ことし1月に行われた日本学生氷上競技選手権、その決勝の舞台で熱戦を演じた相手と、代替わりを経て再び相対する時が来た。リベンジに燃える明大との決勝進出をかけた一戦。開始直後に先制点を奪い順調に主導権を握るかと思われたが、第2ピリオド(P)後半で手痛い連続失点。第3Pでも流れをつかむことはできず、無念の敗戦を喫した。
貴重な3点目を押し込んだ新井
実力が拮抗(きっこう)する相手だけに、序盤から接戦が繰り広げられた。第1P開始1分52秒、パワープレーのチャンスを得た早大は、絶妙なアシストをDF堰合芳貴(社2=青森・八戸工大一)が落ち着いてゴール。試合を左右する貴重な先制点を奪った。しかし対する明大もすかさず反撃を開始し、一進一退の攻防が続く。8分55秒には、好アシストを出したDF石川貴大(スポ3=埼玉栄)とFW青木優之介(スポ2=埼玉栄)の連携プレーが光り、再び1点リード。その後もゴール前の混戦からDF新井遥平(スポ1=北海道・駒大苫小牧)がリバウンドを逃さず得点し、限られたパワープレーのチャンスを確実に活かして早大が勢いに乗りかけた。しかし第1P残り1分、センターライン付近でインターセプトが起こり、そのまま持ち前のスピードで切り込んだ明大FWが完全なノーマークでのシュート。3-2と1点差に詰め寄られ、第1Pを終えた。
第2Pは明大ペースで試合が進んだ。開始3分で得たパワープレーでの好機を逃すと、流れは一気に明大へ。同点に追いつかれた後、2人がペナルティを犯し3対5のキルプレーに。「一人一人の守りの意識が途中から薄れてしまった」(FW池田一騎主将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)との言葉通り、相手の強力なFW陣に対して守備に精彩を欠く。ここで焦りを見せた早大は一気に相手に攻め込まれ、3-4と逆転を許した。何とかこの流れ断ち切りたい早大であったが、思うような動きができず自陣でのプレーが続く。勢いづいた明大の猛攻を止められず、残り1分30秒というところでミスが重なり立て続けに2点を失ってしまう。3点差をつけられ厳しい展開の中、残り1秒で一瞬の隙を突かれ、明大がダメ押しの追加点。第2Pが終了してみれば、3-7とまさかの4点差が開いた。続く第3Pではパワープレーで得たチャンスを得点に結びつける場面があったものの、なかなか明大の堅い守りを破ることができず時間ばかりが過ぎていく。残り1分で6人攻撃を仕掛けるも、あえなくタイムアップ。最終スコア4-7で、決勝進出の切符を逃した。
大量失点に肩を落とす森田
関東大学選手権は3年連続で決勝進出を逃している早大。次は29日の3位決定戦で東洋大と対峙(たいじ)する。今試合で得た課題は、守備の弱さだ。特別に攻撃力が高いわけではない自チームに関して、「少ないチャンスで決めて全員で守るというチームにしていきたい」と池田主将は語る。今大会優勝という目標を果たすことはできなかったが、この試合で得た収穫を次戦に活かし、3位の座を勝ち取ってほしい。
(記事 宮西祐香子、写真 松田萌花)
関東大学選手権(準決勝) | ||
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早大 | ピリオド | 明大 |
3(11) | 1st | 2(15) |
0(7) | 2nd | 5(19) |
1(13) | 3rd | 0(17) |
4(31) | 計 | 7(51) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 01:52 | 堰合 | 森田 | 三浦 | PP |
明大 | 02:47 | 大場 | 大椋 | - | - |
早大 | 08:55 | 青木 | 石川 | - | - |
早大 | 17:07 | 新井 | 池田 | 青木 | PP |
明大 | 19:03 | 上野 | - | - | - |
明大 | 25:34 | 上野 | 大津 | 大場 | - |
明大 | 31:25 | 大椋 | 永井 | 梶原 | PK | 明大 | 38:30 | 大椋 | - | - | - |
明大 | 38:42 | 川村 | 大津 | - | - |
明大 | 39:59 | 上野 | 川村 | 大津 | - |
早大 | 47:30 | 金子立 | 三浦 | 池田 | PP |
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティーショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 池田 | 金子立 | 青木 | 石川 | 新井 |
2 | 寺井 | 三浦 | 森田 | 堰合 | 斜森 |
3 | 加賀美 | 瀬戸 | 佐藤 | 横町 | 清 |
4 | 金子聖 | 吉田 | 田中 | 村上 | 松本 | GK遠藤 |
コメント
草島武彦監督(昭62教卒=東京・早実)
――試合を振り返って
