早慶戦に勝利し、飛躍のシーズンを終える

アイスホッケー

 今季最後の試合である早慶定期戦(早慶戦)。ことしも多くの観客が東伏見に詰め掛け、会場は早慶戦ならではの白熱した雰囲気に包まれた。日本学生氷上競技選手権(インカレ)王者の早大は、早慶戦でも盤石の強さを発揮。先制点こそ奪われたものの、大会MVPに選ばれたFW松浦晃(人4=北海道・釧路工)のハットトリックなどで得点を重ね、6-2で慶大に圧勝した。

MVPに選ばれた松浦

 観客からの声援が飛び交い、東伏見のホームリンクは今季一番の盛り上がりを見せた。第1ピリオド(P)開始55秒で慶大に先制を許すも、「普段のプレーをしていれば逆転できる」というDF羽刕銘主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の言葉に冷静さを取り戻し、これ以降は早大が試合の主導権を握る。8分、FW勝田貴之(国教4=米国・ライ高)が放ったショットのリバウンドを松浦がたたき同点に追い付くと、11分にはキルプレー(PK)の状態ながら相手FWの隙を突いた羽刕の速い縦パスが通り、パスを受けた松浦がゴール前まで駆け上がってシュート。GKが弾いたパックを羽刕が押し込み逆転に成功した。

 早大の1点リードで迎えた第2P。27分、DF山田虎太朗(社4=北海道・駒大苫小牧)のロングシュートに反応した1年生のFW青木優之介(スポ1=埼玉栄)が3点目を奪うも、30分に失点し再び1点差となる。だが早大に焦りは見られなかった。第3P開始直後、松浦が自陣でパックを奪うと、相手DFを巧みにかわし落ち着いてゴール。48分には得意のパワープレー(PP)の場面で勝田が決め、5-2と慶大を突き放す。さらに56分、ゴール裏を使ってGKを翻弄(ほんろう)した松浦が見事ハットトリックを達成。慶大から6点目をもぎ取った。この後のPKもGK中川悠輔(教2=東京・早実)を中心に守り切り、試合時間は残りわずか。現チームでプレーする最後の1分間は、ここまでチームをまとめ上げてきた4年生5人がそろってリンクに立った。「監督に5人で出させてくださいとお願いした。試合中ながら涙しそうになってしまった」(羽刕)、「最後の1、2分はかみしめて出ていた。いままでで最高の瞬間だった」(龍ノ口弘陽、社4=東京・早実)。早大の勝利を告げるブザーが響き渡ると、選手たちは皆達成感に満ちた表情で喜びを分かち合った。

勝利を喜ぶ選手たち

 伝統の早慶戦を制し、飛躍の今シーズンを華々しく締めくくった早大。「本当にいろんな方に応援されていたことを改めて実感した」と山田が言うように、大観衆の声援を受けてプレーした経験は選手たちの糧となるだろう。大学日本一のチームを作り上げた4年生は今大会で引退となる。来季、新チームはどのような活躍を見せてくれるのか。新たな歴史がここから始まる。

(記事 末永響子、写真 森健悟、深谷早紀)

早慶定期戦
早大 ピリオド 慶大
2(18) 1st 1(8)
1(17) 2nd 1(9)
3(10) 3rd 0(12)
6(45) 2(29)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
慶大 0:55 東内 種田
早大 08:29 松浦 勝田 青木
早大 11:07 羽刕 松浦 PK
早大 27:41 青木 山田 池田
慶大 30:44 山本 梅澤 三田
早大 40:31 松浦
早大 48:13 勝田 山田 PP
早大 56:09 松浦 羽刕 寺井
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
コメント

DF羽刕銘主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの早慶戦を振り返って

マネージャーを中心に盛り上げていただいて、最高のステージでこういう結果で終われたので本当に良かったと思っています。

——たくさんの観客がいる中での試合でした

これだけ観客が入ってやることはなかなかなくて、早慶戦ならではだと思うので、やっぱり多少緊張はしましたね。

——今季最後の試合が終わりましたが、1年間を振り返ってどのようなチームだったと思いますか

シーズンの最初の夏はケイオーにも負けたりしてチームがバラバラだったんですけど、やっぱりあれがあったからどんどん少しずつまとまっていって雰囲気も良く、盛り上がっていったのではないかと思います。

