたかなという感じです。慶大がよく守っていたというのもありますし、一回のシュートで決まらなくて攻撃が淡白になっていたのかなという部分もあるんですけど、全体的にはよくシュートも打っていたので、我慢しながらやるようには指示しました。
――第3ピリオド(P)後半のタイムアウトではどのような話をされましたか
点を取りに行こうということで、セットを2つに絞ってパワープレーのセットで回すということと、まだあと4分あるので慌てずに、きっちりうちのホッケーをやろうという話をしました。
――良い時間帯に勝ち越し点を奪うことができましたね
そうですね。タイミング的には良かったです。選手は途中でケガ人が出たりして、DFを5人で回した中でもよく足を動かして頑張っていたと思います。
――次は明大戦です。どのように準備していきたいですか
これから明大、東洋大、中央大という上位校と当たっていく上で、一発目です。春に負けていますし、それこそ挑戦者の気持ちで、いままでやってきたうちのホッケーがどこまで通用するかというのをチャレンジしたいと思っています。
FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を振り返っていかがでしたか
シュート数が多かったんですが、それで2得点だったので確立がすごく低くて、勝ち点を取ったのは良かったんですけど、もうちょっと楽な試合展開にできたんじゃないかなと思います。
――試合内容では圧倒していましたが、ゴール前でのプレーに課題が残ったということでしょうか
チャンスがたくさんあったんですが、自分も含めてFWが外していたので、DFとGKが本当にかわいそうな試合でした。新井(DF新井遥平、スポ1=北海道・駒大苫小牧)がケガをしてしまって、(DFを)5人で回していた中で、負担をかけてしまったなという感じがします。
――慶大の印象はいかがでしたか
プレッシャーは早かったんですけど、その分前がかりになってきていたので、全員がもう少し全体的に落ち着いて見ることができれば、もっと得点のチャンスが増えたんじゃないかなと思います。
――次から明大、東洋大、中央大と上位校との試合が続きますが、その中でどのようなホッケーをしていきたいですか
ケガして出れない人もいて、いまいる人数でやらなくてはいけないのですが、残りの練習で今回良くなかったところを修正して、チームプレーをして勝ちたいと思います。
FW三浦亮(教4=青森・八戸商)
――きょうの試合を振り返って
内容としてはそこまで悪いわけではないのですが、決めるべきところで決められなくて自分たちで苦しい状態にしてしまいました。勝てたことは良かったです。
――2得点に絡む活躍でした。1点目を振り返って
1点目は僕は簡単なパスを出しただけで、あとはトシ(FW寺井敏博、国教2=米国・チョートローズマリーホール高)が良いシュートを入れたので。スクリーンやゴール前を頑張ってというかたちでやって、入ったので良かったです。
――2点目を振り返って
なんとしても引き分けで終わるわけにはいかなかったので、最後パット回しで点を取りにいく中でトシと哲朗(FW森田哲朗副将、教4=東京・早実)が良いキープをしてそこから良いパスが来て入れるだけだったのですが、入れられたのでそこは良かったです。
――試合を通じてFW陣の調子はいかがでしたか
シュートは打っていたと思うのですが、ゴール前のスクリーンだったり、リバウンドだったりが甘かったかなと。DFからのシュートが多い割に点数が入ってこないのはそこに原因があると思うので、練習からしっかりやっていきたいと思います。
――4年生として臨むシーズンですがいままでと違う部分はありますか
やはり最後の大会なので勝ちたい気持ちもありますし、後輩を勝たせてあげたいというのもありますし、チームを勝たせるプレーというのをしていかないといけないと思います。日体大戦ではそれができなかったのですが、きょうはなんとか入れられたので、そういったプレーをこれから続けていければと思います。
――明大戦へ向けて意気込みをお願いします
単純な力でいったら明大の方が一人一人のスキルは上かもしれないですが、全員が信頼してプレーすることがワセダのチームワークの良さだと思うので、一人一人が仕事をして明大に勝ちにいきたいと思います。
DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)
――この試合を振り返っていかがでしたか
きょうは相手のGKがすごく良い中で、なかなか点数が取れなくて厳しい時間帯が続いたのですが、しっかりゴール前でのリバウンドを入れることができたり、入れるところは入れることができました。選手みんなが基本的なことをやってくれたことが、最後の三浦さんの点数につながって、結果的に勝つことができたのは良かったです。しかし、シュートを53本打って得点が2というのは、チームとしてまだスコアリングチャンスを生かせていない厳しい試合だったのかなと思います。
――このようなロースコアの試合となることは予想していましたか
まず毎試合自分たちは失点は少なくしていこうという考えで、取れる点数はどんどん取っていこうという気持ちでした。失点に関しては1点で良かったです。得点に関しては物足りないという気持ちがあります。
――相手のゴール前の守備の印象はいかがでしたか
しっかり相手が体を張って自分たちのゴールを守ってくるのに対して、DFがシュートを安易に打って当ててしまったり、GKも届かないシュートを打ってしまっていたので、そういうところから自分たちの攻撃のチャンスを失ってしまった点があるのかなと思います
――ここ数戦ではペナルティーが少なくなってきた印象ですが、チーム内では何か話されたりしていますか
スタッフから、「きょねんのリーグ戦では中大のペナルティータイムが1試合平均7分だったので、ことしは自分たちがそれ以下に抑えてキルプレーを少なくして、自分たちのピンチの時間を減らそう」ということを言われて、自分たちがペナルティーをしないということに関しては、意識が高くなってきたのではないかなと思います。
――1失点に抑えましたが、この試合での早大の守備全体を評価していかがですか
新井がケガをしてしまうなどトラブルはあったのですが、しっかりDFがやることを果たしてくれたので、良かったのではないかなと思います。しかし、相手がプレッシャーをかけてきている状態でのパス出しだったり、相手よりも先にルーズパックを取るということに関しては、自分を含めてまだ課題が残るのではないかなと思います。
――明大戦に向けて意気込みをお願いします
来週からは現時点でまだ負けていない3チームと対戦で、それに当たっては1次リーグで差を付けられるかどうかの大切な試合になってくると思うので、しっかり戦って勝ちたいと思います。
FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)
――きょうの試合の感想は
シュート数は結構多かったのですが、決めるべきところを決め切れてなくて、リバウンドなど泥くさいプレーが足りなかったと思うので、今度からはもう少し集中して、ゴール前で強く打ち込むくらいの勢いでやっていきたいと思います。
――早慶戦への意気込みは
どんどんゴールを決めて点数を開きたかったのですが、タイトな試合になってケガ人も出てリズムが取れない試合だったので、あまり良いかたちではなかったと思います。
――荒れる場面も多かったですが
相手には危ないプレーも多かったのですが、ワセダは自分のプレーを変えず、ペナルティをもらってパワープレーの場面で入れていかないと駄目だと思いました。
――1点目のゴールについて
パワープレーの最中で、下から良いパスが上がってきて、ゴール前の位置にいたので、上からスラップショットを打って、それがきれいに入ったので良かったです。
――同点の場面が長く続きましたが
心の中ではみんな焦っていたと思いますが、焦らないでとにかく1点を返そうという意気込みで、その1点が入れられて良かったと思います。
――きょうの試合のポイントは
プレーが止まることが多くてリズムが崩れていたと思うので、パックをちゃんと止めたりという小さいところを意識してやっていかないといけないと思います。
――次戦の明大戦に向けて
明大はタレントが多くて、すごく攻撃的なチームなので守りから攻めに上がる意識で絶対に勝ちたいと思います。