インカレ(日本学生氷上競技選手権)で明大に勝って、向こうは相当悔しい思いをしてリベンジに燃えていたと思います。そういう中でも強い気持ちを持って臨みました。第1ピリオド(P)はパワープレーもしっかり決められて、最後の1失点は反省するべきところだったのですが、リードで終わることができました。第2Pもしっかり勝ってロッカールームに戻ってこようと言っていたんですが、連続失点であったりチャンスで決められなかったりと、ああいうかたちになってしまいました。第3Pは1点1点確実に決めて追いついていこうと話をして、我慢の展開ではあったんですけど結果的には第3Pだけで言えば1−0で勝って、本当に第2Pが悔やまれるというか。それが実力なので、その辺を立て直して、29日の3位決定戦ではしっかりと勝って、この春のトーナメントを終えたいと思います。
FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの明大戦にはどのような意気込みで臨みましたか
下馬評ではワセダが圧倒的に負けるんじゃないかとか言われている中で、それをひっくり返すことで観客を盛り上げるっていう気持ちがありました。春優勝が目標だったので、みんなの期待を良い方に裏切ってやろうという思いで臨みました。
――個々の力が強いと言われている明大に対し、どのような作戦を立てていましたか
明大は攻撃力がすごく高いので、点数の取り合いをしても勝てません。しっかり守って少ないチャンスの中でPP(パワープレー)とかで決めて勝とうというゲームプランでした。
――第1Pは集中してプレーできていたように思いますが
第1Pは良い流れだったんですけど、最後残り時間が少ないところで失点してしまったのが第2Pの良くない流れにつながってしまったと思います。
――第2Pでは失点を食い止めることができませんでした
最初の何点かは仕方ない部分があったのかもしれないですけど、連続失点して流れが悪くなってしまって、一人一人の守りの意識が途中から薄れてしまったと思います。相手の体で当たってくるシンプルなホッケーに対して、恐怖心というか、精神的に負けていた部分が失点につながったのかなと思います。
――第1セットはプレーしている時間が他セットに比べると長かったと思います。体力面ではいかがでしたか
春優勝という目標がある中で、陸トレだったりウエイトだったりをやっていたので、体力的には全く問題なかったです。
――今回見つかった課題は
やっぱり守りがワセダのウィークポイントで、それが小さいウィークポイントならすぐ改善することができるんですけど、非常に大きいウィークポイントになってしまったので、それが課題かなと思います。
――次の3位決定戦に向けて
残り1回練習がありますが、これからシステムどうこうとか守りのレベルを上げていこうというのはできないと思うしナンセンスだと思うので、個人個人の守りの意識の改善から始めていきたいと思います。
――一つの目標であった春の優勝は逃しましたが、早大は毎年ここからチームが良くなっていく印象があります。長い目で見て今後どのようなチームを目指していきたいですか
攻撃力が他の大学に比べて長けているわけではないので、ロースコアの展開でPPだったり少ないチャンスで決めて全員で守るというチームにしていきたいです。アイスホッケーにとってはそれが基本なので、そういう部分を基礎から全員が意識してやっていけるように練習をして、これから徐々に上げていければと思います。
FW森田哲朗(教4=東京・早実)
――きょうの試合を振り返って
優勝することが目標だったので、次は3位決定戦ということで悔しいです。立ち上がりは良い感じで入れましたが、第1Pの最後の失点から第2Pの悪い流れを断ち切れずに、そのままいってしまったのが良くなかったと思います。
――明大への対策は
実力的には明大の方が上で、ワセダはチーム、セットが一つとなってやらなければ勝てないという話はもう春が始まる前から言っていたことでした。でも第2Pはそれが実践できなかったです。
――第2Pには連続失点で点差を離されました。連続失点の要因は何か感じていますか
簡単なクリアミスや、声を掛け合えば防げた失点などがとても多くなってしまったことが要因だと思います。
――そのときのチームの雰囲気は
失点したときに、そこで盛り上げなければいけないところを全員が沈んでしまいましたし、そのことも悪い流れを断ち切れなかった1つの要因だったと思います。
――第2Pを終えたところで、次の第3Pに向けてチームではどのようなことを話し合われましたか
諦めないで1点1点返していこうということでした。第3Pは1点しか取れませんでしたが、無失点に抑えられたのは良かったと思います。
――この敗戦をチームとしてはどう受け止めたいですか
いまの実力はこんなもんだと思うので、次の試合に向けてあと1回練習があるので、修正して、勝てるように頑張りたいと思います。
――個人的にはどのような意気込みで試合に臨みますか
個人的にはもちろん得点に絡む仕事をしたいと思いますし、もちろんスコアを狙って2セット目としてチームの勝利に繋げられるようなプレーで頑張ります。
DF石川貴大(スポ3=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返って
先週までとはまるでレベルの違う相手に対して、試合前にミーティングでロースコアで戦って3失点以内に抑えて勝とうという話だったんですけど実行できなくて、僕を含めチーム全体がもっと守りの意識を大切にしてプレーしなくてはいけないことを痛感する試合でした。
――守備面について
