伝統の一戦に大勝!

アイスホッケー

 春のシーズンを締めくくる早慶定期戦。「負けられない戦い」(FW森田哲朗副将、教4=東京・早実)と意気込み臨んだワセダは、第1ピリオド(P)から大会MVPに輝いたFW三浦亮(教4=青森・八戸商)を中心に攻撃陣が奮闘。多くのルーキーがデビューを飾った一戦を8得点の快勝で終えた。

大会MVPの三浦

 序盤からワセダの実力を見せつける試合となった。開始早々の46秒、三浦がゴール前に抜け出すと、森田へ完璧なパス。これをしっかりと決め、先制点を挙げる。その後同点に追いつかれるも、FW青木優之介(スポ2=埼玉栄)の2得点やFW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)の豪快なゴールなどで再び差を広げ、第1Pを5-1で終える。第2Pもワセダのペース。20分26秒、青木とFW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)のパスで相手を崩すと、期待のルーキー・DF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)が6点目のゴール。またしてもピリオド開始直後にケイオーの出鼻をくじいた。さらに25分21秒には同じくルーキーのFW瀬戸公大(スポ1=北海道・白樺学園)が嬉しい初ゴールを記録し、試合を決定づけた。

 第3P、追い上げを狙うケイオーは攻勢に転じる。しかし試合が進むにつれて安定感を増すDF陣、そしてGK遠藤秀至(社2=東京・早実)がその前に立ちふさがる。また途中出場したGK草島邦彦(社1=東京・早実)も、1失点こそ喫したものの1年生らしからぬ落ち着いたセービングでゴールを守り切った。その後もDF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)のロングパスから三浦が8点目を決めるなど、素早いパスワークで相手を翻弄(ほんろう)。2連敗という後味の悪いかたちで幕を閉じた関東大学選手権(選手権)から、再びワセダが本来のホッケーを取り戻した。

途中出場の草島(左)とゴールを託す遠藤

 伝統の一戦を見事制し、春のシーズンは幕を閉じた。秋に迎える関東大学リーグ戦(リーグ戦)へ向け、これから4カ月間のトレーニング期間に突入する。選手権で4位に終わったチームにとって、飛躍のために必要なのは「競争意識と個々のスキルアップ」(石川)。春の悔しさを糧に、それぞれの思いを胸に厳しい練習に励んでいく選手たち。秋に一段と成長を遂げたホッケーを完成させ、悲願のリーグ戦制覇を手にすることができるか。

(記事 伊藤広真、写真 中澤佑輔)

早慶定期戦
早大 ピリオド 慶大
5(17) 1st 1(11)
2(10) 2nd 1(11)
1(10) 3rd 1(17)
8(37) 3(39)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 0:46 森田 三浦
慶大 3:25 梅津 鈴木
早大 04:42 青木 池田 金子
早大 7:44 三浦 斜森
早大 17:39 寺井 堰合 三浦 PP
早大 18:20 青木 池田
早大 20:26 新井 池田 青木
早大 25:21 瀬戸
慶大 27:51 小池 鈴木
早大 46:59 三浦 石川 青木
慶大 54:58 下村 江口 高安
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
池田 金子立 青木 石川 新井
寺井 三浦 森田 堰合 斜森
加賀美 瀬戸 佐藤 横町
金子聖 吉田 田中 村上 松本
GK遠藤→草島
コメント

草島武彦監督(昭62卒=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

ケイオーとは今シーズンこれが初めての試合でした。ケイオーは春の大会で12位と結構苦戦してて、うちも優勝を狙っている中で4位だったのでお互いにこの試合で弾みをつけたいという気持ちがあったと思います。だから、気持ちでは負けちゃいけないと思って最初から強い気持ちで臨みました。結果的に第1ピリオド(P)でたくさん得点できたんですけど、試合が終わってみれば向こうの方がシュートを多く打っていたりしてたのでそこは若干課題が残りました。ただ、きょう第3Pは4つのセット全員が出れたし、バックアップの子も出れたしベンチに入ったメンバー全員で勝ち取れた勝利だったのでそれはそれで本当に意味があるなと思っています。これで春のシーズンは終わって次は夏合宿まで陸トレ期間に入ります。ここで一度リセットとされるので春の大会に出られなかった選手はこの陸トレ期間で自分の課題を克服したり体を鍛え直してまた出直してほしいなと思うし、試合に出てた選手はさらに技術を伸ばして秋に備えてほしいなと思います。

FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――ケイオーのホームリンクでの早慶定期戦(早慶戦)ということで、どのような意気込みで臨みましたか

移動とかもあってベストなコンディションではなかったんですけど、チーム全体が足を動かして、良い試合ができたんじゃないかなと思います。

――きょうは多くの観客が来場していました

気負いすぎることはなかったんですけど、プレッシャーに感じる選手も中にはいたと思います。それでもしっかりできたのは応援のおかげかなと思います。

――試合全体を振り返っていかがでしたか

どれだけ失点せずにを点を取れるかという目標があって、ベストな出来というわけではないですけど、少しはそれに近づけることができて良かったと思います。

――第4セットの選手の出場時間がいつもより長かったと思います。主将としてどのように感じていますか

第4セットの選手たちが活躍すると、上のセットの選手も刺激を受けてより良いプレーヤーになっていけると思うので、そういう選手の活躍がこれからのワセダに必要不可欠だと思います。

FW森田哲朗副将(教4=東京・早実)

―-きょうの試合を振り返ってチームとしてどうでしたか

立ち上がりが良くて、一回追いつかれたんですけどその後すぐに連続して点が入ったので展開としては良かったと思います。最後に失点したのは良くなかったのですが、全体としては良かったと思います。

――ご自身は先制点を挙げられましたが

良い形でパスが来たので、いつも練習でやってきたことが発揮できました。

――きょうの試合でのご自身としては

2セット目としては点数を多くとれたのですが、2失点したということが2セット目として満足できないところだったので、得点とさらに失点をなくせばチームがいい方向に向かうと思うので、FWの自分がやれることを秋に向けて頑張っていきたいと思います。

――では、失点を許してしまった原因は何だと思いますか

いつもやっている環境とは違っていたのと声がリンク上で通らないことによるコミュニケーション不足のせいだと思います。

きょうの早慶戦に臨むにあたっての意気込みは

負けられない戦いでした、絶対に。何十年も負けていないので。いつもと違う環境だったのですが、それを言い訳にしない、ということをチームで言っていたので、それができて良かったです。

――今回の早慶戦で春の試合はすべて終了しましたが、この2か月間をまとめて振り返っていかがでしたか

春の大会が4位という結果に終わってしまって、優勝を目標に掲げていたので満足できない結果となりました。でも新しい代になって初めての大会で、ワセダはことしもまだやれるっていうことが見えたので、それは秋に向けて良い収穫だったと思います。

―-新しいチームになって2か月がたちましたが、どのような雰囲気ですか

まだ1年生が堅い雰囲気なのですか、徐々に一緒に試合に出てくる人も増えてきたので、それは4年生が1年生にもっと自由にやらせて、元気出させてあげればもっとチーム力が上がっていくと思います。

――今後に向けての意気込みをお願いします

これから走ったり、ウエイトをしたりなどつらい期間が続くのですが、それが大事なのでそこで4年生が率先して引っ張ってやっていけばチームの底上げになると思うので、頑張りたいと思います。

DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)

――きょうはどのような意気込みで試合に臨みましたか

年に2回の早慶戦であり、日本で一、二を争うくらい観客や応援団の方が入ってくれるという中で、とりあえず1年生は初めての経験だったのでそれを気負わずこの雰囲気に慣れながら最初から一生懸命プレーすること。そしてここ何十年も負けていないということで、結果を残して勝つということを目標にきょうは終始やってきました。