——主将としてここまでチームを引っ張ってきていかがでしたか

みんな大人なのでそんなに苦労したことはないですけど、僕も結構みんなに厳しいことも言ったので、それについてきてくれて感謝の気持ちしかないです。

——試合終了間際には4年生全員で試合に出ていましたが、あのときのお気持ちは

監督に5人で出させてくださいとお願いしました。試合中ながら涙しそうになってしまいましたけど、5人で出たときはいろいろ思い出すこともあって、感動的なシーンでした。

——大学最後の試合を終えて

4年間というのは本当に短くて、きょうの試合で終わりかという感じはすごくします。いままでいろんな方々に支えられましたし、その方々のおかげできょうこういう舞台に立ててこういう試合ができたと思っているので、本当に親を始めとしてチームメイトやスタッフや全ての方々に感謝したいです。

――卒業後もアイスホッケーを続けていくと思いますが、今後の抱負は

こういう早慶戦みたいな試合を経験しているのもワセダの選手くらいなので、これを生かしてファンの人を盛り上げられるような選手になって、なおかつ日本のアイスホッケー界を盛り上げられるような選手になって、そして日本代表でまた虎太郎(山田、社4=北海道・駒大苫小牧)と一緒にプレーできればなと思います。

FW勝田貴之(国教4=米国・ライ高)

――4年間で最後の早慶戦。終えてみていまのお気持ちは

最高の気持ちです。インカレ(全日本氷上競技選手権)優勝できて最後の最後の試合が早慶戦で勝てたのでこれ以上の最高な気持ちはないです。

――試合を振り返ってください

最初はあまり足も動かなくて個人的にはあんまりプレーはよくなかったんですけど、第3ピリオド(P)に点を入れて少しでも勝利に貢献できたので嬉しいです。

――多くの友人の方々が勝田選手の名前の入ったプレートを掲げて応援していました

毎回応援に来てくれて、来てくれるだけで本当にモチベーションは上がるので、きょうはあの人数が僕のために来てくれて、本当に感謝しかありません。

――卒業後は競技を続けないと伺いました。競技としてやる最後のアイスホッケーでしたが、特別な思いはありましたか

最後に1分くらい4年生5人でいっしょにプレーしたんですけど、正直プレー中泣きそうになってしまって、そのときに実感が湧いてきました。17年間プレーしたホッケーをやめるのは本当に悲しいですけど、次の自分のチャプターが始まるので本当に楽しみです。まだ遊びでホッケーは続けますので、全体的には満足してます。

――勝田選手とって、早慶戦とはどのような試合ですか

やっぱりワセダのプライドだと思います。ワセダかケイオーの選手しか経験できない試合なので、毎回早慶戦に出場するときには、自分がワセダでよかったといつも感じます。本当にワセダのプライドですね。

――らいねん以降の後輩たちには、どのようなチームを作って欲しいですか

明らかにことしのチームとは違うと思いますし、どういうチームを作っていくのかも4年生次第ですので、4年生についていって、みんなが納得するチームを作っていって、優勝を目指して頑張ってほしいと思います。

DF龍ノ口弘陽(社4=東京・早実)

――早慶戦の雰囲気はいかがでしたか

やっぱりチーム最後の試合ですし、自分自身も本気でやるホッケーの試合が最後なので。楽しんでやろうっていうのが試合の中であったので、こういうかたちで最後勝ったし、いろんな方の前でプレーしたことで、いままで支えてくれた人への感謝をちょっとは表せたんじゃないかなって思います。

――高校時代からの早慶戦も最後となりましたが、思い入れは

高校の頃は、ケイオーにいい勝負をして負けたりっていうのがあって、悔しい思いがあるんですけど。やっぱり大学に入ってからはワセダ大学というものを背負って、勝たなきゃいけないという使命の中でちょっと大変だった部分もあるんですけど、うれしい思い出になりました。途中からこういう風にマネージャーが盛り上げてくれる早慶戦になって、観客の人も多く入ってくれる中での試合だったので、自分にとっては良い思い出になっています。

――きょうの試合終了間際は4年生のみでのプレーでした

この同期っていうのは4年間つらい思いとか嬉しい思いをみんなで共有してきて、ことし1年は特にほんとつらい思いをしてきてみんなで共有してきた仲です。最初は周りの同期っていうのは名の知れた選手で、自分は無名の選手だったので、一緒に出ることもなかったですし、この同期に誇りを持ってもらえるような選手になりたいというモチベーションの中でずっとやってきたので、一緒に試合に出て4年間を締めくくれたっていうのは本当に最高の気分で、自分の中では最後の1、2分はかみしめて出ていました。いままでで最高の瞬間だったと思います。

FW松浦晃(人4=北海道・釧路工)

――最後の早慶戦になりました

きょうは多くのお客様に来ていただいて、最高の舞台で最後引退試合ができてうれしく思っています。

――大活躍でしたね

最初僕らのセットで失点をしてしまったので、勝たなければいけない試合でしたし、しっかり点数を取るという気持ちで臨みました。たまたまリバウンドが出たり、ノーマークだったりというのがあって決められたので良かったです。