僕自身失点に絡むプレーがあったり、チームとしてゴール前の守りが甘かったりターンオーバーされる展開が多くて、守り自体がきょうは良くなかったです。メイジの良いFW陣にしっかり決められたという感じで、本当に課題を残す試合になりました。
――相手のスピードへの対応はどうでしたか
相手のFWが上がってきたときにワセダのFWが一人二人プレッシャーに入っても簡単に抜かれてしまうという場面が多々あったり、DFがサイドを走られてやられる場面も少なからずあったので、そういう面に関しては課題があるかなと感じます。
――第2Pでの大量失点の要因は
逆転されてチーム全体がバタバタしてしまって。僕を初めとする不必要なペナルティーからチームの流れが悪くなってしまったのではないかと思います。
――攻撃面について
4点取ったので。試合前のミーティングでは4点取って3点以内に抑えて勝つという目標だったので、目標の数字は出せたかなと思います。そんなにワセダは点を取れるチームではなくてロースコアの展開でないと勝てないと思ってるので、4点というのはチームとしてある程度評価できるのではないかと。
――次戦に向けて一言お願いします
目標だった優勝はできなかったんですけど、最後はしっかりワセダらしいプレーをして、ロースコアの展開で勝って終われればいいと思います。自分としてもきょうみたいに7失点するような展開にしないようにDFを引っ張って、DF同士やGK、チームでコミュニケーションをしっかりとってやりたいと思います。
FW青木優之介(スポ2=埼玉栄)
――きょうの明大戦に向けて、どのような意気込みで臨みましたか
春の始めからチームとして、春に優勝という目標でやってきたので、この試合は負けられないなと思っていたのですけど、残念な結果になってしまいました。
――第1Pでは得点に絡む場面も見られましたが
とりあえず点を取らないと勝てないと思ったので、最初から点を取りにいく気持ちでやりました。
――第2Pでは流れを持っていかれてしまいましたが、その原因は
1点失点した後に立ち直れなかったのが原因だと思います。
――4点差をつけられて、どのようなお気持ちで第3Pを迎えましたか
とりあえず失点してしまったことはしょうがないと思ったので、切り替えて点を取りにいこうかなと思っていました。
――次の3位決定戦に向けての抱負をお願いします
春は次で最後になってしまうんですけど、これからも夏とか秋とか、インカレに向けて、それにつながる試合にしたいと思っています。
GK遠藤秀至(社2=東京・早実)
――きょうの試合の感想は
何とも言えないですが、守備がまだ完全ではなかったので、そのまとまり切っていないところがきょうの第2Pで出てしまって、相手にうまく突かれてしまったと思います。
――インカレ決勝以来の明大戦でしたが
特別なところは特にないです。当時の4年生が抜けて、こっちはかなり主力が抜けましたが、向こうはそんなに変わっていないので、プレーも変わっていない感じがしました。
――第2Pで失点の要因は
言われていたところをしっかり守り切れなかったり、疲れてきてプレーが適当になってきてしまったなどのミスをすべて決められてしまったことだと思います。そういうところもしっかりやらないといけないのに、一番集中しないといけないところで集中力を切らしてしまったところが失点につながったと思います。
――DFとの連携は
DFはかなり焦っていたみたいで、指示もあまり通らなかったです。もう少し落ち着いてできれば良かったのですが、今シーズン初めてのしっかりした相手との試合だったので、かなり慌ててしまっていたみたいで、全体的にもう少し余裕をもってできていれば良かったと思います。
――膝のケガの状態は
まだ治ってはいないのですが、痛みのある中でやっていかないと治ったときにすぐに復帰できないので、やりながら慣らしていかないといけないので、本当に無理な時以外はやっています。
――次戦に向けて
練習は一回しかないのですが、そんなに悪いチームではないので、きょう悪かったところをしっかり修正して、次勝てるようにしたいと思います。
DF 堰合芳貴(社2=青森・八戸工大一)
――試合を振り返って
きょうの試合は、第2Pの後半に集中力が切れてしまって、そこで大量失点してしまったのが負けた原因だと思います。
――FW陣が強い明大に対しDFとしてどのような作戦を立てましたか
相手のFWが強いということは分かっていたことで、その中で自分たちがどんなプレーできるかと考えたときに、シンプルにプレーして、変なプレーをしなければ失点しないというのをプレーの目標にしていました。DFとしては、ディフェンディングゾーンにいる時間を短くすることで失点も防げるので、FWに良いタイミングで攻めてもらうパスを出してディフェンディングゾーンを短くというのを心がけました。
――先制点を決めたときのお気持ちは
この試合において、先制点をどっちが取るかがとても重要になると思ったので、先制点を取れて、チームに貢献できたかなとは思います。
――第2Pでは失点が多かったが
集中力が切れてしまったことが大きな原因で、それはやっぱり、日頃の練習から出ていると思うので、これからはしっかり練習も集中して、第1Pから第2Pまで集中してゲームを終えられるように頑張っていきたいと思います。
――次戦への意気込みをお願いします
次の試合までに急に技術が上がるということはないと思うので、最後に気持ちの面をしっかり良い状態に保てるように頑張りたいと思います。