――試合を振り返ってみて

失点に関しては一つ目と二つ目のセットで喫してしまってそれが反省です。一方で三つ目と四つ目のセットでは無失点というのは評価すべきだと思います。得点もある程度い形で取れたので、これから夏に入ったら陸上トレーニングになるんですけど、それに向けて最後、いい試合になったのではないかと思います。

――立ち上がりは守備が不安定でしたがどのようなことが要因だったと思われますか

特に第1ピリオド(P)はDFのニュートラルゾーンでの不用意なパスミスだったり、長いパスでのパスカットといったところから相手に攻撃のチャンスを与えてしまったのがいくつか見られました。それが流れを悪くする原因だったのかなと思っています。第2P以降はそれを修正するように話し合ったので第1Pよりは良くなったかなと思います。

――DFリーダーとしてはどのようなことを意識していますか

自分のプレーはもちろんのこと、できるだけ周りの選手のことも話し合いながらコミュニケーションをとって一つ一つ直していこうということを意識しています。一気に変えることは難しいので一つ一つプレーの中で修正していこうというのを言うように意識しています。

――8点目のアシストは長いパスがきれいに決まりました

三浦(亮、教4=青森・八戸商)さんが縦のいいところに走っているのが見えたのでそこに合わせる感じでしっかりと出せて、得点が取れたのでとても良かったと思います。僕の売りはパスだと自分では思っているので、そういうところをお客さんに見てもらえたかなと思います。

――お互いミスというのが見られながらも大差がつくというのは、決定的な差がどこかにあるのでしょうか

得点シーンに関しては、数的優位で得点できていたりゴール前の泥臭さというのが違うと思います。また、GKがリバウンドをコントロールしてくれて失点につながらないというのがケイオーより多いので、そういった得点する力というのがきょうはケイオーよりワセダの方があったのかなと思います。

――9月までしばらく時間がありますが、どのようなところを改善していきたいですか

リーグ戦(関東大学リーグ戦)の前にサマーカップ(大学交流戦苫小牧大会)が苫小牧の方であるので、合宿をどこかでやってそれに臨むのですが、いったんここでセット構成をリセットして、全員が競争意識を持ってスキルアップすることをまず目標としてやっていきたいと思います。個々がスキルアップすることでチーム力というのが上がっていくと思うので、陸上トレーニングをベースにして氷上でのパフォーマンスをアップできればと思います。

FW三浦亮(教4=青森・八戸商)

――きょうの試合を振り返って

ケイオーが大変走っていて良い試合をしていたのですが、取るべきところで取って勝つことができたので、失点は要らなかったと思いますが良かったと思います。

――MVPも受賞されましたが、お気持ちを教えてください

全然自分のプレーがまだ成っていないので満足とはいかないのですが、周りの選手がよく頑張ってくれたので、本当に周りのおかげで取らせていただきました。

――具体的にどこに課題を感じているのですか

やはり少し緩慢なプレーであったりとか、まだまだパスやパックキープ一つにしても自分自身が納得できるレベルにまで達していないので、そこを秋に向けてしっかりトレーニングしてやっていきたいと思っています。

――きょうのプレーで良かったところはどこですか

普段は点数が取れなくてずるずるいくというパターンが多いのですが、きょうは序盤からしっかり点数を取って試合運び自体を楽にすることができたので、そこは良かったかなと思います。

――関東大学選手権後はどのような練習をしてきましたか

終わってからは結構オフ期間だったのですが、ケイオーがすごく気持ちを入れてやってくるということは分かっていたので、気持ちだとか、あるいは走り負けないということを特に意識してここ3日間はやってきました。

――秋シーズンに向けてこれからどのようなことを重点的に伸ばしていきたいですか

まずはやはり自分自身の筋力だったり、個人で言えばもっと走れるようにしたいので、言われたことだけではなくてプラスアルファで自分で考えながらトレーニングしていくということをやっていきたいです。チーム全体としても、一人一人がそういう考えを持ってやってくれればもっと良くなると思うので、まず自分がやって、周りにも期待しつつ、秋に向けて全員でやっていきたいと思います。

FW青木優之介(スポ2=埼玉栄)