――MVPを取ったお気持ちは

TVもらえるというのは知ってたので、別に狙いにいったわけではないですけど、点数とることができて、MVPに選んでいただけて良かったです。

――最後の1、2分は4年生全員でセットを組んでいました

試合が始まる前から、余裕があったら最後全員で出たいねという話はしていました。ある程度点差を付けることができたので、銘(羽、スポ4=北海道・駒大苫小牧)が監督に言ってくれて、監督もOKしてくれたので最後4年生全員でリンクに乗れてすごくうれしかったです。

――これが本当に最後の試合でした。いま、4年間を振り返ってみていかがですか

ワセダの4年間というのは、僕がいままでホッケーやってきた中で本当に最高の4年間だったので、ワセダ大学を選んで、大学に入って本当に良かったなと思います。この大学でホッケーできたことを誇りに次のステージに進んで、苦しいこともあると思いますが、これを思い出してまた頑張っていきたいと思います。

DF山田虎太朗(社4=北海道・駒大苫小牧)

――試合を終えての率直な感想をお願いします

この伝統ある早慶戦で勝てたことにほっとしています。

――きょうの試合にはどのような意気込みで臨まれましたか

インカレ直後の試合なので、モチベーションの維持が難しいということはありましたが、伝統の一戦で負けられないという思いがあったので、しっかり勝とうという意気込みで臨みました。

――先制を許す展開になりましたが、特に序盤、焦りなどはありませんでしたか

選手自身は浮き足立った状態ではありましたが、普段のプレーをしていれば逆転できるということをキャプテンの羽刕(銘、スポ4=北海道・駒大苫小牧)がずっと声をかけていたので、それを信じてみんな途中からは冷静になってプレーできていたと思います。

――実際にその後逆転をして、リードを広げていくことができました。全体を通して良かった点は

インカレを良い形で終えられたように、いつも通りのプレーが後半は持続してできたことが一気に流れをたぐり寄せることができた要因だと思います。そういった点では終盤は良かったです。

――ご自身はアシストも光りました。自分のプレーを振り返って

途中、少し焦ってしまって思うようなプレーができなかったのですが、最後はしっかりとチームの助けになるようなパスも出せたので、及第点にはなるかなと思います。

――第3Pにはキーパー以外4年生だけでプレーする時間もありましたね

僕はDFなんですけど、最後はFWとして出ました(笑)。僕と銘(羽刕)と弘陽(龍ノ口、社4=東京・早実)というDFが3人いる中で、僕がFWになったことで4年生全員が出れました。そんな機会はめったにないので、この大学最後の試合が終わる瞬間を同じリンク上で同期5人で迎えられたことはとてもうれしいですし、この采配をしてくださった監督にも感謝しています。

――引退試合を勝利で飾り、ワセダとしてのプレーが終わりましたが、改めてどんなお気持ちでしょうか

本当にほっとしています。この早慶戦で負けてしまうとインカレの優勝もかすんでしまうので、この伝統の一戦を勝利で締めくくれたことはワセダ生として誇りですし、今シーズンを本当に良いかたちで終えられたと思います。

――山田選手にとって早慶戦とはどんな舞台ですか

普段の試合とは違う特別な思い出がありますし、こんなに大勢の観客の中で試合をすることもないです。本当に『伝統の一戦』という感じですね。これがワセダとケイオーの戦いなんだなということを感じるので、いまはその重荷がとれたというような気持ちです。

――最後にはリンクウォークも行われ、多くの方から祝福を受けていらっしゃいましたね

いろんな方に声をかけていただいたりして、僕らは本当にいろんな方に応援されていたことを改めて実感しました。いろんな人にお世話になっていま引退を迎えられることを感謝したいなと感じました。

――今季は副将も務められ、プレー面はもちろん、プレー面以外でもチームの中心的立場にいらっしゃったと思います。チームへの思いを教えていただけますか

副将として僕が何かしたかと言われると大きなものは残していないと思いますが、(周りに)どのように見えていたかは分かりませんが、副将としてみんなやればできる選手だと信じていました。そういった意味では厳しく接しましたし、僕が後輩たちに教えられた、学ばされたシーズンでした。このチームで副将をやらせてもらったことをありがたく思います。

――同じくきょうで引退する同期の4年生へ

中学校や高校の同期とはまた違う存在で、4年間寮生活で同じ釜の飯を食った仲間なので、思い出深いですね。この同期と一緒にやってこれたことに感謝の気持ちでいっぱいです。次はそれぞれステージは違いますが、また東京かどこかで集まって飲んだりしながら話せたらいいなと思います。