――会場の雰囲気はいかがでしたか

普段なかなか味わうことのできない雰囲気だったので、緊張しましたね。

――どのような気持ちで試合に対する臨みましたか

しばらくケイオーには負けてなかったので、きょうも点を取って絶対に勝つ、と思っていました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

立ち上がりは良かったのですが、何回か同じような失点があったので、今後はそこを修正していきたいと思っています。

――きょうはルーキーも活躍しましたね

大舞台で活躍したということで、今後も期待したいと思います。

――自身の得点シーンを振り返っていかがですか

あれは先輩から絶妙なパスを受け取っただけです。

――秋季リーグ戦に対する意気込みをお願いします

しばらく氷から離れてしまいますが、陸上トレーニングなどをしっかり行い、基礎固めをしっかりしてから臨みたいです。

FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)

――早慶戦に臨むにあたって

春大会中、セットごとに形やPP(パワープレー)でのプレーの仕方をずっと練習をしてきていて、そういう形が整ったホッケーができたらいいなと思ってこの試合に臨みました。

――試合を振り返っての感想をお願いします

第1Pからすぐ点を決めることができて良い勢いだと思いましたが、その後すぐに点を入れられてしまうなど、失点をしてしまったことに対しては反省すべき点がたくさんあると思います。点差はつきましたが、失点を減らさないと、強いチームと戦ったとき問題となってくるので、そういう細かい部分を反省していきたいです。

――第2P、第3Pは調子が落ち、シュート数で相手と均衡する結果となりましたが、原因はどこにあるのでしょうか

第1Pだけでなく、第2Pと第3Pまで続くホッケーをしなければならないので、メンタル面をキープすることなどが重要になります。明大戦、東洋大戦でも第3Pまで続くホッケーをすることができず、逆転されて負けてしまったので、どんな相手でもワンシフトワンシフト、もっと強くプレーしていかなければならないと思います。

――ご自身のゴールシーンを振り返っていかがでしょうか

パワープレー中に堰合(芳貴、社2=青森・八戸工)が良いパスをくれて、清さん(俊輔、スポ3=青森・八戸工)が良い感じでスクリーンに入っていたので、これはいけるなと思ってスラップショットを打ったらきれいに決まって嬉しかったです。

――ご自身の良かった点はありますか

早慶戦は観客の方、コーチやスタッフ、いろんな人が関わっているので、一生懸命プレーをして、恩返しといったら変なのですが、いろんな人のために試合ができたと思います。

――サマーカップ、秋季リーグ戦に向けて、修正していきたい点を教えてください

夏に入ると氷上でプレーする機会が減るのですが、その分陸トレとウエイトがきつくなるので、そこで気を緩めずに、そこからチームひとつになってがんばって、力を合わせてサマーカップなどに挑んでいきたいと思います。

FW瀬戸公大(スポ1=北海道・白樺学園)

――試合を振り返って感想をお願いします

きょうはチーム一体となって戦うことができて、最終的にも勝てたのでよかったです。

――ご自身にとっての大学初ゴールも決めましたが、いかがでしたか

嬉しかったです。先輩方のサポートがあって入れられたと思います。

――初めての早慶戦でしたが、どのようなお気持ちでしたか

まず観客の歓声がすごく大きくて、それが力になって楽しくプレーができました。緊張しました。

――入学からひと月経ちましたが、チームには慣れてきましたか

先輩が優しく声をかけてくれたりするので、だんだん慣れてきました。

――きょうの試合は第1Pで大量得点した一方で、第2P以降は相手のシュート数が上回るなど次第に失速した印象でしたが、戦っていてどのように感じましたか

最初は結構得点も取れて、どちらかというと守りをしっかりしようという感じでやっていたんですけど、逆に守りに徹しすぎて塞がり気味になったのがよくなかったかなと思います。

――これから夏に向けての目標と、課題があれば教えてください

まずは体重を増やさないと体負けするので、体重を増やして、大学のスピードについていけるように練習していきたいと思います。